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第7話

今日のゴキブリ書き納め。誤解を招くような表現が一ヵ所ありますが、あくまでゴキブリの習性です。

第7話 脱皮直後はクソ弱い!!だけど一時間たてば更に最強だぜ!


やぁ、諸君。俺の名は(こく)(ろう)()!ゴキブリだ。だけど俺は4本腕の亜人姿に変身でき、偽装フェロモンを出すことで、人として生活が出来るのさ!現在は、冒険者をやっており、美人な3人と楽しく冒険してるんだが……こいつら、俺がうっかり寝ているときにゴキブリの姿に戻ったからって踏み殺そうとしやがった!!だからお仕置きしてやったぜ。そして、その姿がこれだ!


ガーネット「くすぐったくて死ぬかと思ったぁ………………」


アメジスト「身体中がベトベトだよぉ…………」


マリン「刻様……何故このようなお仕置きを…………?」


そう、普通のゴキブリ姿で全身を舐め回してやったのさ。キモいか?キモいだろうな。だけどゴキブリにとっては、他生物の汚れは貴重な食糧だ。いわば舐めるのは本能なのさ。…………殺されかけた仕返しがこの程度ですんで、感謝してほしいくらいだぜ。


刻蝋値「こんな目に会いたくなかったら、無闇にゴキブリを殺そうとするんじゃねぇぞ。わかったな!」


3人「はい……」


刻蝋値「服を着て待ってろ。料理を作る」


10分後


刻蝋値「俺様特性、殺人鹿のソテーだ。むしゃぶりつくがいい」


物騒な名前通りのパワースピード偏重・攻撃特化のアブねぇ鹿だ。その分、瞬発筋多めかつ、高タンパク・低カロリーの良質な肉へと変わるのさ。


ガーネット「おお!うまそうな肉だ!」


アメジスト「美味しい!」


マリン「ええ、とても美味し…わあっ!?刻様!それは一体何ですか!?」


刻蝋値「ん?ああ、サイクロプスの腿焼肉だよ。赤身肉だから、血液増量効果がありそうだぜ。食うか?」


赤身肉には、鉄分が多い!後、内部組成的にも持久力を支えるミトコンドリアとか多いだろうから、マラソンランナー向けだぜ。

サイクロプスはマッチョの割に、歩みが鈍重だ。それがこの腿肉に現れており、保持に特化した赤身となっているのさ


3人「遠慮します!」


刻蝋値「んー?そっか」


そう言って、骨付き肉を食っている様子を3人は得体の知れないものを見るように見ていた。


刻蝋値「やっぱゴキブリは何でも食えるから、食うに困らないな。残った大腿骨だって、膝蹴りで折れば」


鋭い膝蹴りで真っ二つに折った。


刻蝋値「中の骨髄をいただける」


ぽとぽと落ちてくる骨髄を食す様子に、3人はかなり引いていたが、俺は全く気にならなかった。うまし!

飯を食べ終え、俺たちはとある洞窟の前に立っていた。


ガーネット「この門……窪みがあるぞ。何かはめる物でもあるのか?」


マリン「確かこの大陸は反対側に真円の玉と呼ばれる宝石が守られている塔があったはずです」


アメジスト「じゃあ取りに行けばいいんだね!」


宝石と聞くや否や、アメジストの声色が上がった。見るからに好きそうだもんな。


刻蝋値「キャーキャー言ってるところ悪いけどよ。ここは既に『開けれる』ぞ」


ガーネット「何言ってるんだ? こんな頑丈な扉を、いくらお前でも無理だろ」


刻蝋値「ノンノン、新形態ならいけるかもしれねえ」


アメジスト「キャーーー!新形態!!」


マリン「どんな形態なんですか?」


刻蝋値「今見せてやるよ。メタモルフォーゼ・ビースト!」


六足歩行のチーターや豹を思わせるフォルムになった。


ガーネット「おお!今回はマジカッケェ!!」


アメジスト「速そーーーーーう!!」


刻蝋値「その通り!ゴキブリ本来の六足歩行により、全形態最速を誇るぜ!加えて速度が乗った状態からのタックルは、あらゆるものを打ち砕く、最強の破壊力だ!」


運動エネルギー = 1/2 × 質量 × 速度の2乗だぁ!!!


マリン「ですが、武器が使えませんね……」


刻蝋値「大きな欠点がそれだ。口に咥えるタイプの武器以外は使えんな。だが、タックルの威力は今見せてやるぞ。扉の真ん中を開けてくれ」


女性陣は扉の前から大きく距離を取った。


刻蝋値「それじゃ、10秒くれ」


そう言って助走距離を稼ぐべく、扉と反対側に走り出したのだが、これが速い速い。ランニングを走るような気持ちで、人馬形態の全速力が出るのだから。正にビースト!ひとしきり6秒ほど走ったあとは、方向変換し、今度は全速力だ!!体が大きくなったから、最高速度を出すまでの加速に時間がかかるが、それでも1秒ほどで最高速度に達した。大体音速 (時速1226㎞)の6、7割出てるのではないか。ゴキブリとしても強くなっているのがわかる。


刻蝋値「必殺!キネティック・ストライク!!」


運動エネルギーを対象にぶつけるだけの技は、扉を粉砕するだけにとどまらず、部屋を次々と破壊していき、ついには最奥の番人まで瞬殺してしまった……。


そのころ外では


ガーネット「……2人とも大丈夫か?」


マリン「私は無事よ」


アメジスト「耳が痛いよぉ!」


ガーネット「良かった。はぁ、あの技はあたしたちの前で使わせないようにしないとな…………」


アメジスト「でも背中に乗ってみたい!」


ガーネット「アメジスト、お前本気で言ってる?」


マリン「恐らく空力加熱で全身に大火傷をおうわよ……」


アメジスト「くうりきかねつ?熱そうなのはイヤかも…………」


ガーネット「兎に角……待とうか。アイツなら死なないだろうし、気分で再びこっちに突進されたらたまらないし」


と、言っていると


刻蝋値「おおーーーーい!3人ともーーー!面白れぇもの見つけたぞーーーーー!真っ直ぐこーーーーーい!!!」


アメジスト「2人とも行こ!」


マリン「あ、ちょっと待って!」


ガーネット「ローチの討ち漏らしに気を付けろ!」


~最奥の部屋~


ガーネット「おいおい……これ、ギガゴーレムだよな………………」


彼女等が部屋に着くと、10mを上回る体躯のゴーレムだったものが、粉砕されていた。


アメジスト「すっごーい!体当たりで粉々にしちゃったよ!」


マリン「刻様、面白いものって何ですか?」


刻蝋値「お!来たか!これだぜ!多分エクスカリバーだ!」


亜人形態(フル○ン)の刻蝋値が立っている中央の祭壇には、神々しい大剣が刺さっていた。


刻蝋値「実はな、あのゴーレムを粉砕したあとも、突進の勢いがチーター並みに残っていたんだよ。でもあの剣に当たったら、これがすっかり止まってなぁ。いやー、伊達に伝説の武器じゃねぇなぁ!!」


3人「チーター?」


が、刻蝋値の例えは通じない。この世界に猫科動物のチーターは存在しないから。そして


ガーネット(確か、女神だかから変なスキルを貰った野郎の蔑称だったっけ?)


マリン(ゴーレムを砕くまでにどこまで減速したかは定かではありませんが…………並のチーターと同列とは過小評価なのでは??)


アメジスト(身体能力だけでチーターを上回る蝋値様ステキッ!!)


三者三様、盛大に勘違いをした。刻蝋値も思い出したかのように、ズボンをはきながら話す。


マリン「し、信じられません…………数多くの勇者がこれを手に入れるために、儚くも散っていったと言うのに」


アメジスト「それを力づくで手に入れちゃうもんね!凄いよ!!」


ガーネット「まぁ、力が凄いのはちょっとづつ慣れてきたんだけどさ、勇者でも無いのに普通に聖剣抜けるのはどういうことだよ…………」


どうやら本来は勇者じゃないと抜けないらしい。


刻蝋値「知らん。この剣俺を拒んでいるようにも感じられるけど、拒む力が弱いから普通に使えるんだよな」


確かに聖剣を握る刻蝋値の右下腕の前腕部は、力みが見てとれる。


マリン「それって、エクスカリバーに認められている訳じゃなくて…………」


アメジスト「力で強引に従えているね…………」


ガーネット「それ、急に離したりしたら、こっちに飛んでくるかもしれんから、気を付けろおぉあああ!?!」


刻蝋値はうっかりと握る力を弱めてしまったらしく、聖剣がガーネットの真横を掠めて壁に深々と刺さった。刺さった部分の回りに大きなクレーターが出来ており、威力が伺い知れる。


刻蝋値「……ごめん、一瞬フリかと思って…………立てる?」


生前に見たお笑い番組を思い出しながら、謝罪した。


ガーネット「ここここんの、バカもんががががああぁぁ…………」


完全に腰を抜かしてしまったらしい……


アメジスト「蝋値様、今のは全面的にあなたが悪いよ!」


全くもってその通りだ。


刻蝋値「ガーネット、本当にごめん!どこも怪我とかないか?俺がおぶってやる。マリン、筋緊張緩和の施術を施してくれ」


マリン「ええ!リラックマッシュル~~♪」


脱力系デバフ魔法を応用した異常回復魔法により、ガーネットの無駄な力みを消し去った。毒は薬になるとは、よく言ったものだ。


刻蝋値「剣は後からでも取りに行けるし、ぶっちゃけ要らない。早くここを出よう」


ガーネット「ふぅ、あたしはもう平気、剣も持ち帰ろうぜ!」


アメジスト「ガーネットちゃん!」


刻蝋値「そうか……ああ、せっかくだし持ち帰ろうか」


それからは、特に変わりなく修行旅(グルメツアー)を続けていたが、3日後、俺に異変が起きた。


ガーネット「ここで切り返せ!」


刻蝋値「そらっ!」


ガーネット「良いじゃん、その調子だぜ」


振りのタイミングを主とした、剣術指導。西洋の剛剣術的なのはやはり楽しいぜ!


刻蝋値「なるほどなぁ。いつも剣を教えてくれて、ありがとなあおぉぉおう!??」


何か叫んじまった!?


ガーネット「うわびっくりした!!」


アメジスト「蝋値様!?」


マリン「え?……え?何が起きましたの!?」


刻蝋値「だ……脱皮しそう………………」


俺の精神の核から、"脱皮の知らせ(むしのしらせ)"が報じられた。


3人「・・・は?」


刻蝋値「だから……脱皮…………だ」


アメジスト「ええと……虫みたいに?」


ガーネット「そうだった。ローチはゴキブリだったな!」


マリン「今まで人みたいに振る舞っていたから、ゴキブリであることを失念していました」


失念って……元々人間だったから、失念してくれて結構だったんだがなぁ……兎に角、


刻蝋値 「う、おおおおお!!!!!ふん!オラッ!どりゃああ!!」


頭が真っ二つに割けた場所から、俺は一気に脱皮をした。目線が幾らか高くなった気がする。


ガーネット「ん?でかくなったなぁ!ローチ!前はあたしとそんな変わらなかったのに!」


刻蝋値「確かに差が出来たな」


5センチは十分な差だろ!と思ったが、確かに20センチ差が出来たら、違いがはっきりとしてくる。約、190cm!


アメジスト「背もだけど、筋肉大きくなったね!」


刻蝋値「フッ、良いところに気づいたな!そうだ、筋肉を大きくすることによって、強く、速くなれるのだ!」


マリン「ずいぶんとガーネット様好みの姿になられて……。でも、大丈夫ですの?何だか心なしか柔らかそうなのですが……」


刻蝋値「もう一つの大切なことに気づいてくれたな……皆!1時間だけ守ってください!」


別にコイツらなら良いが、それでも土下座する程の死活問題だ。多分避けれるけど、これ見よがしに糞勇者の攻撃が飛んでくることもあり得る。


ガーネット「……ローチが頭を下げるってよっぽどだな」


アメジスト「恩返ししましょ♪」


マリン「ええ!」


刻蝋値「サンキューベリマッチ…………」


俺はここで守ってくれる仲間たちに会えたことを、心から嬉しく思った。そして、1時間後からは再び全力で守ろうと誓った。


第8話 魔王城の場所を探しまくれ!に続く。

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