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地球に異世界大陸がやってきた  作者: 燃やし大根
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戦闘機と竜

3人は一旦、チャカの家を出た。


 王都に向かう為の準備をすることにした。

 まず3人分の食料と装備を買う必要があった。


「ん。一信の装備は要らない。私がいる」

「そうは言ってもいつでも傍にいられる訳ではないでしょ」


 チャカがイーシャをたしなめる。


「ん。一理ある」

「いや、確かにいつも守ってもらう訳にはいかないけどその新しい装備なんて買うお金がないからね......」

「ん。お金の事は気にしない」

「そうね。一信さんは気にしないでいいですよ」


 そう言うとイーシャは懐から金貨袋を取り出した。


「一信さん。こう見えてイーシャは優秀なんです。若くして宮廷魔道士に任命されてますからね」

「ん。任せて」

「それでも何から何までお世話になりっぱなしってのはどうも......」

「うーん。じゃあとりあえず今は借りるというというこでどうですか?」


 チャカが折衝案を出す。


「それならまぁ......」

「じゃあそれでいいじゃないですか」

「ん。それでいい」

「じゃあ早速武器屋に買いに行きましょうか」


 そういうと3人は街の外れにある武器屋を訪れた。


「どれが良いとかまったくわからいな」


 様々な種類の武器を見ても細かい違いなどわからない。


「ん。これとかいい」


 イーシャが持ってきたのは少し重量感のあるショートソードだった。

 その剣を手に取って振ってみる。


 思った以上に手に馴染んだ。

 

「うん。これにする。まぁ使うことはほとんどないとは思うけどな」

「まぁ持ってないより持ってた方が良いと思いますよ」

「ん。少しは練習するべき」


 そのショートソードを購入し店を出る。

 鍛えていない一信にとって防具は動きを阻害する可能性があったので今回は見送った。

 

 そして3人はその他に必要な物を買い込み、そのまま街を出ることとなった。

 王都まで徒歩だと10日近くかかるということであったので馬車を買って行くこととなった。

 馬車だと4日程度着くとのことであった。


 3人は馬車に乗り込み、イーシャが御者として馬車を走らせた。


「馬車ってこんな揺れるんだな」

「一信さんは馬車に乗ったことないんですか?」

「そうだな。まぁ馬車自体見るのは初めてだ」

「それは馬車が存在しないということですか?」

「んー。存在はしてるんだけど、いまや馬車よりも速くて便利な乗り物があるからそれに代わったよ」「馬車より速いとなれば竜車とかですか?」

「いや、地球に竜とかいないから......。逆にこの大陸に竜とかいるの!?」

「元々大陸には住んでいませんでしたが飛来して来たり持ち込まれたりした竜ならいますよ」


 一度は見てみたい生き物№1の竜である。

 この時一信は必ず見ることを誓った。


「まぁ竜じゃないけど自動車と言ってエンジンとガソリンで走る車だよ」

「よくわかりませんが、実物が見たいですね」

「あれはすごい」


 そこで御者席からイーシャも話に入ってきた。

 イーシャは2日程だが日本にいたから多少地球の事を知っている。


「イーシャは見たの?」

「ん。当たり前」

「ずるい! イーシャだけずるい!」

「引きこもってるのが悪い」

「だから引きこもって無いって!」


 横から聞いていて微笑ましくなるような会話を3人は交わしていた。



「ところでこの大陸には亜人種みたいなものはいないのか?」


 異世界ファンタジーと言えばエルフ、ドワーフ、獣人、ホビットである。

 一信も多少そう言った物語を読んだことはある。


「んー。この大陸に基本的にいませんね。彼らは彼らでコミュニティーを作りますから」

「そうか」


 少し残念である。


「それに以前の世界でこの大陸に来ることは至極難しいことでしたから」

「海は危ない。強い魔物が沢山いる」

「でも魔法を使って飛んだらそいつらに出会わず行けるんじゃ」

「無理。まず魔力が持たないし、空を飛ぶ魔物もいる」

「そうですね。飛びながら戦うのは不可能で、そこまで危険を冒す人も滅多にいませんからね」


 どうやら大型船を浮かして大陸から渡ろうとしたこともあったようだがそれらは竜に襲われて全滅したらしい。


「まぁそれでも数年に一度はどうやってか渡ってきた人はいるらしいですけどね」

「ん。それで別の大陸の話も入ってくる」

「そうね、まぁその点ではこの大陸が異世界に来てもそこまで大きな影響はないんですよね」


 しかし、これから大陸と世界で戦争が行われるのだ。

 その事を考えると心が少し気分が暗くなった。





 

「ん? あれ何?」


 御者台に座っていたイーシャが遠くの空を指さして尋ねる。

 一信には遠くて肉眼では見えなかった。


「何だろう? 竜かな?」

 

 チャカにも見えてるらしい。

 一信には見えないので双眼鏡を鞄から取り出し覗き込んだ。


「それ何ですか?」

「双眼鏡と言って遠くを見るものだよ。使ってみる?」


 そう言ってチャカに手渡す。

 


「おおおお! これ凄いです!! ください!!!」

「今これしか持って来てないから無理だけど日本に戻れれば良いよ」


 チャカはとても喜んで望遠鏡を覗き続けた。


「でも竜にしては動きがないですね」

「あれは飛行機、いや戦闘機かな......」

「戦闘機?」

 イーシャが訪ねてくる。


「あぁ、俺も詳しくは知らないが恐らく偵察機だと思う」


 そう話している間にもその戦闘機は猛スピードで近づいてきていた。


「どうしますか!? 迎撃しますか!?」

「んな物騒な。多分何もしてこないから大丈夫だと思う」

「了解」

「でもあれが向かっている方向って......」

「ん。危険」

 

 イーシャとチャカは偵察機の進行方向を見あげる。


「向こうに何かあるのか?」

「そうですね。あそこに見える山脈は竜の住処なんです」


 戦闘機は3人の頭上を飛び越えていった。


 しばらく見ていると山脈に差し掛かるときその戦闘機は炎に包まれた。

 その周りには数匹の竜と思われる飛行物が飛んでいた。



「うわぁ。そりゃ今までも情報が持って帰れなかった訳だ......」

「特に竜は縄張り意識が強いですからね」

「空に関しては特に強い」


 一信は少し竜を近くで見るのを諦めようかと少し考えた。


 そして3人は気を取り直して王都を目指す。






*****************************










 大陸に存在する王国『マルリ』の王都にある王宮ではこの国の女王が頭を抱えていた。


 



「一体全体どうなっている!? 転移してからかれこれ1カ月だぞ! まだこの世界の事を掴めんのか?」


 その女王は声を張り上げて集まっている部下に迫っていた。


「申し訳ございません。陛下」

「今わかっていることはこの大陸の周りが海であることだけか......。大陸中央のフン湖に現れた巨大な島群はどうなっているのだ?」

「はっ! 帝国側と境界とのこともあり、両社とも牽制している状態です。一応接触しようと試みているですがあの島に住んでいる者達の中に軍隊がいていかんせんうまくいっていない状態です」


 それを聞いて女王はため息をつく。


「ひとまずこの状態はよくない。一刻も早くこの世界の事を知らなければどうしようもないな」

「そうですね。せめて偵察部隊と連絡さえ取れれば少しでもマシになるのですが......」


 その空間に重い空気が流れるのであった。

 


 

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