不思議な体験と女の子
私は就活が始まる大学生。将来の夢は医者でした。
なぜ過去形なのかって?それより話を聞いてくださいよー。
私ははやくに両親を事故で亡くし、親戚の家をたらい回しにされました。結局はいい家族には巡り会えず、辛い毎日の中勉強をひたすら頑張り国公立の医学部に合格し、高校を卒業を期に家を出ました。
お世話になった親戚の方々にお金を返すよう要求をされてしまい、両親が残してくれたお金で返すことは出来ましたが大学の費用はどうにもなりませんでした。
高校から始めていたバイトのお金だけでは足りなくなり、そこから忙しいバイトと学業の毎日でした。
朝は新聞配達、大学まで自転車で向かい、帰りにはコンビニバイト、深夜には居酒屋、寝るために帰るボロアパート生活を繰り返すこと1年、ようやく道が見えてきました。
なぜお金のかかる医者にしたかというと、私の父は医者、母は看護師として活躍していたので医療系が憧れでした。看護師も考えていましたが私は助ける活動がしたいという意思があり、医者を目指すようになりました。諦めることなんて出来ませんでした。
まだ医者として学んでいることは解剖学をはじめとした基礎的なことのみですが、2年目からは講義や実習が組み込まれていきます。楽しみで仕方がありません!!!
考えるだけでルンルン気分な私ですが、これからのバイトを考えるとガックシと肩を落としてしまいます。今はバイトに向かっている最中です………。
元々都会に住んでいましたが、親戚をたらい回しにされていった故に田舎で育った私は大きな横断歩道には未だに慣れません…。スクランブル交差点を自転車で突っ切る勇気なんて私にはありません…。
しかし、通学では仕方の無いことでボロアパート近くにあるバイト先のコンビニに向かうためにはここからが1番近いのです!!
青になると集団が一気にワッて動くのがすごく独特に思えて未だに慣れません。上から見ると交差するようですごく魅力的に見えるんですよねー。
キキイイイイイイイイイイイイイッッッッッッ
「えっ?」
過去形だった理由、分かりました?
音の方向に目を向けると赤信号で止まりきれなかったのかトラックがこちらに向かってすごい速度で走ってきていました。私以外の人は何故かトラックに目もくれず、私しか見えていないかのように無視。
そのトラックは私に直撃。驚くことに他の人にはすり抜けるように避け、私以外はみな無傷。驚きが隠せません。
戸惑う私の目に映る人だかりは暗闇に消え、音もだんだんと聞こえなくなってしまいました。
最後に目に映ったのは私を見て嘲笑う高そうな服に身を包んだ子供でした。