神は希望を好まない
死んでしまったテツ、だが奴の死は無駄にはしない。
「アハハハハハハハハッ、これが可能性か、素晴らしいね。」
神は高らかに笑う。
少年だったその姿はテツから吸収した可能性のせいか美しい程に均等の取れた引き締まった身体を持ち背中の中程まで伸びた金髪をなびかせる青年へと変わっていた。
「そんな···テツ君が···何で···。」
もはや人であったとは考えられない程、テツの身体は形を保ってなかった。
···知り合いか。
「同じ···パーティー、でした···。」
弥羽の目から涙がこぼれ落ちる。
どんな人でも、死んでしまえば悲しく思える。
「アハハ、君への罪滅ぼしに僕の下までやって来たけど、正直期待外れもいいとこだね。」
高らかに笑う、ただそれだけの行為も、可能性を持った神が使えば恐ろしい程の威圧となる。
弥羽は震える脚を懸命に抑えながら神を見据える。
「テツ君の···テツ君の仇は、私が取るっ!」
うん、その粋よっ!
弥羽は拳を握り、粒子を纏わせる。
「ほう、君も可能性を開いたのか、なら急いでそこの屑を吸収したのは間違いだったな。」
···絶対に許さない。
純白の粒子が乱れる。
弥羽、集中っ!
「ごっごめんなさい。」
「クスッ、さっきから独り言が多いね、来ないなら僕から行くよ?」
神が片手を振るう、それだけで無から五つの黄金の剣が現れ、弥羽へと飛翔する。
咄嗟に壁を創るが、二振りの剣を捨てゴマに破られる。
不味い、このままじゃ···
剣は正確に弥羽へと近づいて来る。
もう、駄目だ···テツ君···ごめんね。
その刃が弥羽を貫こうとした直前、白き影が弥羽を庇う。
ザシュッ。そしてその白は、緋く染まった。
「アハハッ。ねえ、君の周りって、よく人が死ぬよね。」
崩れ落ちる白騎手、だがそれでも神は手を休めない。
段々と増えていく剣は、数千に達していた。
「もう···駄目···」
グダグタ言うなっ!あたしが···あたし達が···何とかしなきゃいけないんだよっ!
彩は全身全霊で剣の軍勢を弾き、砕き、流し、かわし、受け止め、いなす、だがそれでも全てを相手にする事は出来ず剣が腕を脚を傷つける。
「ハァ···ハァ···起きろよ、バカ悠希···」
白騎手はピクリとも動かない、だが、彼は目を覚ました。
後一、二話位で終わると思います。




