神は強者を好まない
ついに対峙する悠希、誠、彩の三人。勝つのは誰なのか!?
「失礼するよ」
50人の不良どもを潰し終え、丁度よい身体が暖まったところで待ちに待っていた本命が現れる。
見ると辺りは真っ暗になっていて、相手の顔がよく見えない。
「ようこそ、俺の城へ」
俺は現れた二人を満面の笑みを浮かべながら出迎える。顔は悪くないと言われる俺だが、この笑みだけは悪魔のようだと恐れられる。
「そして、さようなら」
20m程の距離を一歩で詰め、体格からして男だと思う方を軽く殴る。まぁ、軽くと言ってもノーガードで受ければ肋骨の骨折ぐらいはする威力は出でいる。
「無駄だよ」
···?、当たった感触はある、だが決まった感触がねえ。羽根にでも殴ったみてぇに威力を吸収された。
初撃をいなされ完全な隙がうまれた瞬間、脇腹に強烈な一撃を浴び、文字通り俺は吹っ飛んだ。
「気ぃ抜いてんじゃないわよっ!死にたいの!?」
声からして女であろう奴に吹き飛ばされ、怒りが込み上がる。
それにしても、女とは思えない力だ。とっさに足に力を込めてガードしたって言うのに、そのうえからガードを崩してくるのではなく、こっちの身体ごと吹き飛ばすとは。
「やっぱ強えなあ」
脇腹は痛むが、動かせないほどじゃない。
拳を軽く握り、腕を脱力させながら右足を下げ、体制を低くする。
見た限り男は技、女は力を持っている。相手の攻撃を男がいなし、崩れたところを女が吹き飛ばすといったところか。
先にやるなら女の方からだな。
同じ距離を今度は二歩で縮める、歩数を増やした分突進の速さは段違いだ。
そしてそのスピードを全て拳に込める。
決まれば即死間違いない威力だ。
女は避けない、それどころか拳を凝視し受け止める気である。
爆発音のような衝撃が鳴り響き、地面を揺らす。
「たくっ、これを正面から止めんのかよ」
数々の強者を薙ぎ倒してきた一撃を、この女は素手で止めやがった。
さっきの繰り返しをやるわけにもいかず、男の恐ろしく素早い連撃を避けながら下がる。強さにとって、これ程までの強者は生まれて初めてだった。
自然と笑みが溢れる。いつもの、悪魔のような笑みとは違う挑む者の笑みに。
力比べはもう終わりだ、ここからが本当の戦い。どっちの強さが上か、比べようじゃねえか!
素早く右に踏み込み左に飛ぶ、ジャブで距離を測りながら更に踏み込んで裏拳。本来ならこれで即KOなんだが、防がれることは予測ずみ。さっきは吹き飛ばされた豪腕を紙一重で避け、逆に突き出された腕を掴んで投げ飛ばす。
その瞬間に男の連撃が全身を襲うが、歯を食い縛り持ちこたえる。
即座に反撃するがやはり手応えが無い。
体制を低くし、一気に踏み込んで身体ごとぶつけ、男を柱に挟みこみ、もう一度踏み込んで柱ごと破壊する。
「ぐはっ!!」
野郎、ぶつかる直前にカウンターを掛けてきやがった。
口から血が滲み、脇腹が軋む。
そろそろダメージが無視出来ないものになってきた時、窓から差した月明かりが部屋を照らす。
お互いの顔が見えるまでになったとき、強さは己が戦っていた相手が誰なのかを知った。
「悠···希···?」
そろそろ過去編も終わりに近づいてきました。
尺稼ぎも終わりです。




