第144話
布石は置き終えた……
第144話 キリングギルティーズ
刻蝋値「これより作戦名、キリング・ギルティーズを開始する。皆、覚悟は良いか?」
俺は全員の目を確認し、覚悟ができていることを確認した。
刻蝋値「行くぞ!」
宇宙船、ギルティ・デストロイ号を発進させ、邪悪な宇宙殺戮教団『ビッグクランチ』の討伐に向かった。
~回想~
墓の前で、傭兵団全員が黙祷を捧げている。
刻蝋値「……レックズ、グレイグ、フラン、マーシャ、お前らの敵は絶対に取ってくるぞ。そしたら……安らかに眠ってくれよな…………」
団員を含め、チキュウの死者は100人を超えた。
以前はろくでなしのクソヤロウだったレックズも、団員達の通信で、心身ともにみるみる成長している報告を聞かせられていたのだ。その姿を見て、誉めてやりたかったと思っていた。
ギルティ・デストロイ号
刻蝋値「ライト、奴等の場所は特定できてるんだよな?」
ライト「出来ています。奴等は120億光年先の銀河団にアジトを構えてます。破壊兵器の威力もさることながら、移動手段……そして、この感知能力が厄介でしょう」
そこには霊的物質を元にした、何100億光年先の情報すら、1年程度のラグで感知できるレーダーがあった。
ライト「刻蝋値さんが中性子星に向かったのが、約1年前。奴等は入念に侵略計画を企てていたということです」
刻蝋値「……許せねぇ」
~現在~
ライト「第1作戦開始!」
インフィニティ「ウハハハハッ!! 改造以前から猛威を奮っていた亜光速砲をぶちかませぇ!!!」
熱と瞬間的な衝撃に強い金属で出来た砲弾を、光速の50%で何発も撃つ。
サタン「以前は俺に撃つつもりだったそうじゃねぇか」
インフィニティ「いや~、あれは俺が未熟ゆえの苦肉の作だったといいますか~……」
どうやら元々は、どうしても勝てない最上級魔王に勝つための兵器だったらしい。
ルシファー「それはさておき、そろそろ作戦の真髄が、見れるはずだよ……」
そう、この作戦の真髄は……
刻蝋値「うおおおおおおおっ!!」
刻蝋値自らが飛んでいき、あわよくば単騎で全滅させることだ。
刻蝋値「宇宙警察に問い合わせても、周辺の星々や銀河の民達に問い合わせても、悪い情報しか無かった! 後腐れなく葬り去ってやる!!」
光を蹴ることで更に加速をかけ、まずは光速の90%の一撃で、組織の司令塔を気化させた。
刻蝋値「オラァ!! 頭は蒸発させてやったぞぉ!!!」
殺戮者達「む、無茶だろ……何で亜光速で質量弾が飛んでくるんだよ……!?」
刻蝋値「テメェらに降伏の選択肢はねぇ! 悪事を悔やみながら死んでいくがいい!!」
殺戮者達「逃げろーー!!」
せめてもの情け、チキュウの犠牲者と同じように、一瞬で蒸発させてやったのさ。
~ギルティ・デストロイ号内部~
ガーネット「……次々とクレーターが増えてるな」
アメジスト「蝋値様、本当にただのゴキブリなのかなぁ?」
ダイア「やっぱりあれ、ろうちが増やしているんだよね?」
ニクス「ニ"ャー……」
サファイア「ブルルッ!!」
ラズリ「……亜光速で星を走りながら、光速の9割以上の速度で地面を殴っているわ」
ガーネット「……頭痛くなってきたぜ」
ダイア「右に同じく」
そして……
刻蝋値「ハッチを開けてくれー!」
プレート全てが粉々になった星とは対照的に、無傷すぎる刻蝋値が帰ってきた。因みに、傭兵団の進撃と入れ替わりで、チキュウ進行を行うことは予測されており、スパーク、ラピス、ゴキブリ星人達が余裕で食い止めていた。
刻蝋値「さて、2度とこんなことが起こらねぇようにしねぇとな」
今回のことで、傭兵団の絶対的な信頼は揺らいだ。俺の評判も最悪になっただろう。でも、そんなことはどうでも良いんだ。
刻蝋値「仲間の死は絶対回避だ!」
幾つかの基準を作った。
・基準その1……侵略可能性のある星に、中性子星の環境に耐えうる人員を1名は配置する。
・基準その2……今回取得した奴等の文明の利器・データベースを利用し、宇宙中の知的生命体を把握する。
・基準その3……見つけた星とは出来るだけ早く友好関係を結ぶ。難しくとも、その辺の悪党をぶっ飛ばし、恩を売ってでも結びつける
・基準その4……『『兎に角皆強くなる!!』』
刻蝋値「もう、平和ボケ出来る時代じゃねーんだ。ユニバースグローバル戦争は始まっているんだよ!」
それからは、今回の損害が嘘のように快調に進んだ。
~1年後・とある宇宙船~
俺はタコのような宇宙人と対峙している。
宇宙人「俺は宇宙最強の盗賊、スペーシー様だ。侵入者よ、早速死ねぃ!!」
光速の40%で足を振るってきた。
刻蝋値「ムーンブレイク・ナックル」
光速の99.ウン%……相対性理論により、加速方向の見かけの質量が増した拳で、あっさりとボスをぶっ飛ばした。
刻蝋値「……一撃か」
~更に1年後・とある小惑星~
放送『貴様らの技術で貴様は死に行くのだー!!』
俺らから盗んだ技術を悪用され、全方位から光速の98%で砲弾を打たれたが、俺はバットの形にしたアガートラームですべて打ち返し、大砲、そして遠くから偉そうに砲撃をしていた奴をぶっ飛ばした。
刻蝋値「張り合いねぇなぁ」
それから約1年間も……
~ある時~
宇宙最凶怪物「グギャアアアッ!?!?」
~ある時~
極悪富豪「ごぽぽぉ!?!?」
~ある時~
宇宙テロリスト「がはっ……」
刻蝋値「無事か? ベガ姫」
ベガ「うう……怖かったよぉ~~!」
刻蝋値「もう怖いやつはぶっ飛ばした。安心だぜ。…………」
ここに来て俺は誰にも負けなくなった。邪神アポフィスさんいわく、厳密には殆どの神より弱いらしいが、少なくとも宇宙では負け知らずになってしまった。そして、多少の虚無感も生まれてきた。
~翌日の夜・チキュウ~
刻蝋値「だーかーらー! 俺は誰とも結婚する気はありません! ですから、離れてください!」
ベガ「もぉ~~、そんなこと言っちゃって~~、ダ~リン!」
全身の触手で俺をがんじがらめにしている。
かぐや姫「ムッ! タコの姫よ、こやつの嫁はあたしゃだと決まっておるぞよ! 疾く離れよ!」
もう一人追加でまとわりつかれた。
刻蝋値「助けて! アリアドネ!」
アリアドネ「……フフ、もう少し遊んであげなさいよ」
刻蝋値「そんなぁ~~!」
結局3時間も拘束された……。
スッゲェ疲れた…………。
~寝室~
刻蝋値「……寝ちゃったか」
ベットでは、既にエマが、アリアドネに寝かしつけられていた。
アリアドネ「今夜は3人で寝ましょうよ」
刻蝋値「そうだな」
アリアドネ「もうそろそろで5年、早いものね」
刻蝋値「俺達が出会ってからか。皆見違えるほど強くなったよな」
アリアドネ「誰一人、あなたには及ばないけれどね」
刻蝋値「そりゃあ、目指す先が違うからな」
エマの頭を撫でながら、約束を思い浮かべ、更にその先の想いも浮かべた。
アリアドネ「……ねぇ」
刻蝋値「ん?」
アリアドネ「3時間前に言ってた結婚はする気がないって、本当に……そう思ってるの?」
刻蝋値「……まぁな。俺じゃあ、まともな家庭は築けねぇからな」
アリアドネ「……どうして?」
刻蝋値「…………父親が、ろくでなしだったからだよ。親の影響は無意識下で子を苦しめ、蝕んでいく。間違っても俺は子を持つべきじゃねぇ」
アリアドネ「でも、エマにも、この団の孤児や動物達にも、暴力1つ振るってないじゃない」
刻蝋値「多分、自分の子供かどうかでも違うんだろう。……思い返せばあいつは、騒ぐ小学生の集団にビビっていたよ。ってか何でこんなこと……」
アリアドネ「……分からないかしら?」
刻蝋値「今、わかった。そうか、俺の成人と同時に、結婚したかったんだな…………」
アリアドネ「……親がろくでなしでいえば、多分……私もそう。……だからって、あなたとの縁を諦めたく無いのよ」
刻蝋値「アリア……わかった。考えさせてくれ。ハタチまでに納得のいく答えを出す」
アリアドネ「そう……良い返事を期待してるわ」
エマ「むにゃむにゃ……イチゴのショートケーキ美味しすぎるよぉ…………」
アリアドネ「……私達も寝ましょうか」
刻蝋値「……そうだな」
その後の刻蝋値は、誕生日の1ヶ月前まで、これまでにない激しさで筋トレや、技術練習をしていた。
しかし、それから誕生日の3日前まで、刻蝋値の姿を見たという者は居なかった……。彼が姿を見せたとき、チキュウ、アース、ムーン、ルナ、フレイムスター……刻蝋値とゆかりのある星々、全てに謎の侵略者が現れたのだ。
第145話 最終決戦・現れた宇宙最強に続く。
多分次はキャラ紹介になると思います。忘れてしまった奴とかは入れそびれるでしょう!




