第4話
ゴキブリにとっては、今回の話なんて普通のことなのさ。
第4話 性フェロモンでモッテモテ!ってお前ら近すぎぃ!!
俺は刻蝋値。最近、ゴキブリに転生し、メタモルフォーゼ・ヒューマンという技で、腕が4本の人間のような姿になっているのさ。取り合えず、目の前の城下町に行ってみるわ。
~アリヅカ城下町~
町人たち「うわあああ!魔物だああーーー!!」
俺が入ったや否や、町人たちは逃げ惑い始めた。
刻蝋値「あ、そうか。今の俺は異形の化け物だもんな」
"偽装フェロモン放出"
町人たち「あれ?俺ら何で逃げていたんだ?さぁ?」
フッ、ひとまずこれで騒がれないだろう。
刻蝋値「よーし、酒場で"アレ"を試してみるぞ!グフフ……」
~酒場~
刻蝋値「はい、注目!!」
上側の両腕をダブルバイセップス、下側の両腕をモストマスキュラーの形にし、ポージングによる筋肉アピールを行った。
冒険者たち「あ?なんだなんだ?」
突如黒っぽい人間が声をあげたので、皆そちらを向く。
刻蝋値「女性の皆さん!今から俺は彼女……ゲフンゲフン!冒険のパートナーを募集します!一緒に行きたい人は、俺に何らかのボディタッチをお願いします!!」
刻蝋値の問いかけに、当然皆
女性たち「いやいや何いってるの?アホ?DTっぽい!筋肉もうちの戦士の方があるわね」
等、全く相手にしてもらえてない。
刻蝋値 (さてと、アレをやろうか。性フェロモン放出!!)
すると、手前にいた村娘が……
村娘「あれ?この人……何て男前なの?」
続いて右端のテーブルに腰かけていた女戦士が
女戦士「や、やべぇ……アイツは真の雄だ!」
そして、その流れは酒場の女性全員に伝わっていき……
女性たち「キャーーー!!私をつれていってーーーー!彼女にしてーーー!!○○レになりたーい!」
等と言いながら、ものすごい勢いで、俺に抱きついてきた。
刻蝋値 (うおおお!?性フェロモン恐るべしだな!!ここまで効くのは予想外だぜ……ん?)
目の前に村娘の顔が現れたかと思うと、一瞬で俺の視界をおおい……
刻蝋値「ンッ!んを……」
俺の唇を奪うだなんて大胆な娘だ。前世を含めてのファーストキスだぞこれ。
村娘「ぷはぁ!結婚して!」
刻蝋値(マジか!?流石に効きすぎ……い"っ!?誰だ!?俺にとんでもない変態行為をしている奴は!?アッ!ヤバイ!ソレやめてっ!!)
とにもかくにも俺自身が滅茶苦茶になっちまった。無意識に助けを求めるように男連中の方を見てみると……
「俺の彼女を返せーーー!!」
「裏山けしからん!!」
「ガーネットは僕のパーティに必要な人物なんだよー!」
「殺してやる!!」
うわぁ……アイツらもいきり立ってるし…………まぁ、そりゃそうか。んっ!?またしてもキスか!……口臭が臭ぇ、この女戦士ニンニクか何か食ったな……まぁ、このへんにしておこう。性フェロモン解除!
女性達「あれ?何で私こんな奴に抱きついてたの?うわっ!!何でこんな奴の…を触ってんだ!?!?」
村娘「ウエェ……口の中が気持ち悪いよぉ…………」
刻蝋値「あー、俺の戦車砲が暴発するところだったぜ。パッと見タイプの女も居なかったし、別所で色んな角度から試すか。……ん?」
周りの殺気をいち早く感じた俺は、酒場を一瞬にして脱出した。と、同時に「出てけーー!!」と、怒号が飛び交った。
刻蝋値「さて、武器だけ買ったらこの城下町とはおさらばだな」
女性「おーーい!まてよーーー!」
刻蝋値「ん?フェロモンに強くやられたやつでもいたか?」
振り向いて確認すると、ニンニクを食った女戦士だった。
女戦士「突然で悪いんだけど、あたしを仲間にしてくれよ!」
刻蝋値「おお、良いけど何で?」
女戦士「いやー、周りのやつ同様惚れたふりして体を触りまくった時に、いい筋肉してるなーって思ったからさ」
刻蝋値「(あれ演技だったの!?)そりゃゴキブリの筋肉だからな!」
女戦士「ゴキブリ?やっぱりアンタ魔物だな!」
刻蝋値「あちゃあ……害は加えねぇから見逃してくれない?」
女戦士「流石に殺そうとは思わないぜ。……悔しいけど負けるだろうし」
刻蝋値「そっかぁ(よくみたらコイツ、わりとタイプの顔だな)…………それじゃ、仲間になるかい?」
女戦士「ああ!なるなる!!」
刻蝋値「俺は刻蝋値!!お前は?」
女戦士「ガーネットだ、よろしく!アンタの足元にも及ばないだろうが、さっきまで所属していた勇者チームの主力だったんだ」
~場面戻って酒場~
勇者「ガーネットオオォ!!!何であんな奴についていくんだあああ!!!」
魔法使い「人の良さは顔だけじゃないからね~」
僧侶「彼女の場合は筋肉の性能ってところかな?諦めよ」
勇者「失恋だあああ!!」
~場面戻って~
刻蝋値「オイオイ、お前が所属してたとこの勇者さん、いつかお前にプロポーズするつもりだったらしいぜ?」
ガーネット「へぇ、耳良いんだな。まぁ、あたしに守られるほど弱い奴に興味はないよ」
刻蝋値「取り合えず、お前には武器の振り方を教えてもらうぜ」
武器屋で購入した銅の剣を手に取りながら話す。
ガーネット「ああ、任せろ!だけど、魔物との戦いはなるべくあたしに任せてくれないか?」
刻蝋値「言うと思ったぜ、そのつもりだ。明らかにヤバイ時と俺が燃えたとき以外は手を出さねぇよ。後、あっちもよろしく!」
ガーネット「おう!……ヘ?」
刻蝋値「だから、よろしくって言ったんだよ。(ここですかさず性フェロモン展開ッッ!!)」
俺は片側2本の腕で、ガーネットをもみくちゃにしてやった。
ガーネット「やーもー、大胆すぎるぞ~!」
とりあえず、フェロモン補正をかければボディタッチオールオーケーだな!そして解除すると…………
刻蝋値「もっともっと盛り上がっていくぜぇ!」
ガーネット「おおー……………………」
刻蝋値「どうした~?」
ガーネット「テメェ何触ってんだぁ!!」
刻蝋値「ゴポポォッ!!いきなり殴るかよ!?」
ガーネット「ったりめーだろ!これじゃあ、あたかもあたしがお前に惚れたみたいに」
刻蝋値「そんなこったろうと思ったぜ!嘘ついてんじゃねーよ!」
ガーネット「やべ、ガキだと思って高を括っていたのバレた!!」
刻蝋値「あんたに頭脳戦は向いてねーよ(俺もだけど…………)。ま、今のは1つ腹割って話せたって事で良しとするぜ」
ガーネット「媚薬っぽい技を使うなんて…………このガキヤベェやつなのか??」
実は俺よりも彼女の方がヤバイやつだったと気づくのは、もっと先の話であるが、このときは何一つ気づけなかった。
午後中モンスター狩を続け、夕方に差し掛かろうとしていた。
ガーネット「ふー、流石に疲れたよ。この辺で野宿しない?」
刻蝋値「そうだな。お? ありゃ勇者チームと魔物チームの戦闘か? 観戦しよーぜ!」
ガーネット「おう!」
第5話 何となくチームが出来たから、魔王をボコりに出発だ!に続く。