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風嘉の白龍 〜花鳥風月奇譚・2〜  作者: 緋影 あきら
5/12

ー蒼狼と銀鷲ー

その日 風嘉(フウカ)皇城(おうじょう)である『白瑤(ハクヨウ)城』に、東方領より(ハク) 須嬰(シュエイ)が戻ってきていた。

まだ後任も決まっていないため、正式帰還ではないものの、南方領の視察前にどうしても須嬰(シュエイ)を中央に戻しておきたいとの(レン)意向(いこう)により、急遽(きゅうきょ)呼び戻された形となる。

一ヶ月半ぶりでの皇都(おうと)帰還であったが、相変わらず須嬰(シュエイ)は武人らしく威風(いふう)(どう)々とした(たたず)まいで、見る者を圧倒する迫力を放っていた。

その彼が自ら膝を折り、謁見(えっけん)()玉座(ぎょくざ)に座る(レン)に対し臣下の礼を取る姿は、ただそれだけで間接的に(レン)の皇帝としての権威(けんい)を周囲に知らしめている。

そして誰もが聞き()れるほど(ろう)々と響く声で、須嬰(シュエイ)(レン)に対し、帰還の口上(こうじょう)()べた。

「陛下の(めい)に従い、(ハク) 須嬰(シュエイ)、ただ今 皇都(おうと)に帰参致しました」

「長旅ご苦労でしたね、須嬰(シュエイ)。東方領に変わりはありませんか?」

「はい、陛下が花胤(カイン)国より鴻夏(コウカ)姫を(めと)られた事により、行き来する商隊の数が以前よりも増えているようですが、東方領の兵士達が要所要所(ようしょようしょ)(にら)みを()かせておりますので、表面上は何事もなく…」

「そうですか、それは重畳(ちょうじょう)…」

そう答えると、(レン)はスッと無言で後方に立つ黎鵞(レイガ)に視線をやる。

するとその(レン)の意思を()んだ黎鵞(レイガ)が、素早く人払いを行い、その場には皇帝である(レン)と宰相 () 黎鵞(レイガ)、内政官 (コウ) 牽蓮(ヒレン)、そして将軍 (ハク) 須嬰(シュエイ)の四名だけになった。

それを確認した途端、スイッチが切れたかのように(レン)玉座(ぎょくざ)で盛大に溜め息をつく。


「…毎回の事ながら、ホント面倒ですよね。別にありきたりの報告を受けるだけなんだから、こんな(ぎょう)々しい事をしなくても…」

(レン)、これも皇帝である貴方の務めの一つですよ。こうやって定期的に貴方の権威(けんい)を周囲に見せつける事で、良からぬ(やから)の反逆の意思を未然に(くじ)いているんです。先帝時代に何かしら甘い汁を吸った事がある者は、まだたくさん残っておりますから…」

そう言って、黎鵞(レイガ)が淡々と(たしな)める。

大乱後、(レン)皇位(こうい)()いた際に不正を行っていた官僚、貴族、騎士、神官等の大半は始末されたが、明らかな不正の証拠が掴めなかった者、軽度の不正しか認められなかった者については、『恩赦(おんしゃ)』という形でそのまま継続しその任にあたってもらっている。

それと言うのもすべての官僚を一度に一掃してしまうと、さすがに人手不足や経験不足により国政自体が回らなくなってしまうため、実は苦渋(くじゅう)の決断ではあったのだが、そういった輩には定期的に脅しをかけ続けないと、またいつ同じ事を繰り返すかわからない。

実際せっかく見逃してやったのに、一度覚えた甘い汁の味が忘れられず、公的立場を利用しこっそり賄賂(わいろ)を受け取ったり、国庫から横領(おうりょう)したりする者は跡を絶たず、最終的に後から粛清(しゅくせい)されたという者も少なくはなかった。

そのため馬鹿馬鹿しくはあるのだが、定期的に『璉瀏(レンリュウ)帝に逆らってはならない』と思い込ませる必要があるのである。


「ま、要するに私は、彼等にとって目に見える歯止めと言うわけですか…」

つまらなさそうに呟く(レン)に、更にもっとつまらなさそうな顔をした須嬰(シュエイ)がこう答える。

「それを言うなら私は、そんな貴方の引き立て役ですよ、(レン)?」

「あぁ…まぁそうですよね。まったく面倒な事です。なまじ家柄が良いだけで、使えない奴等が多過ぎるものだから、いつまで経ってもこの茶番を辞められない…」

そう言いながら(レン)玉座(ぎょくざ)から立ち上がり、数段下で控える須嬰(シュエイ)に向かって歩み寄る。

そしてゆっくりと彼の前に膝をつくと、するりと須嬰(シュエイ)に手を伸ばしながらこう言った。

「…いっそ、貴方が皇帝になったらどうです、須嬰(シュエイ)?誰よりも仁義(じんぎ)(あつ)き『蒼狼(そうろう)の大将軍』になら、皆も喜んで従うでしょう」

妙に(つや)のある目でそう言いながら、(レン)須嬰(シュエイ)(あご)に手をかけ、楽しげに彼を見つめる。

それを呆れたように見返しながら、須嬰(シュエイ)は彼らしく生真面目にこう答えた。

「…冗談でも怒りますよ、(レン)?私は武人で、闘う以外の能力はありません。貴方のように民衆を導き、先を見据えて各国と駆け引きをし合うような芸当は出来ません」

「…そうかな?私は君なら上手く立ち回れると思うんだけどね。まぁ…謙虚(けんきょ)なのが君の良いところでもあるのだけれど、過小評価は良くないね。本当に君も黎鵞(レイガ)も欲がない事だ」

フフッと意味深に笑うと、(レン)はそのままスッと立ち上がる。

そしてすぐさま為政者(いせいしゃ)の顔に変わると、後ろに控える黎鵞(レイガ)に視線を送りつつこう告げた。

「さて、今回私がどうして急に君を呼び戻したのか…勘のいい君ならすでに察しがついてる事とは思うけど、改めて黎鵞(レイガ)から詳細説明をしてもらおうか」

「…受け承りましょう」

そう答えながら、須嬰(シュエイ)は改めて自らの厄介な主君に目をやった。




授業の合間の休憩中、後宮(こうきゅう)の庭を散策していた鴻夏(コウカ)は、そこで思いがけない人物との再会を果たしていた。

ふと誰かの視線を感じ、何気なく振り返った鴻夏(コウカ)は、そこに見覚えのある黒髪の武人が(ひざまず)いているのを見つけ、ひどく驚く。

須嬰(シュエイ)!まぁ、いつこちらに戻られたの⁉︎」

須嬰(シュエイ)の姿を見つけた途端、鴻夏(コウカ)は輝くような笑顔を見せ、嬉しげに駆け寄って来る。

男性とは知っているが、どう見ても美しい姫にしか見えない鴻夏(コウカ)に素直に帰還を喜ばれ、さすがに須嬰(シュエイ)も悪い気はしない。

そして彼らしくきちんと礼節(れいせつ)は守りながらも、暖かい眼差しを返した須嬰(シュエイ)は、彼にしては珍しくひどく穏やかな笑顔でこう答えた。

「はい、つい先程。鴻夏(コウカ)様にはご機嫌うるわしく…何よりでございます」

「それはもちろん貴方がお戻りになったからだわ、須嬰(シュエイ)。…お変わりはない?」

「はい、お陰様で…。鴻夏(コウカ)様は以前にも増して、お美しくなられましたね。(レン)(むつ)まじく過ごされているようで、何よりです」

ニッコリ笑ってそう答えると、途端に鴻夏(コウカ)が目に見えて真っ赤になる。

その初々しい反応に、自然と笑みが(こぼ)れるのを感じながら、須嬰(シュエイ)はまるで我が事のように二人の仲を喜んでいた。


ここを訪れる前に、黎鵞(レイガ)牽蓮(ヒレン)からもかなりの(むつ)まじさだとは聞いていたが、この反応を見る限り、確かに二人は予想以上にうまくやっているような気がする。

いつもどこかに消えてしまいそうな、(あや)うい雰囲気を(かも)し出す(レン)を常に心配していたが、先程久しぶりにあった(レン)は、上手く言えないが、どこかが微妙に変わっていた。

よく守るべき家族を持つ事で男は強くなると言うが、(レン)鴻夏(コウカ)という妻を(めと)った事でそうなったのなら、それは喜ばしい変化である。

そして(レン)にそういう変化をもたらしてくれた鴻夏(コウカ)を、須嬰(シュエイ)は純粋に有難く思っていた。

だがそんな須嬰(シュエイ)の気持ちを知る(よし)もない鴻夏(コウカ)は、一人わたわたと慌てている。

久しぶりに会った須嬰(シュエイ)に、(レン)との仲を『(むつ)まじい』と言われ、とても気恥ずかしかった。

正直まだ知らない事だらけの相手なのだが、あの(レン)が自分の事を少しでも想ってくれているのなら、それはとても嬉しい事である。

そしてそんな鴻夏(コウカ)の耳に、落ち着いた須嬰(シュエイ)の言葉が響く。

「先程久しぶりに(レン)にも会いましたが、長い付き合いの中で、初めて心から安心出来たような気が致します。いつも(レン)は自ら死を望むような…どこか(あや)うい所があって、正直 鴻夏(コウカ)様を(めと)ってもそれは変わらないのではないかと危惧(きぐ)しておりました…。しかし今日会った(レン)は、どこかが以前とは違っておりました。おそらく鴻夏(コウカ)様のお陰です」


純粋に嬉しそうに謝辞(しゃじ)を述べる須嬰(シュエイ)に、鴻夏(コウカ)はひどく戸惑う。

黎鵞(レイガ)に自分にしか(レン)を救えないと言われた時もそうだったが、鴻夏(コウカ)にしてみたら別段(べつだん)何も変わった事をした覚えはなく、それを自分のお陰と言われてもまるでピンと来ない。

それもあって思わず鴻夏(コウカ)は、その心情のまま言葉を口にしていた。

「あの…私は何もしてないんだけど…」

事実を告げつつ、鴻夏(コウカ)が困ったように顔を(くも)らせると、須嬰(シュエイ)はそれに対し穏やかな表情のまま、はっきりと首を横に振る。

そして再度繰り返すように、鴻夏(コウカ)に対してこう答えた。

「おそらく…(レン)自身も気づいてないような、(わず)かな変化です。狙ってどうにかなるようなものではなく、知らずに貴女から良い影響を受けた結果でしょう。…鴻夏(コウカ)様、どうぞこれからも(レン)の事を導いてやって下さい。彼には貴女のような方が必要なのです」

今度は風嘉(フウカ)一の武人にそう断言され、鴻夏(コウカ)は再び何も言えずに立ち尽くしたのだった。




そしてその日の夜、久しぶりに須嬰(シュエイ)皇都(おうと)に戻ってきた事もあり、ささやかながら個室での宴が催されていた。

出席者は、今夜の宴の主賓(しゅひん)である将軍 (ハク) 須嬰(シュエイ)、そしてこの『白瑤(ハクヨウ)城』の主人である皇帝 (ソウ) 璉瀏(レンリュウ)、宰相 () 黎鵞(レイガ)、内政官 (コウ) 牽蓮(ヒレン)、皇太子 (ソウ) 泰瀏(タイリュウ)、そして皇后 (サイ) 鴻夏(コウカ)である。

他にも(タイ)の専属侍女を務める燠妃(オウヒ)(レン)の影を務める嘉魄(カハク)黎鵞(レイガ)の影 總糜(ソウヒ)鴻夏(コウカ)の影 暁鴉(ギョウア)なども同席していたが、彼等は宴の参加者というより護衛であり、有事(ゆうじ)に備えて少し離れた場所で控えていた。

そして(レン)が穏やかに宴の開催を宣言をする。

「それじゃ、須嬰(シュエイ)の帰還を祝って…乾杯」

「乾杯!」

いくつかの声がそう唱和し、それを合図に和やかに宴が始まる。

実際顔触れこそ(そう)々たるものだが、元々が気心の知れた身内同士という事もあり、最初から実に賑やかに会話が始まる。

まずはニコニコと愛想良く、牽蓮(ヒレン)須嬰(シュエイ)に向かってこう話しかけた。

「今回はかなり短い期間でのお戻りでしたね、須嬰(シュエイ)様。樓爛(ロウラン)様とも先日、橋の件でお会いしたところなので、何だかお二人とも中央勤めに戻られたような気になりますよ」

「…まぁ確かにこんな短い期間で帰参したのは、東方領に飛ばされてから初かもな。いつもなら戻ったら最後、最低でも一年は行きっぱなしだからな」

そう須嬰(シュエイ)が答えると、その横で黎鵞(レイガ)が穏やかな表情でこう呟く。

「先帝の時代は、もっと長い間行きっぱなしでしたね。私も貴方も樓爛(ロウラン)も、(レン)と連絡を取り合えないよう、それぞれの領から出る事は禁止されていましたし…」

「…え、そうなの⁉︎」

思わずその言葉に()い付いた鴻夏(コウカ)に、黎鵞(レイガ)が困ったように苦笑する。

そして須嬰(シュエイ)がやんわりとこう答えた。


「ええ、まぁ…。先帝が(レン)の武力を削ぐために、私達側近を全員バラバラの場所へと飛ばしたんです。私は東方領、この黎鵞(レイガ)は北方領、樓爛(ロウラン)は西方領へと飛ばされまして、大乱が終わるまでの八年近く、一度も中央へは戻れませんでした」

淡々と語られる内容に、先日 燠妃(オウヒ)が歌ってくれた叙事詩(じょじし)の内容が重なる。

あの歌詞のままに、実際に彼等も東西南北に散らされていたのかと思うと、ひどく痛ましい気持ちで一杯になった。

しかしそれを吹っ切るかのように、明るく牽蓮(ヒレン)がこう告げる。

「でもそれがきっかけで、樓爛(ロウラン)様は西方領でご結婚なさったんすよね?もし西方領に飛ばされなかったら、樓爛(ロウラン)様と奥様との出会いもなかったわけですし、いや、これも立派に運命的な出会いってやつですよねぇ…」

そうしみじみと語った牽蓮(ヒレン)の言葉に、驚くべき単語が混ざっている事に気付いた鴻夏(コウカ)は、思わず感情のままにこう叫ぶ。

「ええっ⁉︎樓爛(ロウラン)って結婚してたの⁉︎」

そう尋ねると、その場に居た全員が至極あっさりと同意する。

「あれ、言ってませんでしたっけ?樓爛(ロウラン)には奥方だけでなく、今年八歳になる娘と四歳になる息子も居ますよ」

「む、娘…?息子も…?」

呆然としながらそう呟くと、(レン)がふと気付いたかのようにこう尋ねてくる。

「そうですか、じゃあもしかして牽蓮(ヒレン)燠妃(オウヒ)の事も、何も話してませんでしたかね?」

「…牽蓮(ヒレン)燠妃(オウヒ)…?」

キョトンとして首を傾げると、その場に居た全員が顔を見合わせ苦笑する。


まったく繋がりが無さそうな二人が、一体何だというのかと思ったら、突然 燠妃(オウヒ)が控えめながらもはっきりとした口調でこう答えた。

「あの…鴻夏(コウカ)様。お恥ずかしながら、牽蓮(ヒレン)は私の夫です…」

「はぁぁっ⁉︎お、夫っ⁉︎」

まさかの告白に思わず鴻夏(コウカ)が叫ぶと、すぐさま自慢気に牽蓮(ヒレン)がこう答える。

「そうなんです、燠妃(オウヒ)は僕の可愛い奥さんなんですよ!結婚して今年で四年になりますが、今でも僕は世界一の幸せ者だと思ってます!こんな可愛くて賢い嫁、世界中探してもどこにも居ないと思いませんっ⁉︎」

そう言って牽蓮(ヒレン)が、鴻夏(コウカ)に向かって惚気(のろけ)始めると、いきなり燠妃(オウヒ)にスパーンと殴られる。

頭を抱えて倒れ込む牽蓮(ヒレン)を呆然と見つめながら、鴻夏(コウカ)はただただ固まっていた。

何しろ普段は穏やかでお(しと)やかな印象しかない、見た目も性格も上品な燠妃(オウヒ)が、まさかこんな行動に出る事があるとは予想外である。

しかも固まる鴻夏(コウカ)他所(よそ)に、燠妃(オウヒ)はニッコリと笑うと、いつもの口調でこう答えた。

「…申し訳ありません、鴻夏(コウカ)様。牽蓮(ヒレン)はちょっと大袈裟(おおげさ)なんです。確か頭は良いはずなんですけど、どうも私の事となると頭のネジがどこかに飛んでしまうようで…」

「は…はぁ…」

何とかそう答えると、いきなり復活してきた牽蓮(ヒレン)燠妃(オウヒ)に向かってこう叫ぶ。

「ちょっ…ちょっと何で(なぐ)るの、燠妃(オウヒ)?僕は事実を語ろうとしただけで…」

そこまで言ったところで、牽蓮(ヒレン)はキッと燠妃(オウヒ)(にら)まれて蒼白になる。


「…牽蓮(ヒレン)。いいから少し黙ってて?」

「…はい…」

凍りつくような燠妃(オウヒ)の笑顔に、迫力負けした牽蓮(ヒレン)が黙り込むと、それを見兼ねた暁鴉(ギョウア)がようやく口を(はさ)んできた。

燠妃(オウヒ)。さすがに可哀想だから、その辺で勘弁(かんべん)してやりなよ?このヘタレがあんたにベタ惚れなのは、ここに居る皆が知ってる事なんだから」

「でも大姐(おおねえ)様、鴻夏(コウカ)様に対してまで惚気(のろけ)られるのは困りますわ。無礼(ぶれい)ですし、何よりわざわざお聞かせするような内容でもごさいませんのよ?」

「あー…まぁ、確かにこいつの惚気(のろけ)には、かなり欲目が入ってるけどね。でもその分どれだけあんたに本気かは、よく分かるよ?まぁあんたもそれがあるから、結局こいつと結婚したんだろうけど…」

そう暁鴉(ギョウア)が言うと、燠妃(オウヒ)が少し頰を染めて黙り込む。

それを見て、鴻夏(コウカ)はふいに納得した。

『ああ、なんだ。結局、燠妃(オウヒ)牽蓮(ヒレン)の事が好きなんだ…』

意外な組み合わせではあったが、そう言われて見ると、しっかり者の燠妃(オウヒ)とどこか抜けている牽蓮(ヒレン)は結構合っているのかもしれない。

そこまで考えたところで、ふと鴻夏(コウカ)はある事に気が付いた。


「え…、さっき『大姐(おおねえ)様』って言った?もしかして、燠妃(オウヒ)暁鴉(ギョウア)って姉妹なの⁉︎」

そう尋ねると、暁鴉(ギョウア)があっさりと頷く。

「ああ…見た目が違うんで、ホントの姉妹ではないかもしれないけどね」

「え、それってどういう…?」

いまいち暁鴉(ギョウア)の言わんとする事を、掴み損ねた鴻夏(コウカ)がそう尋ねると、暁鴉(ギョウア)が軽い口調でこう付け加える。

「あたしもよくわかんないんだよ。あたしと燠妃(オウヒ)、あともう一人、櫂珠(カイジュ)ってのが間に居るんだけど、内戦で滅んだ村で三人一緒に保護されたんだ。あたしも当時はまだ小さかったから、記憶があやふやでね。大体五歳ぐらいのあたしが、赤ん坊の燠妃(オウヒ)を抱えて三歳ぐらいの櫂珠(カイジュ)の手を引いて、焼け跡を彷徨(さまよ)っていたらしいんだよ。それをたまたま嘉魄(カハク)が見つけて、保護して女忍(にょにん)候補としてここまで連れてきてくれたってわけさ」

淡々と何でもない事のように語られる内容に、鴻夏(コウカ)はかけるべき言葉を失う。

花胤(カイン)でも戦争に巻き込まれたり、流行病(はやりやまい)や盗賊などの襲撃(しゅうげき)によって、村一つが全滅する事があるとは聞いているが、実際にその生き残りだと言う人に会った事はない。

そのため今ひとつ実感がないまま、知識としてのみ知っていたが、こうして身近な存在の暁鴉(ギョウア)達が絶滅した村の生き残りだと言われると、急に現実味を帯びてくる。

そしてそんな彼女達に、何と声をかけるべきなのかと迷っていると、それを察した暁鴉(ギョウア)()えて明るくこう言い放った。


「気にしないでいいよ、鴻夏(コウカ)様。ここじゃ良くある話だし、あたしも今の人生、結構気に入っているからさ」

「そうですよ。かくいう僕も(コウ)家に養子に入る前は、暁鴉(ギョウア)達と同じようにどこかから拾われてきた忍見習いの一人でしたし。残念ながら僕にはあまり忍としての才能はなくて、代わりに勉学が出来るからと、官僚の道に進まされたんですけどね」

重ねて牽蓮(ヒレン)も、何でもない事のように自らの過去を口にする。

その何気無い告白に鴻夏(コウカ)は更に驚いたのだが、その場に居る全員がそれが当たり前のように、動揺もなく聞き流していた。

こんな時に思うのは、自分は花胤(カイン)皇女(おうじょ)として生まれたというだけで、かなり恵まれた環境で育っていたのだという事。

それに気付くと同時に鴻夏(コウカ)は皆に申し訳ない気持ちで一杯になり、そのまま素直に頭を下げると、小さな声で謝罪の言葉を口にした。

「…やっぱりどう考えても、暁鴉(ギョウア)達の気持ちをわかっていない、不用意(ふようい)な質問だったと思うわ。ごめんなさい…」

そう言って鴻夏(コウカ)が謝ると、その場にふわりと暖かい空気が流れる。

それを感じながら、(レン)は無言で自らの妻に対し、実に複雑な思いを(にじ)ませた。


鴻夏(コウカ)のこういう素直すぎる反応は、彼女の育ちの良さを感じさせると共に、時々ひどく(まぶ)しく、近付きがたく感じる。

あまりにも一点の(くも)りもない綺麗(きれい)心根(こころね)に、自分との違いを感じ、どうしても引け目を感じてしまうのだ。

見た目も心も綺麗な…綺麗すぎる鴻夏(コウカ)

完全に汚れきっている自分の側に置く事で、誰よりも綺麗な彼女まで(けが)れてしまわないだろうか、いつか軽蔑(けいべつ)されて見捨てられてしまうのではないだろうかと不安になる。

そしてそれと共に、こんな短期間にここまで彼女に(とら)われてしまっている自分にも、少なからず驚いていた。

ずっと誰にも何にも心動かされる事はないと思っていたのに、彼女はいとも容易(たやす)く自分の中に入り込んでくる。

そしてまるで最初からそうであったかのように、自然と相手に寄り添い、暖かく光の差す方向へと導いていくのだ。

それは物心(ものごころ)ついた時から、何の希望も持てない暗闇の中を歩き続けてきた自分にとって、あまりにも強烈で(まぶ)しすぎる光。

長年自らの消滅のみを望んできた自分にとって、それはあまり良くない変化だった。

『まさか今になって、こんな事で悩む事になろうとは、想定外もいいところですね…』

自嘲気味(じちょうぎみ)にそう思いつつ、それでも鴻夏(コウカ)を手離せそうにない自分に呆れながら、(レン)は自らの妻に憧憬(どうけい)の眼差しを向ける。

それを気付かれないよう(ひそ)やかに伺いながら、彼の側近である須嬰(シュエイ)黎鵞(レイガ)は、お互い無言で視線を交わしつつ頷きあったのだった。





翌朝、いつものように暁鴉(ギョウア)と食堂代わりの大広間に足を踏み入れた鴻夏(コウカ)は、一つの卓に大きな人だかりが出来ている事に気がついた。

そっと影から(のぞ)くと、そこに座っていたのは昨日帰還したばかりの須嬰(シュエイ)で、騎士達を中心に彼に憧れているたくさんの者達が、一言でも言葉を交わそうと列を成していた。

それを見て、鴻夏(コウカ)が思わずこう呟く。

「あら…まぁ。やっぱり須嬰(シュエイ)もかなりの人気者なのね」

「まぁね。主と共にあの大乱を(しず)めた皆は、ここでは全員恩人であり英雄さ。特に『蒼狼(そうろう)の大将軍』と言われる須嬰(シュエイ)様は、元々武人にとっては憧れの存在だしね」

「…そうね。それに須嬰(シュエイ)は人柄も見た目も良いから、独身の女性にとってもぜひお近づきになりたい優良物件でしょうね。確か私を迎えに花胤(カイン)まで来てくれた時も、皇宮(おうきゅう)の女官達に大人気だったわ」

特に他意(たい)なくそう答えると、途端にぴくりと暁鴉(ギョウア)(わず)かながら反応する。

その珍しい反応に、鴻夏(コウカ)がおや?と不思議そうに暁鴉(ギョウア)を見返すと、暁鴉(ギョウア)はそれを振り切るかのようにこう言った。

「さぁ、鴻夏(コウカ)様。ここは混み合ってて座れなさそうだから、他の場所にしようか」

「え、ええ…。でも…」

それで良いのかと問おうとした時、ふいにワッと今度は別の場所が盛り上がる。

振り返ると鴻夏(コウカ)の夫であり、この『白瑤(ハクヨウ)城』の主人である(レン)が、黎鵞(レイガ)達と共に広間に入ってきたところだった。


毎回の事ながら、誰よりも華やかな登場にボンヤリと見惚(みほ)れていると、その視線に気付いた(レン)がふいに鴻夏(コウカ)を見つめる。

途端に跳ね上がる心臓に、鴻夏(コウカ)が動揺していると、その間に(レン)は人混みを()うように卓の間を通り抜け、鴻夏(コウカ)の前までやって来た。

「おはようございます、鴻夏(コウカ)

ふわりと穏やかに微笑みながら、(レン)鴻夏(コウカ)に挨拶をする。

それにしどろもどろで答えながら、鴻夏(コウカ)が一人慌てていると、(レン)鴻夏(コウカ)から少し視線を外し続けてこう口にした。

「おはよう、須嬰(シュエイ)。相変わらず人気者だね」

「おはようございます、(レン)。そういう貴方の方が一番人気だと思いますが?」

そう皮肉(ひにく)りながら、須嬰(シュエイ)(さわ)やかに微笑むと、それに応えるように(レン)も笑う。

相変わらず仲の良い二人に感心していると、(レン)が実に自然に須嬰(シュエイ)にこう尋ねた。

「…まだ食事中?それなら私達も同席させてもらってもいいかな?」

「どうぞ。むしろその方が私も助かります。一人だと囲まれてしまって、なかなか食事が終わらない…」

溜め息をつきながら須嬰(シュエイ)がそう答えると、(レン)が笑いながら須嬰(シュエイ)の隣に腰を下ろす。

それと共に黎鵞(レイガ)牽蓮(ヒレン)總糜(ソウヒ)も一緒に席に着き、それを眺めていた鴻夏(コウカ)(レン)に誘われるままに暁鴉(ギョウア)と席に着いた。


いつの間にか須嬰(シュエイ)を取り囲んでいた人波は、(そう)々たる顔触れに気圧(けお)されたのか、卓の周りから居なくなり、むしろ彼等に遠慮するかのように遠巻きに眺めている。

それを横目に眺めながら、須嬰(シュエイ)はやっと人心地がついたかのようにこう呟いた。

「はぁ…やっと居なくなりました。こんな事になるなら、最初から貴方達を待って食事を摂るべきでした」

「おやおや、『蒼狼(そうろう)の大将軍』殿は、随分と人見知りのようですね」

くすくすと笑いながら(レン)がそう皮肉ると、げんなりとしたように須嬰(シュエイ)がこう答える。

「茶化さないでください。私は貴方達と違って、闘う事しか能のない武人です。それなのに勝手にあれこれ期待されても、それに応える事は出来ませんよ」

「…東方領の絶対者ともあろう者が、何を言っているのやら…。貴方は老若男女を問わず、誰からも人格者として尊敬されていますよ。それに貴方が本当に無能な男なら、私がとっくの昔に引導を渡しています。そうなると必然的に、こんなに長く東方領を治める事もなかったでしょうね」

さらりと黎鵞(レイガ)が彼らしく、軽く言葉に毒を交えながら、素直に須嬰(シュエイ)()めちぎる。

長年まるで(レン)の両翼のように、彼の智と武を司る側近として支え続けてきた彼等は、まるで一枚の硬貨の表裏のように、正反対のようでありながらも根底がとてもよく似ていた。

その魂の片割れと言ってもいい、誰よりも近しい存在に、今まで()められた覚えもない須嬰(シュエイ)は、胡散(うさん)(くさ)げな視線を黎鵞(レイガ)に向ける。


「お前が俺を()めるなんて珍しい…。いつも考えなしだの脳筋だのと言ってる癖に、今日は槍でも降る日か?」

「…私だってたまには()める事もあります。まぁ他の武人よりは使えると言うだけの話ですがね。それに私から言わせれば、樓爛(ロウラン)にしてもあの貪欲なまでの商売魂には頭が下がりますが、人としてどうかと問われると、(はなは)だ疑問な相手です」

バッサリとここには居ない、もう一人の側近の事も切り捨てると、黎鵞(レイガ)はその容姿通りに優雅な仕草で、食事を運んできてくれた給仕に軽く会釈をする。

それを憮然として眺めながら、須嬰(シュエイ)は軽く溜め息をついた。

「…お前、もう少し言葉にも気をつけた方がいいぞ?毒ばっかり吐いてるから、その顔のくせに敵が多いんだ」

「私の顔は関係ないでしょう。一皮剥()いて骨になれば、人間は皆同じです」

あっさりとそう言うと、黎鵞(レイガ)は丁寧に手を合わせ、食事を始める。

そこで初めて、その会話を聞いているだけだった鴻夏(コウカ)が、口を(はさ)んできた。

黎鵞(レイガ)はもしかして自分の顔が嫌いなの?」

唐突な質問に、黎鵞(レイガ)が少し目を見張る。

そして少し考えた後、ポツリとこう答えた。

「…好きとか嫌いとか、特に考えた事もありませんでしたね。顔の造作(つくり)なんて、大した問題ではないと思いますし…。ちゃんと機能を果たしていれば、何でもいいと思います」

「え、そんな綺麗な顔してるのに⁉︎それに誰でも綺麗な方が好きでしょう?」

「そうなんですか?まぁ確かに見た目が良い方が好感度は上がるような気がしますが、私は特に気にした事ありませんね」


超絶美形だと、逆に容姿には興味がなくなるのかと思ったが、その考えを読んだかのように總糜(ソウヒ)がこう言った。

「…あのさ、鴻夏(コウカ)様は多分『黎鵞(レイガ)くらいの美形になると、容姿にも興味なくなるのね』的に取ったと思うけど、それ…違うから。黎鵞(レイガ)の場合は容姿どころか、単に他人にまったく興味がないだけ」

「え…?」

「だからぁ、興味ないから容姿もどうでもいいの。学術的に、骨と皮と筋肉の集合体としか見てないんだって」

溜め息をつきつつ、きっぱりと總糜(ソウヒ)がそう言うと、周りも無言でそれに賛同する。

それを受けて黎鵞(レイガ)が、大真面目に反論した。

「…まったく、人の事を学者馬鹿のように…。總糜(ソウヒ)は私の事を何だと思ってるんですか?」

「俺?俺にとっては唯一無二の最愛の人で、命を()けて護るべき、ただ一人のご主人様」

臆面(おくめん)もなくそう言われ、さすがの黎鵞(レイガ)も少し頰を染めて黙り込む。

その美しすぎる容姿ゆえに『銀鷲(ぎんしゅう)の策士』や『氷の宰相』と呼ばれる黎鵞(レイガ)は、あまりその表情を変えない事もあり、どちらかというと人間離れした印象を受ける。

その黎鵞(レイガ)がおそらく初めて見せるであろう人間らしい表情に、驚いて總糜(ソウヒ)の方に目をやると、彼もまた見た事もないほど穏やかで真摯(しんし)な表情を浮かべ、黎鵞(レイガ)の事を見つめていた。

その二人の様子から、鴻夏(コウカ)は彼等の(きずな)が並々ならぬほど強いものだと強く感じる。

特に總糜(ソウヒ)の誰よりも愛しい者を見つめる瞳が、何よりも雄弁(ゆうべん)にその事を物語っていた。

そして鴻夏(コウカ)はふわりと微笑むと、黎鵞(レイガ)に向かってこう語りかける。


黎鵞(レイガ)にとっても總糜(ソウヒ)は特別な存在なのね」

「え、ホントに?俺って結構、黎鵞(レイガ)に愛されてる?」

「ええ、少なくともその他大勢とは違うって事は、私にもわかるわ」

そう鴻夏(コウカ)が答えると、心底嬉しそうに總糜(ソウヒ)が笑い、黎鵞(レイガ)が少し赤い顔で反論する。

「…鴻夏(コウカ)様、別に總糜(ソウヒ)だけが特別というわけでは…」

「もちろん、(レン)須嬰(シュエイ)牽蓮(ヒレン)樓爛(ロウラン)の事も大事に思ってくれてるのは知っているわ。あと意外と子供達に優しい事もね」

ニッコリ笑ってそう答えると、黎鵞(レイガ)が困ったように黙り込む。

鴻夏(コウカ)のように率先(そっせん)して子供達と遊ぶ事はないが、(レン)を始めこの後宮に関わる人達は、後宮で暮らす子供達にとても優しい。

もちろん悪い事をしていれば叱る事もあるが、子供らしく元気に遊んでいる分には、例え走り回って騒いでいようが、突然部屋に乱入して来ようが、基本怒らない。

それは一見冷たそうに見える黎鵞(レイガ)も同じで、その事を経験上知っている子供達は、黎鵞(レイガ)の事も大好きであった。

中には本気で、黎鵞(レイガ)に対して(ほの)かな恋心を抱いている者も居るかもしれないが、この美しすぎる宰相殿は、そういった人の感情には(うと)いようで、代わりに總糜(ソウヒ)が周りの人々を牽制(けんせい)して歩いている。


それもあって總糜(ソウヒ)黎鵞(レイガ)にベタ惚れな事は、とても有名な事実なのだが、当の黎鵞(レイガ)本人がそれをどう思っているかは、二人一緒に居る姿を見ていても、まったくわからなかった。

だが今回確信したが、おそらく黎鵞(レイガ)總糜(ソウヒ)の事は特別だと思っているようである。

まぁ考えてみれば、總糜(ソウヒ)の育ての親でもある黎鵞(レイガ)が、彼の事を何とも思っていないわけはないのが普通であった。

それに無機質とも取れる見た目と違い、かなり激しい性格の黎鵞(レイガ)は、気に入らない相手の事は、視野に入れるという事すらしない。

あまりにも美しすぎるため、男女問わず迫られる事も多いようだが、本人自身に浮いた噂はなく、その私生活は謎に包まれていた。

常に側に居る總糜(ソウヒ)なら、多分何か知っているのだろうが、その点に関して總糜(ソウヒ)も何も語らず、謎は謎のままである。

そこまで考えたところで、困り果てた黎鵞(レイガ)を見兼ねた(レン)が、やんわりと鴻夏(コウカ)(たしな)めた。

「…鴻夏(コウカ)、もうそのくらいにしてあげてください。黎鵞(レイガ)は照れ屋なので、皆にこんな風に騒がれると、どうしていいのかわからなくなってしまうんですよ」

優しい口調ではあったが、それ以上の追及は許さないといった態度であった。

それを感じ、鴻夏(コウカ)は素直に謝罪する。

「あ、ごめんなさい。そういうつもりはなかったのだけれど…困らせてしまってたのね、黎鵞(レイガ)

「あ、いえ…」

少しホッとした表情で黎鵞(レイガ)が答えると、それを見ながら(レン)がわざと話題を変える。


鴻夏(コウカ)。昨日 須嬰(シュエイ)にも話していたのですが、私は近々恒例の南方領の視察に出向こうかと思っています」

さらりと(レン)がそう話すと、途端にその場に軽い緊張の波が走る。

それを受けて、鴻夏(コウカ)も少し緊張しながら(レン)に向かってこう返した。

「あ、(レン)が即位前に治めていたっていう…。どのくらいの期間、お出掛けになるの?」

「現地での滞在期間も含めて、一週間から十日間ほどかと思いますが…」

「そう…。お仕事ですものね、仕方ないわ」

そう言いつつも、正直 (レン)と離れるのは寂しくて仕様がなかったが、彼が皇帝である以上、こういった事はこれからも多々あるだろう。

必死で慣れなければと、自らを(いまし)めようとしていた鴻夏(コウカ)は、そこで思いも寄らない提案がされるのを耳にした。

「それでせっかくの機会なので、良かったら鴻夏(コウカ)も一緒に行きませんか?」

「え、ええっ⁉︎いいの…?」

思いもしなかった言葉に、思わず鴻夏(コウカ)がそう叫ぶと、(レン)が穏やかに頷く。

もちろんついて行きたい気持ちはあったが、自分の一存で了承してしまっていいものだろうかと周囲を見回すと、その()()んだ須嬰(シュエイ)黎鵞(レイガ)がにこやかに頷き、鴻夏(コウカ)の想いを後押ししてくれた。

それを確認し、鴻夏(コウカ)が強く宣言する。

「…行きたい!私も連れて行ってくれる?」

「では現地にもそのように伝えましょう」

ニッコリと笑って(レン)がそう答え、こうして思いがけず鴻夏(コウカ)の初めての視察旅行が決定したのであった。

続く

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