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神は友を好まない

最後の戦いを繰り広げる神と悠希

その時、立ち上がった男がいた。

「ハハハハハハハッ、そんな貧相な刀で僕を倒すだって?面白い冗談だね」


そう言いながらも、何千と言う黄金剣は悠希を切り刻まんと襲い掛かる。


「真剣だし、本気だよ」


だがそれを悠希は全て捌ききっている。

両者の顔に焦りは無く、ただ力のぶつかり合いだけが続く。


「そうかい?僕にはそれから何の力も感じないんだけどな」


そう言って神は手から悠希の刀と全く同じ形の刀を造り出す。


「この程度だったら、まだそこに棄てた彼の方が良い武器持ってたよ」


心底ガッカリだと言うような顔をして、神は自身が造り出したその刀を砕く。

そして再び悠希を見据えようとして、そこに誰もいない事に気づく。


「なっ!いっ一体ど······」

「まあ確かに、この刀は全てを壊してしまうような大行な力は無ぇよ」


背後から聞こえたその声と、あの刀から発せられる何かが神の恐怖を掻き立てた。


神は瞬間移動でも行ったかのような速度で飛び退き、悠希を見据える。

そこには、刀を降り下ろした悠希と、刀身の周りに暗黒を纏わせた何かがあった。


「···それは、一体何なんだい?」


悠希はフッと笑い、その刀を掲げる。

それは悠希の中の優しさと強さがお互いを認め、自分と言う不変だった存在を否定し、神を殺す為でなく、弥羽を守る為に生み出した悠希の心

なんて事はなく、そんな綺麗事で生み出せるはずもなく、悠希自身の強さも優しさも悲しみも怨みも憎しみも全てを、その白くも黒くも無い泥臭さとカッコ悪さを全て詰め込んだ、悠希自身とも言っていい刀。


「人刀、『存在否定』」


それが、それこそが、悠希最後の得物だ。


「···人刀?存在否定?下らないね。そんな物、そこの男みたいに壊してあげるよっ」


神は無尽蔵に放っていた剣を止め、その手に二本の剣を持つ。

その剣は今までのものとは段違いの輝きを放ち、視るもの全てを圧倒する。

神にとっては、ここからが本当の戦いなのだろう。


···流石に神だけあってスゲェ圧力だ。気ィ抜けば吹き飛ばされそうだ。

そんな事は無い。私達が息を合わせれば、たとえどんな相手だろうと倒せますよ。

フハッ、そうだな。


悠希はそれほどの力を見せつけられても、一歩も退かず、怒号の勢いで駆け抜ける。

本人達以外には見えない程の速さでの斬撃に次ぐ斬撃、少しでも自身の剣が届くように、それでいて少しでも相手の刀が逸れるように、彼らはお互いの得物と同じ速さで立ち回る。

それはまるで妖艶で情熱的な舞を観ているかのように美しく、それでいて両者の顔は覚悟と覇気に満ち溢れている。


「死千技っ!」

「神撃」


両者が両者の最大の技と力でぶつかりあい、その均衡は、全くと言っていい程互角だった。


「はあああああああああっ!!」

「···ぐっ」


剣と刀での鍔迫り合い

両者の技量は互角だが、持っている得物が違う。


人刀、存在否定にとって、その位置と関係は理想と言えるものなのだ。


徐々に、黄金剣は存在否定に触れている部分が消えていく。

消える、そう溶けるでも切れるでもなく、消えていくのだ。


「···そうか、君の刀、それの本当の力は、触れたもの全ての存在を否定し消し去ってしまう事だったのかっ!」


悠希はニヤリと笑う。


「今さら気づいてももう遅い。このまま押し込めばお前もこの刀の餌食だっ」

「ぐっ···」


更に力を掛けて刀を押し込み、その存在を否定し続ける。


その時、何者かが悠希に襲い掛かった。


「ヴヴゥヴゥウグアァァァッ!!!」

「なにっ!?」


咄嗟に避けた悠希だが、その間に何者かは神の前に立ち、悠希に立ち塞がる。


「っ···何故あんたが···」


それは、悠希にとって予想外の相手だった。


「止めてくれ···止めてくれよっ、テツっ!」


彼の名は大柄次鉄、神に最初に挑み、そして殺された男だった。


「ヴヴワアァァァァァアアッ!!」


彼はまるで獣を思わせる雑な動きで悠希に襲い掛かる。

だがその程度の動きでは今の悠希にかすり傷一つ負わせることは出来ない。


「さあ、彼を消さなきゃ死んでも彼は君を襲い続けるよ」

「きっ貴様アァァァァっ!」


簡単な話だ、鉄を斬ればいい。

だがそうしてしまえは鉄の存在は、ここにいる三人以外の全ての人から消えてしまう。


「アアヴアアアアヴヴゥ」


そんな事はしたく無かった。


「テツ、止めてくれ···止めてくれぇぇっ!」


それでもテツは襲い掛かる。


「無駄だよ、もう彼は死んでるんだ。これからいくら殺されようと、動きを止めない」


神は笑いだす。


俺は、テツを消したく無い。

俺は···


「···ヤ、レ···」


テツの動きが鈍る。


「オデヲ···ヤデェェェェッ!」


それだけで、思いは悠希に通じ、意志は闘志は悠希に託された。


ありがとう、テツ。


「はああああああっ!」


今、命の存在が一つ、消えた。

うう···テツを徹底的に潰したいだけなのに話がどんどん延びていく。

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