第109話
性格の悪い臆病者ってこんな感じなのかなと思った。
第109話 ちょww世間知らずにも程があるだろwwww
マシーヴ「何で……何でお前らは俺のことを嫌っているんだよ……? 俺が一体何をしたって言うんだ……?」
女性「私のことをジロジロ見まくりやがって……お前みたいなのに見られたら、私にあらぬ誤解が埋まれるのよ」
いかにも見た目に自信ありげな女が、マシーヴを蔑んだ目で見ながら言い放った。
マシーヴ「ジロジロって……他の男共だって見ているだろ!」
男「お前だからダメなんだよ」
痩せてる男が自慢げに見下しながら指摘した。
マシーヴ「だから何で俺がダメなんだよ!?」
巨人族長「お主はあまりにもズレ過ぎている。今までは弱かったから、農業などで適度に利用価値があったのじゃが、よもやここまでの力を持っていたとは……」
マシーヴ「ああ、そうだよ! 皆に認めてもらいたかっ」
男「馴れ馴れしく"皆"とかいってんじゃねぇよ!!」
太った男がマシーヴの言葉を遮った。
マシーヴ「なッッ……!?」
女「こいつマジで勘違いしすぎだろ。ダッセー」
宝石をじゃらじゃら着けた女が鼻で笑う。
マシーヴ「……けどよ、今のでお前らに認められることに価値がない事が分かったよ」
斧を握りしめ、全員を睨みながら呟く。
痩せてる男「ハッ! だったらなんだってんだ?」
マシーヴ「お前らを皆殺しにしてやる。今まで俺を苦しめたことを後悔しながら死なせてやる!」
宝石を着けた女「救いようがねぇ! この人数差を理解してないよ!」
族長「皆、奴はワシの鍛練法を無視しているから、持久力が乏しい。ギリギリまで逃げ、疲弊したところをリンチするのじゃ」
マシーヴ「覚悟しやがれええぇぇえぇ!!!!」
斧を全力で振るい、斬撃を飛ばそうとしたときだった。
刻蝋値「ちょっと良いか?」
突如現れた刻蝋値が、マシーヴの腕をロックして動かせなくした。
マシーヴ「あ、あんた……何で止めるんだ!?」
刻蝋値「あんなゴミ共の血でお前の手を汚すのは違うと思ってな」
マシーヴ「けど……俺はあいつらを本気で苦しめたくて……!!」
刻蝋値「分かってる。だから、お前が斧を振るうよりももっと良い方法で実行するのさ」
俺たちの会話を聞いていた奴等が
太った男「アイツ……遂にゴキブリと話始めたし」
高飛車女「うわっ、キモッ! 両方神様の踏みつけで潰されないかなぁ?」
刻蝋値「誰が神に潰されるって?」
痩せてる男「お前だよ! クソゴキブリ!! お前くらい俺がぐちゃっと……潰…………へ………………?」
巨人達に動揺が広がり始めた。俺の巨大化が物珍しいらしく、怯えている。
刻蝋値「さて、お前達がいかに愚かなのかを体現してやるぜ」
太った男「はっ、はぁ? やれるもんならやって」
俺は巨人達に気づかれないよう、独特の歩行でデブの真横まで移動し、2回ほど肩を叩いた。
太った男「何だよ……うわああ!! しねえええ!!!」
慌てて斧を振りおろしてきたので、瞬時に背後に回った。
高飛車な女「うぎゃあああ!!」
俺が避けたことで、斧は高飛車な女に命中した。
太った男「あ、ごっ、ごめ…」
高飛車な女「死ねぇ!! こいつを殺せ!!」
女の悲痛な叫びで一斉に男たちの敵意がデブに向かった。
太った男「えっ……」
痩せてる男「死ねぇ!!」
太った男「うわぁ! 皆やめて…ギャア!!」
その後も俺は、ちょくちょく巨人達にボディタッチを行い、同士討ちを誘発した。
結局は、マシーヴそっちのけで醜い殺し合いが起きただけになった。
マシーヴ「……マジで醜いな」
刻蝋値「な、こんなやつら手を下すまでもねぇのさ」
一応死者が出ないようには配慮したが、生活するのに苦労する程度の怪我は確実に負わせた。
族長「黒い悪魔め……貴様さえ来なければ」
刻蝋値「いやいや、分かってなさすぎだろ……お前らは俺に救われたんだよ」
族長「うぐっ……お前たちなぞ天使様が殺して……あ、あれは!?」
空を見上げると、堕天使ルシファーが佇んでいた。
ルシファー「我が名はルシファー。空より、大地より生命を見守る者」
族長「天使様!この黒い悪魔と危険人物マシーヴ、ついでにそこで伸びてる悪魔を消滅させて下さい!」
俺、マシーヴ、デストロイ悪魔を殺すよう、ルシファーにお願いした。
ルシファー「断る」
族長「な、何故です!?正しき者が苦しみ、悪しき者が罰せられるは道理!」
ルシファー「悪しき者はお前たちだ。全て見ていたぞ。以前より利用していた青年をこぞって追い詰めていた姿、直接恨みのない者を自身の理のため殺生しようとする姿。貴様たちを野放しには出来ん。罰を与えねばな」
族長「それの……何が……いけ」
ルシファー「黙れ。貴様らには2度と天界の見える場所に到達出来ないようにしてやろう。ハアッ!!」
エネルギー弾で、標高10万メートルのマルドゥーク山・中腹を木っ端微塵に破壊した。
上部~頂上までの部分が落下し、麓まで破壊される事になった。
族長「そ、そんな……これでは子供達が成人の儀を行えないではないか……」
刻蝋値「事実上の名無しか~。あんたら大人世代は恨まれるだろうな~~」
族長「巨人族は終わりじゃな……こうなったら」
ルシファー「何をするつもりだ?」
族長「えっ……!?」
ルシファー「よもや子供達を皆殺しにするつもりだったのか? 私は何処からでもお前たちを見ている。もうこの事を忘れていたか」
族長「あ……」
ルシファー「もし、少しでも子供を殺そうとする動きを見せたら、私が何処からでもお前たちの命を奪うぞ。ゆくゆく忘れないように」
そういって、天界へと戻っていった。
刻蝋値「……ま、一件落着で良いかな?runクマ、デストロイ悪魔を担いで地獄に戻ろっか」
runクマ「了解クマ!」
刻蝋値「マシーヴも戻ろうぜ」
マシーヴ「!……ああ」
俺達は地獄に繋がる穴に飛び込んだ。驚く巨人達はガン無視だ。こいつら世間知らずにも程があるだろwwと、内心思っていた。
第110話 神へたどり着くヒントに続く。




