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第64話

0時の分は遅れて投稿します。代わりに、挿し絵を明日中にあげようと思います

第64話 ゴキブリは天敵にも負けねぇし、共存だって出来るってことを教えてやらぁ!


よう、俺は(こく)蝋値(ろうち)、宇宙最強を目指すゴキブリさ。今、スッゲェ美人…………というか、神々しい女性の腕を掴んで襲われないようにしているけど…………やっぱアシダカグモのオーラが恐ろしさを増長していてな…………おっと、ビビってもいられねぇ!


アリアドネ(…………全く振りほどけない。この男…………どんな腕力しているの? まぁ、腕力で敵わないなら…………)


刻蝋値「さっきは変なこと言って悪かったな、本題に入ろう。今、黒ゴキ達の侵攻は激しさを増すばかりだ。こないだなんて、大都市にまで正面から挑みかかってきやがった。そこで、純粋なパワーとスピードに秀でていると言われるアリアドネさんの力を借りたい」


面揃えて話すだけで心臓バックバクなのは、いつ以来だろうなぁ…………


アリアドネ「どんな対価を払ってくれるかしら? それよりもさ…………」


刻蝋値「なんだい?」


見つめられても、平常心、平常心…………


アリアドネ「折角、遠路はるばるここまで来てくれたんだからぁ、いいことしていかない?」


…………なんだ? 急に誘われて…………いや、そんなはずは…………それよりも前屈みだから胸が…………ヤバイ、これ以上は鼻血出る…………


刻蝋値「い、いきなr…」

アリアドネ『フッッ!!』


刹那、彼女は俺の腕を全て掴み、猛スピードで駆け出した。毎秒5km(マッハ14)の速度で岩盤に叩きつけ、6本の腕から拳を振るってきた。


刻蝋値(へっ! そう来たか、なら話は早ぇな!!)


燃えてきたーーーーー!!


アリアドネ「おおおおおお!!」


刻蝋値「フッ…………楽しいねぇ…………」


俺は拳を捌くこと止め、4本腕でアリアドネの腕を4本止めた…………が


アリアドネ「フン、所詮あなたも低能なのね。4本腕のゴキブリが6本腕のアシダカグモの腕を封印することなんて出来るわけ無いじゃない」


そう言いながら、残り2本の腕で容赦なく顔面を殴って来やがる…………。うん、この人本当に容赦無さすぎだろ。


刻蝋値「腕くらい増やせるよ」


俺は猿形態になり、6本腕を全て封印した。


アリアドネ「あら、そんな非力な形態もあったわね。だから何?」

『グチャァア!!』


ッぅおおおっ?!?


刻蝋値「…………てめぇ、ちょうど良い位置にあるからって、金的を全力で膝蹴りしてんじゃねぇぞ!!」


流石に少々痛いし、色々な意味で良くねぇ!


アリアドネ「醜いモノを晒す貴方が悪いのよ」

『グチャッ!!』


確かに、着替える暇がなくて、その通りッス。


刻蝋値「それは…………グゥの音も出ません」

『グチャッ!!』


アリアドネ「…………にしてもいつまで腕握ってるの? 後…………このままだと貴方のソレ、使い物にならなくなるわよ。まぁ、そういう趣味なら今回は乗ってあげなくても無いけど…………」

『グチャッ! ドチャッ! ブチィ! ガチュッ! グチィッ!!』


刻蝋値「へへ、いくら君が強いとはいえ、俺は鍛え方が違う。君では俺を殺せないぜ」

『ズチャッ! グチャッ!!』


アリアドネ「よく言うわね、何もできなくなって、いるくせに」

『ズチャァッ!! グチャァッ!! ドチャァッ!!』


見た目は仰る通り、そしてみっともなさMax!! だがな、


刻蝋値「さぁて、はたして本当にそうかな?」

『スカッ!!』


そういって、俺は大胸筋と客上腕二頭筋を収縮させ、アリアドネの胴体との間に距離をとった。


アリアドネ「なっ!?……嘘……」

『フラッ…………バッ!』


膝蹴りが空振り、体勢がよろける。その隙に、もう一度広背筋を収縮させ、片脚を俺の胴体とアリアドネの胴体でロックした。


刻蝋値「こんなことだって出来ちゃう。更に」

『ギュッ!!』


全ての腕を放し、抱きつくことで束縛を強めた。ヤベェ、超イイ臭い…………。


アリアドネ「くっ…………こんな束縛…………あっ」


無理に力を込めたので、後ろに転倒して俺が組伏せている形になった。臭いの次は、美声攻撃かぁ~~…………!!!


刻蝋値「へへ、抜けられないだろ? これで俺との実力差が分かったはずだ。一先ずお願いを聞いてもらうぞ」


そして身体から伝わる感触…………もう暴発寸前だぁ。


アリアドネ「フン、誰がそんな約束をしたのかしら?」


刻蝋値「そうだったな。じゃあ、俺の部下になってくれるなら、束縛から解放した上で、食べたことないレベルの美味い飯をご馳走してやるぜ」


だが、俺の目的はソウイウコトをするためではない。ならば、誠心誠意を持って条件を伝えるぜ!…………どこが誠心誠意だよって感じだが!


アリアドネ「そう…………でも、やっぱり誰かの軍門にくだるのは嫌ね…………フフッ、そうね。私相手に渡り合ったご褒美に、キスしてあげるから、見逃してくれるかしら?」


よっしゃご褒b…じゃなくて! これはあからさまな罠! だけど正直俺の戦車砲を超えたナニカも限界だな。それに…………今回に関しては()えて受けるのもありかもしれん。彼女が蜘蛛であれば尚更な。


刻蝋値「願ってもないことだ、それじゃ、熱~いキスを」


顔を近づける。


アリアドネ「フフ…………」


向こうも顔を近づけ、唇が重なった次の瞬間、苦しみ出したのはアリアドネの方だった。


アリアドネ「ゲホッ! ゲホッ! ぐぅぅッッ!! やってくれたわねぇッッッ!!!」


刻蝋値「君ほどあからさまに男が嫌いな女性が、自らキスを条件に出す方がおかしい。そして何故キスなのか…………答えは簡単、俺の体内に消化液を送り、捕食するためだ。実にアシダカグモらしい色仕掛けだな。いや、女郎蜘蛛の方が近いか。嫌いじゃないぜ、こういうやり取りは」


マジで大好きスマイル!…………で、返事だ。


アリアドネ「ッッ…………この……………………!!」


アリアドネはあからさまに顔を赤くし、恥ずかしさと怒りが入り乱れた表情をしている。


刻蝋値「しかも自らを俺ごと糸でがんじがらめにして逃がさないつもりだったけど、逆に拘束を強めてしまったな。俺なら怪力で糸を千切れなくもないが、その際君の体が潰れかねない。さて、どうする? 美味い食事つきで軍門にくだり、命を長引かせるか、ここで死ぬか重症を負うかの賭けに出るか」


アリアドネ「…………良いわ。貴方の部下になってあげる。だけど、美味しい動物性タンパク質の確保は忘れないでね」


刻蝋値「うっしゃ、交渉成立!…………さて、この糸どうやって解こうかな」


問題は拘束よりも、俺の理性の崩壊だ。後、こんな(女性を組伏せている)姿を誰かに通報されたら、一生変質者の肩書きを背負うことになる!


アリアドネ「任せてちょうだい」


危機を感じたのか、彼女はそう言って少量の消化液を糸に吹き付けた。


刻蝋値「成る程、これは良いな」


俺も戦闘が終わったので、早々にアリアドネから離れて亜人形態になった。そして直ぐ様着衣する! 無意味な誠実さアピールと、興奮の沈静化が狙いだ。…………発射してねぇのに戦車砲がイテェし、全然収まらねぇ


アリアドネ「…………貴方が立場を利用した好色暴君じゃないことを祈ってるわ。それで、早速美味い飯とやらを食べさせてもらおうかしら」


期待0、恐れ5割って所か。妥当な状態だな。


刻蝋値「よしきた。非好色暴君であることもこれから信頼を勝ち得てやるぜ。先ずは飯ィ!」


~アリアドネの家~


刻蝋値「まずは、これだ!」


俺はクモイトカイコガの成虫、蛹、幼虫を取り出した。


刻蝋値「これはクモイトカイコガって言う虫でね、俺がアースから持ってきたんだ。まずは食べてみな」


アリアドネ「アースって、昔私たちが居たと言われてるあの? それにこれ、毒は無いのよね」


恐らく彼女は軍の教育を受けていないが、別の施設で歴史を学んだのだろう。ここ(ゴキブリ星)では、そういう歴史なんだな。


刻蝋値「そう、そのアース。俺はアースからやって来たゴキブリだ。そして毒は無いぜ」


アリアドネ「いただきます。…………へぇ、本当に美味しいじゃない。蛹も幼虫も…………うん、美味しいわ」


表情が変わった!…………めちゃくちゃ幸せそうな顔だ。これだけでもカイコガを持ってきて良かったと思える。


刻蝋値「良かった。そんな嬉しそうな顔してくれたら、あげた甲斐があったぜ。宇宙船なら更に美味くした虫達が居るけど、軍基地に戻るまえに立ち寄って食ってくかい?」


アリアドネ「ええ、寄らせてもらうわ」


営業スマイルっぽくても嬉しぃわ!

俺達はマッハ6の速度で宇宙船に向かっていった。


アリアドネ「まだできないのー?」


刻蝋値「あと10秒待って!…………よっしゃ、完成! カイコガのバター炒め」


アリアドネ「いただきます…………何これ!? 今までで1番美味しいわ!!」


 この星は、いかにも食事レパートリーに欠けてそうだったからな。彼女がカイコガ料理ファンになるのも納得だ!


刻蝋値「だろ? 良質な食材と調味料に、俺の料理の腕が加われば、ざっとこんなもんよ!」


アリアドネ「…………なんか、色々と見直したわ。ただの変態小僧じゃ無かったのね」


刻蝋値「ひでぇなぁ、ってかやっぱり俺はガキに見られるのか。ガタイだけならその辺の大人よりよっぽどデカイ筈なんだがな」


変態は納得できても、小僧と見抜かれることだけはどうしても納得出来ん!!


アリアドネ「顔ね。パッとしない子供そのものよ。ま、ガタイもギリギリ合格って所だけどね」


刻蝋値「へぇへぇ、やっぱり皆顔なんだな。お、イナゴもそろそろできる頃か」


俺は料理を持ってきた。


刻蝋値「イナゴの佃煮だ。美味いぞ~」


アリアドネ「ええ、独特の甘味があってとても美味しいわ。黒ゴキを料理すればここまでとはいかないけど、まともな味にはなりそうね」


刻蝋値「う~ん、俺は共食いにどうも抵抗があってなぁ…………」


チキュウ、アースでも、ノーマルコックローチ状態で、現地の連中とコミュニケーションを取った身としてはどうもな…………。


アリアドネ「そんなこと言っていたら、いつか餓死するわよ」


刻蝋値「ま、非常時は何でも食うさ。あ、ちょっとだけ食べながら待ってて!」


俺は用事を思いだし、コックピットに向かった。


刻蝋値「ライト、居るか?」


ライト『あ、刻蝋値さん、調子はどうですか?』


刻蝋値「俺は軍の特殊部隊に入隊してな。実力を見せつけることで信頼を得たぜ。黒ゴキ達は大陸の北極近くにある丸い地形に根城を構えているらしい。ライトの方も解析は終わったか?」


ライト『はい、黒ゴキは特に問題なく食べられますよ。出来ればでよろしいのですが、なるべく早めに黒ゴキを操る者を倒してください。僕の元へ、傭兵団の女性の方々からあなたの帰還はまだかと連日電話が…………』


刻蝋値「…………それは本当にすまんな。なるべく善処するから、もう少し耐えてくれ」


さーーっそく、迷惑かけてんなぁ、オイ!


ライト『よろしくお願いします』


刻蝋値「また報告しに来るぜ!」


アリアドネ「遅いわよ。早く行きましょ」


痺れを切らしたアリアドネがやって来たようだ。


刻蝋値「待たせたな、行こうか」


~夜道~


刻蝋値「…………なぁ」


アリアドネ「何?」


刻蝋値「なんでそんなに離れてるんだ?」


料理を振る舞った程度で、心の距離は縮まなかった。


アリアドネ「そりゃ会って間もないゴキブリと近づけるわけないでしょ?」


刻蝋値「…………そうだよな」


それもそうだ、俺の今までがおかしかったんだ。普通はこれくらいの距離感だよな。


刻蝋値「お、見えてきたな。早速総督に報告だ」


~総督の部屋~


総督「おお!アリアドネを本当に連れてくるとは、やはり刻蝋値は強いなぁ!」


刻蝋値「いやー、結構衝撃的な女性でしたよ、特に金的を連続膝蹴りされたときなんかは…………『グチャァア!!』って感じで!」


総督「…………なおのこと君を行かせた判断は間違ってなかったようだな」


刻蝋値「いや、俺が丈夫だからって、その言い方は無いんじゃないですか?」


使用不可になったら、どうするの? ええ??


総督「すまないな、これでもかなり感謝しているのだ。一応次のターゲットを教えておくよ、次のターゲットはアンテナタワーに潜む、シオヤアブのソルトイルだ」


刻蝋値「(ソルト)…………? (オイル)…………? 塩油…………塩アブ?」


総督「名前はゴキブリ時代についているはずだから、関係ないはずだ。奴は正真正銘のアサシン、(カネ)さえつめばあらゆる相手を殺してくれるよ」


刻蝋値「まさかとは思いますが、軍が財政難だから無理やり連れ出そうとしているとか?」


仲間にするヤツは、内面重視! それが、俺のルールだぜ。…………あれ? 何か違和感がががが…………


総督「違う、奴は元々ここで黒ゴキ討伐を行っておったのに、いつしか軍での仕事をサボるようになり、アサシン活動を始めおったのだ」


刻蝋値「正真正銘サボりなら連れてこれますね!」


オラァ! こっち来いやぁ!! ってノリで連れてこよっと♪


総督「そう言うことだ。頼んだぞ」


刻蝋値「わかりました、それでは失礼します。おやすみなさい」


総督「うむ、おやすみ」


俺は部屋を後にした。


アリアドネ「ちょっと」


刻蝋値「おいおい、盗み聞きか?」


アリアドネ「余計なこと言わないでよ。変な噂が立つじゃない!」


怒りと恥じらいの赤面を見せてくれた。顔腹!…………我ながら最低だ。けど一方でな、


刻蝋値「自業自得だろ。ったく俺じゃなかったらソイツの一生がかわっちまうんだぞ」


アリアドネ「どうせ弱い男ならどっちにしろ変わらないでしょ?」


刻蝋値「いやいや、強さ以外でも女がホレる要素はある(らしい)からな!…………なんでお前はそんななんだ?」


俺の周りは兎も角、世の中強さとは限らねぇのが常識では?


アリアドネ「何でって…………(ゴキブリ)には話したくないことだってあるのよ。あなたがよっぽど信頼できると分かったら、話すかもしれないけどね。じゃ、おやすみ~」


刻蝋値「おう、おやすみ~…………まぁ、知らない方が良いこともあるよな。さて、俺も寝るか」


~翌日・生物学~


教官「世界一強い毒性をもつ毒素を答えてみよ」


刻蝋値「はい!」


教官「刻蝋値、言ってみよ」


刻蝋値「ボツリヌストキシンです!」


教官「流石だな、お前は理系にめっぽう強い。その通り、いくら我らが毒に強いと言えど、ボツリヌストキシンを多量接種すれば、死に至るだろう。ではここまで」


特殊兵達「ありがとうございました!」


オリビア「刻蝋値君っ」


この元気な声はっと


刻蝋値「オリビアか、どうした?」


オリビア「こないだの物理の問題解いたから見てみてよ」


刻蝋値「どれどれ…………おお、完璧だな!」


この数日でこの進歩は爽快だな!


オリビア「本当? やったぁ!」


アンドレイ「刻蝋値、ちょっといいか?」


刻蝋値「なんだ?」


アンドレイ「昨日…………寝るまえにここには似つかわしくない身なりの女性を見てな…………」


刻蝋値「どんな見た目だ?」


心当たりしかないねぇ…………


アンドレイ「190cmはある僕よりもずっと背が高くて、アルビノの神秘的な女性だったよ」


アルフィー「こいつはお前がナンパしてきたと踏んでるそうだ」


アンドレイ…………背の高さ自慢したい年頃か?


刻蝋値「ガタイは兎も角、この顔でナンパ出来ると思うか?」


アンドレイ「そ、そうだよな…………」


刻蝋値「認めてんじゃねぇ!」


ったく、これだからチャラ男は…………


アンドレイ「はぁ…………キレイだったなぁ~~…………」


この野郎、もはやアリアドネの魔性に引っ掛かってやがる。食われても助けてやらんぞ。俺はそう誓った。


ソフィア「でも、刻蝋値君は頭が良いから、いいお嫁さんがきっと来るわよ」


刻蝋値「いや、文学と社会が壊滅的だから、頭も良いとまでは言えねぇだろ…………」


嫁…………か。こんな人間(ゴキブリ)関係の俺に、嫁さんなんて出来るのだろうか? 後、できたとしてもどんな種族の人になるのかな?


と、その時だった!


警報『緊急事態発生! 緊急事態発生! 黒ゴキの大群が接近中!! 特殊部隊兵士は即座に自分の部隊に指示を出し、これの迎撃に当たれ!』


刻蝋値「オラァ! 行くぞお前ら!」


俺はクラスメイト達に即座に動けるよう(かつ)をいれた後、まずは裏部隊の2人に簡潔な指示を出した。そして表部隊の5人の元へと向かった。


刻蝋値「…………ってなわけで、俺達は正面から奴等を相手取る。お前らは俺の取りこぼしを片付けろ! 以上だ!」


隊員達「了解!」


第65話 黒ゴキの本気…………侮れねぇかも! に続く。

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