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神は無知を好まない

鬼との戦いに勝利した白騎士、彼は味方なのか敵なのか!?

皮が眼球が血が肉が内臓が飛び散る中心に彼は立つ

その光景にあまりにも不釣り合いな、誰かを慈しむような優しい笑みを浮かべて


「大丈夫ですか?震えていますよ」


震えたくもなる、自分が命がけで守ろうとした人がこんな恐ろしい事を平然とやっているのだから。


「···?、ひとまずセーフゾーンに帰りましょうか」


今の私には従う事しか出来ない。


一定のリズムで歩く彼から2~3mほど後ろを歩く。


「そんなに怖がらなくてもいいですよ、黒君のお友達に手荒な事はしませんから」


この人は憧れの白騎士さんで、私に話しかけてる。

嬉しいはずなのに素直に喜べない。


「···悠希さんと貴方は、何なんですか」

「何かのか、哲学ですね」


そう言う事を言ってるんじゃない。


「まぁ、私達は医学的に二重人格と呼ばれるものですよ」


二重···人···格?


「障害の一種ですよ。脳の中で統一の出来なかった意識が二つに分かれしまい、別々の人間として機能してしまう事です」


じゃあ、やっぱりこの人は悠希さんとは違うんだ。


薄暗い廊下でほっと胸を撫で下ろす。


「さあ、着きましたよ」


私はいつの間にかセーフゾーンの扉の前まで来ていた。

その扉を見ると、自分がまだ生きてる事、帰ってきた事が肩の荷を下ろし、足の力が抜けていく。


ダメだよ、遠足は帰るまでが遠足なんだから。


最後の力を振り絞り、何とか扉を潜る。すると、勢いよく走ってきた雪さんに抱き付かれた。


「おかえりいぃぃぃぃぃー!!」


い···痛い···でも嬉しい


「心配したわよっ、どう?怪我してない?悠希はちゃんと捕まえて······」


身体中をペタペタと触っていた雪さんの手がピタリと止まり、次第に震え出す。


「···どうして、あんたが出てきてんのよ···」

「たまには貴方の笑顔を見たくなりましてね」


あきらかに雪さんの様子がおかしい。まるで白騎士さんに怯えてるような···。


雪さんは、私と白騎士さんの間に立ち腕を広げる。


「ここはあんたが入っていい場所じゃない、大人しく悠希を返しておくれ!」


白騎士さんは困ったように眉をひそめる。


「一応私も悠希なんですけどね」


雪さんは鋭い目つきでにらむが、白騎士さんは全く動じない。


「はぁ、分かりました。ここにはもう来ません」


白騎士さんはクルリと方向転換し、扉を出ていく。


後ろを向いた時、笑ってはいたけど、どこか悲しそうだった。


私は何故かそう思った。


「···はぁっ···はぁっ···」


雪さんが地面に座り込む。


「だっ大丈夫ですか!?」

「···ええ、大丈夫。ちょっと腰が抜けただけだから···」


ちょっとどころの話では無い。

全身が小刻みに震え、顔も青くなっている。


「白騎士さんと、何かあったんですか?」


白騎士と言うだけで雪さんの震えは強くなる。


「···あれは···化物よ、人の皮を被った化物。弥羽ちゃん、悪いことは言わない、悠希が戻るまであれに近づかないで···」


雪さんはきっと本心で私を心配してくれてる。だけど私は、彼がそんな悪い人には見えないんです。

彼の優しそうな顔も嬉しそうな顔も悲しそうな顔も、全部知りたい。

どっちがどうとかそう言う事じゃ無いんだ。

私は、彼の隣に居たいんだ。


私は雪さんを遅れて来た店員に任せ走り出す。




彼はすぐに見つかった。

彼が進んで行った道は、潰されたモンスターの死骸が散乱しているからだ。


「悠希さんっ!!」


彼は振り向き、目を丸くする。


「···驚きました。彼女から私の事を聞かなかったのですか?」

「聞く前に飛び出して来ました」


そう言うと、彼は口を押さえて笑う。


「···どうやら貴方は、全く違う様に見えて、とても彼女に似ている」

「彩さんですか?」

「ええ、彼女も昔同じ事を言っていましたよ」

双剣と大盾、そろそろサブタイトルが厳しくなってきました。

ちなみに最近二作目(現代に転生した魔将は異世界に召喚されたようです)にアクセス数が負けて来てちょっと落ち込んでいます。

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