第２５話
普通の勇者パーティーなら、大真面目に戦うはずの魔王戦だが……
第２５話 俺もうずいてきた！魔王、俺とも戦え！
ニクス「ガオオオオ！！」
ニクスは雄叫びと共に魔王との距離を詰め、鋭い爪で切り裂いてから直ぐに距離を取った。
魔王「素晴らしい、竜爺にとどめを刺しただけあるな」
万全の状態である自身の腕に、切り傷をつけたことを感心しているようだ。
エメラルド「ダーディーラッシュ！！」
相手のあらゆる能力を一定確率で低下させる連続斬撃を放つ。
魔王「効かん…………が、守備力と反応速度、魔力の質が落ちたか」
パール「メテオストライク！！」
魔王の皮膚に、槍が刺さった！
魔王「ぬう、裁縫針程には痛いな」
パール「流石魔王ね、守備力を下げられてなお、その固さ…………」
ルビー「言うことを聞かせるまで！ 恐怖の一撃！！」
始めにニクスが着けた傷に向かって鞭を当てた。
魔王「傷口に当たれば、流石に少し痛いか」
ルビー「大きなワンちゃん、おすわり」
少しでもダメージが入れば調教可能なため、魔王は反射的に犬のような姿勢で座り込んでしまった。
魔王「わn…ぬあ！？ 我は何をやっとるんじゃーーーー！？！？」
すぐさま自分の醜態に気づき、立ち上がろうとしたときにはすでに遅い。
ニクス「グァルルルルァ！！」
ニクスのハイパー猫キックで腕の傷を更に抉られ、
エメラルド「ダーディーラッシュ！」
エメラルドのダーディーラッシュで能力を更に落とされる。
パール「巨獣刺殺！！」
そこへ、パールの巨獣刺殺が、傷口にクリーンヒットし
ルビー「恐怖の一撃！」
ルビーの恐怖の一撃が間髪入れずに入った後、
ルビー「ワンちゃん、伏せ！」
魔王「うぐぅ！…………わん」
ルビーの謎の指令に逆らえず、隙を作ってしまう。このようなやり取りの繰り返しで義賊団員が、一方的に攻めていった。
ルビー「ワンちゃん、チンチ……わーーーー！ しまって！ しまってえええ！！！」
刻蝋値 (おいおい…………何やらせてるんだよ、見たくねぇもん見させるようなことを指示しやがって。魔王が哀れになってきたぜ…………)
ルビーがちょっとした指示のミスのせいで、一瞬だけおぞましいモノが現場に現れ、呆れた刻蝋値とおぞましさを理解できないニクス以外の全員の顔が一気に赤くなった。
魔王「ぬうううー！ 我に恥をかかせおってーーー！ 怒ったぞおおおおおお！！！！」
魔王が遂に洗脳を打ち破り、ルビーに向かってマッハ１.５の拳を振るう！
パール「させない！ うぅわ！！！」
盾を構えたパールが間に入って受けるも、半分ほどHPを持っていかれた。
ルビー「スーパーヒール！」
すかさず中級回復魔法でほぼ全回復した。
ニクス「！！ グアオォーーー！！！」
ルビーに手を出そうとしたことで、怒ったニクスが全力の２連続切り裂き攻撃、タイガークローを魔王の腹に命中させる。
魔王「ヌガァッ！！」
ニクス「ニ"ャオ！！」
何気に有効打となったが、魔王が発生させた風圧でエメラルドの方へ吹き飛ばされ、連携が崩れてしまった。
魔王「貴様らは、せこく狡猾だが、ゴキブリの次に我を苦戦させた強きハエどもと認めてやる！！破拳衝波！！！」
マッハ５.５まで加速された拳から出る凄まじい衝撃波、義賊団員は全員が成す術もなく戦闘不能となった…………
魔王「ははははは…………少しは楽しませてくれる。…………いや、恥をかかせてくれやがって、やはりハエはハエだな。殺してやる」
魔王は手始めに近くで死にかけているエメラルドに拳を振るった。
刻蝋値「ソニックナックル！！」
間一髪…………いや、このゴキブリからすれば、余裕で間に入り、魔王の拳を当人に跳ね返した。
刻蝋値「いきなり俺の目の前で団員を殺そうとするんじゃねぇ。俺はこれでもコイツらのこと大切にしてるんだぞ。お分かり？」
ルビー「こ、刻蝋値様」ポッ
刻蝋値「ルビー、今度こそ君の出番だ、皆を回復してくれ。ニクス、立てるようになった瞬間３人を担いで、全力でこの場を離れろ」
ルビー「はい！ スーパーヒーリング！」
見方全体に及ぶ、中級回復魔法で粗方回復し、
ニクス「ガウゥ、ニャゴォ！」
ニクスがエメラルドを口にくわえ、ルビーとパールを背にのせて逃走を開始した。
魔王「すまなかったな、貴様の前で仲間を手にかけようとしてしまった」
刻蝋値「あんたは物足りないんだろ？ 俺が相手になるぜっ！ オラッ！！」
俺はすかさず飛び蹴りを放つ！
魔王「ぬおおおお！！」
間一髪ガードした魔王が吹き飛ばされ、後ろの壁を突き抜けて城外に落ちた。
刻蝋値「逃がすか！」
俺は空気を蹴り、一先ず床に足を着けた瞬間、一瞬でトップスピードであるマッハ５まで加速し、今まさに城の庭に着地しようとしている魔王へと距離を詰めた。
刻蝋値「キネティック・ナックル！！」
魔王「破王拳！！」
両者の拳がぶつかり合い、凄まじい衝撃波が巻き起こるも、魔王が押し負ける。
刻蝋値「フッ、最大の技で来てくれよ！」
魔王「何を！！ 超破拳！！！」
先程団員達を戦闘不能に追いやった技を直接当てようとしている。
刻蝋値「スウゥゥ…………テトラパルム・ストライク！！」
対して俺は、４本の腕を構え、4つの掌底打ちを打ってやったのさ。
魔王「グハハッ！ 貴様は以前この技でグハァ！！！？」
そう、以前敵わなかった攻撃で、お前の攻撃を破ってやったぜ、魔王。
刻蝋値「俺があんたに勝ってから、筋トレとか技の鍛練をサボってると思ったか？」
俺はそう言って、体勢が崩れた魔王に連打をお見舞いしてやったのさ。
魔王「ぐおおっ…………ゴバアッ！」
大量に吐血している。ダメージは非常に大きいと見える。
刻蝋値「その姿じゃダメだろうな。第２形態になってくれよ」
魔王「うむ、そうせねば敵うまい。おおおおおおおおおおおおおおお！！！！！！」
辺りに衝撃波が巻き起こり、砂ぼこりが消え去った暁には、１０メートル程に巨大化した魔王が立っていた。
魔王「行くぞ！！」
第２６話 やっぱケンカは楽しいな！に続く。
