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第52話

魔王と将軍、果たして関係あるのか!?


注:いつもよりグロい表現があります。頭の片隅に置いてください

第52話 魔物軍!?ならこっちも攻めるぞ!!


~昨晩~


頭領「魔に取り付かれしノース王の暗殺および、ノース王子ローラン救護、ご苦労だった。特に闇影、そなたの味方と連携した動きは素晴らしかったぞ」


刻蝋値「はっ! かったじけなく、思いまっす!」


…………なんか昔の感謝(サンクス)、言い(づれ)ぇわ。


頭領「…………じゃが、本国にて将軍に動きが見られた。奴は明日(あす)の早朝7時より、代官暗殺の罪を市前(いちぜん)市後(いちご)の民に被せ、処刑を行う腹積もりじゃ」


閃影「な、彼らは何も悪さなぞしていないぞ!」


刻蝋値「…………俺達の行いをそのまま地元の人達がやったことにしたのか」


頭領「うむ、じゃから、お前達は明日の午前5時、起床した将軍の暗殺を行うのじゃ!」


スパーク「フッ、遂にこのときが来たのか。俺と閃影の運命を…………命を弄んだあの俗物を殺すときが」


スパークは今までに見たこともないほどの邪悪で狂気的な笑みを浮かべた。


刻蝋値「…………流石に無ぇとは思うが、心の隙を付かれて返り討ちにされねぇようにな」


頭領「うむ、闇影の言う通りじゃ、どれ、今晩は3人で混浴風呂にでも入り、心を沈めてから寝たらどうじゃ?」


閃影「良いですね、それ。兄者、闇影、早速行こう!」


刻蝋値「よっし、オラ! 光影、さっさと温泉に行くぞ!」


スパーク「…………ああ。…………今混浴って言ったか!?!?」


今度は、いかにも驚愕の表情と言った顔つきになった。


~混浴風呂~


刻蝋値「あー、広くて気持ちいいなぁ~」


閃影「フフ、流石に長身の3人が集団で入るものだから、皆気味悪がって、かなり距離を取っているな」


刻蝋値「けど、お陰で快適に過ごせるぜ、なぁ光影!」


スパーク「…………ああ」


スパークは何故かずっと上を向いたままだ。


刻蝋値「お前何でずっと上を向いたままなんだ? もしかして、キレイな星でも見えたか!」


スパーク「星はそうでもないが、月はキレイだ」


俺が理性失う狼男なら、真っ先に閃影を襲おうとして、止めに入ったスパークと地獄絵図を造り上げる殺し合いに発展しそうな程、キレイな真円を描いていた。


閃影「すごく…………丸いですね」


スパーク「…………そうだな」


閃影「兄者、肩を並べて良いですか?」


スパーク「…………遠慮…………してくれ」


ああ…………閃影を直視出来ねぇから、真上を向いていたのね。


刻蝋値「おいおい、まさか女相手だったら妹すらまともに近づけねぇのか!?」


スパーク「黙れ、俺と累は先々日再会したばかりだぞ! その感触は最早以前の累とは別物、貴様のように女を次々と食らう趣味もなし、そのような者が耐性を持つわけがなかろう!」


な、何て言い草だ!!


刻蝋値「な、何だと!? 俺は女食いじゃねぇ! むしろ特定の連中に捕食されまくる、哀れなゴキブリだ!!」


…………と、思ったが、客観視すればそんな感じかもな。


閃影「だったら兄者…いや、倫太郎兄さん、なおのこと私が女性への耐性をつけてさしあげます」


スパーク「な、よ、よせ………………っっ………………」


腕に抱きつかれたら、とうとう鼻血を堪えるのに必死になっちまったよ。これは毎日修行しないといけないレベルだな。


刻蝋値「やれやれ、スパークって見た目だけならモテてそうなのに、実態は○T丸出しだな」


スパーク「お、覚えておれ…………非○Tが偉いと思っているお前には、目に物を見せてやるからな…………」


刻蝋値「あー、でも殺戮○Tはお前が先に卒業してるか。じゃあ、互角ってわけだぜ、同士よ!」


閃影「…………殺戮○T?」


刻蝋値「そ、殺戮○T。同族…………人殺しの初体験をしたことない奴の総称だ。軍的用語なのだが…………それも知らなかったんだな」


後、閃影にこんな説明をするのは、背徳感がハンパねぇな。


閃影「闇影よ、私達にこれからも色々と教えてほしい」


こんな風に目を輝かせて、教えをせがんでくるから尚更な…………


刻蝋値「おう、任せとけ、光影もいつかこんな風に女性を抱けるようになるといいな」


俺は片側2本ずつの腕を使い、閃影の肩に1本、腰に1本回した。これはこういう体型の亜人のみが出来る特権と言えるだろう。


閃影「何だか凄く心が落ち着くぞ」


閃影も満更でも無さそうで、最高だ。俺自身が完璧なフリーで、隣にスパークがいなければ、告白していてもおかしくねぇシチュエーションだぜ。


スパーク「お前…………今のは挑戦状と捉えたぞ。片側1本腕の俺を馬鹿にしたな?」


刻蝋値「いや、そんなつもりねーから!!」


閃影「兄者、落ち着いて下さい。私が相手になり、○Tの卒業を手伝います」


兄の顔を見据え、とんでもないことを口走り出したので、いよいよ兄の鼻の血管が危ない。


刻蝋値「へ? 待て待て待て待てーー!! それはアカーーーン!!!」


まぁ、それ以上に危険な要素があったので、流石に全力で阻止することにした。


~早朝5時・高台~


スパーク「…………昨日は危うく鼻血を出しかけたが、任務遂行の時には切り替えていくぞ」


刻蝋値「よし、奴の暗殺ついでに魔王の有無を確認だ。お前のその…………先祖代々受け継がれた妖刀鬼桜だかには、魔王を吸わせないようにしておけよ」


スパーク「心配無用だと何度言えば良いのだ? まあいい、兎に角とどめをお前に譲る気は無いぞ。だが、閃影、お前は自らの手で奴を始末したいか? お前になら譲ってもいい」


閃影「…………拙者は、特にそのような希望はありません。最早あの男への興味が失われつつあります。今は兄者や闇影と過ごす日々を楽しむことで頭が一杯なのです。ですから、兄者のお好きなように判断してください」


刻蝋値「閃影…………なんか初めて会ったときと見違えるようになったな」


心から信頼する兄への柔らかな笑み。閃影の変化を見てきた俺は、ウルッときてしまった。


スパーク「…………そうか。ならば俺が仕留めよう。その後の魔王討伐まで終えたら、俺も本格的にお前達と過ごす時間を楽しめそうだ。行こうか」


コイツもコイツで、特に妹との絡みで心境の変化を感じられる。良いことだ!


刻蝋値「おう!」


閃影「はい!」


そして、俺らは3人揃って一般人には見えない速度で走行を始めた。


~修復中の将軍の部屋~


部下「将軍様、山菜とサンマの煮物でございます」


将軍「下げろ! 愚か者め!! 今はサンマの気分ではない! アンコの入った甘~い餅を出せい!!」


将軍はサンマと山菜を床にぶちまけ、部下を怒鳴り付け、かわりの料理を持たせに走らせた。


刻蝋値「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!!!!!」


食材に感謝を忘れない俺からすれば、これは死よりも重い、重・罪・だ!!!


スパーク「落ち着け、3秒後にいくらでも殴らせてやる……行くぞ」


刻蝋値「オラ…………ア! 糞野郎! よくも料理を台無しにしやがったな!!」ボソボソ


一応従者とかに見つからないよう、声量は抑えたつもりだ。


将軍「貴様はいつぞやの! ムグ!?」


そして俺は低身長かつ、5頭身の将軍の髷を掴み、首を絞めた。


刻蝋値「てめぇにも文句はあるが、その前に魔王! さっさと正体を現しやがれ!」


将軍「うぐぐ…………な、なんの話じゃ!? 魔王とな? 古の…………それにお主らはまさか…………!?」


スパーク「(りん)()(ろう)だ、久しぶりだな。復讐がてら、貴様に魔王が取り付いているか調べに来た」


魔王等の悪に見せる冷酷な表情。普段の10倍は殺気だっている。


閃影「1年ぶりか? (るい)という名の娘なぞ忘れたのだろう?」


普段の閃影とは思えないほどの冷たい表情で見下ろす。


将軍「あの勇者の血を引いているだかの女との子供2人がお前たちか…………くそう! ワシの唯一の失敗は、貴様らを作ったことじゃ!

片方は捨てたにも関わらず、ワシを支持する代官どもを次々と殺しまくり、もう片方は幾度も飯を抜いて牢に閉じ込め、ワシの自慢の兄達に猛修練を手伝わせたにも関わらず、虫やネズミを食らって生き延びるわ、兄達以上の馬鹿力を得て、あまつさえ刀の継承戦で圧勝するわ!…………貴様らは、貴様らはどこまでワシを追い詰めるつもりなのじゃ!? ワシはお主らの親なんじゃぞ!!」


スパーク「くだらん理由で息子()を捨てる()も、無計画にクズ(お前)に取り入ろうとする()も、俺からすれば他人だな」


閃影「ああ、(拙者)を牢に閉じ込める()も、腹違いの妹を殺しにかかる兄達(醜き子供ら)も、私の身内では無い」


刻蝋値「そう言うことだ。お前は俺の父親そっくりの腹立つ無力なクズ野郎(ゴミカス)だな! お前がコイツらにやったことは! 大切に思う存在と永遠に別れさせ、その後も地獄を味合わせ、そして絶望の底で死なせようとしたことだ! 魔王とか関係ねぇ! 地獄を見せてやる!!」


全身を複雑骨折するまで、殴りまくった。


刻蝋値「出てこいや! 魔王!!」


将軍「…………ううう」


刻蝋値「くそっ、骨折が効果薄なのか? 光影、切り刻んでくれ」


スパーク「任せろ。最も痛みを感じる(地獄を)速度で斬って(見せて)やろう」


そう言って、決して速くないスピードで刀を走らせ始めた。


将軍「ぎゃああ………………!!!!」


あぶねぇ、誰かに聞かれたら魔王を引きずり出すどころじゃ無くなるとこだった。俺は間一髪将軍の顎を閉じたのだ。


閃影「そうだな…………」


閃影は自分だけ何もしていないことを気にし始め、何かできないかを考え始めた。


閃影「これだ。兄者、一旦拷問を止めてください。拙者が精神的に追い込んでみます」


将軍「はあ、はあ、おお、ワシに付く気に…………な!?」


『グググ…………』


閃影はイースト国の女性としてはかなり大きな足で、将軍の頭を踏みつけた。


閃影「将軍、貴様が嫌う、長身でくびれがあり、目が丸くて小顔の女に頭を踏みつけられる気分はどうだ?」


将軍「き、貴様!?!?」


閃影「ついでに言うと、その女はかつてお前が好き勝手虐めて弄んでいた、底辺に位置付けていた女だぞ。魔王さえ出してくれれば、足はどけるんだけどな」


冷酷かつ、色めかしさを感じさせる表情で、見下している。


将軍「出ろーーー!! 魔王とやら! 出てこーーーい!! 出てきてくれぃ!! お願いだーーー! 出てきてください!!!」モゴモゴ


よっぽど嫌なのか、全力で魔王を外に出そうとするも、一向に出てくる気配がない。


スパーク「時間が惜しい。手荒かつ、一気に片をつけるぞ」

『ズバンッッッ!!!!!』


そう言って、大胆にも将軍の片腕を切り飛ばした。


将軍「!?!?!?」


『ドサッ、ザザ…………』


言葉にならない言葉を発した。


刻蝋値「俺も1本くらい千切るか」

『バキ! ボキ! ブチィッッ!!!』


…………今思うとこの時の俺は中々に悪魔的所業を行っていたのかも知れない。俺の行動により、将軍は穴という穴から、様々な物を吐き出すほどのストレスを受けたようだ。


閃影「まだ、魔王を出せないのか? 将軍と聞いてあきれる精神の脆弱性だな」


見下した目で追加の精神攻撃を行うも、やはり効果は見られない…………。


『ザンッ!!』


スパーク「これはお前の両足だ。お前は2度と自力で動けなくなったわけだが…………何故出てこない?」


スパークは、将軍の血が滴る両足を左腕に抱えながら、怪訝そうな表情を浮かべている。


刻蝋値「本当に居ないのか? アンテナサーチ!」


俺はデータ解析技を行った。


刻蝋値「いや、魔王らしき反応はある」


閃影「では、魔王の策略で、この男に潜んでいるのか?」


刻蝋値「居留守みたいなもんか。コイツごと殺すしか無さそうだな」


スパーク「…………遺言は?」


スパークは、本当に無力になった、達磨男に遺言を訪ねる。


将軍「ゼェ…………ゼェ…………貴様ら、ワシは息子らと共に、貴様らを呪い…………殺してや…………る…………」


スパーク「無謀な宣言だな。さらばだ」


スパークは滅多切りで、将軍の頭と胴体を液状化するまで切り刻んだ。


スパーク「フフフ、吸え、鬼桜」


刻蝋値「おい、吸わせるなって言っただろ」


スパーク「こいつになけなしの存在価値を与えてやったのだ。俺なりに情けをかけたのさ」


刻蝋値「そんな下らねぇことでお前が危険に身を(さら)してどうするんだよ」


復讐に口出しする気はないが、邪気を吸うか吸わないかは別問題だろう…………


スパーク「いずれにせよ、これで国民の生活はいくらかましになり、俺と累を縛るしがらみは1つ消え、魔王討伐に動き出せるようになった。悪いことは、何もない」


これだけの事(父親殺し)をしたというのに、スパークは面倒事の1つが片付いたような表情しかしていない。


閃影「そうだと…………良いですね」


一方の閃影は、今後の自分達の身の振り方を考えているのか、複雑そうな表情で、兄に語りかけた。


刻蝋値「取り敢えず頭領に報告するか」


俺は床に落ちたサンマと山菜を食べながら、2人に帰還を提案した。ゴキブリからすれば、床に落ちた食べ物は願ってもないご馳走なのさ♪


~忍の基地~


頭領「そうか、魔王は将軍の中に居たが、出てこなかったか」


スパーク「ああ、会話を出来る感じでは無かった故、将軍を殺して鬼桜に喰わせた」


頭領「…………かつてお前の祖先、閃撃のライトニングが魔王を斬り殺し、その瞬間邪気や力を吸うようになったという妖刀鬼桜。今の魔王を確実に斬るために、邪気で切れ味を増すのは構わないが、光影、お前自身の身の丈を越える邪気は吸わせるでないぞ」


刻蝋値「やっぱり身の丈を越える邪気を吸うのは良くないんですね。コイツ、過剰に邪気を吸おうとするんですよ」


スパーク「おい、闇影」


余計なことを言うなとばかりに、俺を睨み付けてきた。


頭領「光影、今のお前には妹も友もおるのだ。彼らの気持ちも組んでやるのじゃ」


スパーク「…………承知した」


しかし、頭領の正論には敵わず、素直に応じた。


頭領「さて、後は魔王だが…………闇影、お主には中々に心強い仲間たちが…」


マジフォン『ピリリリリリ!』


刻蝋値「失礼、その仲間からの電話だ!」


頭領「構わん、出なさい」


刻蝋値「ありがとうございます。…………こちら刻蝋値だ! どうした!?」


パール『こちらパール! ノース北方より魔王軍が接近中! 私とサファイアだけでは不安だ。コクロウに来てほしい!』


刻蝋値「分かっt…」


ガーネット『こちらガーネット! サウス王国南方からも魔王軍が攻めてきた! 戦力は潤沢だから、他へ回してくれ。あたしからはやつらが進軍してきた報告だけだ!』


刻蝋値「了解!」


ラズリ『こちらラズリ! ウエスト王国西方から魔王軍が攻めてきました! 念のため戦力の補充をお願いします!』


刻蝋値「分かった! ラピスとダイアに頼んでみる!…………こちら刻蝋値!」


ラピス『こちらラピス! 何かありましたか!?』


刻蝋値「ウエスト王国の西より魔王軍が侵略してきた! ラピスはダイアと共にラズリ達の応援に向かえ! 後ルビーに代わってくれ!」


ラピス『了解しました! ルビーさん、刻蝋値殿からです!』


ルビー『こちらルビー!』


刻蝋値「ルビーか! 急だがアレスと共に、イースト国に来てくれ! 進撃報告は無いが、万一に備えてこちらで仲良くなった忍び達と迎撃に当たってほしい」


ルビー『わ、分かりました!』


刻蝋値「港にはどうにか入れるようにしておく! 頼んだぞ!」


ルビー『了解!』


俺は通話を切った。


刻蝋値「皆、聞いていたと思うが、北西南が魔王軍の魔物共に攻め込まれている。ぶっちゃけイースト国は伝達が遅そうだから、光影と閃影には全速力で東の港へと向かって貰いたい!」


スパーク「心得た! 行くぞ閃影!」


閃影「はっ!」


2人は早速走り出していった。


刻蝋値「頭領、厚かましいようで申し訳ありませんが、西の港を開港させて下さい。それと忍達の半数ほどは先に東の港へと向かわせて欲しいッス。お願いします!」


頭領「うむ、断る理由がない! 皆、聞いたか! 闇影の言った通りに動け!」


忍び達「はっ!」


彼らは一瞬だけアイコンタクトをとり、瞬時に2つに別れた。俺と頭領も、初めは西へ向かう部隊に追跡したが、途中で俺は北西に進路を変え、速度を上げて海に足をつける寸前に、獣形態に瞬間変身し、陸地の最高速度で海を駆け始めた。相変わらず海辺の大地をマグマ化してしまったが、後で謝るしかないな。俺はそのままやや減速しながらも、あり得ない速度であっという間にノース王国北方海岸についた。


パール「おおっ! 旋風蜂連槍(せんぷうほうれんそう)()き!!」


サファイアを走らせ、パールの槍が、100を越える魔物たちを一撃で沈めていく。


パール「くっ、次から次へと…………サファイア、いけるか?」


サファイア「ふしゅうう、ヒヒーン!」


流石に心肺を酷使しているらしく、少々の疲れが見られる。馬は死ぬまで延々と走ることが出来るが、それでは愛馬が死んでしまうため、基本的には使えない方法だ。


パール「どうしたものか…………ん?」


パールが地平線に何かを見た次の瞬間、何かが凄まじい衝撃波を起こして海中の魔物諸とも地上に上がっていた魔物を一掃した。


刻蝋値「パール、サファイア、よく耐えてくれた! あとは俺に任せろ!!」


俺は獣形態のまま、海に潜り、100キロ圏内の魔物を片付けた。


刻蝋値「アンテナサーチとエコーロケーションの組み合わせ…………アルティメットレーダースキャン!」


俺は感覚器官を最大限に使い、次々と魔物の有無を確認していく。


刻蝋値「うし、居なくなってるな。おーい、一掃できたぜーー!」


パール「さすがだな」


サファイア「ブルルッ!」


刻蝋値「お、ラズリからか」


~ウエスト王国~


ラズリ「刻蝋値様、こちら後10体です」


ラピス「焦熱砲!」


強力な熱線で魔物たちを焼き払った。


ラズリ「終わりました」


~サウス王国~


ガーネット「おう、ローチ。こっちもあっさりと片付いちまった。変な義賊4人が助けてくれたお陰で、処理が早く済んだんだ」


義賊リーダー「おいおい、変なのはねぇだろ。変わってくれるか?」


ガーネット「おう、変わるぜ」


リーダー「もしもし、俺はシルバーネイル義賊団のリーダー、ウィントだ。通り名は銀狼(ぎんろう)だ」


刻蝋値『俺はBlood(ブラッド) of(オブ) dark(ダーク) wolf(ヴォルフ) mercenary(マーシナリー) corps(コープス)のリーダー、刻蝋値だ。俺も以前は義賊団のリーダーでな、傭兵団の名前はおれ自身の(あて)()を着けた(こく)(ろう)()義賊団から来てるぜ』


ウィント「…………何となくだがお前は、若いリーダーなのかな?」


刻蝋値『分かってるじゃねぇか、今年で15歳だぜ!

だけどなめてもらっちゃ困るぜ』


ウィント「俺をそんな愚か者と同じにしてもらっては困る。この大勢の魔物軍を相手に、部下を的確に配置する腕を持つ奴が弱いわけ無い。そうだろう?」


刻蝋値『おうよ! それでリーダーとしてお願いがあるのだが、ウィントさん、シルバーネイル義賊団の皆さんにも魔王軍に攻めいるのを手伝って欲しい。協力してもらえるか?』


ウィント「…………良いぜ。俺たちもここのところ、誰かさんたちに良いとこ取られぱなしだったから、微力ながら協力しよう。存分に動かしてくれ」


刻蝋値『助かるぜ! ありがとう! お? ルビーか。すまないが別の仲間の報告を聞かねぇとダメだ。また後で!』


ウィント「ああ、魔王の島で会おう!」


~イースト国~


ルビー「あ、こちらルビーです! 刻蝋値様の予想通り、魔物軍は攻めていたのですが、とてもカッコいい白装束の忍者の方と、着物という服を着たお美しい女性が全て片付けておられました! 私は出る幕もなく…………」


スパーク「魔物のレベルは低かった。無駄足をかけさせたな」


ルビー「い、いえ…………」


~ノース王国~


刻蝋値「そうか。まぁ、ご苦労だった。また後で打ち合わせをしよう」


そう言って、通話を切った。


刻蝋値「ルビーの奴…………スパークに惚れやがったか?」


パール「なぁ、コクロウ」


パールが少し元気無さげに声をかけてきた。


刻蝋値「何だ?」


パール「お前、もしかして以前共にいた女侍に惚れているのか?」


刻蝋値「惚れるってほどでは無いが、好きか嫌いかで言えば好きだな」


パール「そ、そうか…………」


刻蝋値「言いたいことあるなら言えばいいぜ」


パール「いや、あまりにも容姿が端麗だったもんで、このままだと私らを捨てて、あの女と暮らし始めるのではないかと心配になってな」


刻蝋値「…………いつも思うんだが、お前らの浮気の基準がマジでわかんねぇよ…………それと彼女、イースト国の王女にあたる人間だからな。だけど、俺は絶対お前らを見捨てたりはしない。これは確実に言えることだ。だが、彼女を含め、傭兵団ではない友達も見捨てはしない。俺は究極のエゴイストだから、大事な奴は絶対に守り抜くのさ。ま、自称だけどな」


パール「…………そうか。それがコクロウだもんな」


刻蝋値「おう」


と、その時


兵隊長「ぬおおおーーー!! 助太刀に来たぞーー!! パールゥーーーーー!!!…………あれれ? モンスターが居ない??」


何処かで見覚えのある兵隊長が暑苦しく現れた。


パール「遅いわよ。と言うか、私兵士じゃないって教えたよね?」


パールは冷めた言動で、兵隊長に文句を言った。


兵隊長「…………君は賊で、王は死んだ。だが、モンスターから民を守るのは我ら兵士の役目。そして、賊でありながらモンスターの軍勢に挑みかかる君に助太刀することもまた、我等の役目! 私が君を好いているのであれば、尚更だ!」


…………要は告白ね。こんな回りくどすぎる言い方してさぁ。ま、幸せにしてくれるなら、彼女を託さなくもねぇが、OKを出すかは彼女次第。


パール「告白ですか? 当然お断りします」


見え透いていた事だったぜ。


刻蝋値「パールは残念だったが、俺はアンタの事、嫌っていないぜ。反対側の海岸でさ、アンタは成果を上げたパールを誉めていただろ? 他の兵士にも好かれていた感じからも、人の良さは分かる!」


兵隊長「だったらなんだってんだよぉおぉぉーーー!!」


フラれたショックで泣き出しちまった。でも、それでもだ


刻蝋値「俺達はボチボチ魔王の島へ向かう。アンタには、俺らと入れ違いで現れたモンスターを食い止めてほしいんだ。頼む」


言い終わった頃には、兵隊長は泣き止んでいた。


兵隊長「…………心得た。ノースの盾は民の危険を受け止め、ノースの槍は民の危険を貫く!」


刻蝋値「それでこそだぜ!…………あれは確かセンター帝国の飛行機か?」


南からセンター帝国の飛行機が一機だけ飛んできた。


ライト「刻蝋値さん、数日ぶりです!」


刻蝋値「おお、ライトじゃねぇか! 何しにきたんだよ?」


ライト「移動手段の助力と、加勢です! 我らセンター帝国も科学力を用い、魔王討伐の協力をさせてください!」


刻蝋値「んー、まぁ、他国に遅れはとれねぇよな。いやー、一瞬ノース艦隊が停止していることを良いことに、爆撃でもするのかと思ったぜ」


ライト「不謹慎な事を言わないで下さいよ…………反論できる身じゃありませんが」


刻蝋値「冗談はさておき、その飛行機他の国にも寄越したのか?」


ライト「はい! 西南東にそれぞれミドル隊長、レフト、ハード隊長が派遣されました」


刻蝋値「東にハード隊長はいい判断だ。あそこには中二病忍者が居るから、加勢に行ったアレスの知り合いのハード隊長が丁度良い」


ライト「はぁ…………何やらトラブルの回避率が上がったようで、何よりです…………」


刻蝋値「兎に角、これで進撃できる。魔王に吠えずらをかかせるぞ!!」


第53話 見るがいい! これが…………ゴキブリのウゴキブリだぜ!!に続く。

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