神は強さを好まない
今回は強さが主役です。
お楽しみ下さい。
「強い二人組がウチを潰しに来るらしいですぜ」
彩達と別れ、いつものように不規則に入れ替わった俺は、集会場所である廃ビルの中でいつの間にか子分となっていた男からそんな話を聞いた。
20人以上の不良を薙ぎ倒した二人組が、この地区に巣を張っている自分達を潰しに来ると。
「そうか、今まで骨の無い奴ばっかだったからな。今回のは期待出来そうだ。」
俺はやっと着なれてきた学ランのボタンを全て外し、やってくるであろう二人組を想像しながら自分だけの特等席に座る。
俺の目の前には、総勢100人の不良共がバットやメリケン、木刀なんかを持ちながらお互いを睨みあっていた。
その全員に向けて、はっきりと忠告する。
「お前ら、全力を尽くせ、
ここは力が全ての世界だ、力の無ぇ奴は消えろ。相手に本気を出さねぇ奴も消えろ。
相手の強さを測れ
どの程度の相手なのかを正確に把握しろ、そしてどうすれば勝てんのかを最後まで考えろ。
出し惜しみはすんな
相手がどんなに弱かろうと、偶然入った一発でやられることもある。
過信はすんな
武器を持ってようが何だろうが、最後の最後にやられることもある。ナイフで腹を突き刺した奴が、刺された奴に首を絞められることもある。
そして最後に、負けた奴は手を出すな。
てめえらが何人やられようが構わねえが、負けた奴が手ぇ出したせいで運悪く倒しちまったら俺の分が無くなる。
分かったか」
「「「「「うおおおぉぉぉぉぉぉっっ!!!」」」」」
長い夜の始まりだ。
二人組はすぐに現れた。最上階であるここからじゃあ顔は見えないが、襲いかかっていく奴らがまるで歯が立たない。
片方では人がボールのように吹き飛ばされ、反対では人がドミノのように倒れていく。
俺の心臓は破裂しそうなくらい高鳴った。
あいつらは強さを持っている、あいつらを倒せば俺は強くなれると。
俺は窓から飛び降りてでもそいつらと戦いたくなった。ここは4階で、飛び降りたらさすがに無傷ではいられないだろうが、それほどまでにあいつらは魅力的だった。
「おいっ準備運動を始めるぞっ!」
声を掛けると、部屋の空気が変わる。ある者は獣のように体制を低くし、ある者は着ていた上着を脱ぎ捨て、ある者は拳を握り締め筋肉を隆起させる。
同じ構えをする者はおらず、全くもって揃わない集団だが、その眼差しは全て悠希に向かっていた。
実は、侵入者を撃退するのは100人中50人だけなのだ。厳正な抽選により選ばれた組み合わせで行われるトーナメントで上位50人に入れなかった者が侵入者と戦い、入った者は悠希と戦う。
悠希自体は身体を暖める準備運動位にしか思ってないが、他からすれば50対1のハンデがあり、なおかつまぐれ当たりでも悠希に勝てば自分が総長になれると言う一大チャンスなのだ。
この日の為に鍛えて来た者も多い。
「さあ、かかってこいよ」
ニヤリと笑い舌を出す。
もう一つの戦いが、ここに始まった。
今回も···まだ中盤ですね。
予定よりもだいぶ延長しています。本当だったらこの作品10話で終わりなんですけど絶対終わりませんね。




