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第33話

ざっくりと土日のスペシャル投稿予定

0時、8時、13時、19時に投稿していきます。よろしく!

第33話 富国強兵? 知らん! 俺は社会が苦手だ!!


俺の名は(こく)(ろう)()。知ってる奴なら誰もが認める、最強の義賊だ! 当然、命知らずに狙われることが多いんだが、まぁ、程々に脅したりして実力差を見せつけるのがパターン化しているな。3秒前にも矢が飛んできたから、狙撃主スレスレに投げ返したら、木から女ハンターが落ちてきたのが見えた。すかさずダッシュして目の前まで来てみたぜ。


刻蝋値「さて、まさかこんなことになるなんて、思いもしなかっただろうなぁ」


ハンター「くそぅ…………両足をつかんで逆さに持ち上げるなぁ!」


灰色が混じった水色髪パッツンロングの女の子だった。彼女が弓矢に手を伸ばそうとしたので


刻蝋値「ほらほらほーら!」


ハンター「うわああっ!?」


揺さぶって阻止した。身体につられて、立派なお胸もブルンブルン揺れてらっしゃる。


刻蝋値「黒か」


ハンター「なっ、何見てるんだよぉ! 見るなぁ…………」


皮のミニスカ内部のソレの色を確認したら、女ハンターは一気に顔を赤くした。


刻蝋値「おいおい、色を確認されただけで済んで、マシな方だと思うぜ? そんなこと、よりっ」


ハンター「やああっ!? 今度は何ぃ?」


俺は女ハンターを1回転させ、4本の腕で両手両足を掴んで動きを封じた。


刻蝋値「取り合えず、この馬…………」


サファイア「ヒヒーン!」


刻蝋値「失礼、お馬さんに矢を放った理由を話してもらおうか。脅しじゃねえけど、答えなかったら色の確認以上のことをするぜ?」


サファイアは、何故か名前じゃなく、種族名で呼ぼうとすると、お馬さんと呼ばれなければ気が済まないらしい…………。プライドが高いのか何なのか、未だによく分からん。


ハンター「う…………わかったよ。アタシ、そこの森を抜けた先にあるグレイテスト・シティの王様から命令を受けて、この辺から国に入ろうとするものを撃ち殺すように命令されたの」


刻蝋値「善悪関係なしに?」


ハンター「うん、兎に角殺せって言ってた。アタシだって、無益な殺し…………ましてや人殺しなんてしたくなかったけど…………あの国、特殊部隊や最強兵器を有しているみたいで、アタシは目の前で特殊部隊の強さを見せつけられて、屈服しちゃったよ」


人生の恥を語るように話していく。


エメラルド「そんなに強いの? アタイ達のリーダーより強い奴なんて見たことないけど」


ハンター「強いよ! 国では富国強兵政策が行われていて、ヒュージ・シティから秘密裏に人工筋肉が輸入されたみたいで、それを移植された人たちは、皆人とは思えないパワーとスピードを持ってるんだ! あなたも相当化け物のようだけど、上には上g…キャッ!」


俺はあることが理解できなさすぎて、つい拘束を解いてしまった。


刻蝋値「なあ、富国強兵って何だ? 歴史でも聞いた記憶があるけどわかんねぇ。説明してくれ」


ハンター「え…………? まぁ、簡単に言うと、戦争に勝って敵国から金を取って、その金を元に新兵器を開発し、更に戦勝して金を取っていく政策だね。…………あなた、そんなことも分からないの?」


刻蝋値「知らん! 俺は社会が苦手だ! だけど、よおぉく分かったぜ。話を聞けて良かった。皆、今から俺は戦争準備中の国にアクションを起こし、戦争を出来なくさせたいと思っているが、反対の奴は挙手してくれ」


パール「はい!」


刻蝋値「何故か説明を頼む」


パール「…………下手にこの国の国力を弱めたら、逆にヒュージシティのクソ国王が戦争を起こすかもしれないと思ったからだ」


実に、元・ヒュージシティ王城兵らしい見解だ!


刻蝋値「なるほど、ならばそちらにもアプローチをかける必要があるな」


ハンター「え、ちょ! あなたたち、何するつもりなの!?」


ハンターの女の子は、俺達の常識外れな会話に着いていけず、慌てている。


刻蝋値「決まってるだろ、戦争を起こせないようにする。それだけだ」


ハンター「…………さっきの特殊部隊云々の話聞いてた? 狙った獲物は確実に撃ち抜くこのアタシ、シトリン様ですら、諦めざるおえない特殊部隊に加え、更に凄い秘密兵器を持ってるような連中なんだよ!? もう、最初に当たったのがあんたらのせいで、アタシどう足掻いても死ぬしか無くなったじゃん!」


刻蝋値「おい、それは早計だろ」


シトリン「はぁ!? そんなことは特殊部隊を壊滅させてから言いなさいよ!」


刻蝋値「どのみち奴等が戦争を起こそうとしてるならそうするよ。それに、実力の証明ならここで出来る。まずは防御力! 全員俺に最大火力の一撃を浴びせろ!」


ガーネット「よしきた! 神魔断!!」


パール「メテオストライク!!」


アメジスト「ヘルブレイズ!!」


等々…………団員たちはシトリンが見たこともない強度の技を団長に遠慮なくぶちかましていった。


シトリン「う……そ……リーダーを突然殺すなんて…………あなたたち狂ってる…………!!」


アレス「まぁ、初めはそう思うよね。だけど、それでも傷1つ着けず、平然としているのが刻蝋値君なんだよ。見てごらん」


煙が晴れた時には、何事もなかったかのように、欠伸をしている刻蝋値の姿があった。


シトリン「…………」ポカーン


刻蝋値「とりま、これが防御力な。次にパワー」


俺はそう言いながら、超音速全宙踵落としで、広範囲の地面に大きなヒビを入れた。


刻蝋値「で、純粋な上腕二頭筋の筋力」


割れた地面の1つを、大木をごと腕の力で天高く放り投げた。フォームは90度に曲げた膝に、肘を固定したアームカールに準ずるぜ。勿論無反動で、上腕二頭筋の筋収縮のみの力発揮だ!


刻蝋値「そして、ジャンプ力」


垂直跳びで上へと飛び上がり、地盤と分離した大木を頭突きでへし折った。ついでに巨岩も幾つか砕いたな。


刻蝋値「最後に…………」


早歩きを0.5秒程行うと、辺りに暴風が吹き荒れ、海には俺が歩いた場所のみに、波紋が広がっていた。


刻蝋値「早歩きのスピードだ。どうだい?俺がシトリンを義賊団に引き入れる。これなら奴等に殺される事は無いだろう」


シトリン「…………あははは、うん、それしかないよ。えっと…………」


シトリンは、最初こそ死んだ目をしていたが、俺の名前を聞く時に、生きた目に切り替えてくれた。


刻蝋値「刻蝋値だ。適当に呼んでくれ」


シトリン「それじゃあ大将、これからよろしくお願いします。出来るだけ役に立つから、アタシを守ってね」


ウインクでアピールしてきた。この時点だと、あざといかしっかりもののどちらかといった印象だな。


刻蝋値「オッケー、交渉成立だな。皆、今からシトリンも仲間だ! 早速グレイテストシティに向かうぞ!」


団員たち「おーー!」


アレス「うん、刻蝋値君、僕は仮にも勇者だから義賊活動は出来ないけど、戦争をやめてくれるように出来る限りの交渉をしてみるよ」


刻蝋値「これは心強い、だが、王様がどうしようもないクズだったら、俺は迷わず実力行使に出るぜ」


アレス「そのときは頼んだよ」


刻蝋値「任せろ!」


勇者アレス…………ちょっとナルシストだけど、滅茶苦茶良い奴だと思うぜ。


~グレイテストキャッスル・玉座の間~


刻蝋値「王様、こんちはッス」


国王「フム、そなたが黒狼血義賊団のリーダーか。腕利きで有名なシトリンを容易く突破してきたらしいな」


刻蝋値「ああ、今じゃあ俺にメロメロッスよ」


何となく、恥ずかしがって顔を赤らめていた時を思い出しながら返事を返した。


国王「なんと、殺さず従えたか。甘い奴よ」


刻蝋値「いいや、強すぎるゆえ、出来ることだと俺は思いますけどね。さてと、わざわざ1人だけで、あんたに会いに来た理由はただ1つ! 今から起こすつもりの戦争を起こさせねぇこと。これだけだ!」


国王「ふん、聞く価値もない。先ほど伝説の勇者アレスにも言われたが、聞く気になれぬ。何故戦争ほどの利益を生む行為を行ってはならぬのだ?」


刻蝋値「罪のない命がいたずらに消えていく。これ以上の理由があるか?」


何となく、このイケスカネーオヤジはダメかなと思い始めた。


国王「馬鹿なことを、命なぞどのみち消えていくもの。無くなった分だけ新しく作れば良いではないか」


刻蝋値「馬鹿はお前だ。同じ命は2度と現れない。すなわち、そいつの持つ莫大な可能性は死ねば永遠に無くなるってことだよ。お前と謁見できて良かったぜ」


コイツのクソさを理解できて、本当に良かった。


国王「何を言っているんだ? 1度侵入したゴキブリは逃がさんぞ。それに、此度戦争を起こそうと思った理由に、君があるのだぞ」


刻蝋値「おいおい、あんたこそ何を言ってるんだ?」


そうは言ったが、これから言うことの予想は着いている。


国王「ヒュージシティの王から、君の筋肉をベースに作成された、人工筋肉が送られてきた。それを移植した我が特殊部隊は、人知を越えた運動能力を得たぞ。私はこの力があれば、どの国にも勝てると踏んでいる。君も、君自身が何人も襲ってくるとなると、勝てる気がしないだろう?」


奴は勝ち誇った顔をしている。だが、俺からすれば脅しにすらなっていない。


刻蝋値「おいおい、聞いてあきれるぜ。遺伝子工学的な何を行ったか知らんけどよ、俺の筋肉を移植しただけで、俺並みに強くなれる訳が無ぇだろ! お前ら、悪いことの考えすぎで、頭イカれてるのか?」


国王「君こそ科学技術を舐めすぎだ、実際シトリンも簡単に屈服していたではないか。君にも特殊部隊の力を見せてあげるよ。命と引き換えにね!」


刻蝋値「…………プッ、ハハッハハハハ!!」


国王「恐怖を隠しても…」


刻蝋値「バーカ、シトリンは多勢に無勢だったから屈服しただけだよ。今のシトリンには俺の仲間がついている。そしてシトリンを含め、俺の仲間は借り物の力で威張ってる特殊部隊に負けるほど弱くない」


その時扉が開き、大量の特殊部隊がなだれ込んできた。


国王「おお!お前た……ち…………え?」


全員がボロ雑巾になり、地面を転がりながらの登場であったが。


ダイア「確かにパワーとスピードはあるけどさぁ」


ガーネット「あたしらの敵じゃないよねぇ」


シトリン「あなたたちが強すぎなのもあると思うけどね…………」


パール「大丈夫だ、シトリンも訓練すれば、私達のようになれるぞ」


ルビー「フフ、私も2週間前位までは、シトリンさん位の強さだったんですよ」


刻蝋値「で、この状況から、お前はどう動くつもりだ?」


国王「ふはは…………まだ"奴"を動かすつもりは無いぞ。ゴフッ!」


そろそろ担任袋が限界なので、胸ぐらを握りしめて、若干のガス抜きをした。


刻蝋値「テメェ、立場が分かってねぇらしいな。戦争を起こさないことを紙に署名し、全国民に報告しろ!」


国王「(ことわ)…がはあっ!! 痛い!! 痛い!!」


ちょっと殴っただけで、この痛がりよう。


刻蝋値「チッ! こんな殴られたこともないようなクズが多くの命を無下にしようとしていたと思うと、マジで吐き気しかしねぇな!! オラッ! 署名しろや!!」


ついつい俺も熱くなってしまい、国王の顔はすっかり丸く腫れ上がってしまった…………ま、恐怖を与えれたのは良かったかな?


~グレイテストシティ~


刻蝋値「はぁ、ヒュージシティの国王と並んで胸糞悪い奴だった……」


アメジスト「マリンちゃんもお手伝いを頑張っているけど、特殊部隊だった人達、上手く延命出来ると良いね…………」


刻蝋値「全くだ。聞けばパッチテストに合格した兵士が強制的に手術させられたらしいからな」


シトリン「それに大将、まだ秘密兵器があるから、国王は戦争を諦めてないと思うよ」


刻蝋値「そうだろうな。そこで俺達義賊団は2チームに分けて動こうと思う」


ガーネット「お? 片方はヒュージシティか」


刻蝋値「そうだ。船で移動してたら埒が空かないから、俺とガーネット、トルマとシトリンはヒュージシティに行く。残りの皆はここの国王を見張ってくれ。そしてアレス、あんたにお願いがある」


アレス「…………多分だけど、国王が暴走したら、団員たちと共に止めてくれって感じかな?」


やはり、アレスと俺は、根本が似ているのだろう。


刻蝋値「察しが良くて助かる。お願いだ! 力を貸してくれ!!」


アレス「当然さ! 僕も戦争は大嫌いだ!!」


刻蝋値「ありがとう。皆もアレスと粗相のないように頼むぞ」


団員達「分かってるよ」


アメジスト「あ! 蝋値様、私達に何かあったとき、これで連絡をするわ。だから持っていて!」


音声通信魔法石…………通称マジフォンを渡された。


刻蝋値「サンキュ、その都度ホウレンソウを徹底しよう。では、作戦開始だ!」


そう言って、俺は人馬形態に変身し、初乗馬(?)のトルマとシトリンに配慮して緩やかな加速をしつつも、最終的にはマッハ4の速度で海を駆けていった。


第34話 うお! 俺のアジトが荒らされてるとぉ!? じゃあ犯人を締め上げるまでだ!に続く。

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