第29話
今週の土日に大量に話を投稿するかもしれません。お楽しみに~~
第29話 …………お前ら何に怒ってるの?
刻蝋値「ふぅ、これで回れるところ全て回れたな」
ガーネット「意外と皆、似たようなことを考えてるんだねぇ…………」
マリン「ええ、どの部族も共通して食糧難になってますから。1番の原因はこれである可能性が高いですね」
ダイア「ただ1つ、除いてね」
刻蝋値「ああ、やっぱりトーガ・ラッシー族が恨みの種を多く巻いているらしいな。族長の部屋に侵入して本人と話してみたが、ありゃだめだ。部族の為に戦を起こしているような口ぶりの裏で、確実に私利私欲を満たしてやがる。最低でもアイツは粛清対象だな」
パール「殺すのか?」
刻蝋値「それは条約締結後、ここの人間に任せる…………にしても、こんなことを聞くのも何だけどさ、何かイライラしないか?」
何かこう…………下劣な同級生100人に囲まれて、死角から指をつつかれ続けるって感じの…………
ガーネット「…………てめぇ、あたしがわざわざ言わないようにしていた事を何口にしてんの? ええ?」
刻蝋値「いや、何もそんなに怒ることねーだろ」
こう見えて器がデカイコイツがこんなに怒るのは、ちょっとおかしい…………
ダイア「今のはろうちが全面的に悪いよ!」
刻蝋値「うっそ!? 気持ちを吐いただけでそんなに攻められないとダメなの!?」
何処が!? って感じだ。
マリン「酷いお方ですね」
刻蝋値「心に刺さる……」
普段おとしやかな彼女のゴミを見るような目も合わさり、正に心が張り裂けそうな気分ってヤツだぜ。
パール「もうこのムシャクシャどうしてくれるの? 責任とってよね!!」
刻蝋値「…………どうやってだよ」
この辺から、流石に俺も抑えきれなくなってきた。
ガーネット「こうに決まってるだろ!!」
斧を降り下ろしてきたので、避けた。普段はダメージが無いから当たっても無視するが、今はムカついてるから敢えて避けてやった。
刻蝋値「てめぇら!…………こんなこと言うのも何だけどさ、俺が本気出せば瞬殺されるくせして、何俺を怒らせてやがる!? 死にてぇのか!!」
ダイア「情けをかけられるくらいなら死んだ方がましだよ!!」
…………いや、流石にコイツらの怒り方がおかしいぞ。何か原因がありそうだな。
そう思った俺は、周囲を見渡した。
刻蝋値「何だ? あのへんな岩」
えっと…………、パン酵母とかチンする機械と似た名前の島に立っているって、歴史の授業で習ったっけ? 確か名前が、モ……ナイ? モ……サイ? モアイ? いや、モライ? …………………まあいい、何かそれっぽいのが偉そうに立っているな。
パール「貴様! あの方を愚弄するか!! メテオストライク!!」
おお! あの岩のことか!?
刻蝋値「近づいてみよ」
俺は怒り任せにパールが投擲した槍を避けると、モノモライだかにゴキブリダッシュで移動した。
マリン「あ! それはやめなさい!!」
俺は岩に密着してみた。物凄く不快で、強く意思を保たないと、意識を持っていかれかねない。そして、団員達は肉食獣のような形相で俺を睨み付けるも、やはり攻撃はしてこない。岩に攻撃が当たるのを避けるためか?
刻蝋値「オラ! 俺はこっちだぞ! 追い付けるものなら追い付いてみろよ!」
俺はしばらく走り、岩から一キロ程離れた場所で立ち止まった。
ダイア「はあはあ、ろうち、私どうかしていたよ」
ガーネット「ふぅ、あたしも、いわれのないことまで言ってゴメンな」
パール「しかし、ここまで来たら、大分気分が楽になった」
マリン「ハアッ! ハアッ、恐らく、あの石像が原因だと想われますわ!」
良かった、いつもの皆に戻ったぜ。
刻蝋値「違いねぇ、あれのせいで、嫌な空気がそこら中に蔓延していやがる。部族同士がぶつかったり、他部族のゲルに行くときは、あれの近くを通るだろう。そうなれば怒りや憎悪が倍増され、無惨に人殺しをしちまってもおかしくねぇよ。つまり、あの石像に魔法か何かをかけて、悪い空気を出しているやつが元凶だ。俺は今晩ここに張り込む。パールはクミン族の敬語を、ガーネットはバジル族…」
ガーネット「ストップ!あそこのの奴らあたしをいやらしい目で見てきたから却下!」
刻蝋値「あー、お前っぽい装備の女の子だらけの夜の店があったな、騒動が終わったら行っt…」
『ガァァアアアン!!!!』
全力の斧が炸裂した。常人なら、頭から股(それとマグナム或いは小経銃)が左右へ綺麗に真っ二つだったな。んで、原因はやっぱり
ガーネット「あたしらの目の前で浮気宣言してんじゃねぇ!!」
マリン「刻様、あなたはまだ18歳に満たないので、如何わしい店は禁止です!」
ダイア「そうだそうだ!」
パール「こういうケースこそ、義賊団員が団結する必要があるな」
…………もうさ、基準が意味不明で破綻しているし、理論が捻れて自己崩壊しているんだよね。
刻蝋値「しないしない。不安がらせてゴメンな! まぁ、こんな風に反射的に誰かを殴り殺してもダメだし、ダイア、頼めるか?」
ダイア「オッケー、私は特にそう言う視線感じなかったから、承るよ!」
刻蝋値「ってことで、ミント族をよろしく頼む(ダイアっぽい服の店は…………件のトーガ・ラッシー族だったか)」
ガーネット「分かったぜ!」
マリン「あれ? 私は…………?」
刻蝋値「あ、そうだった。まぁ、ガーネットと一緒に居てくれ。それじゃ解散!」
~夜~
…………聞こえるぞ。貴様の足音。
俺は誰かの足音で目が覚めた。岩に近づいてやがる。
トーガ・ラッシー族長「ウタツハナアバアルオオチフ…………ウタツハナアバアルオオチフ…………ウタツハナアバアルオオチフ………………」
刻蝋値「よう、何念仏唱えてるんだよ!」
族長「ブペヤァアッッツ!!?」
聞いたけど、答える前に1発ビンタを入れた。
刻蝋値「やっぱりあんたが犯人だったんだな。この大量虐殺鬼が!」
取り敢えず、痛くなる場所に一発殴っておいた。
族長「っく! 部外者の分際で、ワシらn…ぐうっ!!…………」
下側の両腕でチョークスリーパーをかけ、上側の右手でこめかみをグリグリしてやった。
刻蝋値「取り敢えず、明日4部族すべての人間に説明してもらうぞ。気絶てろ」
…………今夜は汚いジジーと就寝か。同じ老人でも、こいつはじいちゃんと違って気分が悪くなるぜ。…………何か、皮肉にも、コイツと一晩過ごすと考えたら、以前の世界で小さい頃に母さん、じいちゃん、ばあちゃんと一緒に寝ていたことや、今の世界であいつらと仲良く寝ていたのが幸せな事だったんだと気づかされるな…………ま、1日だけの辛抱だ。
~次の日・早朝・各集落の前~
刻蝋値「ってことで、村長さんに伝えてくれ」
見張りの団員達「了解!」
~石像の前~
刻蝋値「4部族の皆々様、気が立つのは重々承知しておりますが、どうか荒事になるような行動は慎みください。というか、誰かが誰かに矢を撃っても俺が全て回収します」
各族長「う、うむ。貴君の強さはいやと言うほど分かっておる。ワシらも概ね平和を望んでいるのでな。ところで、刻蝋値様が背に縛り付けてるのは、もしやトーガ・ラッシー族長ではないかね!?」
刻蝋値「正解だ!…………です。そう、この族長こそが、ここ30年間の抗争を裏で手引きしていた張本人なのです!コイツは呪術を用い、この石像に周囲のものを苛立たせるオーラを放つようにしたのです!自身の部族は勿論、クミン族、バジル族、ミント族がここに近づいたらイライラさせるように仕向け、民族抗争へ誘導していたのです!!」
バジル族長「ぬお!? 全部族が崇拝する大地の神の象に呪術をかけただと!?」
クミン族長「しかもこれは…………禁術クラスのもの、刻蝋値殿の僧侶さんでも解けそうにない…………」
ミント族長「ワシらは一体どうすれば…………」
呪いでこれ以上の犠牲者を出すのは、当然避けたい。しかし、大地の神を破壊するわけにもいかない。究極のジレンマだな。
でも、こ・う・い・う・と・き・は!!
刻蝋値「お任せあれ。部外者の俺がこれを破壊してイライラゾーンもぶっ壊す! オラァ!!」
壊せそうでかつ、衝撃波の発生を抑えられるマッハ0.9の速度へ加速した拳を振るった。
石像「ワレを壊ソウトスルモノハ誰ゾ?」
刻蝋値「あ? 避けただと!?」
…………マジか、この拳を避けるやつは義賊団以外相手したら駄目だな。
トーガ・ラッシー族長「フアッフアッフア!! バカどもを皆殺しじゃあーーー!!」
刻蝋値「全員この場から離れろーーーー!!!」
第30話 さて、仲直りの方法は、これとこれとこれだ!に続く。




