第113話
おはようございます。今日はもう1話書きたいと思います。
第113話 亜光速の壁を……突き、破ってやる!!
刻蝋値「必殺!キネティック・ストライク!!」
俺は獣形態になり、素でマッハ700に達する一撃を繰り出した。
ネルガル「うむ、良い動きだ。これならどうじゃ?」
ネルガルはマッハ1000台の連続攻撃を仕掛けてきた。
刻蝋値「おおおおっ!」
ネルガル「ほう、無傷か。む…」
刻蝋値「ここだぁ!」
小さいとき、かつ真空であれば、マッハ1000は遅いくらいの速度であるため、ネルガルの動きを認識しながら肉球で殴り飛ばすことに成功した。
ネルガル「ヌゥッ! 殴られたのはいつ以来……」
刻蝋値「ボーッとしてんじゃねぇッス! キネティック・ドリルストライク!!」
既に大気圏を突破したネルガルに向かい、螺旋回転を加えたマッハ800のタックルを食らわせた。
ネルガル「ほほう!」
刻蝋値「バックして威力を殺されたか……だがここなら……サイズダウン!」
俺は3分の1程のサイズになった。
ネルガル「……良いのか? そのサイズだとワシの一撃が通るぞ?」
刻蝋値「承知の上ッス! 行くぜ!!」
出始めにマッハ2500台の連続突進を繰り出した。
ネルガル「ぬっ! くっ! ゥオッ! 速いっ!」
ネルガルは俺の攻撃を避けはできているが、"ギリギリ"な感じが否めない。
刻蝋値(思った通りだ。あまりにも速すぎる自身に対し、匹敵する速度を持った相手との戦闘経験が少ないんだ。)
そしてそれは、ネルガルに攻撃を当てられなくもないことを意味する。
刻蝋値「キネティックストライク!!」
最高速度、マッハ3000の攻撃だ!
ネルガル「ヌオオオッ!!」
ネルガルには少しカスっただけであったが、質量の差によって、それなりの有効打になったようだ。
ネルガル「ならばワシも本気を出すまで! 行くぞ!」
一直線に超加速した。とてもじゃないが、追い付けない。……まさか逃げたわけじゃ、無いようだ。
ネルガル「亜光速猛進!!」
光の速度の1%、マッハ8800で突っ込んできた!!
刻蝋値(うおおっ!!)
"スキル : 光感尾葉センサー"発動
ゴキブリ特性の空気の流れを感じて敵の動きを察知するセンサー(の光バージョン)が発動し、亜光速に達する敵の動きを"先読み"して回避することに成功した。
刻蝋値「あっっぶね!!!」
ネルガル「……よもや亜光速でも回避されるとはのぉ、ワシ、久々にワクワクしてきたぞ」
久々の高速移動をしたことで、爺さんのネジが外れかけているようだ。
刻蝋値「ど、どんどんかかってきてくださいよぉ!!」
俺も俺で、ギリギリの戦いに身を置いたことで、ネジが外れそうになってやがる……
ネルガル「行くぞおおぉぉーーー!!」
先ほどの亜光速の突撃……の連続バージョンだ。
刻蝋値「防の全力! キネティック・パリー!」
俺は尾葉センサーをフル稼働させ、反射による回避と間に合わない局面で全力の受け流しをすることで、ネルガルの攻撃を全て無効化することに成功した。
ネルガル「おおおおっ! ワシの速さに対応しているだと!? あり得ん!!」
刻蝋値「おおおっ……段々……目が馴れてきた! もっと速く……動けないのですか?」
ネルガル「……ふむ、どうやら全速力を出すしか無いようじゃな。死んで後悔するなよ!!」
そう言って、ネルガルはマッハ8800で遥か彼方へ距離を取り……
ネルガル「アルティメット・ボーンストライク!!」
マッハ10000の突撃を繰り出してきた!
刻蝋値「マジの残像移動……キネティック」
シノビローチの特技、残像を残して(全力)移動する技を使ってみた。
ネルガル「何じゃ!?」
狙い通り、俺に違和感を感じたネルガルの動きに若干の揺らぎが見えた。
刻蝋値「ファング!!」
全速力でネルガルをくわえた瞬間、俺もネルガルの進行方向へ引っ張られた。
ネルガル「なっ!?!? 何をする気じゃ!?」
刻蝋値「放さねえッスよ。しばらく速く走る特訓に付き合って頂きますぜ!」
がっちり噛み合わせており、更には俺自身追従するように光を蹴るので、幾ら亜光速で動こうがそう簡単には振りほどけない。
ネルガル「ぬおおおおおお!!振りきってやるぅぅ~~~~」
ネルガルの加速と同時に、俺も加速されていく。俺とネルガルの相対速度はほぼ同じであるので、ネルガルが幾ら加速しようとも、俺もしっかり追従していき、遂にはネルガルの最高速度マッハ10000まで到達した。
刻蝋値「これがマッハ10000の気色ッスか……あ、そうだ!」
ネルガル「な、何じゃ!?」
刻蝋値「ノーマルサイズや巨大化したときの見え方も知りたいので、少しずつ大きくなりますね。なるべく減速しないでください」
ネルガル「げ、減速も何も、お主がでかくなったらワシの気功による加減速が効かんくなるぞ!!」
ネルガルの言葉を無視し、俺は元の大きさの2分の1まで大きさを戻した。
刻蝋値「うんうん、やはり少し遅く感じるな」
サイズが大きくなるほど同じ速度で移動しても、周囲の動きが遅く感じるものである。ゴキブリが全力で走り、主観的には新幹線の運転席に居るような速度も、人間からすると早歩きレベルの速度しか出ていない事が良い例だろう。
刻蝋値「ノーマルサイズ……2倍……3倍……」
俺のメタモルフォーゼやサイズチェンジは速度を維持したまま行われるので、今もマッハ10000のスピードで移動し続けている。
ネルガル「ぐぬぬぅ……最早王手じゃ。敗けを認めるから離してくれんか?」
刻蝋値「そうッスね」
俺はネルガルを離した。
ネルガル「じゃが、憂さ晴らしはさせてもらうぞぉ!!」
刹那、ネルガルが連続で突撃してきたのだが、俺に当たることは無かった。
ネルガル「なぬ!? 何処に行った!?」
刻蝋値「キネティック・アクス!!」
ネルガル「んなぁ!?」
突如現れた巨大な俺の踵に蹴り飛ばされ、ネルガルはチューズデースターの方へと飛ばされた。
刻蝋値「さて、戻るか!」
俺も可能な限り小さくなり、マッハ5000まで加速して戻った。マッハ10000を体験したことで、亜光速近辺での走り方を学べたお陰で、結構スピードアップが出来たらしい。
~チューズデースター~
マリン「ふぅ……やっと皆さんの回復が終わった…………」
ホネット「お疲れさまです、慌ただしくて大変でしたね」
アリアドネ「あの骨……というかボール……コクローチはちゃんと倒せたのかしら?」
ソルトイル「この男を……容易く気絶させるからな……」
すっかり回復して妹に膝枕されながら眠っているスパークを見下ろしながら言った。
ウィント「気絶したコイツを見たときは、流石にゾッとしたぜ」
と、その時……
スパーク「……来るぞ」
目覚めと同時に音速で上体起こしをしたスパークが、何かの飛来を予感した。
刹那、一同が集まっている場所から数キロ離れた場所に何かが落ち、大地震を起こした。
ホッパー「何だ? 刻蝋値なら多少は配慮するだろう……」
ホッパーが飛来する巨岩を蹴り砕きながら、考える。
スケルトン「多分ネルガル様だよ。あの人も随分とハッスルしているなぁ……」
何やら感慨深げに感想を述べた。
と、その時だった。
刻蝋値「うわぁ……こりゃひでぇや。おーーい! 皆無事かーー?」
閃影「闇影!」
スパーク「奴は倒したのか?」
刻蝋値「降参させた。……んだけど騙し討ち的なことしてきたから、ここに向かって蹴り飛ばした」
アリアドネ「……はぁ、危うく私達が蒸発するところだったわ」
刻蝋値「それについてはマジでごめんな……さてと」
俺はネルガルを回収しに行った。
刻蝋値「ネルガルさん、起きてください!」
ネルガル「ほぁ? 確かお主にぶっ飛ばされて……」
刻蝋値「あー、やっぱり気絶してましたね……」
ネルガル「そうか……よーーし! おお負けはおお負けじゃ! 今からそなたらに気功を伝授する! 村へ来い!!」
刻蝋値「……元気な爺さんだなぁ」
ま、そんなこんなで気功を習うことになったのさ。
刻蝋値「なんか……スッゲェ力が溢れてきやがるぜ」
スケルトン「お主は見た目以上に筋肉量があるらしいな。気功は体が大きいほど量があるのだ。下手をすれば……もうネルガル様と同等の速度を出せるやもしれんな」
刻蝋値「確かに……でも、まだまだ学び足りないのでご指導お願いしますよ!」
スケルトン「うむ、見上げた若者だな。ならば次は……」
と、その時
村の戦士「大変だーー!」
スケルトン「騒々しいぞ」
村の戦士「魔王軍が、襲撃してきましたーー!!」
刻蝋値「魔王軍?」
そう、俺は今の今までここがよくある(?)ハイファンタジー世界であることを忘れていたのだ。
第114話 これが気功を使った拳だぁ……え?に続く。




