第114話
魔王軍の進軍理由とは……!?
第114話 これが気功を使った拳だぁ……え?
魔王軍の軍隊長「ゾンビ共とスケルトン共が住む村ってのはここかぁ!!」
ソンビ達「ゾンビじゃねぇ! ソンビだぁ!!」
軍隊長「100年前も聞いた台詞だが、ソンビって何だよ!? どう見てもゾンビじゃねーか!! このボロ切れ共!!!」
刻蝋値「うるっせぇなぁ、うちらは気功の修行中だよ。下らねぇ用事ならお茶でも飲んでから帰れ」
戦士「お茶も飲ませてたまるか!」
刻蝋値「お、おう……」
その言葉を聞いた魔王軍は
軍隊長「はっ、生憎うちらは食糧難でねぇ、お茶と言わず何もかも奪ってやるぜ」
お、これは得意分野だ。
刻蝋値「なら俺を連れてってくれよ。農業から獣の解体術、料理まで監修して、バッチリ食糧難を解決してやるぜ!」
軍隊長「何ぃ? 俺達がお粗末だから食糧難になったと言うのか。というかお前誰だ」
刻蝋値「俺か。俺の名は刻蝋値! 人形のゴキブリだ。お前らは?」
軍隊長「俺はメガトングリズリー部隊の隊長を務めているスカーレットだ」
刻蝋値「スカーレットさんよぉ。村を破壊する前に俺が嘘をついていないことを証明してやる」
スカーレット「どうやってだ?」
刻蝋値「この村近辺の獣を数匹狩り、解体・調理して食わせてやる。手際、無駄の無さ、味……何もかも保証するぜ」
スカーレット「わかった。一時間待ってやる。それまでに俺達の舌を満足させられなければ、この村を破壊するぞ」
刻蝋値「あー……それはどうあがいても無理だろうなぁ……」
コイツらは良くてこの村の戦士達レベルでしか無い。ゴキブリ星人やウィント、スパークが居る時点で完全に詰んでるのだ。
スカーレット「何か言ったか?」
刻蝋値「いいや、何にも。それじゃ!」
10秒で獣3匹ノックアウトして持ってきたことで、最初に驚き、奴等にも見えるペースで解体を行って、1分で全工程を終えたことに更に驚き、廃棄予定だった野菜と合わせ、20分で豪華な料理を作ったことに更に驚いている。
グリズリー達「こ、これを20分で作ったのか……!? 野菜だって腐りかけとは思えねぇ!」
スカーレット「料理にそうとう力を入れたと考えると……本来なら5分は早くできていただろうな……」
そう言って、食べようとしたので
刻蝋値「待て、"いただきます"を言え」
スカーレット「……めんどくさくないか?」
刻蝋値「これは食べ物に対する感謝を忘れないために必要なことだぜ。そう言う部分も今回の食糧難に繋がってるんだろうな」
精神的な部分……大切なときは本当に大切だからなぁ。ピンチの時は特に大切だと思う。
スカーレット「……この手際を持つお前に言われたら、ぐうの音も出ない。わかった、それでは……」
全員「いただきます!」
メガトンの名が着くだけあって、とても美味そうに食いやがる。本来飯を作ってやる義理もクソも無いが、こう、美味そうに食べられるとやはり俺まで嬉しくなってくるものだ。
スカーレット「なっっ! 野菜ってこんなにうめぇのか!? 腐りかけとはとても思えねぇ!!」
刻蝋値「だろ? 食ったら直ぐに料理長の元に案内しろよー! 後、多分お前らに号令を出したと思われる魔王の元にもだ」
スカーレット「ああ! そうするぜ! 食糧難解決の暁にはお前とゾンビ・スケルトン・その他の部族とも仲良くするよう努めるぜ!」
刻蝋値「因みに今回の獣3匹等、発生した村の損失は俺が払ってやる。そしてお前らは俺に宝払いとして後から指示する物品を貢ぐことだ」
スカーレット「うむ、覚悟しておく……ご馳走さまでした!!」
全員が食べ終えたので、休息しに来たスパークに皿洗いを頼み(つけ)、俺はメガグリズリー達と共に、魔王達の元へと向かった。
~料理長の部屋~
刻蝋値「……って言うわけで来たんだ。エスカルビーフさん、部下達に今から伝授する方法を教えたら、あんたは結構なヒーローになれるぜ」
そう言って、牛の角と手足を持つ蝸牛のような料理長に、それぞれの食材におけるレシピを書き換えたもの、新しく作成したものを渡した。
エスカルビーフ「こ、これは! 無駄が無さすぎる……一先ず魔王様に満足な供給が出来そうだ……! 感謝するぞ!」
刻蝋値「おいおい、国民第1だろ? ま、狩人共にも指導してやるから、平気か」
~ハンターギルド~
刻蝋値「って感じだ。そこのロングイノジカの解体で練習してみろ」
ドレッド「こうして……あれ?」
獲物の筋肉に沿わない動きでナイフを走らせ、肉の品質を下げてしまった。
刻蝋値「まずいな……ほら、ここに筋があるのが見えるか?」
ドレッド「んー……あ、これか!」
この男、メガグリズリーの上位種である、ギガグリズリーのドレッドは、狩りこそ巨体に似合わぬ速度で圧倒的なのだが、解体が死ぬほど下手くそらしい……
刻蝋値「(ま、だからこそ教え甲斐があるんだけどな)……うんうん、良い調子だ。はい、ストップ。次は何処にナイフを走らせるかわかるか?」
ドレッド「……右? か」
刻蝋値「正解だ。ナイフを走らせる方向が分かんなくなったら考えて、それでも思い付かなかったらすぐ呼べよ!」
ドレッド「おう!」
そして農業従事者達にも一通り教え、再び腐りかけの食材等を料理人達の元へ持っていき、可食部の調理法を教えた後、遂に魔王と対面することになった。
魔王「………………」
刻蝋値「あんたがチューズデースターを治める魔王だな!? 俺の名は刻蝋値! あんたの適当な指示のせいで……んん?」
よくよーく魔王の声を聞いてみると……
魔王「………zzzzz……………zzzzz」
寝てやがる……ので
刻蝋値「オラァ!! グータラ魔王!!! さっさと起きろボケェエ!!!!!」
魔王「騒々しいぞ! 貴様は万死に値する!!」
刻蝋値「やれるもんならやってみろや! 所で何て名前だ? 部下から聞き忘れてたわ」
魔王「……そうか。劇的に飯が美味くなってたのは貴様のお陰だったのか。良いだろう、我が名はベルフェゴール。この星の最上級魔王だ」
刻蝋値「なぁ、ベルフェゴールさん。食糧難も解決したことだし、スケルトン達の村をぶっ壊そうとするのはやめてくれないかな?」
ベルフェゴール「うむ、我等とて面倒なことはしたくない。承知したぞ」
刻蝋値「ありがとう。それともう1つ……これは個人的なお願いなんだが……俺と全力のバトルをしてくれないかな?」
ベルフェゴール「う~む、運動はめんどくさいのだがなぁ……」
刻蝋値「ほら、ゴロゴロしているより、極たまに運動する方が疲れが取れる……いわゆる積極的休養って奴ッスよ!」
ベルフェゴール「言われてみれば、Moutuberのなんじゃらが言っていたかもな。暇だし付き合ってやろう。ただし……負けた奴は勝者の言うことを3つ聞くことだ!」
刻蝋値「良いッスね……ペナルティーは極上のスパイスだ!……それじゃ」
ベルフェゴール「いくぞ!目覚めの破壊光線!!」
中々の威力を誇る攻撃だ。インフィニティ辺りなら一撃で気絶していそうだ。そういや、アイツを誘うの忘れてたな。ま、それはさておき
刻蝋値「影分身! と、煙遁の術!」
忍者の代名詞、影分身と煙遁の術だ! ただし煙遁の術は一捻りしたぜ。
ベルフェゴール「む、煙幕が……これでは見えぬ」
奴の両目近くでも煙幕を起こし、視覚を封じたのだ。俺を相手に音を便りにしていては、動きについていけないから、実質感覚のシャットアウトをしたのだ。
刻蝋値「よっし、あれを試してみるか」
~回想~
スケルトン「良いか。気功は当然攻めにも使える。拳に気を纏わせれば、突きの威力を敵の芯に伝えられるじゃろう」
刻蝋値「んー……発勁みたいなものですか?」
スケルトン「少し違うな。発勁は内臓に伝わるエネルギーとするならば、気功は相手の"気"そのものに伝わるエネルギーと考えると良いかのぉ」
刻蝋値「なるほど~、内臓すら瞬間再生させる奴とかにも有効そうですね」
スケルトン「ああ、星に帰ってからは自ら精進するのじゃぞ」
刻蝋値「お任せあれ!」
~回想終了~
刻蝋値「Mt.B・エナジーナックル!」
俺はマッハ200まで加速させた拳に気功を乗せ、ベルフェゴールを殴り飛ばした。
刻蝋値「うっしこんな感じか。さぁ!まだまだやろうぜ! ベルフェゴール!!」
……
……
……
刻蝋値「あれ?」
俺はワナの前提で、進んでみた。
刻蝋値「おいおい、寝るのは無しッスよ」
寝て……いや、これは
刻蝋値「え……死ん…気絶している?」
第115話 3つの願い事に続く。




