第131話
主人公がおかしい小説を書いてる自覚はあったが、他のキャラの実力も大概になってきたな……
第131話 史上最大のバトルをしに行こうぜ!
刻蝋値「……」
身長が220cmもあるゴキブリ少年が、目の前のVRPC とにらめっこしている。
刻蝋値「……お、返事来た!どれどれ……よっ…しゃあああああっっっつ!!!!!」
突如施設中に響き渡る大声をあげ、大狂乱し始めた。
アリアドネ「うるさいわよ! 何なのy…」
あまりにもうるさかったので、今まさにコーヒー2カップを持ってきたアリアドネが忠告をしようとするも……
刻蝋値「聞いてくれ、アリア!」
一瞬でコーヒーを奪った上、抱きつき……
アリアドネ「キャッ…ちょ、何なn…グビグビグビ……」
動揺した隙に、片方のコーヒーを飲ませ……
刻蝋値「ネットで応募した、サタンへの挑戦が承諾されたんだよ! グビグビグビ!!」
説明するだけしたら、自分もコーヒーを飲み干した。
アリアドネ「ああ、私も参加することになっている、命がけの挑戦のことね?」
刻蝋値「それそれ、けどよ、何も無理に出ることはねぇぜ? 殺されても文句なしの真剣勝負らしいし、サタン城に着くまでなら、メンバーの除外は自由だし」
アリアドネ「何言ってるのよ。私だって、傭兵団に入って半年間、鍛え続けたのよ。以前より、腕は格段に強くなったわ」
刻蝋値「まぁな、じゃ、覚悟を決めとけよ」
アリアドネ「ええ」
やぁ、俺は刻蝋値。いつの間にか魔王より強いのが、ゴロゴロ居るようになった傭兵団の団長だ。もうそろそろ16歳になりそうだぜ!
刻蝋値「さて、明後日に備えて訓練でもしようか」
そう、俺は鍛えながら、最上級魔王最強のサタンがすんでいる星、サンデースターをネットサーフィンで検索していたところ、星の座標どころかサタン自らが主催する、殺し上等の真剣勝負を見つけ、応募したのだ。
そして、参加人数を聞かれたので、参加すると答えた奴等と俺を合わせた11人で登録し、今、承諾の返事が届いたのだ。開催日は明後日、参加費はタダ。負けるときは、命の保証無しだ。……燃えてきたぜ!!
~明後日・サンデースターの王宮~
刻蝋値「お初にお目にかかります。シャマシュ国王。サタンへの挑戦状を出した刻蝋値です」
シャマシュ「初めまして、刻蝋値君。まずは、怖じ気づかずに、ここへ来たことを賞賛しよう」
刻蝋値「いえいえ、来るだけなら誰でも出来ますよ。所でシャマシュ王、王とサタンがこうして繋がっており、更には一般に知れわたっているのは、何故なのですか?」
シャマシュ「うむ、サタンが強く、そして高潔故に、先祖代々の王と繋がり、お互いに悪さをせぬよう、監視しておる関係が続いているだけだよ」
刻蝋値「へぇ、この星の歴史を調べた限り、文明の黎明期以降に戦争が無いのも、その関係のお陰なんですか?」
シャマシュ「無論だ」
刻蝋値「1つだけ、身も蓋も無いことを聞きますが、サタンは何故、こんな催しを開催しているのですかねぇ?」
シャマシュ「う~む……恐らくだが…………暇だからだろう」
刻蝋値「と、言いますと?」
シャマシュ「嘗てサタンは星の侵略者の撃退や、個人的に強者と死闘を繰り広げていたのだが、気の遠くなるような年月が過ぎれば、自身に匹敵する強者も居なくなってしまったのだ。故に、このような催しをしているのだと、ワシは思っている」
刻蝋値「……確かに、強いと暇になるってよく聞きますね」
と、その時、バーチャルモニターに映像が浮かび上がった。
サタン「諸君、初めまして。俺は最上級魔王の1人、サタンだ。挑戦状を送ってきた刻蝋値が居るなら、手をあげろ」
黒髪で美形な顔立ちながら、威圧感の強さも出ている竜人の男だ。
刻蝋値「俺ッス!」
サタン「やはりお前か」
刻蝋値「ん? 知っていたのですか?」
サタン「ああ、召し使いが購入したアクション映画に出ていたのでな。少し気になっていたのだ」
刻蝋値「タイトル"亜光速拳"でも見てくださいましたか。うれしい限りです」
サタン「それだ。柄にもなく楽しませてもらったぞ。それと、敬語は要らん」
刻蝋値「そっか。じゃ、本題に入ろうぜ」
サタン「ああ、今からお前達は、俺の城へ来てもらい、組分けを行ってもらう。城へ入った時点で、勝敗が決まるまで抜け出せなくなるから、怖じ気づいた奴はここで待っていろ」
刻蝋値「お前ら、覚悟は良いか?」
全員が首を縦に振った。
刻蝋値「そーゆー訳で、うちは全員命知らずだぜ! 門を開けてくれ!」
サタン「心得た。楽しみに待っているぞ」
シャマシュ「では、こちらのワープゲートを潜るのだ。健闘を祈る」
ホネット「あれ、乗り物で行くんじゃ無いんですね」
刻蝋値「さりげなく高度文明アピール。抜かりねぇよな!」
俺達はワープゲートを潜り、一瞬でサタン城へ到達した。
サタンの声『よくぞ来たな。今からお前達には4つに別れてもらい、それぞれの門の先に居るやつと戦ってもらう。3人グループ3つと2人グループ1つを作れ』
刻蝋値「よーし、だったら……」
グループ1 俺、ルシファー、インフィニティ
グループ2 スパーク、バレット、ファング
グループ3 ラピス、ホッパー、アリアドネ
グループ4 ホネット、ソルトイル
刻蝋値「じゃ、全員勝つぞ!」
俺達は別れていった。
~グループ2~
バレット「こうしてお前と組むのは久しいなぁ、ファング!」
ファング「ああ、ようやく実戦でコンビネーションを生かせそうだぜ」
スパーク「フッ、久々の実戦……か。血がたぎるな。対戦相手が複数なら、最強の奴を俺に寄越せ」
バレット「ったく相変わらず尖ってるなぁ!」
ファング「臨機応変さも大事だぜ? スパーキングさんよ」
スパーク「妙なあだ名をつけるな……相手はお前達か」
目の前には、いかにもパワー系らしき大鬼と、技巧派を思わせる、渋さのなかに幼さが残る顔立ちの鬼が立っていた。
大鬼「よくぞ参った!!己はかつて横暴を繰り広げていたところ、サタン様に思い知らされた鬼! 酒呑童子だ!!」
小鬼「息子、鬼童丸と申す」
スパーク「2人? 3対2では話にならん」
酒呑童子「奥に親父が居る。己らを倒せぬ者が相手にならぬぞ」
スパーク「俺を行かせろ。お前達は後ろの2人で十分だ」
鬼童丸「自惚れるな、祖h…」
誰も気付かぬ間に、スパークの姿が消えた。
スパーク「では、鬼2人を任せるぞ」
更に奥の門を通った。
バレット「おう、バッチリ仕留めてやるぜ!」
酒呑童子「まぁよい、奴と親父、1対1で競り合うなら、己らもそうしようか!」
ファング「面白そうだな、鬼童丸さん、俺と斬り合おうぜ!」
鬼童丸「心得た。相応しき場に案内しよう。着いてこい」
ファングと鬼童丸が場所を変えたのを見計らい
酒呑童子「己らも場を変えるぞ!」
バレット「住居を壊すのは嫌だもんな」
2人もワープゲートで場所を変え、土俵のような場所に降り立つと……
酒呑童子「行くぞ!!」
バレット「オラァ!!」
酒呑童子の巨大日本刀と、バレットの極大剣がぶつかり合い、衝撃波とプラズマ、切断力を持つ旋風が巻き起こった。
酒呑童子「ふん、図体に見合う力はあるようだな!」
バレット「オッサンこそなぁ!」
しばらくは、武器の重さに見会わなさすぎる高速の剣撃が繰り広げられ、剣と剣が互角にぶつかり合う度、旋風が巻き起こり、辺りの建物や地面は砂塵と化した。
酒呑童子「ぬおおおっ!! 暴風山裂斬!!!」
バレット「裂斬剣・デュランダル!!」
お互いに100mずつ離れた後、十分な距離を走って最高速度に到達し、それぞれマッハ800と1200の状態から急停止。その勢いを得物に伝え、最大火力の斬撃を放った!
2人「ぬぅおおおっ!!!」
その衝突たるや、2人が踏み込んだ大地にツングースカ大爆発を思わせる規模のクレーターが生じ、島のプレートに巨大な亀裂を走らせ、交わった武器から放たれた衝撃と熱風・プラズマは、たちどころにあらゆる物を気化・融解させ始めた。
酒呑童子「ヌウゥウン!!!!!」
バレット「グオッ!?」
体格で優る酒呑童子が僅かに力を制し、バレットを彼方へと吹き飛ばす。吹き飛ぶバレットの速度が桁違いに速いので、現在走っている亀裂や気化・融解現象すら追い抜かしていった。
バレット「宇宙に投げ出されて……」
腕に力を込め、
バレット「たまるかぁ!!」
全力で振り抜き、衝突寸前だった2000m級の山を、粉微塵に粉砕した。こうすることによって、自身の運動量を0にし、星に身を留めれるのだ。
バレット「そうこなくちゃな。見せてやるぜ、俺の最強斬撃! うおおおおっ!」
獣形態に変身し、最高速度マッハ2000に加速。酒呑童子がガードした日本刀目掛け、亜人形態に変身したバレットが全力で極大剣を振り下ろした。
その一撃は、刀を容易く叩き斬り、酒呑童子に達し、大地に更なるクレーターを作った。
酒呑童子「ぬぅ……!! 堪えたぞ!」
そうは言うものの……
バレット「刀で減衰させられたって言ったって、大胸筋位斬り飛ばせるだろ!?」
なんと、酒呑童子のボディが頑強すぎて、極大剣が大胸筋の中央付近で停止してしまったのだ。新たに出来たクレーターと比較して、軽傷過ぎる酒呑童子が不気味さを醸し出す。
酒呑童子「ふん!ぬおおっ……」
今まで固めていた大胸筋を、急激に伸ばすことで、極大剣を弾き飛ばし、バレットの体制を崩した。
そして、その隙に何か取り出しながら、超高速回転をし始めた。
バレット「ヤベ…」
酒呑童子「雷鳴怒号撃!!!!!」
マッハ1500で……5tは超えるであろう金棒を振り下ろされては、極大剣は当然砕けるし、バレットも星のマントルまで叩き落とされた上、遅れてクレーターの更新と、衝撃波が伝わってくるのであった。
バレット「ゴブッ!(マントルの味がしやがる……不味い!! だが、こんなに燃えるバトルは久々だな……ぜってぇ勝つ!!)」
圧力を感じさせない速度で上昇していくのであった。
~ファング、鬼童丸サイド~
こちらも飛ぶ斬撃の嵐が舞うものの、動きが幾等か滑らかであり、技を感じさせられる。
ファング「スパーキングダガー!」
お得意の高速斬り伏せは、マッハ500になるまで鍛え上げられている。
鬼童丸「守の太刀・硬重受斬」
対する鬼童丸は、自身の太刀を地面に刺し、気功と魔力の複合技で、凄まじく硬化・加重し、ファングの勢いを利用して真っ二つにする腹積もりらしい。
ファング「っと、アブねぇ……なっ!」
すんでの所で横に避け……る寸前で、ついでで飛ぶ斬撃を繰り出した。
鬼童丸「フム、咄嗟の反応も悪くないな」
不意討ちにも関わらず、鬼童丸は太刀に施した術を解き、普通の高速斬撃で、飛ぶ斬撃を打ち消した。
ファング「やれやれ、俺より厄介そうなカウンター型かよ。どうしたもんかな?」
ファングは基本、攻めてくる相手の動きを利用して、的確に急所を斬るタイプなのだが、鬼童丸も基本的にはファングと似たタイプであり、柔の太刀使いであるようだ。
鬼童丸「読み合いは久しいものだ。父上から学びようが無い要素ゆえ、己を高める良い機会と言えるな」
ファング「奇遇だな。俺も相方が脳筋だから、あんたとの戦いが新鮮なんだ。踏み台になってもらうぜ!」
お互いが飛び出し、流れるように斬り合い始めた!
第132話 極まりし剛と柔に続く。




