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第46話

どうにか午後の分。魔王は魔王でも、違う魔王なら、戦闘スタイルも変わるものなのさ。

第46話 クミン族長さん、あなたもこんな気持ちだったのですか?


~牢屋~


看守たち「!、何物…がっ…………」


ミドル「ん?」


レフト「隊長! ご無事ですか!?」


ミドル「お前は…………! レフトなのか」


レフト「はい! 今牢を開けますね!」


レフトは看守から取った鍵を使い、牢を開けた。


ミドル「助かったよ。ライトも無事なのか?」


レフト「ええ、だけどあいつは、俺が隊長を救助しに行くことと引き換えに、俺がチキュウ人を裏切ったら殺されてしまう人質になっています」


ミドル「な、なんと!? 俺なんかの為に、どうしてこんなことをした!?」


レフト「隊長をなんかだなんて呼べるはずありません! チキュウ人にすら、隊長を救助する理由があるくらいですよ」


ミドル「今一状況が掴めないのだが…………」


レフト「隊長、もしもこの国の政治に関わる者達で悪さをしている奴等を知っていたら、教えてください! チキュウ人の目的は、魔王討伐と宇宙平和だそうです」


ミドル「うむ、軍司令官を始めとした悪人どもは全て把握しているが…………ま、魔王討伐とか宇宙平和とか急に言われてもなぁ…………」


レフト「兎に角玉座の間で合流になっています。兵士に出くわしたら…………気絶させてください」


ミドル「わかった。ライトをみすみす死なせれないしな!」


~玉座の間~


魔王「ダブルマイクロブラックホール! 両側から襲い来る重力に引き裂かれろぉ!!」


刻蝋値「お前ら下がれ!…………ダークネビュラ、お前バカだろ? 両側から重力をかけたくらいで、俺が引き裂かれる訳ねぇって」


魔王「ぐぬぬ…………このポンコツの体ではロクに戦闘も行えぬか…………仕方あるまい、こやつの全脳細胞を犠牲ni…」


刻蝋値「させるか!」


俺は丁度重力が釣り合う地点を駆け抜け、皇帝の肋骨が折れるか折れないかの威力を持つ拳を放った。


魔王「おぐぅ!?」


吐いた血の量から、大体これくらいのダメージ量が良さげだと思った。


刻蝋値「皇子様! お父上に全力で話しかけるんだ!」


セントラル「父上ーーー! 戻ってきてーーーー!!」


魔王「姑息な真似… 皇帝「ぬおおお…………セントラル、今…………」 な、なんだと……?」


刻蝋値「いける、もう一度だ!」


再び拳を当て、今度は1本だけあばら骨を折った。


セントラル「父上ーーー! 魔王なんかに負けないでーーー!!」


魔王「おのっ…… 皇帝「今、こやつを追い出すぞ! そこの黒い方、全身骨折させる勢いで、ワシを殴り続けろ!」」


刻蝋値「見上げた根性だ! いい父親ですね!」


俺の父親とは大違いな立派なお父さんに答えるべく、敢えて痛くなるように殴りまくった。皇帝の体は次々と明後日の方向に曲がっていくが、その目の輝きは増し続ける一方だ。


魔王「や、やめ…………」


セントラル「父上! あと一歩だよーーー!!」


泣きつつも、強い眼差しで最後の一声をかける!


皇帝「ぬうううあああ!!!!」


魔王「おのれぇ!!」


遂に魔王が皇帝から分離した! 禍々しいオーラの中央に、核とおぼしき物体が見える。


魔王「クソガキ!! 殺す!!」


セントラル皇子に憑依するつもりか。バレバレだぜ


ライト「皇子は命に変えても守ります!」


皇子の前に立ちふさがるライトの目の輝きから、迷いが無いことが伺える。


刻蝋値「よく言った! 後は任せろ。アングリー・ソニック・ナックル!」


純粋な怒りを込めた音速の拳で、魔王の核を場外に殴り飛ばした。


魔王「グオオオ!?」


刻蝋値「ここなら全力で殺せる!」


俺は瞬時に獣形態に変身すると、空気を蹴り、マッハ10まで加速した。


刻蝋値「イオニウム・トゥース!!」


マッハ10の俺に衝突して超高速で移動を開始した分子が、他の分子と衝突することでイオン化が起こり、イオン化によって発生した電気を纏った牙が、魔王の核を噛み砕いた!!


魔王「お…………の…………れ…………、力だけでも、回収す……る…………。我の再臨に怯えながら、精々つかの間の平和を楽しむのだな…………」


刻蝋値「お前こそ人のエネルギーを喰らったくらいで、俺に勝てねぇことを思い知らせてやるからな! ケツふきながら覚悟しとけ!!」


俺は忠告をしたのち、城へ戻ろうとしたその時だった。


マジフォン『ピリリリリ!!』


刻蝋値「こちら刻蝋値!…………ダイアか、制圧は…………何、ラピスがおかしい?…………そうか、今行くぞ!」


俺はマジフォンを切り、蹴りとオナラと羽ばたきを駆使し、空中最高速度のマッハ20で現場まで向かった。地上に大騒音が鳴り響いているが、あっちも結構やばそうなので、急いだ。


~北軍~


ラピス「ぐぐぐ…………おのれアース人! よくもソーダを殺しやがったな! 貴様らの命で償わせてやる!!」


北軍兵「ヒイッ…………!」


ダイア「ラピス、落ち着け! コイツらは無関係だ!」


今にも兵士を殴り殺そうとするラピスをダイアが羽交い締めにして抑えている


ラピス「邪魔するなら…………燃やしてやる!」


焦熱砲を放ち、ダイアの頬にかすらせた。


ダイア「っつ!…………だからコイツらはグレイテストシティの侵略に関わって無いんだよ!」


ラピス「だったら! あの2人のガキから殺してやる!」


刻蝋値「おいおいおいおい!! これは一体どう言うことだ!」


今にも飛び立とうとするラピスをどうにか止めれた。


ラピス「刻蝋値さん! 今すぐあのガキ共2人を殺させろ!!」


刻蝋値「落ち着け、元凶が分かった。その怒りは元凶である魔王ダークネビュラにぶつけろ!」


ラピス「あ、…………あの忌々しい奴が、またしてもぉ…………」


ラピスにとっては、自分だけでなく、姉のように慕うラズリまでも勝手に改造したあげく、戦争の駒として使い捨てようとした憎き相手なのだ。


刻蝋値「…………あのガキ共2人は最初で最後の加害者、そして被害者にするんだ。分かったか?」


ラピス「はい…………」


ダイア「ふぅ、落ち着かせれて良かった。誰も死んでないよ」


刻蝋値「ダイア、お前頬に火傷を…………」


ダイア「ああ、気にするほどの事じゃ無いよ。後でマリンかルビーに…」


言い終わる前に、ラピスの顔面をグーで殴ってやった。


刻蝋値「お前もそのつもりだったと思うが、ダイアにちゃんと謝れよ。味方に攻撃する奴は論外だぞ」


ラピス「はい…………ダイアさん、本当にすいませんでした」


ダイア「うん、ラピスはこれからどんなときも落ち着けるようにしようね。そして魔王を確実に仕留めよう!」


ラピス「はい…………!!」


刻蝋値「さーて、一先ずコイツらに宇宙船の打ち上げだけはするなと…………」


いつの間にやら全員気絶してやがる…………。さっきラピスを殴ったときに発生した衝撃波が原因か?


刻蝋値「まぁ、いいか。俺は先に帝国城へ戻る。2人は置き手紙でも作ったあとに、俺と合流だ。玉座の間に居るぜ」


そういって、音速1歩手前の速度で帝国城へ向かい始めた。…………まさか、またしてもトラブルが発生しているとは思わなかったがな。


~玉座の間~


ライト「くぅ…………!」


軍司令官「君のスーツは限界と見える。対して私のアサルトライフルには10発の弾が内蔵されてるぞ。かといって、君がアサルトライフルを射とうとも、殆ど外れて弾切れだろうなぁ」


ライト「皇子に弾が当たったら…………どうするのです!」


軍司令官「んん? 事故死扱いで、俺が皇位につくに決まってるだろぉ。丁度魔王に取り付かれた皇帝も死にかけているしな」


皇帝「せっかくライト君たちがチキュウの方にまで助けを請い、魔王を追い出したと言うのに…………ここまでなのか…………」


セントラル「2人とも諦めちゃ…」


軍司令官「あぁ!?」


アサルトライフル5発をライトに打ち、その中で3発が脇腹に命中した。


ライト「がはっ!!」


出血が止まらない。


軍司令官「ふん、特殊兵士も所詮はセンター人。スーツ無しでは、雑魚同然だな! さて、楽にしてあげようかな」


そういって、銃口をライトの頭に向けた瞬間だった。


『ドドドドドドドドドド!!』


軍司令官「な、誰だ! 私を銃撃しているものは!」


ミドル「裏切者! 貴様は我らが取り押さえる!!」


軍司令官「ミドル、貴様! どうやって出て…………」

『パァン!!』


銃撃が止んだのと、軍司令官のパワードスーツが破けたのが同時だった。


レフト「国を(むしば)む害虫め! 食らえ!!」


軍司令官「おぐうっ!!」


レフトの渾身のボディーブローが、軍司令官の鳩尾に入り、気絶させた。


レフト「皇子様、ご無事だったですか?」


セントラル「レフト君! ありがとう!」


レフト「いやー、しかしコイツのスーツを破るのに、丁度良い弾数を発射するとは、流石はミドル隊長!」


ミドル「ふん、まだ殺す訳にはいかなかっただけのことよ」


ライト「レフト…………ミドル隊長…………」


レフト「ライト! 無事で何よりだぜ! 刻蝋値さんはどこだ?」


ミドル「!!、怪我しているではないか! 直ぐに治療を…………皇帝陛下まで!!」


刻蝋値「ただいま、いやー、魔王の分身は瞬殺出来たんだけど、うちの軍でトラブルが…………おお?ライト、お前まで何でボロボロに」


ライト「刻蝋値さん…………僕、皇子様を守り抜きましたよ…………」


…………隣でのびてる性格悪そうなオヤジが犯人か。


刻蝋値「ああ、お前は立派な特殊兵士だ! それは誇りに思って良いことだぜ! よく守り抜いてくれた!」


レフト「刻蝋値さん、怪我人の運搬を手伝ってください!」


刻蝋値「勿論だ、レフト、お前も約束を守ってくれたな! そして、その人がミドル隊長か」


ミドル「寛大な心で彼らの命を助けてくれたと聞く。感謝します」


刻蝋値「それも大切だが、この国の悪い奴等を教えてくれ、全員牢屋にぶちこんで、洗いざらい吐かせよう」


ミドル「勿論だ」


と、向こうから団員たちの姿が見えた。


アメジスト「蝋値様~!」


マリン「直ぐに来いとの事でしたが…………怪我人が!」


刻蝋値「直ぐに治療を頼む!」


ミドル「医務室はこっちだ!」


一先ず全員が、五体満足で回復することが出来た。


ライト「回復魔法とは…………ここまで傷を直せるものなんですね…………」


マリン「フフ、だけど回復量を増やすにはレベルを上げたり、何度も回復を行うことで、慣れる必要がありますわ」


皇帝「歴史的に見ると、ワシらの国、センター帝国はいにしえの時代、力も魔力もない魔王討伐に邪魔でしか無いものたちが追いやられ、設立したと言われておる」


アメジスト「いくら魔王討伐をしたかったからってヒドイ!」


皇帝「当然力がなく、何も出来なかった民たちは、自分達にも何かを出来ないかと考え始めた」


ルビー「どんなことを考え付いたのですか?」


アメジスト「あ、ルーちゃん! お帰りー!」


皇帝「科学力じゃ。電力を駆使し、巨大な船や飛行機、車を動かす術、宇宙にも移動できる船、部屋の温度を自在に変える装置など、我らは筋力と魔力にあぐらをかいている他国との差別化に成功した」


ガーネット「ほぉ~、成程なぁ~~??」


エメラルド「宇宙にまで飛び立てるってロマンあるよね~!」


状況が状況なのに、話を分かっていないガーネットと、純粋にロマンに()かれるエメラルドに、笑いが出てきそうになった。


アメジスト「ガーちゃん、ラルドもお帰り~!」


皇帝「…………じゃが、チキュウの皆さんには迷惑をかけてしまった。本当にすまなかった」


刻蝋値「…………謝るくらいならさ、魔王に憑依されている人たちを全員助けることと、魔王そのものを消滅させる方法を考えましょうよ」


皇帝「勿論です。このセンター10世、全力でお力添えをしますぞ!」


刻蝋値「そのいきです。チキュウで12人、アースで3人…………いや、更に膨大な犠牲を出した憎き魔王を共に倒すんだ!」


医務室から歓声が上がった。


~夜~


刻蝋値「…………憎しみか、思い出すなぁ。コリアンダー大陸の人達。クミン族長さん、あなたもこんな気持ちだったのですか? 俺とは非にならない数の犠牲者…………それも家族を失って、さぞ辛かったことでしょう。それなのに、あの頃の俺は…………」


アレス「こんなところでどうしたんだい? センター帝国の時の人さん」


刻蝋値「アレス…………」


アレス「いやー、どこか歩く度に女の子に声をかけられてねぇ…………全く、モテるのも大変だよ」


刻蝋値「まーた、イケメン自慢かよ。俺は共感出来ねぇぞ」


アレス「またまた~、いつも団員の女性たちに迫られて困ってるじゃないか。初めてあの様子を見たときは、天国と地獄は紙一重だね! って思ったよ」


刻蝋値「…………確かに、何故かその事を忘れていた。というか、ここ数日、あいつらに付き合ってあげれてなかったな」


アレス「君の気持ちは痛いほどわかるよ。僕だって1年前に復興し、民と仲良くなったあの都市が、再び壊れたのだからね」


刻蝋値「ああ、だからこそ魔王ダークネビュラは確実に倒す必要があるんだ」


アレス「ラピスも僕ら並み、いや、それ以上に怒っている様子だった」


刻蝋値「あいつは姉と共に魔王に良いように(もてあそ)ばれた挙げ句、新しい友人まで失ったんだ! 友の悲しみは俺の悲しみだ! 絶対に魔王を滅殺するぞ!!」


アレス「ああ、僕も全力を尽くす!」


第47話 各国で同時多発王子王女失踪事件だとぉ!?に続く。

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