第24話
魔王が生きている限り、挑むものは現れる!
第24話 魔王! ちょっとコイツら鍛えてよ!
刻蝋値「あー、暇だなぁ」
俺の名は刻蝋値、ゴールデン・ヴィクトリア号のキャプテン兼料理人だ。…………ここ二日間、海賊や密漁者に会わないから、暇で暇でしょうがない。ん?あれは…………
エメラルド「冷蔵庫の金庫番号は…………」
刻蝋値「おい、何してるんだ?」
エメラルド「うわぁ! コック!…………何でバレたの?」
刻蝋値「足音と、独り言だ。船の食料は、供給されにくいものだから、つまみ食いはよしてくれ」
エメラルド「…………はーい」
エメラルドはとぼとぼと去っていった。つまみ食い位良くないか? と思うだろうが、一度海に出ると、風の流れや並みの流れ次第で、思わぬ長旅になるのだ。そんなとき、飢えたクルー達を押さえつける実力を持った海のコックが、食料管理を行う必要がある。故に、海のコックは船で最強だと言われたりするのだ。
刻蝋値「…………もうそろそろヘルデザート周辺につくのか。魔王は元気にやっているかな?」
と、そこへ
パール「コクロウ、急で申し訳ないけど、魔王城へ連れてってくれ! 私も強くなりたい」
刻蝋値「確かに急だな。いいぜ、エメラルドとルビーも一緒に連れていこう」
と、言うわけで
刻蝋値「メタモルフォーゼ・ケンタウロス!!」
俺は人馬形態に変身し、背にエメラルド、パール、ルビーを乗せた。
ガーネット「行くんだな?」
刻蝋値「おう、約5日で戻る予定だ。できればヘルデザートの海岸に船を停めていてくれ。マリン、料理は頼んだぞ」
マリン「お任せください」
アメジスト「皆頑張ってねー!」
エメラルド「4人も仲良く待っていてねー!」
刻蝋値「じゃ、いくぞ」
こうして俺は、空を飛ぶことで移動を始めた。脚力が増したからか、空中でも時速200キロメートル程の速度が出る。船から十分離れたところで
刻蝋値「町まで急ぐ、海上をマッハ1で移動するが、いいか?」
ルビー「平気ですよ」
パール「私も」
エメラルド「行っちゃえー!」
刻蝋値「よし、行くぜ!」
衝撃波を発生させながら、俺は海を走った。町で食事を済ました後、一旦砂漠で手頃なモンスターを倒すことにした。
パール「はあっ!」
巨大な蛇型モンスターを仕留める。
エメラルド「ポイズンダガー!」
エミュータイプのモンスターに傷をつけるも倒すに至らず、攻撃を回避し始めた。
エミュー「ぐえぅ…………ガクッ」
少しすると、突然エミューが倒れた。毒が回ったのだ。
ルビー「恐怖の一撃! さ、おすわり!」
エミュータイプのモンスターは足を畳んで座った。
刻蝋値「へぇ、ちゃんと調教されたな」
ルビー「ですが、モンスターの場合直ぐに効果が切れるので、一時的な足止めに使うくらいがよろしいかと」
そうこう言ってるうちに、洗脳が解けて襲いかかってきたので、とどめを刺した。
刻蝋値「よし!行k…」
パール「どうした?」
刻蝋値「全員構えろ。右だ」
右を向くと、巨大な猫型の獣モンスターが近付いてきた。
エメラルド「この子、すごく強そうだよ!」
ルビー「あれ…………? どこかで見たような…………」
獣「ガルルル…………グワオォーーーー!!! ガウッ!! ガウッ!!」
パール「っつ! やるしかないか!」
刻蝋値「待て、何かを訴えてるようにも見える! メタモルフォーゼ・ビースト!!」
俺は一か八か、獣形態になることで、コミュニケーションを取れないか試すことにした。
刻蝋値「お前! もう一回話してみろ!」
獣「ワォ! いい男!…………じゃなくて、アタシはそこのルビーと感動のハグをしたいのよ! だからあんたらは退いて!!」
エメラルド「…………二人してガウガウ言ってるけど、何かわかった?」
刻蝋値「…………ルビー、コイツお前の知り合いなんだってさ。本当か?」
ルビー「ああ…………やっぱり!」
1人と1ぴきは、互いに抱きついた。
ルビー「ニクス! こんなところで会えるなんて!」
ニクス「ガウーー!」
しばらくして
ルビー「紹介します、私がメイドになる前の孤児だった頃の家族、育ちすぎたニクスです!」
刻蝋値「よほど仲良しだったのはわかるんだが…………」
パール「育ちすぎたって言うのはどういうことなの?」
ルビー「ニクスは昔、子猫くらいの大きさだったので、育ちすぎたと表現しました」
エメラルド「ええ!? 信じられないよ」
刻蝋値「だよな~、この姿はそれこそ猫型獣モンスター最強のハイパーキャットそのものだしな」
ニクス「その通りだ! アタシの種族は生まれたての頃は子猫サイズなのさ!」
刻蝋値「へぇー、その通りらしい、つーかニクス、人の言葉を理解できるんだな!」
ニクス「楽勝だぜ!」
パール「コクロウが人語と獣語を使い分けてる…………」
エメラルド「なんか理知的で、コックのイメージじゃないよ…………」
ルビー「ニクス、これからまたよろしくね!」
ニクス「がう!」
こうして新たな仲間も加え、早速魔王城まで行った。魔王城がある魔界に行くには、デモンボルケーノの火口へダイビングしなければいけないが、ニクスは1匹で俺につんだってダイビングをした。コイツは根性がある!
~魔王城・城門~
刻蝋値「…………マジで直ってるな。労働基準法は絶対に違法だろうな」
ルビー「この門、ニクスでも開けられなさそうですね…………」
エメラルド「コック~、何とかしてよー」
刻蝋値「任せろ、離れてな」
皆が離れたのを見計らい
刻蝋値「G・ヤクザキック!!」
マッハ4.5のヤクザキックで、城門を破壊した。
刻蝋値「魔王!! 来てやったぞ!! 今回はちゃんと3日で部屋についてやるから! ドラゴンと一緒に鼻ほじって待ってろおぉーーーー!!!」
パール「さっきの技のGはグレートなのかゴキブリなのか…………どちらかしら」
刻蝋値「ゴキブリだぜ!」
ニクス「ガウッ」
それから3日たち
~魔王の部屋の前~
刻蝋値「ドラゴン、久しぶりー!」
ドラゴン「おお、来たか。小さき強きものよ。今回は時間を守れたな、偉いぞ」
刻蝋値「じいさんも元気そうで何より。それじゃ」
ドラゴン「ま、待て! お主とワシじゃ勝負にならんだろ!」
刻蝋値「んなことわかってるよ。コイツらの相手をしてほしいんだ」
ドラゴン「ホッ、よかった」
パール「中々強そうなドラゴンね」
エメラルド「歴戦の猛者って感じ!」
ルビー「微力ながら、回復はお任せください」
ニクス「グァオッガルルッ!」
ドラゴン「フッフッフ、ワシは少し前、ソーンとか言うならず者を軽く捻ってやったことがある。お主ら4人で勝てるかな?ドラゴフレイム・極!!」
炎ブレス最強の技だ!
パール「避けて!」
全員何とか回避した。
エメラルド「先手必勝、ハイポイズンダガー!」
ドラゴン「グハハッ! きかんわい!!」
ルビー「ハアッ!」
ルビーは鞭でドラゴンを縛った。
ドラゴン「なんだこれは?」
ルビー「痺れご注意、エレキバインド!!」
鞭から魔法で高圧電流を流す。
ドラゴン「ぬおおお! そういうことか」
パール「食らいなさい!! メテオストライク!!」
真上から全力で槍を投擲する!
ドラゴン「ぬうっ! やりおる!!…………ごふうっ!? 毒か!」
毒も働き、ドラゴンのHPをそれなりに削ることに成功した。
ドラゴン「じゃがわしが、この古の秘薬を使えば…」
エメラルド「どうなるのー?」
いつの間にかエメラルドがスッていた。
ドラゴン「お主!? いつの間に!!」
エメラルド「泥棒だからねー!」
ルビー「隙あり!エレキバインド!!」
パール「巨獣刺殺!!」
ドラゴン「グオオオ!!」
電撃と、槍の大技で、畳み掛ける。
ルビー「ニクス、お願い!」
ニクス「ガルルルッ!! ガルッ! ガルゥアーーーー!!!」
大きな叫びと共に、ニクスは刻蝋値で言うソニックストライクを放った。
ドラゴン「オグゥオーーー!!!」
ドラゴンは扉を破り、魔王の部屋へと飛んでいく…………
~魔王の部屋~
魔王「お、来たか」
扉を破り、こちらへと飛んでくるドラゴンの姿から、魔王は状況を察した。
魔王「竜爺、お疲れ。しばらくそこで休んでいろ」
片腕で、自身の2倍ほどの竜を持ち上げながら話す。
刻蝋値「よう! しばらくぶり」
魔王「強きゴキブリよ、今日はなにゆえここに来た?」
竜爺を部屋の隅へ置きながら話す。
刻蝋値「コイツらをちょっと相手してほしくてな、頼むよ」
魔王「えーと、相手とは…………戦か? それとも性…」
刻蝋値「戦だ! あんたも色欲魔かよ!?」
…………ここんところ、俺の回りをうろつく連中が色欲魔に見えてきやがる。
魔王「はっはっは! それもそうだな。ではゴキブリの連れのハエども! 我は魔王・デストロイ・ブラスト!! ゴキブリに次ぐ捕食者だ!」
パール「存分にやるわ!」
エメラルド「アタイの技、通じるかな…………」
ルビー「引き続き、回復はお任せください」
ニクス「ガォオオォーーーー!!」
魔王「来い!」
第25話 俺もうずいてきた!魔王、俺とも戦え!に続く。




