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第5話

人の残虐性とゴキブリの残虐性……どちらが勝るのだろうか?


第5話 何となくチームが出来たから、魔王をボコりに出発だ!


俺は(こく)(ろう)()!今日は十分モンスターも狩ったし、パーティに加えた()とも仲良くなれたから、もう寝ようとしたんだけど、なんか美形な勇者チームと魔物チームの戦闘がおっ始まったから、見物することにしたぜ!


ガーネット「お!武道家が仕掛けるぞ!」


刻蝋値「おお、中々やるな。……あん?他のやつらは何で棒立ちしてるんだ?」


かなり手練れな武道家が、モンスターの集団相手に上手く立ち回っているが、他のメンツが棒立ちしたまま加勢しようとしないことに違和感を覚える。


ガーネット「う~ん、あの武道家嫌われてんのか?それとも、他が弱すぎるのか……?あ」


やはり1対多数では部が悪く、武道家は勇者達の方に吹き飛ばされてしまった。


勇者「クソッ!役立たずめ!お前ら!援護してやれ!」


指名された魔法使いと僧侶が、それぞれ魔法攻撃と回復を行ったが、どちらも中途半端で焼け石に水と言ったところだ。


勇者「お前ら!もっとちゃんとしろよ!!俺は勇者様だぞ!!俺がいなきゃ、エクスカリバーを使って魔王を殺せないんだぞ!!!分かってんのか!?」


そう言って魔法使いと僧侶をグーで殴り、武道家を足蹴にして更に駄弁り始める。


勇者「いいか!俺様は切り札だ!魔王に会うまではお前らが俺と自分の経験値を稼げ!!命令だ!!!」


どうやら勇者の名を振りかざし、RPGのシステムを逆手にとったずる技で、楽して強くなろうとしているらしい。女2人は完全に勇者に怯えきっており、武道家も彼女らを心配して勇者に逆らえないようだ。


刻蝋値「…………こんなクズも居るんだな」


ガーネット「アイツ!思い知らせてやる!蝋……値?」


相方が何かを喋り終わる前に、俺はひとまずモンスター4匹を瞬殺し、勇者を冷たく見据えた。


勇者「助かったけどよ、モンスターと経験値の横取りは良くねぇよな!後、何だ!?その目はぐぅ!?」


上側についてる左手で勇者の顎を掴み、下側に付いてる右手でそこそこの威力のアッパーカットを食らわせた。


僧侶「ゆ、勇者様!」


刻蝋値「動くな!」


高速回転しつつ、盛大に吹き飛んだ後、地面に落ちてから、凄い叫びをあげている勇者を回復しようとした僧侶を止めた。


刻蝋値「お前さ、女殴って喜びてぇなら勇者なんかやるなよ」


勇者「うぐぅ……うるせえ…………お前みたいな奴に弱者の気持ちが分かるわけ無いだろ……うぅ…………」


ああ、分からんな……学業の一部がよく分からんこと以外に弱みなんて無かったしな……けど、


刻蝋値「それ以上に弱い奴に当たって、憂さ晴らしして喜べるクズの気持ちがわかんねぇよ」


そういう意味では、俺にトマト投げてきたアイツらって、結構勇気あったのかな?と一瞬思ったが、やっぱ集団だったから、これなら勝てると高を括っていたんだと、考えを訂正した。


勇者「そんな……はず…………無い。人間誰しも…………弱者を虐げたい欲望が……あ…る……はず…………だ」


クズの割に、この発言だけは俺の心に残った。


刻蝋値「そうかい……。生憎俺はゴキブリだから、分からんわ…………」


とはいえ、脱皮中のゴキブリを他のゴキブリが共食いすることは、有名だからなぁ……。これが単に栄養補給なのか、弱いもの虐めなのかで俺の発言の良し悪しは変わるよな……。兎も角、


刻蝋値「魔法使いに僧侶の姉ちゃん達、それと武道家の兄ちゃん。俺の足元にも及ばねぇこんな奴が魔王をぶっ飛ばせるわけがねぇ。さっさと見限ることを勧めるぜ。それと、俺の仲間にならないか?丁度お前らのような職業の人材を求めていたんだ」


ガーネット「え?あたしだけじゃ足りないの!?」


刻蝋値「そりゃそうだ。お前から武器術、そこの兄ちゃんから格闘術を学び、俺には出来ない魔法と回復をそこの姉ちゃん達にやってもらいたいんだ」


魔法使い「私たちのこと、殴ったりしませんか……?」


怯えながら聞いてきやがる……可哀想に…………まるでクズ親父に怯えていた小学生以前の俺じゃねぇか。


刻蝋値「殴らねぇよ。それに、こんなクソ勇者何て足元に及ばないくらい強くしてやるぜ!」


勇者「い、いくな!コイツは詐欺師だ!いや、人間じゃない!害虫だ!!」


刻蝋値「お前が言うと説得力無いよなぁ……(害虫なのはあってるけど……)」


僧侶「是非連れてってください!私はマリン、この子はアメジストです」


アメジスト「よ、よろしくお願いします……」


刻蝋値「よろしくな!まぁ、もっと崩そうぜ?取り合えず、敬語なしでいこう」


武道家「!、(この臭い……)」


2人「はい……」ポッ


ガーネット「んん?やたらカッコよく見える……性フェロモン使ったな?だんだん掴めてきたぜ」


刻蝋値「それは言うなよ……そして武道家の兄ちゃん、お前はどうするよ?まさかクソ勇者についていくなんてことは……」


武道家「それはない。俺は、1人で最強を極めたい」


刻蝋値「本当は誘いたかったが、こればかりは仕方ねぇ。お互い頑張ろう」


武道家「僅かだが世話になった。勇者、お前も……」


勇者「何だ…うごぅ!?がはっ!折れた折れたぁ!!」


数度の足蹴の後、2度の踏みつけで左右の肋骨を二本ずつ折ったようだ。


武道家「嫌な意味で世話になったから、1度借りを返しておいた。もう会わないことを願っている」


そう言って立ち去っていった。


刻蝋値「よし、俺たちも少しだけ動くぞ」


俺は戸惑う3人をまとめておぶり、2キロほど離れた場所に移動した。


刻蝋値「よし、ここならよさげだ。あん?」


俺は3人が死にそうな表情をしていることに、今気づいた。


ガーネット「な、何てことすんだよ!?2人暴走馬車で酔ったみたいな状態になったじゃねーか!!うっ!!……あたしもダメ……!」


これぞシンクロナイズリバースってか?


刻蝋値「流石にこれくらい慣れて貰わないとなぁ……」


アメジスト「見苦しい所を見せて申し訳…」


刻蝋値「敬語なしだぜ?」


アメジスト「はい……うん。ごめんな…ね」


マリン「アメジストと一緒に頑張るね」


刻蝋値「それで話だが、魔王の存在を知った以上、俺もボコりにいこうと思う。もちろんお前らにも着いてきてもらいたい」


ガーネット「おお!燃えてきた!けど流石に無謀すぎないか?」


アメジスト「エクスカリバー以外、効かないって噂があり……るんだよ?」


刻蝋値「エクスカリバーがなんなのか知らんけど……大体、圧倒的なパワーでボコれば倒せるんじゃねーの?」


マリン「確かに、エクスカリバーは、人間の非力さをカバーするために造られた剣だけど……でもいくらあなたでも、素手や普通の武器で勝てるとはとても……」


刻蝋値「だからそこのガーネットとかから効率のよい戦闘技術を学びたいのさ!それで、俺の使えない魔法関連をアメジストとマリンにやってもらいたい。お分かり?」


ガーネット「成る程ねぇ……でも技だけじゃ勝てないんじゃないの?」


刻蝋値「そこはレベルアップと筋トレでカバーだ。筋力を得て、加速力から速度を生み出し、技術が更にそれを高める。原理は実に単純だ!さて、今日は寝るぞ」


アメジスト「あ、あの!」


刻蝋値「ん?」


アメジスト「一緒に……寝ていい?」


刻蝋値「もちろんだ!2人も来い!」


マリン「で、では言葉に甘えるね……(何この悪寒……?)」


ガーネット (さて、寝てるときに襲われたらどうしようか……?)


刻蝋値 (よし!アメジストは完全に落とせた!後の2人も時間の問題だな!さっきはカッコつけちまったけど、俺もやり口はアイツと変わらんのかもな……まぁ、それでもアイツよりは2人を幸せにできそうだけどな)


と、自分に都合のよいことを考えながら寝ちまったぜ⭐!


第6話 ゴキブリはやっぱり強い!転職する必要は欠片もねぇよ!に続く。

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