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第19話

悪徳と評判の領主が住む屋敷から、金色の船を盗もうと画策した刻蝋値であったが…………

もう1つの小説もそろそろ更新しようと思ってます。

第19話 今夜12時、大海に浮かぶ金色の船を頂きに参ります。


刻蝋値「ふー、ついたついた」


アメジスト「う~、さすがに疲れたよぉ~」


刻蝋値「仕事もねぇし、休みたい奴は休んどけ。俺はアイツを拾ってくるわ」


ダイア「いってらー」


~2つ先の山の頂上~


ガーネット「ハァ、ハァ、…………流石に疲れた」


山をいくつか全速力で越えてきたため、流石の彼女も疲れはてて女座りをしてしまった。


刻蝋値「お、いたいた。アジトに連れてくよ」


俺がガーネットに手をさしのべたと同時に、ハンマーが時速100km超えの速度で頭に命中した。


ガーネット「こぉんの悪魔!! なんであたしだけを置いていったんだ!? そんなに私と楽しむのが嫌なのか!!」


まぁ、それもそうだが、今回の場合は…………


刻蝋値「遷音速(せんおんそく)走行中の人馬形態の俺の脚に近づいただろ? 万一蹴り飛ばしたり踏みつけてしまったら、いくらお前でも重症を負わすことになっちまう。だから今後それだけはしないようにしてもらう必要があったんだよ」


ガーネット「でもよぉ、一人だけ除け者は流石に心に…………グスッ」


刻蝋値「それについてはやり過ぎたと思ってるよ。さ、皆のところに帰るぞ」


まぁ、どう考えても非はお前にあるのだが。とは内心で呟いた。


ガーネット「お姫様抱っこして」


刻蝋値「珍しい注文だな、分かったぜ」


俺は亜人形態の下側の腕で、ガーネットを抱き抱えながら、飛行を開始した。途中でキスなどにも応じつつ、アジトへと無事に帰還した。


刻蝋値「おー、みんな寝てるな」


ガーネット「あたしも寝るね」モグモグ


飛行中に渡したおにぎりの残りを食べながら言ってきた。


刻蝋値「うん、おやすみ」


俺も暫く寝ることにした。


~夜~


ガジガジ……ガジガジ………………なんだこの謎の音は……


目を覚ました俺は、音の正体が俺の手の小指をかじってるガーネットだと気づいた。


刻蝋値 (村で子供達と楽しそうに遊んでいたけど、欲求不満によるストレスは相当らしいな……)


というか、ストレスフリーな時でも寝ながら齧られる時がある。今度昆虫料理を振る舞うかと思った。


いい臭いがしてきたので、厨房へと向かった。


刻蝋値「お二人さん、何を作ってるんだい?」


マリン「刻様!キウウィの鶏ガラスープとスーパーホグジラのステーキ、ハイカーボンライスを使ったご飯、あの商人から輸入した野菜を使った野菜炒めです」


刻蝋値「中々最高な料理になりそうだな。ここからは俺も手伝うぜ」


エメラルド「おお!コックの本領発揮だね!」


刻蝋値「おうよ!」


マリン「あ、ですがスープは私に全てお任せを」


刻蝋値「ん?まぁいいけど…………大変じゃね」


マリン「ご心配なく、フフフ…………」


最後の笑みが気になったが、マリンに限ってミスや悪事は働くまいと思って、任せることにした。


食事中


先程の判断が間違っていたことに気づいたのは、この時だったのだ。


ガーネット「あ、皆おはよー」


パール「おはよう、ガーネット。晩飯の時間だよ」


ガーネット「おっしゃ! 腹減ってたんだ! いただきます!」


すごい勢いで食べ始めてる…………よっぽど美味いらしいから、俺も食べることにした。


刻蝋値「いただきます!」


うん、最高だ!スーパーホグジラの肉は柔らかく、ジューシーで甘味がほんのりとあり、スパイスの唐辛子がいい仕事をしている。その後に野菜炒めや甘~いご飯を合わせると、もう最高だ!口の中の味覚がうるさくなったら、コクのあるスープを飲んで、気分を落ち着かせる。…………あれ?気分がふわふわしてきたぞ?もう一周食べてみるか。…………やっぱりふわふわする。もう一周…………で、食べきってしまった。


刻蝋値「パール、悪いけどスープのおかわり頂戴」


パール「ハイ、どうぞ♪」


刻蝋値「サンキュ!…………(あれ?)」


ここでパールの顔が少し赤くなっていたことに気づいた。


刻蝋値「ま、良いやゴクゴクゴク…………ふぅ、ご馳走さまでした」


食前と食後の挨拶は、マナーだよな。………………おかしい、おかしいぞ! すげえボーッとするし、体が火照ってる。何よりも、俺のマグナムが戦車砲を通り越して、ミサイル発射口みたいになってやがる!誰かが食事に何か持ったんだ!こうなりゃ…………!


刻蝋値「アンテナサーチ!」


食べ終わりの食器を解析だ!


刻蝋値「!、スープから検出されたこの物質、……○薬成分!?」


マリン「ウフフフフフ!」


刻蝋値「マリン!お前なのか!?」


マリン「プアビレッジで狩猟・採集中、偶然見つけてしまったのです」


アメジスト「これを使わない手は無い!★って、その場の義賊団メンバー満場一致で決まったんだよ!★★」


マリン「神に使える僧侶として、これはいけないこと!ですが、愚かな私の心は歯止めが効かず、実行してしまいました!ああ!神よ!この浅ましき獣に成り下がった羊に罰を!!」


刻蝋値「とか言ってるけど…………なんだその嬉しそうでだらしない顔は!!んぐおあっ…………」


不意に横からガーネットにキスされ、地面に押し倒された。


ガーネット「ブアッ!ローチ、あたし我慢しすぎたみたいだ。体のうずきが訳わかんねぇ事になってやがる…………」


パール「ガーネット…………○薬計画を忘れたのかしら?」


エメラルド「仕方ないよ、一番苦しんでいたんだし。アタイももう一度体験しようかな?」


刻蝋値「いや待て! 早まr…あああ! 破くなぁ!!」


ガーネット「ローチも、ハメはずそうぜ!」


刻蝋値(そうだな、5日分溜まってるんだ。俺ももう限界…………特濃性フェロモン発散…………あれ? 何してるんだ俺? まぁ良いや…………)


それからの記憶は無い。直前のシーンは、今までで一番色っぽい顔をした団員達の顔で途切れており、その後は脳が爆ぜ散るかと思われるほどの快楽が、一瞬あるいは永遠と続いたのだから。


次の日


ガーネット「う~ん、よく寝た! おっはよー!」


パール「おはよー! 昨日は最高だった!」


ガーネット「だよな! あんなに積極的なローチは見たことねぇ! 改めて惚れちまったぜ…………」


エメラルド「アタイもスッゴクイイ経験できたよー!」


ガーネット「ああ! やっぱ最高だよな!」


マリン「フフ、神様もきっと喜んでいますわ」


アメジスト「でも激しすぎて、体のあちこちが痛いよぉ~」


ダイア「…………所でろうちはまだ寝てるのか?」


ガーネット「今回は100発以上爆発させたから、多目に見よう…………ぜ?」


ダイア「…………これ、ろうち?」


そこには亜人形態なのだが、干からびたモヤシや乾燥地帯で脱皮した蛇の皮のように、床に張り付いている刻蝋値の姿があった。


アメジスト「ねぇ…………生きてるの?」


マリン「ちょっと静かに!…………大変、心臓の音が聞こえないわ!」


一瞬沈黙が流れ…………


団員達「えええ!?」


皆して叫んだ。


パール「な、何か助ける手段は無いのか!?」


エメラルド「アタイ一匹狼だったから、応急処置のやり方分かんない!」


マリン「心臓マッサージを行います! 1秒に2回のペースで心臓の真上を押します! この際骨折の配慮はしません! 1、2、3、4」


ダイア「マリン! ろうちが硬すぎてマッサージ出来てない! 私に任せろ! おりゃ! どりゃ!」


全力の連続下段突きを放つも、刻蝋値の胸は1ミリすらへこむ気配が無い。


ガーネット「この際強引に行くぞ!アースアッパー!!」


本来はハンマーで地面に衝撃を与え、地盤の隆起によってダメージを与える技だが、直接撃った。


ガーネット「うぉい! マジかよ!? 全く効かねぇだと!?」


パール「退いて!メテオストライク!!」


先日の狩でレベルを上げたことで習得した、槍を地面に投げて、地面にクレーターすら作る破壊力を与える攻撃を放った。


パール「ヒビすら入らない…………」


ガーネット「もういっちょ! アースアッパー!!」


パール「おおっ! メテオストライク!!」


と、これを30回程繰り返した所で


刻蝋値「でべぇらばびじでんだぁ~~!!」


刻蝋値が何事も無かったかのように目を覚ました。


団員達「目覚めた!」


刻蝋値「人をサンドバッグにするとはいい度胸…………」


ダイア「どした?」


刻蝋値「み、水…………水頂戴………………!」


アメジスト「では私の唾液を…」


刻蝋値「ふづうによごぜえぇぇ!!!」


団員達「ヒイッ!?」


…………全くコイツらは何をやってるんだ?昨日の記憶がねぇし、体が全く動かねぇ。


マリン「水10リットルです!」


刻蝋値「ありがと…………ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク!!!!」


ガーネット「スゲェ…………この勢いでキスされたら、舌が千切り食われそうだぜ…………」


おおおっ! 生きかえる! 命の源はやっぱり水だ!!


刻蝋値「だぁっ! 生き返った!! (ナマ)で良いから飯も頼む!」


ダイア「ホラよ!」


刻蝋値「サンキュ! いただきます! あぐあぐもぐっ!! ご馳走さまでした!!」


エメラルド「早っ!?」


マリン「男の子って凄い……」


アメジスト「どっちかと言うと、ゴキブリの生命力が凄いんだと思うよ」


パール「成る程、コクロウはゴキブリなのか!」


刻蝋値「ふぅ~、今日を休みにして正解だった。皆、悪いけど体が動かねぇから、介護よろしく」


ガーネット「ああ、昨日は頑張ってくれたもんな! それくらいはあたしらの仕事だ」


刻蝋値「なぁ、昨日俺って何やってたんだ?」


ダイア「あはは、私ら6人相手に無双してたんだよー」


アメジスト「もう、激しくて激しくて!」


パール「ガーネットが惚れる気持ち、すごくわかったよ!」


刻蝋値(いやまて、何か…………とんでもないことしたんじゃね…………?)


刻蝋値「兎に角、何か凄いことしたらしいのは確かだな。マグナムが痛くて痛くてしょうがねぇし、今日はナシで頼むぞ」


ガーネット「冷てぇ事言うなって! 口と腕なら使えるだろ! 流石のあたしも本格的にヤろうとは思わないから、手軽なやり方だけでもやろうぜ」


刻蝋値「…………はぁ、分かったむぐ!」


マグナムを使わない約束を守ってくれただけ良しとして、濃密な休日を送ることになった。


~次の日~


刻蝋値「下見は終わったか?」


エメラルド「バッチリ!後は真夜中に華麗に盗み出すだけだよ!」


刻蝋値「よし、全員に一時解散を伝えてくるぜ」


エメラルド「あ、その前に!」


刻蝋値「ん?」


エメラルドがトランプのカードに何かを書いている。


エメラルド「出来た! 予告状! 折角だから届けてよ!」


刻蝋値「ま、面白そうだしやってみようか。これからゴキブリになるけど、潰さないでくれよ? メタモルフォーゼ・解除!」


俺は普通のゴキブリ形態になった。


エメラルド「これがコックなんだなぁ…………」


エメラルドは、先程の四本腕ゴリマッチョが変化したゴキブリを不思議そうに見ている。


刻蝋値(行ってくる!)


俺は体全体を使ったジェスチャーで、エメラルドに行ってくる趣旨を伝えた。


~メイド・バトラーの部屋~


刻蝋値(さて、予告状置いたし帰るか。…………ん?)


家主「こんの役立たずが!!」


メイド「キャアッ!」


家主がデッキブラシで可憐なメイドを殴る場面に遭遇した。


刻蝋値(うわぁ…………この世界で体罰を見ることになるなんてなぁ…………あの家主、噂通りのクズっぽいな)


メイド「申し訳ございません!ご主人様!」


回りのメイド・バトラー達「クスクス……」


家主「こんな不味い紅茶を入れるとは…………お前はどんな教育を受けてきたんだ!? …………罰だ、教育してやる。これの掃除方法から教えてやるよ」


メイド「ヒッ!?」


刻蝋値(嘘だろ……!? あの野郎! あんな汚ぇ小径銃をマジで…………!? あれは頭おかしい! 絶対に止めるぞ!! うおおおおーーーー!!)


俺は全速力で走り出した。ゴキブリ形態といえど、度重なるレベルアップに筋力トレーニングの成果が合わさり、チーター並のスピードを出せるようになった。


刻蝋値(嫌がらせ必殺・体表這いずり回り!)


クズに良いように扱われている奴を助けたい! クソ家主を少しでも苦しめたい! 汚い小径銃を見たくない! こんな思いを胸に、家主の身体中を走り回った!


家主「あ? なんだぁ? うわぁーーーーー!!! ゴキブリだあーーーー!! 助けてーーーー!!!」


メイドたち「いやああ!! バトラー! 何とかしろ!」


バトラー達「お前らも働けよ! ご主人様、無礼をお許しください」


そう言いながら、這いずり回る俺を捕まえようとするが、遅い、遅い。家主に気を使っているコイツらの腕なんざ、目を瞑っていても避けられるね。


家主「役立たずどもぉ…………さっさと…………ガクッ」


刻蝋値(よし、次はバトラー共を誘導するか)


俺は家主から降りて、別の部屋へと走っていくと、案の定バトラー達は踏み潰そうと躍起になって追いかけてきた。


偉そうなメイド「あたしらでご主人様を運ぶわよ。ルビー、あんたは10分以内にこの部屋を掃除しなさい。ホコリ1つ落ちていたら、鞭打ち10回よ」


取り巻き「お? 以前の5倍ですか! ルビーの叫び声って癖になるんですよね~!」


笑いながら去っていった。


ルビー「ヒグッ…………グスッ…………うっ……ううう………………」


刻蝋値(戻ってきてみれば…………何とかしてあげられないかなぁ? オーイ!)


ジェスチャーで反応を確かめる。


ルビー「うう…………あら?まだゴキブリさんが。申し訳ありませんが」


潰す気だと思ったので、メタモルフォーゼ・ヒューマンで亜人形態になった。


刻蝋値「無闇に命を奪っちゃダメだろ?」


ルビー「え?キャ……!…………!!」


刻蝋値「俺はさっき家主を気絶させたゴキブリだ。ゴキブリと言っても特殊な能力を持っている。…………今はこれで納得してくれ」


ついでに偽装フェロモンで人っぽい雰囲気を出すことにした。


ルビー「ハァ、ハァ…………心臓が止まるかと思いました。貴方は一体何者ですか?」


刻蝋値「俺か。俺は黒狼血義賊団団長の刻蝋値だ」


ルビー「最近大陸中を騒がせているあの…………!ヒュージシティでは勇者と国王に無礼を働く一方、山賊退治や辺境の広く知られない村の発展に寄与する善行も働く義賊団!」


刻蝋値「そうそう、それそれ。今もこのお屋敷から船を盗もうかと画策してるぜ?」


ルビー「では何故私を助けて下さったのですか?」


刻蝋値「ん、まぁ、理不尽な目に遭ってる女の子を見過ごせなかったから…………かな?後、家主があんな汚いモノを取り出したから、早くしまってほしかったからもあるな。うん、後者だ!」


ルビー「…………私は前者であると思います。もし、貴方と立場が逆だったら、私は自分の無力さを嘆くことしかできませんから」


刻蝋値「…………俺が言うのも何だが、こんなところからはさっさと出ていった方が良いぜ」


ルビー「そうですよね…………身寄りもないのだし、1からやり直すのもあり……ですよね。でも私は! 出来ることなら、あの家主や虐めてきた同僚達に仕返しをしたい!そして、刻蝋値様、その後に船だけでなく、私を盗んでください!」


刻蝋値「!?…………話、もう少し詳しく聞かせてくれるかい?」


~メイド部屋~


偉そうなメイド「あー!やっと汚物の運送が終わったわ!ったく、あの小娘、前に使えてた領主様に飽き足らず、ここの使用人リーダーに取り入ろうとするからこんな目に合うのよ!」


取り巻き「早く鞭打ちの刑に処したいですよね!」


偉そうなメイド「楽しみだよな」


取り巻き2「大変!こんなものが!!」


予告状『今夜12時、大海に浮かぶ金色の船を頂きに参ります。

黒狼血義賊団より』


偉そうなメイド「…………あの汚物を起こすわよ! あんたらはバトラー共に連絡を!」


取り巻き「ルビーは!?」


偉そうなメイド「放っとけ!」


第20話 色々ほしくなったから、ぜーんぶ盗んじまったわ!に続く。

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