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第26話

魔王第2形態に対し、今回の刻蝋値はどう戦うのか!?


第26話 やっぱケンカは楽しいな!


魔王「大破拳!」


俺は迫り来る魔王の右ストレートを右腕で外側へ弾き、そのまま間合いを詰めて連撃を叩き込んだ。


魔王「ぬうっ! 超破壊砲!!」


魔王が口を開き、ゼロ距離で極太破壊光線を撃とうとしている。


刻蝋値「そういやこの手があった!」


俺は咄嗟の思い付きで、魔王の両腕を閉じさせた後、素早く逃げた。


魔王「うごあああ!? 腕がぁ!!」


これにより、破壊光線が魔王自身の腕に直撃したのだ。


刻蝋値「狙い通り!」


魔王「調子に乗るなぁ!!」


怒った魔王は遠方の俺に向かって極太破壊光線を撃ちまくるが、そんなものに当たる俺ではない。


刻蝋値「嫌がらせ必殺・体表這いずり回り!」


魔王「うわわわ! 貴様とわかっていても、悪寒が走る!!」


刻蝋値「加えて背中に張り付いてやったぜ。"手も足も出まい"?」


そう、あまりにも筋肥大した…………というか元々骨格的に背中に手が届かない魔王第2形態にとって、背後に密着されることはこの上なく弱いのだ。


魔王「貴様ぁ~! 我だって筋肉そのものの柔軟性なら、誰にも負けないんだぞーーー!!」


刻蝋値「だけど骨格的に、動きの限界以上は手が届かねぇもんな。そらよっ!」


俺は膝蹴りを毎秒680発のペースで魔王の背中へと叩き込んだ。


魔王「ぬううう~、地味にダメージが蓄積しおる! このままでは…………くそぅ!!」


お得意の、見た目に似合わぬ超スピードダッシュ(今回は広範囲を走れるため、加速しきって最高速度のマッハ5)で俺を振り落としにかかった…………が、


魔王「なぜ落ちぬ!?」


刻蝋値「ゴキブリってのはな、あり得ないほど微細な窪みに足を引っ掻けて、体を支えれるのさ。俺の手足も例外じゃねぇ」


魔王「ならばっ! うおおおお!!」


魔王は急減速した後、今度は城へ向けて全速力で走り出した。


刻蝋値「何する気だろう、流石に超連続膝蹴りで片が着いたらつまらんし、期待するか」


魔王「期待に応えてくれるわぁ!!」


魔王は城にぶつかる寸前に、自分の体を進行方向の逆へと向けた。なるほど、俺を城の壁にぶつけるつもりか。ま、当然膝蹴りをやめて脱出したけどな!


刻蝋値「殴り合いの再開だ!」


俺は魔王によって、直線上に穴が開いた城を走り抜け、魔王との距離を積めた。


魔王「広大破連拳!!」


カウンター! とばかりに、平均マッハ3の拳の連打が俺に襲いかかる。


刻蝋値「フッ! ハッ! そらっ! ハッ!…………」


俺は焦らず的確に、魔王の拳を右に左に弾いていく。


魔王「ぬぐぐ…………」


俺が徐々に魔王の間合いへと入ってきているため、魔王に焦りが生まれてきた。


魔王「ぬああっ!!」


俺が自分の間合いに入った瞬間、魔王が渾身の2連打を放ってきたので、上の方に着いてる両腕で、魔王の拳を上の方へと受け流した。そして


刻蝋値「ソニックブローラッシュ!! オラオラオラオラオラァ…………!!」


平均してマッハ4.5のボディブローラッシュを魔王に叩き込んでいく。目的は内蔵にダメージを通すことなので、1発1発に体重を乗せて撃つ。


魔王「ぬおおおおおお!!!! ぐぷっ…………」


さしもの第2形態魔王も、そこそこ大きなダメージを受けているらしく、苦悶の表情を浮かべている。


魔王「なめるなぁっ!! 大破壊砲!!!」


またしても、ゼロ距離からの破壊光線を撃ってきたので、最小限の後退で回避を行う。目の前には、どデカイクレーターができている。


刻蝋値「それじゃ、今度は頭を狙うぜ!」


俺は立ち幅跳びの次の瞬間、高速で全宙を行うことで、放物線を描くようにして魔王へと向かった。テニスをしている人なら、真上にドライブをかけて飛ばされたテニスボールをイメージすれば、分かりやすいか。


魔王「フン! 地上まで殴り飛ばしてくれる!! ゼアッ!!」


魔王は空を飛ぶゴキブリなら対応できると踏み、猛ラッシュを繰り出してきたが、俺は逆にラッシュから生まれる風圧を上手く利用することで、地上よりもスムーズに回避・接近する事に成功した。


魔王「ぬおぉおーー!!」


焦りがピークになった魔王は、雑な2連打を放ってきたので、すかさず下側の両腕で下方へと反らした。そして、


刻蝋値「ソニックジャブラッシュ!! オラオラオラオラオラァ!!」


俺は拳に体重を殆ど乗せない代わりに、限りなく全力ストレートに近い速度が出るようにジャブの暴風雨を打ちまくった。……あることを狙って。


魔王「速いが、あまりにも軽い! 大破壊砲…………ぬぅ…………? …………か、体…………が、………………動かん…………」


刻蝋値「かかったな。魔王、あんたはちょくちょく気絶してるんだよ。速度に優れるジャブは、脳へ確実に衝撃を伝える。軽い一撃だからって、侮ったら痛い目見るぜ! オラッ!!!」


俺はジャブを連打することで獲得した勢いを、ラストの一撃にすべて込めることで、マッハ6のスーパーソニックストレートをお見舞いした。


魔王「グオオオッ!!」


その威力は体重約25tはあるであろう魔王の体を意図も容易く10メートル程吹き飛ばした。


刻蝋値「魔王さんよ、今度来たときはもっと楽しめるよう、鍛えといて…………ん?」


俺は吹き飛んだ魔王の体から、どす黒く、禍々しい光が放たれていることに気づいた。


"アルティメット・デストロイ・ブラストモード"


刹那、魔王が俺の反応速度基準で素早く距離を詰め、拳を振るってきた。


刻蝋値「う!!!」


俺はとっさに全ての腕でガードしたものの…………


刻蝋値「おおおおおおおおーーーーーーーー!!!!」


マッハ3位で後ろへ弾き出された。


魔王「逃がさん! 迫神剛脚!!」


更にマッハ8で迫り来る飛び蹴りを食らい、更なる速度で吹き飛ばされてしまった。


刻蝋値「野郎。メタモルフォーゼ・ケンタウロス!!」


これに燃えた俺は、人馬形態へと変身し、更なる追撃に備える。


魔王「神破豪速拳!!」


マッハ8.5にも迫る、猛スピードの拳に対して俺は、


刻蝋値「グッ…………オオオオッ!!!!」


俺は敢えて顔面に一撃を食らい、その威力と4本脚の震脚を合わせた超威力の発勁(寸勁)を魔王に食らわせた。


魔王「ごぶあっ!?」


1m程、魔王の体重移動に運動量を持っていかれたが、概ね魔王の内蔵にダメージを通せたらしく、かつてないほど吐血をしている。


刻蝋値「オラァ! 寝てたらいつまでもやられっぱなしだぞぉ!!」


俺は震脚を用いた寸勁を連発し、魔王を攻め立てていく。


魔王「舐めるな! 神破砲!!」


大きさは破壊砲と変わらないが、エネルギーが10倍以上に膨れ上がった破壊砲を食らってしまった! 甲皮にヒビが入るとは、中々侮れない威力だ。


刻蝋値「うおおおお!!」


魔王「オラオラオラオラオラァ!!」


マッハ7.5の速度で迫ってくる俺に対し、魔王は神破壊砲を連続で撃ってくるので、速度を落とさずそれを避けながら間合いを摘めていく!


魔王「神破連拳!!」


恐ろしい速度の連打…………になる前に、最初の一撃をスレスレで回避した俺は、


刻蝋値「ハイパーソニックナックル!!」


魔王の2撃目が始まる直前に、マッハ10…………極超音速まで加速し、空気の電離によるプラズマを帯びた拳を魔王のみぞおちにねじ込んでやったのさ!!


魔王「ごぷ………………ガクッ」


魔王はそのままマッハ7位の速度で吹き飛んでいき、地に落ちても転がり続け、幾つもの構造体を破壊しながら、最終的には15km程離れた地点で停止し、変身が解けた姿で気絶していた。


~10分後~


刻蝋値「魔王、生きてるかー?」


魔王「う、ううう…………? 俺は…………負けたのか?」


刻蝋値「ああ、正直完勝とは言えないが、俺が勝ったぜ」


魔王「そうか…………まさか本気の拳を全て返されるとは思わなかったぞ」


刻蝋値「あれな、発勁っていう技なんだよ。脚の踏み込みだの相手の拳だので、自分に向かってくる運動量を全て攻撃に乗せて、相手に伝える技だ」


魔王「…………成る程な。貴様はもう我ではもの足りなさそうだな」


刻蝋値「いいや、もう何戦かは相手してもらうぞ。魔王、あんたも鍛えるんだよ。最後のお互いギリギリの戦い、楽しかっただろ?」


魔王「…………言われてみれば、以前の貴様との最終戦…………更に過去の勇者アレスとの激闘、そして今回の最終ラウンド。面白い戦いは、いつもお互いどちらも勝ち、負けかねない状況であったな」


刻蝋値「な? 俺はこれからも強くなり、ますます対等に戦える相手がいなくなると思う。だけど、すぐには強くなれないはずだから。魔王、あんたが強くなって、俺と熱い戦いをしてくれよ!」


魔王「はっはっは、良いのか? 貴様より強くなり、勢い余って貴様を殺してしまった暁には、我が人間の都市を滅して平和を破壊するかも知れないのだぞ?」


刻蝋値「俺は死なねぇし、負けねぇ! それだけだ」


魔王「フン、貴様はそうでなくてはな。我を2度も倒した褒美…………ではないが、一筋の希望をやろう」


刻蝋値「わくわく♪」


魔王「…………ここより遥か遠き場所。太陽の向こう側…………あるいは、太陽の反対側に強き生体反応を感じる」


刻蝋値「ああ? なんかややこしい言い方だな…………」


魔王「フン、遠すぎるから、現存の生物では行けぬ場所なのかもしれない。強きゴキブリ、貴様の力を持ってしてもだ」


刻蝋値 (待てよ? 太陽の向こう側とか反対側って…………別の星か? だとしたら確かに行けねぇな)


人馬形態の俺の背では、団員たちもどこを指しているのか議論しているが、答えが一向に出てこないようだ。


刻蝋値「…………まぁ、分かったよ。いずれどうにかして行ってみるわ。魔王、あんたにも1つ、退屈しのぎの作り方を教えてやるよ」


魔王「…………ほう?」


刻蝋値「ここに来る客人は、殺さず、それでいて圧倒的な力で叩きのめし、悔しさを与えろ。…………いつかあんたに復讐すべく力を蓄えて、再び来るはずだ」


魔王「…………承知した。実践してみよう」


こうして俺らは2度目の別れを行い、俺たち義賊団は砂漠で一夜野宿を経た後、砂漠の町へと帰還した。


刻蝋値「なんか、あっという間だったよな!」


俺は新開発されていた棒つきキャンディを咥えながら、仲間達に話しかけた。


パール「ええ、だけど凄く成長出来たと思う!」


ルビー「スパーリングの手合わせしたら、ダイア様驚くかしら?」


エメラルド「上手くいけば一勝くらいできるんじゃない?」


ニクス「がうぅ~ゴロゴロ…………」


刻蝋値「新しい仲間の紹介もしたいし、早いところあいつらを…………ん?」


俺は妙に黒い格好をした四人を見つけた。装備的に、戦士、魔法使い、僧侶、武道家か。


エメラルド「どこ出身の人たちかなぁ? 遠路はるばるご苦労だね」


エメラルドの発言のニュアンスは、日本にアフリカ出身の黒人が旅行で来たのを見かけたときに近いだろう。


刻蝋値「んー…………しかしこう…………なんか既視感のある連中なような…………」


???「あ、ろうちだ!」


ん? 今ダイアの声がしたぞ?…………えっと、あの黒い四人の方か…………ら


黒い四人が振り返った瞬間、俺は棒キャンディを落としてしまった。


ガーネット「ローチ! 戻ってくると思ってたぜ!」


あの四人が船に残してきた義賊団のメンバー達だったことは問題ない。だけど…………


アメジスト「あれれぇ? 蝋値様どうしちゃったの? お顔赤いし」


問題はその格好だ! なんだそれは! それじゃあまるで!!


マリン「あ、この格好ですか!これはね、刻様をモチーフにした英雄スーツという服なんですよ。魔王を倒した英雄として、刻様をリスペクトしている仕立て屋さんが…………」


刻蝋値「うおおおおおーーーー!!! お前ら可愛すぎるだろーーーーー!!!!!」


ゴキブリ人間(女性)じゃねぇかーーーーー!! やべぇ! あまりにも可愛すぎて直視できねぇレベルだ!!


ガーネット「おいおい…………そんなに気に入ってくれたのか…………?」


ダイア「全身網タイツ1つでこんなに…………」


刻蝋値「ニクス以外の義賊団全員に告ぐ! ゴキブリタイツを買ってない団員は今すぐ購入しろ。経費は俺が出す! そのあとラブホへ直行だ!!」


3人「!?!、はい!!!」


3人は物凄い速さで服屋へと駆け込んでいった。ニクスは不思議そうな目で彼女らを見送っている。


ガーネット「あーん、ローチィ。そんなにこの姿、好きなのぉ?」


ゴキブリ人間姿のガーネットが俺の腕にまとわりついてきた瞬間、俺は鼻血を大量にぶちまけてしまい、ラブホで目覚めるまで気絶してしまったのさ。


第27話 お次は遊牧の大地へ行こうか!に続く。

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