表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/26

神は二人を好まない

戦いは、どちらかが倒れる事で勝敗が決まる。

でも、それじゃあ駄目なんだ。

黒のローブが紅く染まり、何も無く世界に吸い込まれていく。


もう、何百回喰らったかわかんねーな。

足も腕も、とっくに限界越えちまってら。


それでも、強さは立ち続ける。

どれだけ血ヘドを吐こうとも、数十の骨が折れようとも、一度たりともその背を地面に着けはしない。


強さはただ、真っ直ぐ前の優しさ(自分)を見続ける。






「···何で···何でなんだよっ!」


優しさは叫んだ。

明らかに、誰もが見ても歴然に、自分は勝っている筈だった。

否、今も勝っている。

相手は立っているのがやっとの程ボロボロで、自分は傷一つ無い。


なのにっ、奴は一向に倒れないっ!

まるで倒れようとしないっ。

私は、己の欠点を理解し、足りない部分を奪った完全な存在だ。

神と言う手の届かない高次元の存在に遅れを取ろうと、そこの残り香のような存在に負ける筈は無い···無いのだ···。


「···なのにっ!何故お前はそこに立っていられるんだ。」


強さと言う自身のアイデンティティを奪われ、その確実とした力の差を何百回と見せつけられたな筈だ。


「そんなの決まってんだろ···。」


もはや剣すら握れない拳を振りかざし、踏み出す度に血が吹き出る足を引きずって、強さはただ優しさだけを見つめる。


「お前に奪われて···お前に触れて···知ったからだ。···誰かを大切だと言う気持ちを、誰を護りたいと言う気持ちを、誰かを愛すると言う気持ちをっ!」


その眼力に押され、優しさは無意識に後ずさる。


何なんだよ···お前は残り香の筈だ。なのに···


「何でそんな力が、強さが在るんだよっ。」


優しさには訳がわからなかった。


強さはフッと笑う。


「お前と同じだよ。」


「お前が俺の強さを欲しがったように、俺もお前の優しさが羨ましかった。」

「えっ。」


優しさには分からなかった。

大切な人々を守れる強さを持ち、誰で在ろうとその超然とした姿勢を崩さなかった強さが、弱き者の象徴である自分を羨ましがるなど、夢の又夢だったからだ。


強さは静かに語り出す。


「あの時、俺と仲間達の基地に乗り込んできた彩と誠を、俺は本気で、殺す気で殴ろうとした。だけど、それを止めたのはそのどちらでも無く、お前だった。

今まで強さと言う一点だけを見つめ、努力して来た俺を、お前は止めた。

優しさが、強さに優った時だ。

あの時は訳がわからなかったが、強さとして、仲間として、親友としてあいつらと接して来た今なら分かる。」


強さは、笑った。


「誰かを守る為に、誰かにら優しくする為に、強さは在るんだ。」


暗かった世界に、光が溢れ出て来る。


優しさは、大盾から手を放した。


「違う、違うぞっ。強さが在るから、優しさは成り立つんだ。」


否定する。

親友の死を前に何も出来なかった自身を

何も守れ無かった自身を

奪うことしか出来ない自身を。


否定する。


「優しさなんて、強さがなけれはただの自己満足だっ。」

「それは強さも同じだ。」


強さは優しさに手を差し出す。


「お前が羨ましかった。お前が妬ましかった。でも、だからこそ、俺達は手を取り合って行けるんじゃないか。あの日とは違う様に。」


···強さと優しさが、手を取り合うだって?そんなこと、有り得る訳ないじゃないか。


「今まで、散々お前に酷い事して、私は、許されない事までした。

なのに、お前は何故、私に手を差し出してくれるんだ。」


優しさは怖かった。自分は本当にこの手を取っていいんだろうか。


強さはただ、優しさだけを見つめて、笑う。


「お前だからだよ。」


二人は、今初めて、分かり合えた。




反撃、開始だ。

手を取り合った強さと優しさ、彼らは神に勝つことは出来るのか!?

次回もよろしくぅっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ