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星霜の彼方へ  作者: 新藤康誠
第一章~すぐそこにある「邂逅」~
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第四話

いきなり飛び出してしまったのだが、何処に逃げるかなんて考えていなかった。一度落ち着いて近くのシェルターまでの距離を考える。紅井の四ブロック目の…ダメだ遠い…俺だけなら走って十分弱だけど、今回は女の子がいる。彼は隣の女の子を放っておくことなど考えもしなかった。紅井の三ブロック目は坂が急だ…そうだ!軍の格納庫がある、こんなときだから匿って貰えるだろう、あそこまでなら五百メートルもない。

 「こっちだ!」彼女の手を引く、止めかけていた歩みのペースを戻し、再び走り始めた。上空では既に黒い塊とAF部隊が交戦に入っている。彼は少しだけペースをあげると格納庫の位置を確認した、あともう少し…見えた!後は中に入るだけだ!

 「そこの民間人!さっさと避難しろ!既に交戦の許可が出ている!」上空からの声が乾いた銃声とともに響く、後方に見える黒い塊から俺らを守ってくれているようだ。言われなくてももうやってるよ!シャッターを開き、中に滑り込む、見回すと誰もいなかったが、自分達の身を守るのには十分どころか咎める者がいないのでかえって好都合だと考え、とり敢えず腰を下ろす。随分と久しぶりに走ったせいで脚が熱を持っている上、動悸が止まない。隣の娘のせいでもあるかな…なんて思いつつも彼は荒い息の中、いつものようにヴィンテージものの情報端末(読者諸君もよく使う薄い板みたいなあれのことだ。)を胸ポケットから取り出すと、何事もなかったかのようにいじり始めた。彼女の方はというと、まだ頭の中が整理出来ていないようで、しきりに深呼吸をしている。

 そんな彼女の様子に奏志は一抹の不安を感じていはいたものの、生来の彼の性格からして、気にかけること、見つめることは出来ても彼女を励ますことは出来なかった。そんな自分を情けなく思い、自分に対して腹をたててもいたが、しょうがないことだと悲観しつつもあった。外ではまだ銃声と爆音、塊のばぁばぁという不快な声が入り交じって反響しているーーー

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