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第72話

バトル回!

第72話 己の決着は着いたらしいな。この調子で全ての決着をつけに行くぜ!


アリアドネ「はあああっ!!」


かつての想い(ゴキブリ)、セネピードだったムカデゲジゲジ型黒ゴキに対し、6振りの片手斧を何回も、何回も打ち付ける。


黒ゴキ「ギイィイィィイィィィ!?!?」


自慢の甲殻にヒビを入れられ、更に広げられることに心底驚いているようで、恐怖から叫び声をあげている。


アリアドネ「これは……あなたの甲殻で作った斧よ。私に足りない……硬さ…………!!」


~回想~


アリアドネ「鍛治屋さん、注文した武器は出来たかしら?」


鍛治屋「はい! どうにか昨日完成しました。素晴らしい強度です、何もかも叩き斬れそうな……そんな片手斧になりましたよ!」


アリアドネ「……フフ、良い輝きね」


黒く輝く斧を見つめ、懐かしさに浸る表情をしている。


鍛治屋「……深く聞くつもりはありませんが、大切な素材だったことは察します。生きて帰ってきてください! 僕がお客さんに出来ることはこの声かけだけです」


アリアドネ「この6振りの片手斧と、少し前に作ってくれた多節棍に誓うわ」


~回想終了~


黒ゴキ「ギィギッ!!」


人間大……いや、そんなサイズではとても言い表せない巨大サイズと化したゲジゲジの走り……奴はアジトの壁を破壊しながら猛スピードで走り抜き、アリアドネを落とそうとしている。アシダカグモと違ってゲジゲジは持久力にも優れるので、ペースが落ちることは無い。


アリアドネ「無駄よ!」


天井に逆さまに立てるアシダカグモの姿勢保持能力を活かし、体にしがみつきながら片手斧の攻撃を続けてヒビを広げる。壁や天井にぶつかりそうになっても、少し体を曲げたり移動すれば回避出来るので、攻撃のペースは落ちることが無く、甲殻のヒビは確実に広がってきている。


アリアドネ「もう……少しっ!……今……楽にっつ!?」


彼女は驚いた。突如黒ゴキが眼前の壁を曲がるのではなく、ぶち抜いて外に出て、あろうことか急停止したからだ。


ケアリゴキブリ達「うわぁ!? なんじゃこりゃあ!?!?」


外で残敵処理をしていたケアリゴキブリ達があわてふためく。


アリアドネ「はっ、逃げて!」


振り落とされた先にいた仲間達に逃走を呼び掛ける。


黒ゴキ「ぐおおおおおお……」


口から極大剣を吐き出し、胴体を天高く持ち上げ、腕に変えた前4本の足で極大剣を掲げた。


アリアドネ「(ここで止めないと……都市が破壊されて大勢死ぬ……)私の糸と力で……止めて見せるわ」


6振りの片手斧に女郎蜘蛛の能力で生成した糸を頑丈に巻き付け、ムカデゲジゲジ黒ゴキの一撃に備える


黒ゴキ「ギイイイィィイィ!!!!!」


破壊的な一撃が振り下ろされた!!


~バレットサイド~


ペネトレイト「ギィギッギッ!!」


大地に2本の足を踏みしめ、4本の腕で毒針を刺してくる。


バレット「オラオラ! そんな一撃刺さるわけねぇだろ!」


対するバレットも、腕から出したパラポネラの毒針を相手の毒針にぶつけ、攻撃を相殺していく。


デストロイ「ギィイイ!!」


バレット「ヌゥン!」


サバクトビバッタの脚力を掛け算されたデストロイの飛び蹴りに対しても、下左腕の裏拳で相殺。


スラッシュ「ギッッ!!」


すかさずカマキリの鎌を持ったパラポネラ黒ゴキのスラッシュが横凪ぎに放った一撃を上右腕でかち上げ、その時の勢いを利用してついでに下右腕でボディブローを放った。


フィジカル「ギイッ!!!」


超スピードで掴みかかってきたフィジカルに押され、マッハ10の速度で後退してしまったが、直ぐに減速した。


バレット「どうした? テメェの力はその程度か? 蜘蛛も怪力の部類に入るはずだが……テメェがへなちょこなのか?」


現在ヒューローチのバレットに対し、ロスローチのフィジカルが体格で勝っており、腕の本数も蜘蛛故に2本普通のゴキブリより多いので、バレットの腕を全て封じており、力比べでは有利である…………はずだった。


バレット「他3体にも言えるが、筋トレが足りてなさすぎるぞ! 出直してこi…」


刹那、動ける3体がバレットに集中攻撃を仕掛けてきた!


スラッシュ「ギィィ!!」


スラッシュの全速力からの鎌の一撃が肩に……


デストロイ「ギッッ!!」


デストロイの威力重視なローキックが膝に……そして


ペネトレイト「ギシャーーー!!!」


マンローチになり、圧倒的な量の毒を有する六本腕を背中に突き刺した!!


フィジカル「ギギギ……ギ?」


これで倒したと思ったフィジカルだったが、倒せていないことに気づいた。


バレット「テメェらなぁ~……筋肉舐めすぎじゃねぇか?」


ペネトレイト「ギッギギッギィィーーー!!」


次の瞬間、ペネトレイトの毒針の付着部が次々と破裂し、毒液が全て流れ出た。


バレット「2回刺せば必ず殺せるだかしらんが、刺さらなけりゃあ意味ねぇし、毒を抜けば素手と変わらん」


スラッシュ「ギイーーッッ!?!?」


鎌を引き抜こうと全力で引っ張った結果、自分の腕が千切れた。


バレット「お前の鎌は僧帽筋と三角筋で挟んでいたんだぜ。筋力さえあれば、お前も腕を失わなかったんだがなぁ」


デストロイ「ギギッ!?」


デストロイが自分の脚の膝下が真っ二つに折れていることにようやく気づいたようだ。


バレット「そして筋肉が発達してパワーもスピードも優れていると言うことはその分体に負担がかかる。骨もお前らの比じゃねぇ硬さなんだよ!!」


フィジカル「ギッ!?」


バレットは一瞬だけフルパワーを発揮することで、力比べしていたフィジカルを壁までマッハ20で吹き飛ばした。


バレット「蹴りならスクワットしとりゃあ強くなるし!」


目にも止まらぬ上段回し蹴りでデストロイの頭を爆ぜ散らせ


バレット「斬撃使わずとも強い奴は打撃でのしあがれる!」


後退していたスラッシュに瞬時に追い付きつつ拳を振るって頭を潰した。


バレット「そして……」


ペネトレイト「ギイイイイイ!?!?」


ペネトレイトにパラポネラの毒針による突きで毒を注入したところ、猛烈に痛がり始めた。


バレット「オオスズメバチの毒に利点があるように、パラポネラの毒にも激痛を与えられるという利点がある。……すまんな、言うだけ無駄だったぜ」


ペネトレイトの頭ごとマイクロチップを潰して永眠(ねむ)らせた。


バレット「さて」


壁にめり込んでいたフィジカルの方を向いたと同時に、奴はデストロイの亡骸に消化液を注入し、捕食した。


バレット「俺の仲間の銀髪姉ちゃんもそれ、よくやってるけどさ、これで強くなったりするのか?」


フィジカル「ぎぃぎ」


刹那、両者ともがさっきいた地点の中央に高速移動し、拳をぶつけ合った。


バレット「オラオラオラァ!!」


フィジカル「ギィギギィギィギィ!!!」


互いに恐るべき速度の殴打を繰り返し、周囲はおおよそ生物が住めない地獄のような環境へと変化していった。


フィジカル「ギィーーー!!」


アシダカグモの瞬発力を活かし、瞬時に後退したかと思いきや、最高速度マッハ24まで加速して、拳を放とうとしてきた!


バレット「グングニール!!!」


対するバレットは、その場で全力の突きを放ち、フィジカルの拳ごと頭を貫いて永眠(ねむ)らせた。


バレット「勝ってやったぞ! そこに居るんだろ!」


そう言って、目の前の扉を蹴破った。


~ファングサイド~


ファング(さーて、どうやって崩そうかな?)


先頭を駆けていくファングに対し、ビースローチの3体……フラッシュとバースト、デッドリーが追従してくる。


フラッシュ「ギイィ!!」


純粋な速度が秀でたフラッシュが追い付き、顎を閉じてきた。ファングは当然回避する。


バースト「ギッ!!」


シオヤアブの発射機構を備えた6本足を爆発的に動かし、超加速したバーストが迫り来る!


ファング「ぅおっ!!」


牙でバーストの牙を受け、後ろへと飛ばされた。


フラッシュと連携して飛んできたデッドリーが毒を纏わせた糸を展開する。


ファング「ソニックスウィート」


牙閉じを一瞬の間に何百回も行うことで、高密度な空気の斬撃を無数に作り、糸ごとデッドリーを細切れにして倒した。


ファング(一体討伐! 次は……おおっと!)


空中からいつのまにやらやって来たスラッシャーの超連続斬撃を回避した。


フラッシュ「ギイッ!!!」


速度のフラッシュが真っ先に追撃をし……


バースト「ギッ!!」


爆発的加速のバーストが追い討ちを仕掛ける。


ファング (ここだ!)


迫り来るバーストに対し、地面を思いきり押すことで跳躍、同時に真下に向けた顎を数回閉じた。


バースト「ギギィ!?」


下へと飛んでいった斬撃は、バーストの頭や胴体を幾つかに切り分け、永眠(ねむ)らせる結果になった。


フラッシュ「ギィッ!!」


フラッシュは襲いかかる振りをして、亡骸となったバーストを捕食しようとしたが……


ファング「スパーキングダガー!」


僅かに出来た死角から超スピードの斬撃を放つことでフラッシュも仕留めた。


ファング「さて……」


残るスラッシャーは移動速度こそ遅い方だが、近づけば八つの刃が幻想的なスピードで何回も襲いかかる。あまり近づきたくない相手だ。


スラッシャー「ギッシャァア!!!」


スラッシャーは何を思ったのか、いきなりその場で無数の斬撃を放ち始めた。衝撃波が飛ぶ斬撃となり、周囲に飛び散っていく。


ファング(飛ぶ斬撃は放ってから少し飛べば、等しくマッハ1の速度に落ち着く。こんな速度は最早驚異でも何でもないが、エネルギーは斬撃を放った物体の速度に比例して大きくなるから、決して被弾して良いとは言えないな)


分析しながら的確に回避していき、斬撃の嵐の隙間を見つけた。


ファング(あからさまな罠。だが、あえて乗る! 全速力で真っ二つにしてやるッ!!)


全速力、マッハ22で突進する!!


スラッシャー「ギイィ!!!」


待ち伏せしていたスラッシャーが顎やら鎌やらを閉じ始めた。


ファング「ゴッドアンピュテーション・ウィンド!!」


スラッシャーの2歩ほど手前で急停止し、マッハ28の顎閉じを行うことで、極めて高密度な飛ぶ斬撃を発生させる。斬撃がマッハ1に減速する頃にはスラッシャーの6本の鎌や、発生させた斬撃をいくつも真っ二つにしており、首の前まで迫っていた。


ファング「チェックメイト!」


当然スラッシャーがこんな事態を想定しているはずもなく、頭と胴体が二つに別れて永眠(ねむ)ることになった。


ファング「さて、お前らを弄んだ元凶を殺しにいかねぇとな」


そう言って扉を破壊して進んだ。


~廊下~


扉を破壊して足早に進んでいくと、鈍角な曲がり角が見えてきた。


ファング「変な道……おあっ!?」


ぶつかった奴「ああ!?」


大柄なヒューローチと衝突して転倒した。相手が大柄とはいえ、マッハ10以上で走っていた。これは相手のパワーも凄まじいことを意味する。


ファング「前見て走れ!」


ぶつかった奴「テメェに言われたか……あ」


ファング「バレット!」


相手はバレットだった!


バレット「ファング! お前なら勝つと思っていたぜ。この先に何かあるのは間違いねぇ、急ぐぞ!」


ファング「ああ!」


2人は急ぎ足で駆け、眼前に迫った扉を破った。


~研究部屋~


???「やあ、君たち本当に強いんだね。良い研究データになったよ」


声からして、改造黒ゴキ8体をそれぞれ4体ずつバレットとファングにぶつけた声の主だろう。科学者らしい白衣を羽織った"普通のゴキブリ"だ。


バレット「顔を合わせるのは初めてだな」


いつになく怒りに満ちた表情で話す。


ファング「まずはこの塔に居る人質を全て解放しろ」


怒りをむき出しにする相棒に対し、冷静に部屋のゴキブリ達を見ながら相手に指図する。


???「さーて、どうしようかな?」


~1階~


刻蝋値「おおおおおおお!!!」


俺は今、巨大なムカデのようなゲジゲジのような何かの足を突進で消し飛ばしながら外へ向かっている! お、見えてきた!!


~外~


巨大で長い体長を持つ黒ゴキが、極大剣を振り下ろしており、一人の六本腕の女性が受け止めようとしている。


アリアドネ(これは……助からないかもしれない…………だけど、これで良い。この一撃を食い止めて奴を糸で束縛さえ出来れば、私を外に出してくれて、感情を呼び覚まし、窮地を何度も救ってくれたあの子……刻蝋値隊長に恩返しが出来る)


そして極大剣が糸に触れた瞬間だった


刻蝋値「真剣白刃取り!!っ間に合った!」


巨大黒ゴキの足を破壊しながら猛進していた刻蝋値が間一髪間に合い、アリアドネの助力をしたのだ。


アリアドネ「コク……ローチ!?」


刻蝋値「おうよ! オラッ!」


極大剣を手慣れた様子で強奪し、黒ゴキの頭に振り下ろした。


黒ゴキ「ぐおおおおおおおおおおお!!!!!」


刻蝋値「とどめは任せた!」


アリアドネ『任せて……』


ギガローチ形態……最早ゴキブリの面影が殆んど無い巨大アシダカグモのようになったアリアドネが、かつての想い人だった黒ゴキの露出した頭にかぶりつき、消化液を全て注入して捕食し始めた。


刻蝋値「…………」


俺は何となく思っていたことがあった。この黒ゴキは、彼女を助けた幼なじみの成れの果てなんじゃないかと。いつもだったら瞬殺しようと思うのに、なぜかこんな回りくどい方法をとったからな。


こう思っている間にも、ジュースになった黒ゴキを飲み込み続けている彼女の胃は膨張を続け、それは体外からもはっきりとわかり、ついには元の9倍ほどの体積となった。


アリアドネ『んぐ……』


一通り食事を終えたアリアドネはいつものヒューローチ形態へとなり、マイクロチップを吐き出した。


アリアドネ「!、ン"ン"……うっぷ……失礼」


刻蝋値「無理すんな、少し休んでいろよ。こんなに腹出てる隊員に動けなんて言えねぇよ」


アリアドネ「……いつも一言余計ね。でも、助けてくれてありがとう。本当に嬉しいわ」


刻蝋値「お互い助け合えば良いだけさ!」


アリアドネ「少ししたらまた加勢するね。さっきの倍以上強くなれるから」


刻蝋値「おお、期待してるぜ!……って、何だ? この音は」


ゴワンゴワンさっきからうるせぇ……エレベーター?


アリアドネ「シンプルに耳障りな音ね。金属でも擦れあってるのかしら?」


と、その時


ホッパー「刻蝋値、至急話したいことがある!」


刻蝋値「ホッパー、聞かせろ」


ホッパー「先程、謎の巨大なガラス菅を見つけ、観察していたら変な音と共にゴキブリが乗った鉄の塊が下へ落ちていった」


刻蝋値「……乗っていたのは黒ゴキだったか?」


ホッパー「……いいや、普通のゴキブリに見えた。だが、高級そうな白い服を着ていた」


刻蝋値「…………白衣……か。奴はおそらくこの組織の上層部の一人だ。今まで助けた人質を送る手はずを整えたら、直ぐにでも攻め込むぞ。地下が本当の実験場だ!」


~ガラス菅の場所~


刻蝋値「さーて、お前らも自分の決着はつけれたみたいだし、行くぜ!」


俺はガラス菅を殴り壊した。そして中に飛び降りた!


刻蝋値「お前ら、着いてこい!そして待ってろー! クソ科学者共!!」


第73話 新たなスパイと戦う人質、そして科学者の正体に続く。

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