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神は矛盾を好まない

悠希達の過去が今明らかに!!


私が彼らに会ったのは2年の秋頃でした。

まだあの時は私と彼らに接点など無く、途中途中人から聞いた話になります。ですがその前に、私の話でもしましょう。


私がまだ一人だった頃、私には大切な両親がおりました。

誰よりも優しき母と誰よりも強き父です。

2人は私にいつも同じ言葉を言いました。


「優しい子になりなさい」

「強い子になりなさい」


私は強くなろうとしました、優しくなろうとしました。


そんなある時、私はクラスのいじめっ子に目をつけられ数人がかりで暴行を受けました。

当然私は彼らに自分の強さを見せつけようとしました、ですが私の優しさはそれを止めました。人を傷つける優しさでは無かったからです。

私は、ただ手を握りしめるだけで何もしませんでした。


いじめっ子達が帰った後、痛む身体を庇いながら、母に褒められるだろうか父に怒られるだろうかと家のドアを開けました。

すると、なぜか知らない男の人が父と一緒に倒れていました。

父は男の首に腕を回し笑っていましたが、逆に男は首に回された父の腕を掴み、苦しそうな顔をしていました。


「お父さん?」


当時の私はまだ幼く、二人が何をしているのかわかりませんでした。


「お父さん、そんなところでねてたらかぜひくよ。・・・ねえお父さん、僕もおそうじ手伝うから」


思えば、私はあの時から既にどこかおかしかったのかもしれません。


「あー!お母さんもねてるー!もー、僕知らないからっ」


異様な匂いを嗅ぎつけ入って来た警官が告げるまで、私は両親を中心に広がっていた赤い液体が血だと気づかなかったんですから。


私の両親は空き巣に殺され、殺してこの世を去りました。


寝ているだけかと思っていた両親は、実は死んでいた。そんな事を聞かされれば当然傷つきます。


母の為に、誰より優しくあろうとするぐらいには。

父の為に、誰より強くあろうとするぐらいには。


ただ、優しくある為には強さは邪魔で、強くある為には優しさが邪魔でした。


「だから私は・・・私達は、分かれたのです。」

「これが私達のお話」




「・・・じゃあ、白騎士さんは強さと優しさ、どっちなんですか?」

「どちらでもないし、どちらでもあります。だって私達は、最強の好敵手にして最高の親友であった『矛盾』に出会ったんですから」

「矛盾、伊刀彩さんと泉誠さんですよね」




そう、私達の孤独な強さと優しさと違う、二人で一人の強さと優しさを持った最初で最後の親友。


彼らと出会ったのは、どこにでもあるような公園でした。


強さを求めた私はいつしか不良グループのトップとなり、優しさを求めた私はゴミ拾いや道案内などの慈善活動をしていました。

私達の意識が切り替わるタイミングはランダムで、その時の私はゴミ拾いをしていました。


「「一緒にやってもいいですか?」」


挨拶をする人はいれど、同じことをする人は初めてでしたからとても驚きました、しかも二人も。


「あの、同じ高校の人ですよね」

「・・・え、ああそうですね」


私は言われるまで二人が自分と同じ制服を着ていることに気づきませんでした。


一応、高校には上がりましたが強さにも優しさにも必要無かったので行ってませんでした。

ですが、グループの人達からせめて私服ではなく制服で来て欲しいと頼まれ、制服だけは毎日着ていました。


「いやー不良ばっかりの高校だって聞いて心配してたけど、あなたみたいな人もいるんだ」


あの時の彼女は、まだお互いの名前も知らないせいか大人しかった。




「じゃあ自分はこれで」


私は彼らを優しい人達だと思いました。


「いつも来るんですか?」


彼女の目は、また会いたいと言う気持ちが全面から溢れででいた。


「たまにです」


彼女はニコリと笑って言った。


「じゃあ私も、たまに来ますね。あたなとまた話したいし」


私はその時初めて、強さと優しさ以外のものに興味が湧いた。

危うく腐りかけてしまいました。

次回もお楽しみください。

良いお年を☆

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