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第1話

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第1話 昆虫マニアの最期


俺の名は(こく)(ろう)()。蝋値って下の名前は、俺の父親がつけたらしい。「ガキなんざ蝋燭(ろうそく)位の価値しかねぇんだよ!」だとさ。いや、マジで意味不明だよな。実際アイツは昔から俺の事を殴ったり蹴ったりしていたから、ひとまず間違いじゃないだろう。ま、小学生のいつだったかにやり返してみたら、これがあっさり勝っちまってなぁ……今じゃあ立場逆転よ!ざまぁねえぜ♪


友達「ローチ!今お前とこのゴキブリ何匹くらいになったんだ?」


刻蝋値「そうだなぁ……1000匹超えたかも」


友達「ウゲェ!流石に俺でも引くわぁ~~!」


刻蝋値「そうか?見た目は可愛いもんだぜ。繁殖させて、ペットや昆虫のエサとしてショップ販売すれば儲かるし、クソ親父がプータローな分、俺は自分の小遣いは自分で稼ぐ!」


友達「そんでもって、ご飯は親父から強奪!か。同情はするが、相変わらずヒデーな」


刻蝋値「お前はまだまともだよ。他の奴に話したら、全面的に俺が悪いっていってくる奴ばっかりだぜ」


友達「それも酷いよな」


刻蝋値「まぁ、こんな話はやめだ。次は俺の得意分野、家庭科の調理実習だぜ!」


友達「コック・ローチ……うまい飯作ってくれよ!」


刻蝋値「当然だ」


~実習中~


刻蝋値「3,2,1……火力マックスだぁ!!」


チャーハンの火を最大まで上げる。


先生「刻君!火を弱めなさい!」


誤表記だらけの教科書を崇拝する家庭科教師が文句を言って来やがった。


刻蝋値「あ?そんな弱火じゃ美味いものも不味くなる!却下だ!」


先生「それはあなたの思い込みです!」


刻蝋値「だったら先生?今まで一度でも俺よりうまい飯を作ったことがあんのかよ?」


先生「…………」


刻蝋値「てなわけで、お前ら!うまい飯作ったから山分けしろ!」


班員達「おおお!これはやばそうだ!ではいただきます!うん、美味い!!ビバコックローチ!」


他班「いいなー……」


刻蝋値「へへへ……」


兎に角、料理人の母さんから学んだ料理は俺の誇りだ!……誇りと言えば、もうひとつある。


~体育~


カキーン!と大きな音をたて、ボールがグラウンドを超えて、田んぼに落ちた。ホームランだ!


友達「いつ見ても、アイツのパワーはおかしいよな……」


~部活動~


刻蝋値「よし!10周終わり!皆ー!頑張れよーー!」


全速力で走りきってやったぜ!


メンバー「アイツのスタミナ……ゴキブリレベルだろ……俺たちまだ4週だぞ……オデなんて3週だよー!」


刻蝋値「センパーイ!練習試合の相手なってください!」


先輩「良いよ」


その後の練習試合では、一方的に刻蝋値が殴り続けていた……


~陸上クラブ~


審判「よーい、ドン!」


一人だけ突出して速い。刻蝋値だ。


記録係「記録、6・0!!」


メンバー達「なに?チーター?ゴキブリ?」


刻蝋値「あえて言うならゴキブリだぜ!」


メンバー達「えー……」


刻蝋値「あれ?不評だな……」


何でだろ?


~ボルダリングジム~


1名だけ忍者のように壁を動き回っている。


オーナー「……ビックリした、巨大黒ゴキブリかと思ったら、黒いジャージを着たローチ君だったか……いつ見ても見慣れないものだ」


まぁ、こんな風に、体力面はすべての能力で優れてるんだわ。素直に誉めてくれる奴とは仲良くしてるけど、やっぱ居るんだよなぁ~、嫉妬して攻撃してくる奴。一番ムカついたのは確か……


~休み時間~


友達「ローチ、登り棒のコツを教えてくれよ。俺も登れるようになりてぇ!」


刻蝋値「よし、グラウンドに行くぞ!」


唯一のマブダチと、さぁこれから遊ぶぞ!と思ったその時、俺に無数のトマトが命中した。


悪ガキ1「あははぁ~~!真っ赤っかー!」


悪ガキ2「なぁ、ゴキブリって英語で何て言うか知ってる~?」


悪ガキ3「コックローチだよね~?」


悪ガキ2「赤いゴキブリを訳すと~?」


悪ガキ1「レッドローチ!」


悪ガキ2「そう、虫の餌にしかならねぇクズだ!」


悪ガキ3「今のお前が正にそれ!」


悪ガキ1「名実ともに」


悪ガキ2「そのまんま~~!」


悪ガキ達「ギャハハハハハ!!!!」


刻蝋値「てめぇら……」


クズ共の愚を極めた所業により、怒りが頂点に達した俺は、悪ガキ1の顔面を全力で殴り飛ばした。


女子「キャァアアア!」


真理を見抜けない能無しが、やはり何かを喚き散らした。


刻蝋値「これがてめぇらに粗末にされたトマトの分な」


悪ガキ達「え……?」


あいつらがビビって動けない内に、悪ガキ3の脚に全力の蹴りを叩き込んだ。蹴ったときの感触や音からして、骨を折ったのだと思う。


刻蝋値「取り敢えず、これで俺の分はチャラだ」


悪ガキ2「あ、あ?だったらもう終わりだよな……?」


怯えながらなにかを確認しようとしていたので、腹を連続で殴ってから膝蹴りを顔面に2、3発入れた。


刻蝋値「てめぇらにけなされたゴキブリ達の分だ。流石にこれで懲りてくれると良いけどなぁ……無理か」


俺は半ば諦めて、学校を去った。母さんに何て言おうかとか考えていたら、ダチがやって来た。


友達「よ!俺も学校つまんねぇから抜け出してきたわ。俺んち寄ってく?」


刻蝋値「ああ、邪魔するぜ」


やはり、コイツだけは他とは違う。俺はダチの優しさに改めて感動を覚えた。そして暫く歩いた。


友達「いやー、凄かったわー!本当に血とトマトで赤くなってたからなぁ……まぁ、レッドローチって言われても、あれじゃあ仕方ない」


刻蝋値「ま、悪意がなけりゃあそれでもいいんだけどな……オイ」


友達「ん?」


俺は交差点の真ん中を歩くゴキブリを指差した。


友達「ゴキブリじゃねーか!ゆっくり観察したいけど、車道が青になりそうだからやめとけ」


刻蝋値「いや、観察するわ」


うん、アイツはぜってぇかわいい筈。ダチには悪ぃが観察タイムだぜっ!!


友達「は?何言ってっわーーー!車来てるーー!!!!」


刻蝋値「え?」


ダチの悲鳴が響いたと同時に、突如目の前が真っ暗になった。


第2話 オイオイ、この姿って!?に続く。

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