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第28話

何か最近ブックマークが加速度てきに増えているなぁ。1作者としては嬉しい限りです!ありがとうございます。と、言うことで、今日の分の投稿です。

第28話 草原の豊かさと人の豊かさの違いが悲しすぎる……


俺の名は(こく)(ろう)()。常に強さを求め続ける、元・人間の現・ゴキブリさ! 何? 今は自己紹介してる場合じゃないって? 安心しろ。普通の遊牧民に囲まれているくらい、ピンチの内に入らねぇよ! それに、奴等に俺の実力を見せたばかりだ。後は降参するのを待つだけだぜ。


刻蝋値「で? どうなんだい? 部隊長さんよ」


部隊長「…………攻撃やめ。異邦人殿、無理を承知で聞くが、交渉に応じてくれないか?」


刻蝋値「その言葉、待ってたぜ! 早速…………と、言いたいところだが、内の船で縛り上げられてると思われる、あんたらの仲間の解放が先かな」


部隊長「!!、知っていたのか…………」


刻蝋値「おお、丸わかりよ! うちの団員皆、勘づいてたぜ。俺に至っては全てのやり取りが聞こえてたぜ!」


部隊長「そう…………か。異邦人殿とは尚更戦ってはいけないことを知らしめられたな」


刻蝋値「そゆこと!」


と言うわけで、船でパール達に縛り上げられていた人たちの縄を解き、遊牧民達に改めて尾行・盗船などの変な気を起こさないように釘を刺してから、彼らの現在住んでいるゲルへ案内してもらった。


刻蝋値「こんにちは。あなたが族長さんであられますか?」


族長「うむ、お主があり得ない実力をお持ちの刻蝋値殿ですな」


刻蝋値「おう。そうです」


……どうにも敬語を使いこなせないが、まあいいか。


族長「無礼を承知でお願いがあります。どうかこのクミン族に力をお貸しください! そして他部族との戦での勝利に貢献s…」


刻蝋値「ことわーーーる!!!」


族長「!?」


刻蝋値「残念だが、俺は戦争に乗っかって大量虐殺を楽しむために強くなった訳じゃねぇ。逆だ、自分が幸せになるために、自分が好きな連中の助けになるために、そして、どうしようもなく不遇な運命をたどっている最中の奴等を力で救いだし、ささやかな幸せを与えるために強くなったんだよ。要は自己満足だ!!」


族長「では、どのような報酬があろうと、我らの戦に加わることは無いのですね…………」


刻蝋値「ああ、あくまで"戦"にはな」


族長「…………ん? "戦には"といいますと…………??」


刻蝋値「人を殺す以外の事なら手助けをすることができるかもしれないと言うことです。この近辺の歴史を今一度、教えてください」


族長「…………分かりました。かつては…………」


歴史は苦手教科だが、シリアスだから、スッゴく頑張って理解した!!


要約すると、昔はこの大陸には1つの民族だけが居り、慎ましくも徐々に人口を増やしていったそうだ。部族として人数が飽和したら、大部族に残留する者達と20~30人の小部族に成る者達に別れることで、食糧難になること等を避けてきたそうだ。部族が少ない内は、争い事が起きることは無かったが、何時しか島全体の人口が増えすぎ、部族間での争いが絶えなくなり、それが200年程続いているのだ。幾つもの部族がつぶれ、その中には始まりの部族も含まれている…………。そして4部族になった今も、相変わらず争いは続いたままであるのだ。


刻蝋値「1つ、解せない点がある。食料を食い尽くされかねない昔は兎も角として、今、あなた達、いや、大陸に存在する4部族が争い合う理由は何ですか?」


族長「…………死んでいった者達へのはなむけ、他部族の侵略からの防衛、そして、食糧難の解決です」


刻蝋値「…………真ん中の理由以外は納得しかねるな。人生をあんたの5分の1も生きてないだろう俺が言うのも何だけどさ、死者を大切にする気持ちは分かるけど、それ以上に生きている者達を幸せにすることが大切なんじゃないかな?」


族長「…………申し訳ないが、言っていることの意味を理解しかねます」


刻蝋値「いや、部族の皆が皆、他部族を殺すことで、死者にはなむけ出来ることを、幸せだと思っているのかって事ですよ」


族長「幸せなはずです。部族とは血よりも固い絆。血が繋がって居なくとも、同族は家族。家族の死には家族全員が怒り、怨敵に地獄の苦しみを味あわせた後に、一周回り、いきたくなった瞬間命を断つ」


刻蝋値「家族を殺した奴を殺すことについてはごもっともです。返す言葉もありません。…………ですが、だからと言って、殺人を嫌う家族にまで復讐のために人殺しをさせてはいませんか?」


族長「む…………それは」


刻蝋値「…………共通の怨敵を殺せたとして、相手は人間…………いや、それ以前に生物であり、歴史をたどれば家族とも言える。そう考えると、復縁は無理でも互いに殺し合いたくない者も居ると思います。…………これは俺の憶測ですけどね」


族長「…………確かに、敵に弓を引けず、致命傷を負い、死にゆく若造をごまんと見てきた。ワシには理解できないことであったが、お主の言ったような思いが彼らにはあったのだろう」


刻蝋値「敵部族だって、きっとそんな者達が多く居ると思う。だから、俺は争いたくない者達だけでも共存出来ないかと考えているんです」


族長「家族の幸せを思えばこそ…………か」


刻蝋値「ま、俺たちが長々と話していても仕方がない、皆の意見聞きませんか?」


族長「うむ、…………じゃがワシが聞いても皆、忖度(そんたく)するじゃろう」


刻蝋値「忖度良くないですよね!」


全く前の世界のs(規制音)達は………… 、兎も角


刻蝋値「ここは俺らにお任せください。皆の意見聞き取ってきます」


こうして俺は、団員達を使って意見の聞き取りを行った。


部隊長「俺の幸せ? 1秒でも早く敵を皆殺しにして、部族に平和をもたらすことだ!」


うるさい鼻息をならしながら、得意気に語った。


ダイア「もう、それこそ女子供も残らず?」


部隊長「あたぼうよ! 1人残せば10人の家族が危険な目に合うかもしれんからな!」


~別の人~


ガーネット「なぁ、突然変なこと聞くようだけどよ、あんたの幸せって何だ?」


若者「あ、こんにちは。そうですね~、こうして家族皆でつかの間の平和を楽しむことかな?」


愛おしげに愛馬のブラッシングをしながら答えた。


ガーネット「もし、他部族と平和を結べるなら、結んで皆で平和になりたいかい?」


若者「…………特に族長には言わないでください。正直そうできるなら、そうしたいです。誰も死なない世の中なら、皆が仲良くなれる。いづれにせよ、家族が死ぬ姿は2度と見たくない!」


青年は感極まって泣き出してしまった。


ガーネット「…………辛いのに答えてくれてありがとな」


若者「あ、…………いえ」


~別の人~


マリン「ねえねえ、僕」


少年「なぁに?」


マリン「僕にとっての幸せって何かな?」


少年「う~ん、皆で美味しいご飯を食べること! でも最近は食べれてない…………戦が続いてるから…………」


マリン「戦、終わってほしい?」


少年「終わってほしい!」


~別の人~


パール「おばあさん、こんにちは」


おばあさん「おや、お強い人のお仲間さんかな?」


パール「はい。突然で申し訳ないのですが、おばあさんにとっての幸せって何ですか?」


おばあさん「息子が戦の度に武勲をあげることかね。悪い他部族を滅ぼし、平和になることを皆望んでおるよ」


パール「貴重なご意見ありがとうございます」


~息子さん~


息子「え?俺の幸せ…………う~ん、争い事の無い、つかの間の平和かな?」


アメジスト「もし、他部族と争わずに済むようだったら、戦をやめようと思いますか?」


息子「正直思うね。だって相手は人間だもん、小競り合いが起きた日や、それから数日は必ず悪夢に悩まされる。いくら先祖のためとはいえ、友人や先輩、後輩までも死んでいくのは心がすり減るよ…………。突然あっさりと平和条約が結ばれたりしないかなぁ……何てね」


~村長のゲル~


刻蝋値「サインされた色紙を纏めますと、6割の人が平和を望み、2割が他部族の殲滅を望み、残り2割がわからない、無回答となってます。年齢層的には高齢層になるほど他部族の殲滅を望み、若年層ほど平和を望んでるみたいですね」


村長「ここまで多くの若者が平和を望んでおったのか…………。もう争っている場合では無いのかもしれん。じゃが…………相手側が平和条約に応じてくれるかも問題じゃし、食糧難も依然解決していませぬ」


刻蝋値「それなんだけどさー、こんなに草木が生い茂っているのに、何で食料の供給が悪いんですか?」


村長「…………部族間の抗争で家畜が殺されるからじゃ」


刻蝋値「…………何の罪もねぇ動物を!!…………失礼、話を続けてください」


あぶねぇ、ついつい無垢(むく)の動物が被害にあったと聞いて、キレそうになっちまった。…………元々クソが多い人間を好いてないのもあるが、動物がクソ人間に無益に虐められることが嫌いでしょうがないんだよ。


村長「ええ、戦が長引いたことが原因で、羊や馬、牛の絶対数が減ったのです」


刻蝋値「彼らはいずれあんたらの飯になるのはわかるが、精肉を最終手段として、他にも彼らを食料にする方法や、人の役に立たせる方法はいくらでもある。乳は殺さずに得られる食料だし、羊毛は服やゲルの材料になるでしょう。…………だけど、俺はもうひとつお勧めの食料備蓄法を知ってます」


村長「と、言いますと?」


刻蝋値「釣りです。海で魚を捕まえるんですよ、やり方はうちの団員達に教えさせます」


と、その時、騒ぎが起こり始めた。


村長「あわわ、4部族の中でも最も好戦的なトーガ・ラッシー族の襲撃じゃあ!!」


刻蝋値「俺の出番っすね!」


~外~


敵部隊長「全体! 放てぇ!! 皆殺しじゃあ!!!」


敵達「ギャハハハハ! オラァ! 畜生どもも土地神様の供物にしてやるぜぇ!!」


刻蝋値「よーう、お前ら。何処に矢を飛ばしてるんだ?」


敵「あ、あれ?誰にも刺さってないと思ったら変なやつが矢を回収してる!?」


奴らは俺の飛矢キャッチを視認できず、困惑している。


敵部隊長「貴様、何者だ!」


刻蝋値「俺は平和主義のゴキブリだ。今すぐ手を引くなら暴力は勘弁してやるぞ」


敵部隊長「矢がダメなら剣で殺すぞ!!」


敵達「おおーーーー!!」


刻蝋値「何で殺すって?」


敵達「おおーーーー!?」


俺は奴等が雄叫びをあげている最中に、剣を取り上げてやったのさ。


敵部隊長「……チッ! 覚えておけ! 俺が族長に罰を食らった分、お前の死に様は酷くなるからな!! 退散!」


敵は退いていった。自分が罰を食らった分、俺を無惨に殺すって…………お前が暗殺なりで族長になる方が現実的なのでは? と思った。


ニクス「ガオオッ!!…………ガウ?」


刻蝋値「ニクス、一足遅かったな。武器を取り上げたら尻尾巻いて逃げてったよ。けど、あっちの族長は分かんないけど、アイツは部下を無駄死にさせないタイプの奴だったな」


ニクス「ふにゃああ…………」


刻蝋値「ああ、平和でさえありゃあ、楽しく遊牧生活を送り、飯に困ることは無いだろうこの大地なのに、積年の恨みに囚われた奴等に振り回されて、かつての仲間同士殺し合っていやがる」


こんなときにアメジストとマリンをいじめていた勇者の「人間誰しも弱者を虐げたい欲望があるはず」って言葉が浮かび上がってきやがる。誰しもかは知らんが、そう言う欲を抱くやつは多いのかもな。復讐なんて、悪いやつが掲げれば、本当に都合の良い大義名分になっちまうもんな。


刻蝋値「ニクス、お前には、同族同士で積極的に殺し合う人間の気持ち、分かるか?」


ニクス「ガルルル…………グウゥ」


刻蝋値「だよな、俺も人間の頃から不思議に思ってたよ。さ、次の仕事だ」


ニクス「ガウ?」


刻蝋値「残り3つの村の意見も取りまとめる。そして、上手いこと不戦条約…………あわよくば、平和条約を結ばせる! そしてニクス、お前はもしも…………」


ニクス「…………ニ"ャゴオ! ガウゥーー!!」


刻蝋値「よし、そう言うことだ。俺やルビーの留守中に家畜を食べちゃダメだぞ」


ニクス「ニ"ャ!? ガウッ! ガウッ!」


刻蝋値「ははは、わからないお前じゃ無いよな! それじゃ、始めようか!」


第29話 …………お前ら何に怒ってるの? に続く。


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