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第130話

邪神再び現る!!

第130話 邪神again!!


刻蝋値「ちわぁーーッス! アポフィスさん!!」


ハイテンションなゴキブリに、邪神は振り返った。


アポフィス「来たか、刻蝋値。目を見張る活躍ぶりだな」


刻蝋値「いえいえ、そーゆーアポフィスさんこそ、相変わらずカッケェオーラ出してますねぇ~!」


アポフィス「それは褒めてるのか? それとも……」


刻蝋値「褒めてるに決まってるじゃないッスか! 俺、禍々しいオーラとか、好きなんですよねぇ~」


セネピード「ハハ、君のその感性はちょっと分かんないかもな」


アポフィス「フム、今の発言に偽りが無いことも、お前らしいところだな。さて、本題に入るぞ」


刻蝋値「ワクワク!」


アポフィス「始めにやるべきことを伝えるぞ。新たな技の伝授を行う!」


刻蝋値「おおっ!」


アポフィス「その名も……スピリチュアルキックだ」


刻蝋値「えっと……意味としてはどういうものですか?」


アポフィス「幽霊を蹴るという意味だな。お前がライトキックを使いこなし、そこの幽霊を見れるようになり、気功を習得したことで、新たな可能性を開花させた結果、この技を習得する準備が整ったのだ」


刻蝋値「おー、鍛えた甲斐がありましたよ! でも、その技ってどういう使い道があるのですか?」


アポフィス「実際に役に立つのは、光速以上で移動している時の加速だ。……今はまだ、役に立たん」


刻蝋値「ありゃ、ですが、それなのに習得させようとするってことは、少しは期待されていると捉えて良いってことですよね? メッチャ光栄ッス!!」


アポフィス「ふん、素直な奴だな。まぁ、宇宙を超えるようになったときのための、投資だと思い、集中して理論から聞くが良い」


刻蝋値「っしゃあっ! 早速特訓お願いしますぜ!!」


セネピード(……あれ? 俺、何でここに居るんだっけ?)


迷える亡霊・セネピードを置いてきぼりにし、2人は新技の習得を行い始めた。


~1時間後~


刻蝋値「よっし! 大分コツが掴めてきましたぜ!」


スピリチュアルキックを放つと、霊的物質を蹴ることが出来る。外から見ると、俺の脚に半透明な光がまとわりついているのが見える。


アポフィス「上出来だ。それに、我も新たな知見を得られたぞ」


刻蝋値「と、言いますと?」


アポフィス「この技は、光速以下で放つと、全ての運動エネルギーがエクトプラズムの運動エネルギーに変換されるということだ」


エクトプラズム。技のうんちくを学んでいるときに出てきたのだが、陽子や中性子、電子の材料となる物質らしく、宇宙内外に、無数に存在しているらしい。


刻蝋値「確か、スピリチュアルキック以外の動きでは、エクトプラズムに干渉すら出来ませんよね?」


アポフィス「ああ、衝突すら出来ぬな。エクトプラズムが、そのまま大量に集まれば、そこに居るセネピードのような幽霊になるが、やはり触ることは不可能だ」


刻蝋値「その点、この技は直接干渉が出来る。例えば、指にスピリチュアルな気功を纏わせて、デコピンすると……」


セネピード「いって!!……え!? 痛みを感じた!?!?」


刻蝋値「ビンゴ、幽霊と触れあえるって訳だ!」


アポフィス「フム、お前なら幽霊と触れあうことで、学べることも多いだろう。有効活用することだ」


セネピード(俺って今の説明のために呼ばれたっぽいな……)


刻蝋値「更に面白いのが、全ての運動エネルギーが、エクトプラズムの運動エネルギーに変わるということは、どんな速度のパンチを打っても、大気摩擦が起きないということ。すなわち……」


俺は明後日の方向に、マッハ8000の拳、キネティックナックルを放った。


刻蝋値「現実世界では、運動エネルギー0として処理される。訓練とか、ドラマ撮影のスタントマンになったときとかに使えそうですね!」


アポフィス「訓練……? いや、確かに他者を傷つけはしないが、触れたときの感触が無いから、少し微妙だな」


セネピード「ってか、亜光速のパンチを打つシーンがある映画って何だよ!? どんな世界観だ!!? それと……霊界には大災害が起きかねんから、パンチの先に幽霊が居ないことだけは確認してくれよな」


刻蝋値「ありゃ、表裏一体で損害が出ちゃうのか。臨機応変にいかねーとな」


アポフィス「フム、技術修練は以上だ。最後に今後のアドバイスだが……お前は最上級魔王すら、一撃で倒せるようになった。だが、宇宙全体で見れば、奴等もトップには及ばない……」


刻蝋値「いやー、最後の最上級魔王共々、楽しみですねー!」


アポフィス「だろうな、その最上級魔王についてだが、目覚のついでに調べたところ、今のお前でも勝率が限りなく0であることが分かった」


刻蝋値「……マジ?」


アポフィス「マジだ。だが、鍛えれば直ぐに埋まる差でもある。勇者でも極めた頃には潮時となろう。そして……奴の元にはこれまた強者が集まっている。お前の仲間でも、取り分け強い者達を連れていくが良い。熱き闘いを望めるぞ」


刻蝋値「熱い闘い……俺はそれを待っていました。これからも強者達を制しまくり、神に追いついてやりますよ! アポフィスさん!」


アポフィス「次に会うときが楽しみだな。ではセネピード、奴を元いた場所に戻してやれ」


セネピード「ついてきてくれ」


刻蝋値「おう、ではアポフィスさん、俺は失礼します」


アポフィス「フッ、貪欲に強くなれ、ゴキブリの子よ」


~数分後~


刻蝋値「大分歩いたなぁ」


セネピード「そうだな、アリアドネとは上手くいってるか?」


刻蝋値「う~ん、基本仲は良いと思ってるけど、昨日は事故で浮気を疑われたからなぁ……ボチボチかな?」


セネピード「はっはっは、あんまり不安にさせないようにな。いつもあんな態度してるが、基本的には寂しがり屋なんだ。勝手に死んだ俺の分まで楽しませてやってくれ」


刻蝋値「勿論だよ。本当なら俺の立ち位置には、あんたが立っていた筈だ。……けどよ、今の感じだと、あんまり現世に居られないようだな? 制約でもあるのか?」


セネピード「エクトプラズムの特性上、長く生者に可視化出来ないんだ。週に1度、10分が限度だな。なるべく様子を見には来てるんだが……」


刻蝋値「俺と初めて会ったときを除いて、何回位来たんだ?」


セネピード「今のところ30回程か。その内8割は何故か女湯に現れてしまい……彼女の…………裸を…………な」


刻蝋値「おいおい……アリアが聞いて幻滅するよ。言ってやろうか?」


どこぞの青い狸(あれ?猫だっけ?)と暮らしている小学生みたいなことをしてんじゃねーよと思った。


セネピード「場所を選べないから仕方がない。それにまぁ、言ったことろで、彼女が信じるとも思えないしな」


刻蝋値「ぐっ、それに……浮気疑惑の男の発言なんて、信じるわけ無いよな……!!」


面白いネタが出来たのに、信じてもらえないことがわかり、少々残念だった。


セネピード「さて、このいかにもな社で2礼2拍1礼をすれば戻れる。君と、仲間たちの活躍を祈っているよ」


刻蝋値「ありがとな。また、会おうぜ。この世でも、そうでないところでもな」


セネピード「ああ」


別れを済ませ、俺は2礼2拍して祈り、目を開けてから1礼をした。


刻蝋値「お、戻ってきてる!」


そこはフライデースターの社だった。俺は戻ってきたのだ。


エマ「お兄ちゃん長かったねー。何を祈っていたの?」


刻蝋値「そうだなぁ。強くなれますようにといっぱい食えますようにと皆が俺に貢ぐようになりますように……だな!」


ホネット「ええっ!?」


ホッパー「おいおい……そりゃまたエゴチックな願いばかりだなぁ」


刻蝋値「いや、2つ目と3つ目は、違ったわ」


ソルトイル「つまり……冗談か」


刻蝋値「おう、本当は2つ目までで、その2つ目は、"皆といつまでも楽しく暮らせますように"だぜ! これからもヨロシクな!」


こうしてフライデースターの旅行は終わった。俺達は帰還後、よりいっそう特訓に打ち込み、確実に強くなっていった。


ルシファー「ブラックサンシャイン!」


俺ですら、かなりのダメージを受ける攻撃を、スパークに放った。


スパーク「もらった。滅技・万象一閃!!」


ルシファーの胴体をマッハ1000で左切り上げし、勝利を飾った。


スパーク「ふ、この勝利は大きいな。次はあの男だ」


勿論、俺を見据えている。


そして俺は、前だけ見えるように削った、規格外の大きさを誇る巨岩を背負い、走ったり飛んだり自重(?)筋トレしたりしていた。


~サンデースター~


兵士「サタン様、チキュウという星に、上昇思考が強いゴキブリがおりました」


サタン「上昇思考が強い……ゴキブリ?」


聞いた限り、おかしな発言をしていた従者に聞き返す。


従者「ええ、見てもらった方が早いと思われます」


言われるがまま、パッドを見てみると、2足歩行のゴキブリが、超スピードで連続突きを放っている様子が映っていた。


サタン「……こいつは歯応えがありそうだ。いつか挑戦しに来てほしいものだな」


最上級魔王・サタンは口角を少しあげた。


第131話 史上最大のバトルをしに行こうぜ!に続く。

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