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第37話

少し離れたとたん、仲間達が傷つけられた刻蝋値、彼の心は怒りに包まれており……


第37話 魔王!お前…………マジかよ…………!?


俺の名は(こく)(ろう)()、元人間の現ゴキブリだ。人間っぽく振る舞ったりしているけど、まさか人間界の闇にまで足を突っ込むとは思わなかったぜ。そして現在、魔王城の前に来ている。


刻蝋値「…………野郎、ここにいるんだな。俺の仲間達を傷つけた代償を払ってもらうぜ!」


半開きの門の片方を引きちぎり、後方へとぶん投げて城内へと駆け出した。


~回想~


刻蝋値「マリン、怪我人の治療で疲れているところ悪いが、ラピスの逃走先を知っているか?」


マリン「確か…………魔王城に行って、インスピレーションを得るかなとか言ってましたね」


アレス「可能性は高いと思う」


刻蝋値「おい、無理はするなよ」


アレス「奴は、様々な戦法の相手と戦うことで強さを飛躍的に増していたように感じる。初めから僕では勝てなさそうな強さだったのが、僕がやられた頃には追い付きようの無いくらいの差になっていた風に感じたよ」


刻蝋値「…………分かったぜ。ならば、アレスはマリン達と復興の手伝いをしてほしい。俺は、ヒュージシティに連れていったメンツと、かつての奴の姉貴分だったというラズリを引き連れて、奴に追い付いて色々ケリをつけるぜ」


ダイア「ろうち、それに皆。無茶だけはしたらダメだよ」


刻蝋値「わかってるって」


ガーネット「あたしだって自分の限界は把握してるつもりさ」


刻蝋値「よし、行くぞ!」


~回想終了~


ラズリ「ラピス、どうしてこんなことを…………」


刻蝋値「国王を殺すのはまぁ分かるが、俺の仲間と町を破壊したのが解せねぇ。お出迎えもかなりやられて少なくなってるなぁ…………」


あまり多くない魔物集団に対し、こちらの女性陣は問題なく対処出来ており、直ぐに魔王の部屋の前まで来ることが出来た。


刻蝋値「おい…………」


トルマ「じ、じいちゃん! しっかり!!」


人魚と竜のハーフのトルマの祖父は、そこでひどい怪我をして倒れている神竜族。通称、竜爺である。


竜爺「この声は…………トルマリンか?…………大きくなったと言ってやりたいが、直ぐにここから離れるのじゃ」


刻蝋値「そうさせるつもりだ! ガーネット、トルマ、竜爺を外へ運び出してくれ。シトリンは弓で援護を頼む!」


3人「わかっ…」


そう言い終わる前に、彼女らの危険を感じ取った俺は彼女らを腕に抱えつつ、竜爺を数メートル蹴り飛ばし、自身も壁際まで後退した。後退しきる前に、第2形態になった魔王・デストロイ・ブラストが、玉座の間の門をマッハ5の突進で破ってきたからだ。


刻蝋値「奴の背中にそれらしいのが見えた。ラズリ、アイツがラピスだな」


ラズリ「間違いありません!」


シトリン「ちょっと! 大将ぉ、どこさわってるのよ!」


刻蝋値「ん?」


よく見ると、俺の手のひらがシトリンの胸を鷲掴みにしていた。


シトリン「もーーー! 何時まで触ってるのよ! この変態!!」


刻蝋値「悪い、(とっ)()に動くことに必死で気づかなかった」


とりあえず、離してあげた。


シトリン「だけどその…………助けてくれたことは感謝してるわ…………ありがと」


刻蝋値「(ツンデレか?)どういたしまして、だ。皆は先ほどの指示通り動いてくれ。ラズリは俺と一緒にくるんだ。それとトルマ、咄嗟の事とはいえ、じいちゃん蹴ってごめん」


トルマ「ん? ああ、気にしないでよ! 寧ろそうしてまで助けてくれて、ありがたいくらいだよ。竜化!!」


それなりのサイズの飛竜になった。


トルマ「上から持ち上げるから、ガーネットは下から持ち上げて」


ガーネット「あいよ」


シトリン「援護は任せて!」


刻蝋値「俺たちも行こうか」


ラズリ「了解しました」


ケンタウロス形態のまま、ほぼ全速力で走り始めた。ラズリは肉体的に頑強なため、空気抵抗にも耐えれるのだ。


~戦場~


魔王「おおおお!!神破剛脚!!」


ラピス「はあああ!!雷装速拳!!」


両者の技がぶつかり合い、勝ったのはラピスの方だった。


ラピス「はぁ、はぁ、姉さん、やったよ。これで、助けられる!」


と、そこへ


刻蝋値「やっと追い付いたぜ!…………って、魔王さん! あんた、やられたのか!?」


魔王「…………うう、恥ずかしい姿を見られたな。こやつ、強いぞ」


ラピス「君が2度も魔王を打ち破ったという、刻蝋値だな? 俺はラピスだ。強くなる機会と理由ができたので、こうして修行をしている」


刻蝋値「そのために町ひとつ壊滅させたってのか?」


ラピス「ああ、そうせざるおえなかったからね!」


ラズリ「ラピス! その理由を教えて!」


ラピス「ラズリ姉さん…………何故ここに」


ラズリ「おかしくなった貴方を止めるためよ! どうしてこんなことをしたの!?」


ラピス「…………姉さんをあの悪逆な国王から救うため、そして、他の星の魔王すら殺し、真の平和を掴みとるためさ」


刻蝋値「確かに、グレイテストシティの国王とヒュージシティの国王は魔王に乗っ取られていた。お前がグレイテスト国王を殺害した頃、俺もヒュージシティの国王と対峙していたんだ。そして、お前が王を殺害した瞬間、ヒュージシティの国王に魔王の力が宿り、本性を現した。本気の一撃を食らわせたらあっさり沈んだから良かったものの、お前、俺がいなかったらラズリに危険が及んでいたかも知れなかったんだぞ?」


ラピス「そんな…………だが、そうか。ヒュージ国王は死んだのか。刻蝋値殿、姉を救ってくれたこと、そして、魔王を一時でもこの星から遠ざけてくれたことを感謝します!」


刻蝋値「感謝してくれるのは結構だが、町を破壊した落とし前をどうしてくれる? 人命・動物の命は奇跡的に失われてなかったが…………」


ラピス「それは…………」


刻蝋値「俺の仲間含め、負傷した者は多く存在する。それも致命傷レベルでな。黒狼血義賊団は知ってるな?俺がリーダーであることも含めて」


ラピス「…………はい」


刻蝋値「個人的に、その(ツラ)ぶん殴らないと気が済まねぇし、お前自身が彼ら彼女らに償う必要がある」


ラピス「分かってます。ですが、異星の魔王を倒すため、俺は強くなる必要があった!その為には他者との戦闘が必要で…!?」


腹が立った俺は、奴が反応不可能な速度で顔を殴り飛ばしてやった。


刻蝋値「あのな、それくらい俺でも分かるんだよ。そんなに強くなりたいなら、俺が存分に鍛えてやる。そして、お前に足りないものを肉体と精神同時に教えてやるよ!! ラズリ、ここは危ないから離れてくれな」


ラズリ「わかりました。ですが…………どうかラピスを殺さないでください」


刻蝋値「言ったろ? 奴は償いを行う必要があると、俺はそんなへまをしねぇよ。さぁ! かかってこい!!」


第38話 お前…………すげぇよ!だけど落とし前はつけてもらうからな!!に続く。

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