神はハッピーエンドを好まない。
初めての投稿です。誤字脱字は、ゴリョーショーください。アンチはリアルで慣れているのでOKです。
時は残酷だ、誰にも縛られず何にもとらわれない。その力は神よりも強く、時に誰かを狂わせ、時に誰かを癒して行き、ずっと続けと思っていたものほど一瞬で終わらせ、早く終われと思っているものほど永遠に終わらせない。あの時だってそうだった。
『キーンコーンカーンコーン』
「ギリギリセーフ!」
制服をきくずした黒髪の男が教室に滑り込む。
「おっそいわよ、悠希!」
スタイルはいいが少し気の強そうな美少女が怒鳴る。
「同時だったんだからいーじゃんか、彩。」
悠希がそう言うと、彩の横にいた女子にモテる要素をすべて合わせたような爽やかイケメンが決定的な事を言う。
「悠希、今二時限目終わったよ。」
「···うん、知ってる。」
「ゆうぅぅぅきぃぃぃ。」
横から鬼のような声が聞こえる。
「たたっ助けてくれっ誠!」
誠は苦笑しながら悠希の頭を撫でる。
「うーん、これは無理かな。」
悠希は空中を舞った。
「もぉ、なんで毎回遅刻すんのよ!」
「ごめんなさい。」
「あんた昨日言ったわよねぇ、明日は時間通りに来るって。」
「ごめんなさい。」
「大体あんたは······」
それから説教は20分続いた。
「彩、もうそれくらいに···。」
「まだまだ足りないわよ!」
「で、でもほら先生来てないからさ、呼びにいかないと。」
彩は、辺りを見回す。
「···確かにそうね。」
悠希の口から安堵の息が漏れる。
「じゃあさっそく行『ピーンポーンパーンポーン』」
『えー、やっほー神様でーす。』
澄んだ聞きとりやすい声でふざけた放送がかかる。
『今から君達にゲームをしてもらいまーす。』
「誰だよ、こんなふざけた事してんのは。」
誰かが呟いた。すると周りも、それな、などと言って騒ぎ出す。
『神だよ?16番、水沢琢磨君。』
全員が琢磨を見る。琢磨は、まるで時間が止まったかのようにスピーカーを凝視した。
「な、なんで···。」
『君が言ったんじゃないか、誰だよって。僕はそれに答えただけだよ。』
琢磨は、本当に驚いている。
『それじゃあゲームの説明をしようか。ルールは簡単、適当に進んでモンスター倒して僕の所まで来れたらゴール。時間は···そうだねぇ、1年ってことにしようか、あまり長いと飽きちゃうもんね。もし君達がゴール出来れば君達の願いを叶えてあげる。だけど、1年を過ぎたら君達全員······死んでもらうよ。』
その時、日常は呆気なく崩れ去った。
『でも、さすがに今の君達じゃあ無理ゲーだよね。だからさぁ作り変えてあげる、このゲームに適した体にね。』
神がそう言うと、体の中で何かが駆けずり回った。自分の体が一瞬で食われて即座に作り直される様なおぞましい感覚だった。
『じゃ、頑張って~。』
その時から、俺は神に願う事をやめた。
「···もう駄目だ。」「死にたくない···。」「家に帰してよぉ···。」
皆、混乱している。
「みっ皆、落ち込こんでちゃだめだよ、きっとすぐに先生が···」
立ち上がった委員長は途中で言葉を詰まらせる。
そうだ、先生達が来て何になるのだ。いや、先生達でさえこんな状況じゃ生徒の所へ来るはずがない。誰だって自分の身が一番大切なのだから。
「僕が外を見てくるよ。」
「誠···。」
誠はゆっくりと立ち上がり、扉に手を掛ける。その足は微かに震えている。
「待ちなさい、私も行くわ。」
続いて彩も立ち上がる。
「彩っ、だっダメだよ。何が起こるか分からないんだ、あぶないよ!」
彩は、鋭い目つきで誠を睨む。
「だから何?あんただったら危なくないってゆうの?」
「それは···そうじゃないけど、でもっ。」
「大丈夫よ、私は大丈夫。それに、危なくなったら悠希が守ってくれるでしょ。」
急に名前を出された悠希はピタリと動きを止めた。
「············えっ、えぇぇぇっ!」
「何よ、急に叫び声なんて揚げちゃって」
「いや、おかしいでしょっ。なんで俺の名前が出てくるのさ!」
悠希は立ち上がって彩に近ずく。
「だって他の奴に任せられないじゃない、危なくて。」
「俺だったらいいのかよ!」
彩は少し考えた後、首を傾げながら。
「まあ、わりと?」
「そこは断言してほしかった。」
悠希は肩を落とした。
「もー、どっちにしろあんたにはついてきてもらうんだからつべこべ言わない!ほら、いくわよ。」
そう言って彩は強引に二人を連れ出した。
教室を出た先は、見慣れた廊下がずっと続いている。そう、ずっと続いているのだ、見渡す限り終わりはなくところどころ廊下や教室につながっている。
「···もうここが学校かも分からなくなってきたな。」
「これが神様の力ってやつでしょ。」
終わらない廊下を歩きながら辺りを見回す。
「二人共、何が起こるか分からないだからもっと気をつけてよ。」
「はいはい、分かってるわよ。何か出てきたらとりあえず殴ぐっとけばいいんでしょ。」
「···人だったらどうすんのさ。」
困ったようにつぶやく。
「そんときは、気力でなんとか。」
その答えに誠達の頭では、『気力=自分達』と言う式ができあがった。
「まっ、まあ。彩が暴れるのはいつものことか。」
「でしょ。あたしは『矛』なんだから、誠みたいな『盾』の技は持ってないの。」
そう言って彩は、くるりと回る。
「大体、何であんなくるくる回るだけで相手の攻撃を避けたり、逆に相手を倒したり出来るか疑問だわ。」
「僕には、何で彩が掌打一発で人を吹き飛ばせるか不思議でならないよ···。」
二人には誰かを守る力がある。でも、俺にはない、だから。
「···もし、二人でも倒せない何かが現れたら、俺が「うあぁぁぁっ!」」
それは紛れもなく人の叫び声だった。三人は、すぐさま声のした方へ走りだした。
「くっ来るなあぁぁぁ、だだ誰か、助けてくれえぇぇぇ。」
どうやら誰かは、何かに追われているようだ。
「彩!そこの曲がり角だ!」
「分かって、るっ。」
彩は一層スピードを上げ、角に手を掛けて強引に身体を曲げる。
「ここは私達が『ヒュッ、ブチャ。』」
何かを潰したような音と共に、彩の頬に赤い液体が飛び散った。
「···えっ」
信じられなかった。さっきまで人間だったものが、まるで落とした豆腐のように多少の形を残しただけの肉塊
になってしまったことが···。
「···う···あ······。」
三人は、そのあまり壮絶な死を前に、その先にいた何かに気づかなかった。
「グゥゥ···ガアッ」
降り下ろされる鉄球。
「···!悠希っ。」
誠に押し飛ばされ、間一髪で避ける。だが、代わりに誠の足が潰される。
「ぐあぁぁぁっ」
「まっ誠!」
誠は痛みに顔を歪ませる。
「···僕の事は···いいから、早く···逃げてっ!」
悠希は迷った、誠を置いてはいけない、だがこのままでは三人共殺されてしまう。
「ガァッンッッ!」
そんな悠希の迷いをかき消すように、何かへ強烈な一発が放たれた。
「逃げるわけ無いじゃない。逃げるくらいならここで死んでやる。」
彩はそうつぶやいた。
「···彩···。」
俺は、一瞬でも誠を置いて行こうとした自分を恥じた。そして彼らのように強く在りたいと思った。たとえ自分が彼らの物語の脇役で在ろうとも、決して彼らのように輝けはしないと分かっても、彼らのそばにいたいと思った。
だが、神のイタズラか、ただの偶然か、それが叶うことはなかった。
もう一度放たれた彩の拳は簡単に止められ、いとも簡単に彩ごと握り潰された。それを止めようとした誠も片足では立ち上がる事が精一杯で、横から角の生えた馬に身体を突き刺され振り落とされた。
「あ···ああ···。」
理解できなかった。
腹に穴が空き辛うじて息のある誠は、悠希を見て何かをつぶやいた。悠希は、急いで誠の下へ駆け寄ったが既に息は無かった。
······許さない······許さない······
悠希の中にあったものがグシャリと壊れてゆく。
『ピーンポーンパーンポーン』
その時、何処からか放送がかかる。
『みんなー、神だよー。ちょっと言い忘れた事があったわ、君達にはねぇ一人一人に職業が備わっているんだよ、君達に合った職業がね。その職業をオンにしないと君達は本来の力が出せないようになってるんだ、だから中いる子は早速職業の確認だぁ、外にいる子はすぐにオンにしてね。じゃないとそこら辺の雑魚モンスターにやられちゃうよー。じゃ、そうゆうことでー。ピーンポーンパーンポーン。』
···神のせいで、二人は死んだ······神の···せいで······神···壊す。
主人公はどうなってしまうのか!
今の自分にも分からないのでドッキドキです。