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(私の思考は妄想の塊です)
「母様がねーさんが倒れたって…無事?」
横にはねた黒髪にキリッとしているがどこか気だるげそうな暗い紫の瞳、幼いながらも顔立ちがはっきりしているこのイケメン男子は紫苑の弟の藤ヶ丘葵くんだ。
今の母親と父親の子供だが私とは1歳違い。お盛んですね…。来年の春から小学6年生だ。
母親は違うものの私を姉として慕ってくれているらしい。小さい頃から私の袖を掴み一緒に行動していた記憶が頭をよぎる。めっちゃかわいい………。
「ええ。ありがとう葵くん。」
一人っ子だったこともあり、兄弟がいるということは初で少し緊張してしまう。返事をするついでにベットから降りようとするも葵くんにとめられてしまった。まだ寝ていろという意味だろうか。素直にベットに戻る。
葵くんも静かに私のベットに腰を下ろし、手を摩ってくれる。ぬくい体温が手から体へと伝わる。心配してくれたのか、眼差しは私の顔から離れない。イケメンに眺められるのはドキドキするが弟と言うだけでこんなにも愛おしく感じてしまうのは私がブラコンということなのか。顔がにやけてしまいそうだ。
トントンッ
「紫苑、起きているか?」
「ぁ……はい、父様!」
私が即座に返事をすると、葵くんは私の手を離しドアの方へと視線を向けた。
ガチャ
改めて私の父親の姿を確認する。スラリと伸びた長い足に鍛えているのかたくましく見える腕、20代にも見える若々しい顔を持った2児の父親。名だたるファッションブランドの2代目社長で自身もデザインに手をかけるほどの才能の持ち主。最近では海外にも名を馳せている。
喧嘩の際に見たものは情けのないものかもしれないが改めて見るとものすごいイケメン……ハンサム……。語彙力が無くなるとはこのことでしょうか?
前の私はあまりテレビもネットも見ようともしなかったのでこんなに間近に顔のいい人を拝見できるなんて幸せ…。アイドルや俳優さんにお金を費やすファンの方々の気持ちがわかりました。
「葵もいたのか、すまないが席を外してくれないか。」
私の姿を確認して安心するかのような顔をするや否や葵くんの退出を促す。葵くんは無言で頷き、スタスタと扉の外へ言ってしまった。
扉が閉まると父様が私の部屋にあった1人がけの椅子を私のベットのそばに寄せ、そこに腰をかける。ゆっくりと長い足を組み、膝に肘を添え、掌を顔に添わせる。一つ一つの仕草が魅力的でつい、目で追ってしまう。
私って…ブラコンな上にファザコン!?!?
なにかひとつのものに夢中になると周りが見えないってよく聞きますよね。
紫苑ちゃんの場合はただ医者になりたいという夢に夢中で勉強とバイトでさらにSNSを目にすることがなかった感じです。
これを機にいろいろ楽しめるが増えればいいと思います(ニッコリ)