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風嘉の白龍 〜花鳥風月奇譚・2〜  作者: 緋影 あきら
3/12

ー纜瀏帝の呪縛ー

よく晴れたある日の昼下がり。

鴻夏(コウカ)は一つの決意を胸に、思い切って(レン)執務室(しつむしつ)を訪れていた。

普段の鴻夏(コウカ)なら政務の邪魔をしないよう、決して執務室(しつむしつ)には近寄らないようにしているのだが、今回ばかりはどうしても早く(レン)の許可が欲しくて、つい訪ねて来てしまった。

しかしここまで勢いで来たものの、最終的になかなか扉を叩く勇気が持てず、鴻夏(コウカ)はそのままモジモジと扉の前で迷ってしまう。

するといきなり執務室(しつむしつ)の扉が中から開いて、出てきた牽蓮(ヒレン)が扉の前で固まる鴻夏(コウカ)に気付き、すぐに気さくに話しかけてきた。

鴻夏(コウカ)様…?執務室(しつむしつ)までいらっしゃるなんて珍しいですね。どうされました?」

そう言われ、少し気まずそうに見つめ返しながら、鴻夏(コウカ)は小さい声で牽蓮(ヒレン)に尋ねる。

「あ…あの…お仕事の邪魔してごめんなさい。その、忙しい…わよね…?」

「まぁ…ほどほどに?でも別にそこまで急ぎの案件もないので、少しくらいなら構いませんよ。(レン)鴻夏(コウカ)様がお見えです」

そう言って牽蓮(ヒレン)鴻夏(コウカ)が止める間もなく、そのまま執務室(しつむしつ)の中に居る(レン)に声をかける。

するとすぐに中から返事があって、鴻夏(コウカ)執務室(しつむしつ)の中に入るよう(うなが)された。


おずおずと中に入ると、そこにはたくさんの書類の山に囲まれた(レン)黎鵞(レイガ)が居て、鴻夏(コウカ)はすぐに訪ねた事を後悔してしまう。

しかし彼等の方は別段気にした風もなく、入ってきた鴻夏(コウカ)を見付けると、実ににこやかにこう話しかけてきた。

「いらっしゃい、鴻夏(コウカ)。ここまで訪ねて来るなんて珍しいですね。何かありましたか?」

「すみません、鴻夏(コウカ)様。少々散らかっておりまして…。よろしければそちらの椅子にでも、お座りになってください」

次々と気遣(きづか)われ、鴻夏(コウカ)恐縮(きょうしゅく)してこう呟く。

「あ、あのお仕事の邪魔してごめんなさい。やっぱりとても忙しそうだから…その…また夕食の時にでも改めるわ」

そう言って慌てて戻ろうとすると、その背中に向かって(レン)の声がかかる。

「待ってください、鴻夏(コウカ)。…戻らないで?」

「え…でも…」

恐る恐る振り返ると、ニッコリと微笑んだ(レン)が書類を置いて執務机(しつむづくえ)から立ち上がる。

そして無言で黎鵞(レイガ)牽蓮(ヒレン)に目をやると、二人は何を読み取ったのか、そのまま無言でスッと一礼をし、執務室(しつむしつ)の外へと出て行った。

それをオロオロと見送りながら、鴻夏(コウカ)が扉の前に立ち尽くしていると、突然横から誰かの腕が伸びてきて、まるで鴻夏(コウカ)退路(たいろ)を断つかのようにその扉を閉めてしまう。

そしてそれと同時に、サラリと自分を包むように亜麻色(あまいろ)の髪が周囲に下りてきて、鴻夏(コウカ)は思わずドキリとした。


気がつくといつの間にか(レン)が自分のすぐ後ろに立っていて、その両腕で鴻夏(コウカ)を扉に()い止めるかのように両側の退路(たいろ)を断っている。

あまりにも至近距離に(レン)が居て、動揺のあまり声もなく扉に(すが)り付くと、その耳元で(レン)が妙に艶っぽくこう語った。

「…貴女からここに来るなんて、本当に珍しいですね…。私に何か話したい事があったのでしょう?」

「そ…そうなんだけど、でも…あの…そこまで重要な話でもないから、あ、後でもいいというか…」

真っ赤な顔でしどろもどろにそう答えながら、鴻夏(コウカ)(レン)の方を振り返れない。

声と気配だけでもすでに心臓が壊れそうなのに、これで顔まで見たら本当にマズい。

そう思って(かたく)なに扉のみを見つめていたのに、(レン)はそれが気に入らなかったのか、突然 鴻夏(コウカ)の身体を引き寄せると、強引にその身体の向きを変えさせ、再び扉へと押し付ける。

「ちゃんとこっちを見て…?」

間近から(レン)の綺麗な(みどり)の瞳が鴻夏(コウカ)の姿を映し、その右手が優しく頰に触れた。

その途端、一瞬で鴻夏(コウカ)の理性が崩壊(ほうかい)する。

声こそ何も出さなかったものの、すでに頭の中は大混乱だった。


『ひぃぃ〜っ⁉︎ち、近いっ!しかも何か妙に色っぽいっ?…た、多分また無意識なんだろうけど、何でこの人こんな無駄にフェロモン振りまくわけっ⁉︎』

思わず居たたまれなくなって、ギュッと強く目を(つむ)ると、それを見た(レン)がどう受け取ったのか、突然何の前触れもなく口付けてくる。

それを受けて、鴻夏(コウカ)は更に混乱した。

『は…っ⁉︎えっ⁉︎な、何で…っ⁉︎』

元々回ってない頭で必死で考えようとするが、衝撃(しょうげき)の方が大き過ぎたらしく、頭の中が真っ白で何も浮かばない。

そうこうしているうちにスッと(レン)の口唇が離れ、鴻夏(コウカ)は身体を震わせつつ、真っ赤な顔で自らの口唇を押さえながらこう呟いた。

「な…んで…?」

「あれ…?もしかして違いました?目が合った途端に閉じられたから、てっきりして欲しいのかと思ったんですけど…」

あっけらかんとそう言われ、プツンと鴻夏(コウカ)堪忍袋(かんにんぶくろ)の尾が切れる。

そして少し涙目でキッと(レン)(にら)むと、鴻夏(コウカ)は思わず叫んでいた。


「ば…っ、馬鹿ぁ!そんなわけないでしょ⁉︎こ、こっちは貴方と違って、全然慣れてないんだから、それが合図になるなんてまったく知らなかったわよっ!」

「あ、そうなんですか…。そうなると私が勝手に勘違いしてしちゃった事になりますね?それは…大変失礼を致しました」

ニッコリと(さわ)やかな笑顔で謝られ、鴻夏(コウカ)は毒気を抜かれ、へなへなとその場に座り込む。

それを優しく抱き起こしながら、(レン)は相変わらず(つや)っぽく耳元でこう囁いた。

「…でも男の前であんな事をしたら、普通は誘われてると思いますよ?今回は私だったから良かったけど、他の男の前では絶対にしないでくださいね」

「も…っ、もう誰の前でもしませんっ!」

慌ててそう言って離れると、(レン)はおや?といった顔でこう呟く。

「別に私にはして下さって構いませんけど?可愛い奥さんに誘われて、嬉しくない夫は居ませんので」

「さ…っ、誘っ…⁉︎」

「そうそう、初々しくてなかなか良かったですよ。また是非お願いしますね…?」

ニッコリと意地の悪い笑顔を見せながら、(レン)(ささや)くようにそう答えた。



そして出だしこそ思いがけず、色っぽい展開になってしまったが、結局 鴻夏(コウカ)にその気がない事がわかると、(レン)は驚くほどあっさりと普段通りに戻ってしまった。

今も手ずから()れてくれたお茶を卓に置きながら、鴻夏(コウカ)に普通に話し掛けてくる。

「…それでここまで来て、鴻夏(コウカ)は私に何を言いたかったのですか?」

鴻夏(コウカ)の正面の席に座りながら、(レン)が穏やかにそう尋ねると、呑気(のんき)にお茶を飲もうとしていた鴻夏(コウカ)が、はたと本来の目的を思い出す。

「あ…っ、そうだった!私、(レン)にお願いがあって来たんだった!」

「お願い…?」

不思議そうに聞き返す(レン)に、鴻夏(コウカ)は慌てて(うなず)くと、恐る恐るこう切り出した。

「あ、あのね…。その…勉強をさせて欲しいんだけど…」

「勉強?」

「そう。一応嫁入り前に一般的な事は多少は習ったんだけど、基本が皇女(おうじょ)向けの勉強だったから、その…わからない事の方が多くて…。このままじゃ、私なんの役にも立たない皇后になっちゃうんで、その…少しでも皆の役に立てるよう、もう一度勉強し直したいの…」

モジモジしながらそう(つぶや)鴻夏(コウカ)に、(レン)の瞳が少し驚きで見開かれる。


しかしすぐにフッと優しい笑顔を浮かべると、(レン)は穏やかにこう答えた。

「…いいですよ。何を習いたいのですか?」

「普通の皇子(おうじ)が習う事すべて!あ、あと剣も習いたいと思うんだけど…、さすがにそれはダメかしら…?」

上目(うわめ)(づか)いでそう尋ねると、(レン)はあっさりと『いいですよ』と答えてくれる。

それを受けて、鴻夏(コウカ)が輝くような笑顔で(レン)にこう言った。

「良かった…!私には必要ないって言われるかと思って、ドキドキしてたの」

「別に…学びたいと思う事があるのなら、何でも好きに学べばいいんですよ。いちいち私の許可を取らなくても構いませんよ?ただ皇子教育となると、普通の子達が通う学校では教えられないでしょうから、(タイ)と一緒に勉強する方がいいかもしれませんね…。早速明日から一緒に授業を受けられるよう、手配しておきましょう」

淡々とそう告げると、(レン)は穏やかに自ら()れたお茶に口を付ける。

こうしてこの変わり者の皇帝は、自らの妃の望み通りに、あっさりと想定外なお妃教育を許可してしまったのだった。




翌日から鴻夏(コウカ)(タイ)の部屋に通い、一緒に授業を受け始めた。

まだ十歳とはいえ、神童(しんどう)と名高い(タイ)が受けている授業は、すでに小児が受けるようなものではなく、十七歳の鴻夏(コウカ)が受けても付いていくのが大変なほど水準の高いものだった。

(タイ)にしても、今までは一人で教師から一方的な形で教えられるだけだった授業に、鴻夏(コウカ)が同席してくれるようになり、その結果 今まではなかった討論などの時間も増えて、より深く充実した内容の授業になっている。

結果として型破りではあるものの、お互いがお互いの能力を高められる状態の授業になった事に、最初こそ眉をひそめていた官僚(かんりょう)達もいつの間にか陰口(かげぐち)を叩かなくなっていた。

もちろん後宮(こうきゅう)に住む者達は、最初から誰一人反対する者はなく、むしろ応援態勢である。

特に彼等は鴻夏(コウカ)の本来の性を知っているだけに、『皇子としての教養も身に付けたい』と切望(せつぼう)する鴻夏(コウカ)の気持ちが、痛いほどよく理解出来ていた。

もし花胤(カイン)に同性の双子を不吉とする風習さえなかったら、鴻夏(コウカ)も本来の性のまま一人の皇子として育てられ、そのまま花胤(カイン)の皇帝の座に()いていてもおかしくはなかった。

たまたま運命の悪戯(いたずら)から皇女として育てられ、そして自分達が敬愛する璉瀏(レンリュウ)帝の元に輿入(こしい)れしてきたが、鴻夏(コウカ)のその真っ直ぐな気質はいつの間にか周囲のすべての者達を(とりこ)にし、もはや誰もが(レン)の正妃として鴻夏(コウカ)の事を認めていた。

(レン)との間に後継(あとつ)ぎを望めない事を除けば、容姿、性格共に何の問題もない。


それに特に恋愛方面において、誰かに執着(しゅうちゃく)する姿をまったく見せなかった(レン)が、何故か鴻夏(コウカ)に対してだけは、自ら気を配り側に居る事を許容(きょよう)している。

あまり自分を大事にしようとしない(レン)を、陰ながら常に心配し続けていた後宮の者達にとって、それはとても喜ばしい変化だった。

今も忙しい政務の合間を()って、わざわざ鴻夏(コウカ)の様子を見に訪れた(レン)を見ながら、彼等は温かい目でその様子を見守る。

彼等の頭を()ぎるのは、結婚一日目の夜に、後宮で働く者全員が大広間に集められ、(レン)の口から鴻夏(コウカ)の秘密が暴露(ばくろ)された時の事。

美しい姫にしか見えなかった鴻夏(コウカ)が、実は男性で絶対に後継(あとつ)ぎが望めない事を知った時には、驚くやらがっかりするやらでかなり混乱したものだが、その後すぐに心底申し訳なさそうに謝る鴻夏(コウカ)の姿を見て、それもどうでも良くなった。

今となってはあの段階で、自分達を心から信用し、何も隠さず真実を明かしてくれた(レン)達に感謝しかない。

だからこそ自分達は彼等の期待に応え、鴻夏(コウカ)の秘密が()れないよう、細心(さいしん)の注意を払う。

そもそも人としても仕えるべき主君としても、彼等以上の者達は望めないのだ。

それなら自分達も今の恵まれた環境を守るために、一緒に努力すべきだろうというのが、後宮に仕える者達の一致した意見だった。



そんな臣下達の密かな決意も知らず、(レン)鴻夏(コウカ)(タイ)も交えて、皇子教育の内容についての話をしていた。

まずは大真面目な顔をしながら、鴻夏(コウカ)がいきなりこう切り出す。

「…思うんだけど、そもそも『皇子』はどこまでの範囲を勉強するものなのかしら?あと皇子は皇子でも、普通の皇子と皇太子(こうたいし)とでは習う範囲や内容も違うものなのかしら?」

そう言ってひたすら首を(ひね)鴻夏(コウカ)に対し、(レン)が穏やかにこう答える。

「まぁ国によって多少の違いはあるでしょうが、皇位継承権の順位に関わらず、『皇子』と(しょう)される方々の勉強する内容は、基本全員同じだと思いますよ?いつどこで何があるかわかりませんから、誰がいつ皇位に()いてもいいよう、皇帝として最低限の政務が取れるよう、全員同じように教育されるはずです」

「ふーん?じゃあ今、(タイ)と私が習ってる事を(レン)も昔習ったんだ?」

何気なくそう聞いた鴻夏(コウカ)に対し、(レン)が淡々とこう答える。

「…そうですね。ただ私の場合は他にもたくさんの皇子が居たので、皇位継承権の順位的に、私にまで皇位が回ってくる事はまずなかったんですよ。ですから普通の皇子では覚えないような、少々変わった内容の事も色々と習得させられました…」

「変わった事…?」

キョトンとして聞き返すと、さらりと何でもない事のように(レン)が答える。

「まぁいくつか例を挙げると、医術、諜報術(ちょうほうじゅつ)暗殺術(あんさつじゅつ)房中術(ぼうちゅうじゅつ)とかですかね…。私は皇子というより、纜瀏(ランリュウ)帝の(こま)となるよう育てられたので、多分他の皇子達とは教育された内容が違うんです。だからあまり参考にはならないと思いますよ」


まるで他人事のように、さらりと痛まし過ぎる生い立ちを口にした(レン)は、そのまま何の感情も読み取れない雰囲気で軽く目を閉じる。

思わず何と答えるべきかもわからず、声を失った鴻夏(コウカ)の前で、泣きそうな顔の(タイ)(レン)(すが)り付いた。

「…ご…めんなさい、ごめんなさい、(レン)。父上が(レン)(ひど)い事を…」

「何を謝るのです、(タイ)?別に貴方が気にする事は何もありませんよ。私も特に不満もありませんでしたし…。それに元々私の命は貴方の父上に救われた物です。それをどう使われようと、私自身が構わなかったんですよ」

そう言って、(レン)が優しく(タイ)の頭を()でる。

多分その言葉に(いつわ)りはなくて、(レン)自身はそれが当たり前だと思っていたのだろう。

だが普通に考えるとそんな(ひど)い扱いはない。

実の異母弟(いぼてい)を良いように使うための(こま)として育てるなんて、常識では考えられなかった。

『もしかして…前に暁鴉(ギョウア)が言っていた、(レン)が『暁鴉(ギョウア)達側の人間』ってのは、こういう意味だったの…?』

ふいにその言葉の差す意味が、理解出来てしまった気がして、鴻夏(コウカ)はいたたまれない気持ちでいっぱいになった。

(レン)が皇帝になるまで自国に住む家も持たず、国から使い捨て同然に利用されてきた忍達と、異母兄(いぼけい)の役に立つよう育てられ、その(こま)となる事だけを()いられてきた(レン)

確かに境遇的(きょうぐうてき)によく似ている気がした。

そしてそれだけに、鴻夏(コウカ)は一層哀しくなる。


「…ごめんなさい、(レン)(レン)(タイ)の気持ちも考えず、不用意な発言だったわ…」

(うつむ)きながら、今にも消え入りそうな声で鴻夏(コウカ)が謝ると、(レン)鴻夏(コウカ)の肩に手を置き、ひどく優しげにこう話す。

「本当に気にしないでいいんですよ、鴻夏(コウカ)?私にとってはそれが当たり前の日常で、特に不幸だとか思った事もないんです」

そこで一旦言葉を区切ると、(レン)は遠い目をして続けてこう語る。

「…物心がつく頃には、纜瀏(ランリュウ)帝の役に立つ事だけが自分の存在(そんざい)意義(いぎ)だと思っていました。彼だけを見て彼だけを愛し、彼の役に立つように生き、彼の為に死ぬ…。ずっと周りからそのように言われ続けてきたので、私もそうする事が当たり前なんだと思っていました。そしてそんな風に育てられた私は、一度も死ぬ事が怖いと思わなかった…。結果としてそれが(こう)(そう)し、私は若くして戦場で名を()せる事が出来たというわけです…」

淡々とそう語ると、最後に彼はポツリと『皮肉なものですね』と穏やかに微笑んだ。




そしてその晩、鴻夏(コウカ)は色々な事に悩みながら、一人 (もん)々と寝台の中で答えの出ない問答(もんどう)を繰り返していた。

きっかけは、今日思いもかけず少しだけ知ってしまった(レン)の過去。

チラリと聞いただけでも、かなり(ひど)い特殊な環境で育ったのは間違いなく、おそらくそれが原因で色々な感情や常識が欠落(けつらく)気味(ぎみ)なのだろうという事が容易に想像出来た。

けれど今回自分が知った内容は、多分氷山の一角に過ぎず、(レン)(レン)の周りの人達についてもまだまだ謎の方が多い。

そして鴻夏(コウカ)は結論として、特に誰に聞かせるわけでもなくポツリとこう呟いた。

「…やっぱり私が知らなさ()ぎるのよね…」

かなり端的(たんてき)な言葉であったが、それが一番、今の鴻夏(コウカ)の心情をよく表していた。

よくよく考えてみれば、鴻夏(コウカ)はあまりにも(レン)の事を知らなさ()ぎるのである。

正直 風嘉(フウカ)に来るまでは、まさか自分が結婚する事になるとは思いもしなかったので、()えて自分から何かを知ろうとは思わなかった。

そして結婚後はこの特殊な後宮(こうきゅう)環境に慣れるのに精一杯で、気がつけばもう一ヶ月間が()っていたという感じである。

だから最近になってようやく、少し周りを見る余裕が出てきた鴻夏(コウカ)は、今更ながらにその事に気付いてしまったのであった。


そして溜め息をつきながら、鴻夏(コウカ)は思う。

鴻夏(コウカ)(レン)について知っている事は、三年前に風嘉(フウカ)で起こっていた未曾有(みぞう)大乱(たいらん)(しず)めた『風嘉(フウカ)の英雄』である事。

その前は若くして国境線を守り、その目覚ましい働きぶりから『戦場の鬼神(きしん)』と呼ばれ、怖れられていたという事。

そして異母兄(いぼけい)である纜瀏(ランリュウ)帝に(こま)として育てられ、今もなおその呪縛(じゅばく)(しば)られ(とら)われているだろうという事…。

普段は穏やかで優しい雰囲気を(まと)(レン)たが、時々ひどく冷たい気を放つ事がある。

まるで人が入れ替わったかのように、近付きがたい気を(まと)い、向き合う相手に()も言われぬ恐怖を感じさせる時、確かにこの人は風嘉(フウカ)を長年に渡って支え続けてきた皇帝なのだと、(いや)(おう)にでも思い知らされる。

…正直そういった空気を(まと)(レン)は怖い。

怖くて本能的に逃げ出したい衝動(しょうどう)()られるが、まるで冴え渡る刃のように(りん)とした気を放つ(レン)は、目を()らせないほどに美しい。

そして震えが止まらないほど怖いのに、鴻夏(コウカ)はそんな(レン)にも()かれてしまっている。

普段の優しい(レン)ももちろん好きだが、時折(ときおり)垣間(かいま)見せる冷酷(れいこく)(レン)は、まるで美しく咲き(ほこ)毒花(どくばな)のように、ただそこに居るだけで人々の心をどうしようもなく()きつける。

多分あれが月鷲(ゲッシュウ)鴎悧(オウリ)帝や先帝である纜瀏(ランリュウ)帝を(まど)わせた(レン)の真の姿なのだろう。

強く気高く美しい…孤高(ここう)(けもの)のような(レン)


彼を手に入れたいと望む者は、それこそ()いて捨てるほど居たに違いない。

けれど彼は生まれた時から纜瀏(ランリュウ)帝の物で、彼の瞳は纜瀏(ランリュウ)帝以外の者を(うつ)さない。

生まれた時から纜瀏(ランリュウ)帝だけを見て、纜瀏(ランリュウ)帝だけを愛し、纜瀏(ランリュウ)帝の役に立つためだけに生き、纜瀏(ランリュウ)帝の為に死ぬ。

そうする事が当たり前と(しつけ)られてきた(レン)は、纜瀏(ランリュウ)帝の死後もその呪縛(じゅばく)(とら)われている。

おそらく(タイ)を守り、愛情深く大事に育てているのも、彼が纜瀏(ランリュウ)帝の息子だったから。

ではそうなると自分は…?

自分は彼にとってどういう存在なのだろう?

そう思った瞬間、鴻夏(コウカ)はどうしようもない不安に()られた。

花胤(カイン)から政略結婚(せいりゃくけっこん)で嫁いできた自分は、確かに後継(あとつ)ぎ問題の面からみれば、非常に都合の良い存在だったとは思う。

だが都合が良いだけで、はたしてそこに(レン)の気持ちがあったのか?と言われると、まったくもって自信がない…。

『どうしよう…。なんだか急に切なくなってきた…。(レン)にとって私はどういう存在なの?彼にとって真に価値がある存在だと言えるの…?』

そう思ったら、ポロリと自然に涙が(こぼ)れた。

自分が何に対して傷付いているのかもわからないが、ただただ心が張り裂けそうに痛い。

双子の弟の凛鵜(リンウ)と離れなければならなかった時よりも、ずっとずっと(つら)かった。

そして鴻夏(コウカ)はその痛みと共に、ふいに自らの気持ちを自覚する。


『私…もしかして(レン)の事が好き…なの⁉︎え、でもいくら結婚してるといっても、(レン)とは契約結婚だし、それに私の本来の性別は男で、(レン)も同じ男性で…。いくら私が皇女(おうじょ)として育てられてきたとしても、おかしいんじゃ…?』

混乱しながらもそう思うが、それでもそう考えると、今までの自分のよくわからない反応の意味が、ようやく理解出来る気がする。

いつも(レン)の姿を見るだけでひどく心臓がドキドキしていたのも、彼の一挙一動(いっきょいちどう)に常に動揺していたのも、そして今、彼の気持ちが分からないというだけで泣けてきてしまうのも、すべては彼に恋していたから。

仕事面では誰よりも優秀なのに、何故か人の感情にだけは(うと)くて、どこか不器用なのに優しくて、誰よりも心が強く綺麗な人。

お世辞にも良い環境では育っていないのに、それでも真に(ゆが)む事もなく、真っ直ぐに生きてきた(レン)がどうしようもなく愛おしかった。

『…あの人を助けたい…。あの人に必要とされるような人間になりたい。そして誰よりも強くて(もろ)いあの人を、纜瀏(ランリュウ)帝の呪縛(じゅばく)から解放してあげたい…!』

次から次へと(あふ)れ出る想いを、もう鴻夏(コウカ)は止められなかった。

そしてその勢いのままに、鴻夏(コウカ)はフラリと立ち上がると、今まで一度も自分からは叩いた事がない扉の前に立つ。

震える手で軽く扉を叩くと、すぐに聞き慣れた声がそれに応じ、鴻夏(コウカ)は小さな声で中に居るであろう人物に声をかけた。

そして程なく扉は中から開かれ、鴻夏(コウカ)一人を招き入れると再び元通りに閉じられる。

そこは鴻夏(コウカ)が今まで一度も訪れた事のない、自らの夫である(レン)の自室であった。



白壁(しらかべ)焦茶色(こげちゃいろ)紺青色(こんじょういろ)基調(きちょう)とした、重厚(じゅうこう)で落ち着いた雰囲気の部屋の中で、鴻夏(コウカ)は今更ながらに自らの行動を後悔していた。

何となく勢いのままに、フラフラと(レン)の部屋の扉を叩いてしまったが、少し落ち着いて考えてみると、時刻はすでに深夜に近く、到底(とうてい)人を訪ねても良い時間ではなかった。

しかもうっかりと忘れていたが、この時間の(レン)は当然もう夜着(やぎ)姿で、思わず目のやり場に困るほど(つや)っぽい。

正直男である(レン)に、何故こうも色気を感じてしまうのかはわからないが、無駄に雰囲気のある自らの夫に、鴻夏(コウカ)はひどく困っていた。

しかしそんな鴻夏(コウカ)の気も知らず、(レン)は手ずからお茶を()れると、実に優雅(ゆうが)仕草(しぐさ)でそれを卓に並べる。

そして自らも鴻夏(コウカ)の正面の席に座ると、初めて穏やかにこう話しかけてきた。

「…鴻夏(コウカ)から私の部屋に訪ねて来るのは、初めてですね。何かありましたか?」

そう言われ、思わず鴻夏(コウカ)が黙り込む。

そしてはたと、もしかしてこれは非常にマズい状態ではないかと、気が付いた。

『…あれ?深夜に男性の部屋を一人で訪ねるのって、頂いちゃって下さいって意味になるんだっけ⁉︎』

気付いた途端に思わず椅子から立ち上がった鴻夏(コウカ)は、しどろもどろにこう答える。


「あ、あの…その…こ、こんな深夜に急に訪ねて来ちゃってごめんなさい?や、やっぱり話すのは明日にするわ」

そう言って慌てて(きびす)を返そうとした鴻夏(コウカ)だったが、すぐにその手を(つか)まれる。

ハッとして振り返ると、するりと(レン)鴻夏(コウカ)に近づき、間近から鴻夏(コウカ)をジッと見つめた。

そして鴻夏(コウカ)は例の(ごと)く、声を出せないまま頭の中で大混乱を引き起こす。

『ひぃいい〜⁉︎ち、近っ!しかも見てる、めっちゃ見てるっ!』

動揺して目を白黒させながら固まる鴻夏(コウカ)に、(レン)がポツリとこう呟く。

「…目が赤い…。泣いたのですか、鴻夏(コウカ)?」

「あ…っ、これはその…」

まさか貴方が自分の事をどう思ってるのかわからず泣きましたとも言えず、困ったように言葉を(にご)していると、それを勘違いした(レン)気遣(きづか)うようにこう告げる。

「やはり花胤(カイン)に戻りたいのですか…?確かにここは貴女にとっては慣れない異国で、知り合いも居らず、文化や風習も全てが違う…。私も政務が忙しく、正直あまり貴女を(かま)ってあげられてなかったですし、(つら)い思いをさせていたのでしょうか…」

「え?違…っ!これは別件で…その…。と、とにかく大丈夫だからっ!」


ほぼ説明になってないなと自分でも思ったが、うまい言い訳が見つからない。

しかも間近から(レン)に見つめられると、もう頭の中はぐちゃぐちゃで、自分でも何をしたいのか、何を言いたいのかもよく分からなくなってくる。

それをどう受け取ったのか、(レン)は無言で鴻夏(コウカ)を見つめるだけで特に何も語らなかった。

そしてしばらくの間、困ったように鴻夏(コウカ)が固まっていると、ふいにスッと(レン)が手を伸ばし、ポンポンと軽く鴻夏(コウカ)の頭を叩く。

驚いて鴻夏(コウカ)が見上げると、少し困ったように微笑みながら(レン)が優しくこう言った。

「…言いたくないのなら、何も聞きません。でも話したくなったら、いつでも言って下さいね?私は貴女の夫なのですから」

(レン)…」

「あとせっかく鴻夏(コウカ)から訪ねて来て下さったのだから、まだ帰らないで下さいね?とりあえず落ち着いて座って下さい。大丈夫、貴女が嫌がるような事は、何もしませんから」

さり気なく鴻夏(コウカ)が心配していた事についても返答しながら、(レン)はそのまま再度、鴻夏(コウカ)を椅子に座らせる。

そして先程は正面の席に座った(レン)だったが、今回はそのまま鴻夏(コウカ)の隣に腰を下ろした。

微妙にお互いの温もりが感じられるほど近くに(レン)が居て、鴻夏(コウカ)は意味もなく緊張する。


『ど、どうしよう⁉︎ち…近いっ!横が見れないっ!何か話さないといけないと思うけど、緊張し過ぎて何も思い浮かばないっ!』

そう思いつつ、ぐるぐるしながら固まっていると、その気配を読んだのか、(レン)がさり気なくこう聞いてくる。

「…それで?鴻夏(コウカ)は私に何が聞きたかったんです?」

「え…っ、どうして私が何かを聞きたいんだと思ったの⁉︎」

まだ何も言っていないのに、突然 核心(かくしん)を突いてきた(レン)に驚き、思わず彼の方に向き直ると、(レン)は事も無げにこう答える。

「何となくですが、そろそろ私や私の周りの人達が、一体何者なのかが気になり出す頃かと思いましたので…。当たってました?」

「す…ごい。やっぱり(レン)って(かしこ)いのね…」

呆然としながらそう呟くと、(レン)がくすくすと笑いながらこう答える。

「お()めに預かりどうも…。それで何から聞きたいのです?」

「え…っ?聞いてもいいのっ⁉︎」

至極(しごく)あっさりと(レン)にそう言われ、恐る恐る鴻夏(コウカ)がそう尋ねると、(レン)は何の感情も読み取れない表情でこう答える。

「…(かま)いませんよ。特に楽しい話でもありませんが、隠しているつもりもありませんので…。ただ私の話はともかく、周りの皆の事となると勝手に話せない内容もありますが、それでもよろしければ…」


淡々とそう語りながら、(レン)の綺麗な(みどり)の瞳が、何の感情もなく自分の姿を映している。

咄嗟(とっさ)に色々と聞きたい衝動(しょうどう)()られたが、鴻夏(コウカ)は少し悩んだ後、きっぱりとこう言った。

「…やっぱり()めとくわ」

「え?」

「うん、確かに色々と聞きたい事はあったんだけどね…。こうして無理矢理 喋らせるってのは、何か違うと思うのよ?うまく言えないけれど、ちゃんと(レン)が話してくれる気になるまで、待つのが(すじ)なんじゃないかなって」

一所懸命(いっしょうけんめい) 言葉を一つ一つ選びながら、鴻夏(コウカ)が素直に自分の気持ちをそう語る。

その予想外の反応を無言で見つめながら、(レン)はひどく驚いていた。

「…いいのですか?真相(しんそう)を知りたくて、ここまで来たのでしょう?」

ポツリと(レン)がそう呟くと、鴻夏(コウカ)がそれに対してこう答える。

「確かにそうなんだけど…。でも(レン)がいつも私の気持ちを優先してくれるように、私もそこは(レン)の気持ちを優先しないとダメなんじゃないかと思うのよ。そうじゃないと公平じゃないと言うか、一方通行な気がして…」

そこで一旦言葉を区切ると、鴻夏(コウカ)は晴れ晴れとした笑顔でこう続けた。

「だから私も待つ事にするわ。(レン)が話したくなった時に聞く事にする!…だって私はこれからも貴方の妃なんでしょう?」


先程 (レン)が言った台詞そのままに、鴻夏(コウカ)悪戯(いたずら)っぽくそう聞き返すと、驚きから立ち直った(レン)が苦笑しながらこう返す。

「…そうですね。今のところ離縁する気はまったくありませんので、まだまだ時間はたくさんあると思います」

「でしょ?だから(あせ)らない事にするわ。貴方が本当に話しても良いと思えた時に聞くから、その時は隠さず全部話してね?」

「はい、そうします。…ありがとう、鴻夏(コウカ)

どこかホッとしたような表情を浮かべる(レン)に、鴻夏(コウカ)(レン)背負(せお)っているものが、自分の想像以上に重たいものなんだろうと感じていた。




そして翌日、後宮(こうきゅう)の庭の一角で、珍しく(レン)も居ない状態で、黎鵞(レイガ)鴻夏(コウカ)が人目を()けるように二人っきりで話していた。

話題は昨日思いがけず聞いてしまった、(レン)の生い立ちについてで、鴻夏(コウカ)ははひどく落ち込んだ顔で黎鵞(レイガ)経緯(けいい)を話していた。

そして最後に絞り出すようにこう()(くく)る。

「私が思っていた以上に、(レン)は特殊な環境で育ったのね…。私は纜瀏(ランリュウ)帝の事は正直よく存じ上げないけれど…それでも少し聞いただけでも、纜瀏(ランリュウ)帝もその周りの人達もどこか異常だという事はわかったわ…」

そう呟く鴻夏(コウカ)に、黎鵞(レイガ)が冷静に意見を返す。

「…私には纜瀏(ランリュウ)帝の周囲が、そこまで異常だったとは思えません。当時の纜瀏(ランリュウ)帝は皇后の産んだ唯一の嫡子(ちゃくし)であり、将来を有望視(ゆうぼうし)された優秀な皇太子でした。正直彼が居る限り、どの皇子にも皇位が巡ってくる事はあり得なかった。それなら皇位に程遠い末の皇子は、大事な皇太子を生かすための捨て駒として育てようと考えたのは、至極当然の事であったかと思います」

あまりにも冷た過ぎるその言い草に、鴻夏(コウカ)が思わず激昂(げっこう)する。

「そんな…っ!だっていくら皇位から遠いからって、血の繋がった異母弟(おとうと)なのよ?それを捨て駒として育てるなんて…っ」

「それも(いた)し方ない事でしょう。より大事な者を生かすための策です。皇家にはよくある話ですよ。…ただ纜瀏(ランリュウ)帝の(レン)への執着(しゅうちゃく)が異常であったというのは、私もその通りかと思います…」

そう言って、黎鵞(レイガ)がその美しい眉を(ひそ)める。


普段あまり感情を顔に出さない黎鵞(レイガ)が、珍しく嫌悪感(けんおかん)(あら)わに黙り込むのを見て、鴻夏(コウカ)はひどく嫌な予感がした。

黎鵞(レイガ)…?」

「すみません、鴻夏(コウカ)様…。(レン)()えてお話していない事ですので、私からは何も申し上げる事は出来ません。ただ(レン)は…今も纜瀏(ランリュウ)帝の呪縛(じゅばく)(しば)られております。(レン)はあの男の命令一つで、いとも容易(たやす)く死を選ぶよう育てられました。だから(レン)にとって、纜瀏(ランリュウ)帝という存在は絶対なのです…」

そう語ると、黎鵞(レイガ)はふいに鴻夏(コウカ)の方に向き直り、スッとその頭を下げた。

突然の敬服(けいふく)鴻夏(コウカ)が一人焦りまくると、黎鵞(レイガ)は冷静にこう願い出る。

「…鴻夏(コウカ)様、どうか(レン)を救ってやって下さい。纜瀏(ランリュウ)帝と真逆の位置に居る貴女にしか、(レン)は救えません。私達では無理なのです…」

「え…っ、私⁉︎で、でも私が一番、(レン)との付き合いが短いと思うんだけど…?」

焦ってあまり意味のない内容を返してしまった鴻夏(コウカ)に、黎鵞(レイガ)がゆっくりと首を横に振る。

そしてその美し過ぎる瞳で、真っ直ぐに鴻夏(コウカ)を見つめると、はっきりとこう告げた。

「この際付き合いの長さは関係ありません。貴女の持って生まれた資質の話です。貴女のその資質に、(レン)も無意識に()かれています。おそらく貴女にしか(レン)は救えません」

風嘉(フウカ)一の知恵者にそう断言され、鴻夏(コウカ)はただ何も言えずに立ち尽くしたのだった。

続く

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