神は遅れて来るのを好まない
突如現れた彼女は、果たして本当に味方なのか!
起きなさい···起きなさい···
何処からか声が聴こえる。
あれ···私は、何してたんだっけ···何か大切な事を忘れているような···。
いいから、起きろっ!!
「はいぃっ」
弥羽は授業中の居眠りが先生にバレた時の様に飛び起きた。
そして、自分が何をされたのか、全てを思い出した。
やっと起きた、あんた眠りが深すぎんのよ。
弥羽の周りには誰もいない、だが明らかに自分とは違う声が頭の中に直接響いてくる。
「貴方は、誰···。」
そんな事は走りながらでも出来るでしょっ、ほら、早く走るっ!
「は、走るって、何処へ?」
と言いながらも、弥羽の脚は何処かへ走り出す。
「えっ、えっ。」
取り敢えずあんたの身体、勝手に使わせてもらうわ。
弥羽の身体は凄い速さでダンジョンを駆け抜け、モンスター達を華麗に避けていく。
あたしは伊刀彩、悠希の親友だったもの、かな。
「伊刀彩さん、ですか?···でっ、でも、伊刀さんは死んだって···」
そう、あたし達は4ヶ月前にモンスターに殺られて死んだ。でもあたしが死ぬ直前、誠があたしに『封魂』って言うスキルを使ったの。魂を物に封じ込めて延命させる特殊スキル。
自分が生き残る事も出来たはずなのにあいつはあたしに使った。
人にめんどくさい事押し付けて勝手に逝きやがった。だから、あたしは逃げ出す訳にはいかないの、その為に、力を貸しなさい。
幾つかの通路を走り去り、幾つかの階段を降りきると、そこには3mはありそうな巨体に筋骨隆々のミノタウロスが身体に合ったこれまた巨大な斧を持ち、石像のように立っていた。
後ろには荘厳な扉がある。
···嫌な奴を用意してくれるわね。
「ミ、ミノタウロスがあんなに静かに立ってるなんて···あの扉の奥には何が···。」
あそこに、悠希がいる。
彩さんの言葉に、鼓動が高まる。
···悠希さんに···会いたい···
弥羽は拳を握り、構える。
「彩さん、あいつを、倒せますか。」
可能性は、開花した。
そろそろヤバいです。




