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不快な表現あり。
「本当にもう平気か?熱は無いみたいだが……」
「ええ、平気です。ありがとうございますわ。」
オロオロとするイケメンな父様に私は視線が離せません…。
倒れた後私は知恵熱によってまる3日眠ったままだったそうだ。何度も起こそうとするも一向に醒めない私を心配して父様は仕事を休んでくれていたらしい。やめて!それ以上私をファザコンにさせないで!!
改めて私の安否を確認すると、父様は申し訳なさそうに謝罪を述べてくれた。私が介入してしまったのが悪いわけであるが、それを受け入れないわけにはいかないと思い、私が返事をしようとする前に父様は私にそっと身を寄せる。
背中を一定のリズムで優しく叩き、慰めるようにぎゅっと抱きしめてくれる。ここでなにか言うのは得策ではないだろうと、父様の背中に手を回し背中の生地を軽くぎゅっとする。父様のガタイがいい故に腕がまわらないからこうするしか無かったんだ…。
「すまない、紫苑」
「え?」
喧嘩についての謝罪は済んだはずだ。これは何の謝罪だろうかと疑問を促すと父はさらに強く私を抱きしめ、布地を握りしめる。
「中学校の3年間の間、俺の両親のところから学校に通って欲しいんだ…。」
耳元でその言葉と父様の体は震えているようだった。え?なんで?
「父様……?」
「辛い思いをさせてごめんな…なんとか、説得してみせるから、それまで待っていてくれ。」
父様は「必要なものは送るから手持ちのものだけ用意しておいてな」とだけ言うと私を離し、頭を撫でて部屋を出てしまった。呆然と父様が出ていった扉を眺める。
この子、いらない宣言されて次に追い出すってかなり酷くない?率直な感想だった。
この子はそれほどにこの家庭で必要とされていなかったのか、母親に子供と思われていないだけで他に追いやってしまうのか、この子は今までどんな気持ちで家族とすごしてきたのだろうか。別人である私には分からない。
また私は1人になってしまうのか。最後に私が見たあの子は私に何を求めているのか、ただ私にこの立場を変わって欲しかっただけなのだろうかもしれない。
確かにこの現実はあの子には耐えられないだろう。あの子がこの現実を知ればどのようになってしまうのか、考えたくもなかった。
私はここであの子の代わりに私を演じてやろう、あの子には申し訳ないが、私にも夢がある。私の未来を奪ってまでこの立場を代わってやったんだから私にもこのこの未来を決める権利はあるはずだ。
私は私らしく、生きていこう。
そのためにまずは言われた通り、支度をしなければ………って手持ちのものっ何がいるの!?まず、何がどこにあるの!?片付けを何度も繰り返してる記憶はあるけどどこに何があるかまで詳しくわかんないよ!!
まずは部屋を隅から隅までチェックかな…。
あっちこっち脱線している気がしますが
気にしない気にしない((
紫苑ちゃんにとってもあの子にとっても
幸せになれればいいと思います。