三章キャラクター紹介
本日は六十六話も投稿しております。宜しければそちらも目を通していただけると幸いです。
・ヴァンダルー
六歳になった主人公、性格的には相変わらず。ただ、マヨネーズと、それよりも更にケチャップが好きである事が明らかになった。
貴族に成るより先に王様に成ったが、当人は「まあ、成ったからには仕事しないと」と頭を増やしたり腕を増やしたりしながら短時間で仕事を熟し、以前と同じく生活している。
既にタロスヘイムが第三の故郷と化しており、現在は自然に優しいゴーレム工場で加工食品や調味料、藁半紙に衣料品、石鹸の製造体制を整えようとしている。
これは自分やタロスヘイムの住人の生活向上の為でもあるが、将来の交易品や観光の目玉にするためでもある。
最近は水路から水を引いて、プールを作ろうかなと考えているが、まず水着が先かと考えたり、最近部下に加わったチェザーレに「まず通貨を造りましょう」「国旗は如何します?」と促されたり、充実した日々を送っている。
アルダや軍務卿や原種吸血鬼、皇帝等の思い込みを裏切って、来年にはいよいよオルバウム選王国に行く予定。
実は十万年前に魂を砕かれたザッカート達勇者四人の魂の複合体だったが、彼本人は記憶も勇者由来の力も持っていないので自覚は無い。何せ十万年前だし。
因みに、現在のヴァンダルーの戦闘能力は冒険者ギルドの等級に当てはめると……魔術を一切使わない状態だとD級上位。
無属性魔術だけ使う場合はC級。
死属性魔術も使う場合だとB級。(死属性魔術が未知の魔術であるため)
アンデッドやゴーレムを引きつれ、病気もばら撒くならS級に相当する。
ただやはり一人の強力な敵よりも、程々の強さの大勢の敵と戦う事に向いている。
そして、「この一撃に全てを賭ける!」的な全身全霊を込めた一撃を繰り出して来る敵とは相性が悪い。そこにその敵を信じる仲間のバックアップがあったら、不利は免れられない。
・パウヴィナ
今年三歳になるノーブルオークハーフの幼女。ただし大きさは既に六歳のヴァンダルーを大きく超えている。
ステータス上は人間側で、ジョブは在ってもランクは無い。ただ、見た目からヴィダの新種族の一種である獣人と見なされると思われる。
ラピエサージュや、他の年少組と仲が良く、お姉さん的な存在になっている。
ヴァンダルーから鉄製メイスを贈られ、毎日【棍術】の練習を欠かさない、撲殺系幼女。
尚、ヴァンダルーを高い高いする事からは卒業したらしい。
現在の彼女の戦闘力はE級冒険者相手なら楽勝だが、D級は負けないが楽には勝てない程度。D級パーティー相手だと、まず負けてしまう。
・名前:パウヴィナ
・種族:ノーブルオークハーフ
・年齢:2歳
・二つ名:無し
・ジョブ:無し
・レベル:75
・ジョブ履歴:無し
・パッシブスキル
暗視
怪力:1Lv
精力増強:1Lv
・アクティブスキル
棍術:1Lv
投擲術:1Lv
・ラピエサージュ
ミハエルのパーティーメンバーの遺体を継ぎ接ぎしてヴァンダルーが作ったパッチワークゾンビ。
最も原型を保っていた女魔術師の身体をベースに頭は女戦士の、肘と膝から先をオーガの物を使い、背中にはプテラノドンの翼、尻尾には先端にセメタリービーの毒針を付けた蛇の尻尾を生やさせ、砕けていた骨はトライホーン(トリケラトプス)の角から削り出した物を使用。
他にも内臓などを魔物から使い、胴体部分の皮膚や筋肉を女戦士や魔物から採った物を繋ぎ合わせて、タロスヘイムに漂っていた霊を憑りつかせてゾンビ化させた。
結果、幼さを残した美貌と大人の曲線豊かな肉体、蒼白や褐色や暗緑色が控えめな縫い目で繋がるコントラストが背徳的な肌、手足は軽く成人男性の頭を握り潰せ、若しくは踏み潰せるオーガのもので、背中に翼、腰から尻尾を生やしているという、一見して正体不明の姿と成った。
死後時間が経ち過ぎていて遺体の主の霊が無かったため、知能と精神年齢は幼児並で魔術も使えない。性格は食いしん坊で、特にマヨネーズやケチャップを好む。
防衛戦で遥かに格上の貴種吸血鬼を何人か殺した事で、ランクアップに成功している。
因みに、ミルグ盾国の事は全く覚えていない。
・名前:ラピエサージュ
・ランク:5
・種族:ハイパッチワークゾンビ
・レベル:0
・パッシブスキル
闇視
高速再生:5Lv
猛毒分泌:尻尾:5Lv
物理耐性:3Lv
魔術耐性:3Lv
怪力:4Lv(UP!)
・アクティブスキル
帯電:3Lv(UP!)
高速飛行:2Lv(UP!)
格闘術:2Lv(UP!)
鞭術:1Lv(NEW!)
・サム
オリハルコンの槍を持つ、恐らく世界で唯一の馬車アンデッド。オリハルコンの特性上、頭に超がつかない一流程度の魔術師が張った結界なら、難無く破れるため、ますます暴走に拍車が掛かっている。
実は彼が轢き殺した中に生前仕えていた貴族家の縁者が混じっていたのだが、気にしていない。
それよりも気になるのは露出過多になってしまった娘達で、あのままランクアップを重ねたらどうなってしまうのかと悩んでいる。
タロスヘイムの文官に任命されたが、現在は仕事が忙しいというよりも、仕事をするための準備が忙しい状態。
そういう彼も今回の防衛戦でブラッドキャリッジからランク5のマーダーキャリッジにランクアップしており、ますます禍々しい車体に成った。オリハルコンの槍も装備しているので、既にD級冒険者は彼にとって経験値源でしかない。C級冒険者でも一人でサムの相手をするのは至難である。
更に【空間拡張】スキルを獲得した事により、荷台の広さが外見の三倍程になっている。ますます利便性が向上した。
・名前:サム
・ランク:5
・種族:マーダーキャリッジ
・レベル:1
・パッシブスキル
霊体:4Lv(UP!)
怪力:4Lv(UP!)
悪路走行:4Lv(UP!)
衝撃耐性:2Lv
精密駆動:4Lv(UP!)
快適維持:4Lv(UP!)
殺業回復:1Lv(NEW!)
空間拡張:2LV(NEW!)
・アクティブスキル
忍び足:1Lv
高速走行:2Lv(UP!)
突撃:5Lv(UP!)
サイズ変更:2Lv(UP!)
槍術:1Lv(NEW!)
・サリア&リタ
【霊体】スキルの上昇によりハイレグアーマーやビキニアーマーに相応しいセクシーボディを取り戻した(?)姉妹。一見すると人種の少女に見えるが、よく見ると肌は蠟を厚く塗った様な白で血の気どころか血管も透けていない。
ただし、そこまで詳しく観察する前に男なら他のものが目に入りそう。だが本人達にとって鎧の方が本体であるため羞恥心等は覚えないらしい。
見た目も変わったが、霊体は本来アンデッドにとって肉体の喪失や機能を補うための物であるため、全身の力が著しく上昇している。
またその刺激的な後ろ姿を隠すためにとヴァンダルーが付けさせたマントにより、物理&魔術防御も上がっている。
現在は太らない身体を手に入れた事で、姉妹共々ヴァンダルーがラムダで再現する新しい料理や調味料に夢中。ただ、最近武術ばかり鍛えていて、本業であるはずのメイドとしての技能が疎かになっている事に気がついたため、家事や裁縫等の練習も始めた。
今の二人を一度に敵に回すと、C級冒険者パーティーでも敗北する可能性が高い。
・バスディア
娘のジャダルを育てているため、まだグールアマゾネスに留まっている。ただヴァンダルーによる魔力ブートキャンプにより、魔力を上げつつ魔術系スキルを幾つか獲得している。
ジャダルが乳離れした事もあり、最近料理を習い始めた。今の得意料理は『焼いた肉』と『肉の串焼き』。
因みに、現在ヴァンダルーが唯一将棋で勝てる相手でもある。
彼女の実力は並のC級冒険者以上B級未満ぐらい。
・ザディリス
防衛戦後、月に一回B級ダンジョン『バリゲン減命山』でボークスやヴィガロ、ヴァンダルーと共にレベリングに励んでいる。ただ、ランクが高くなっているため中々レベルが上がらないようだ。
しかしタロスヘイムに戻れば歳の離れた姉妹のように見える事も気にせず、孫と戯れる等充実した毎日を送っている。
一応タロスヘイムの宮廷魔術師に任命されたが、それで増えた仕事は特にない。任命される前からしていた事が殆どであるため。
グールエルダーメイジにランクアップし、額に増えた第三の目で視野が広がったが、あまり視覚的には役立っていないようだ。
魔術戦に限ればB級冒険者に迫る実力。
・ヴィガロ
グールの間では伝説になっているグールタイラントにランクアップし、人里で見かけられたら冒険者ギルドが全冒険者に集合をかける存在に至った。しかし、本人としては「強くなった」程度の自覚しかない。
もうすぐ付き合っている相手に子供が産まれる為、張り切っているリア充。ボークスがランクアップして差が開いたので、戦闘面でも張り切っている。
因みに、ヴァンダルーにグールの【格闘術】の武技を教えたのは彼だ。しかし、格闘術そのものの腕前では既に抜かれている。それを気にして斧だけではなく格闘技の修練も行うようになった。
タロスヘイムの武官に就任したが、「つまり、魔物を狩って来ればいいのだろう?」と以前と変わらない生活をしている。
戦闘で一対一なら並のB級冒険者相手ならまず勝てる。
・名前:ヴィガロ
・ランク:7
・種族:グールタイラント
・レベル:39
・ジョブ:斧豪
・ジョブレベル:11
・ジョブ履歴:見習い戦士、戦士、斧士
・年齢:171歳
・パッシブスキル
暗視
怪力:5Lv
痛覚耐性:4Lv
麻痺毒分泌(爪):3Lv
斧装備時能力値強化:中
・アクティブスキル
斧術:8Lv(UP!)
格闘術:3Lv(UP!)
指揮:4Lv
連携:3Lv(UP!)
伐採:2Lv
解体:1Lv
盾術:2Lv(NEW!)
・ボークス
対ライリー戦で生前持っていた技能を思い出し、更に上位スキルに変化させランクアップも種族名は同じだが果たした。
多少は過去の因縁も晴らせたので、彼個人の収穫は大満足。
生前の実力をほぼ取り戻し、スタミナなどでは超えている。ランク10と言えば人里に現れたら、人口数万規模の都市がパニックに陥る程の高位の魔物だが、ボークスの場合は外見が巨人種のゾンビであるため彼本人が実力を見せるか、隠していても見抜ける眼力の者が居なければランク3~4くらいのゾンビだろうで誤魔化せる。
なので、ヴァンダルーがオルバウム選王国に行く時は、その手で行こうと思っているが、『いや、無理だって。あんたゾンビの演技下手だし』とゾンビ仲間に言われている。
それ以前にヴィガロと同じくタロスヘイムの武官に任命されているのだが、仕事は全て上司の筈のチェザーレに丸投げしている。
ただ元遠征軍のアンデッドを連れて狩りに行くため、新人の訓練と言う仕事はしている事になるかもしれない。
好物はマヨネーズ、出汁の効いたスープ。
・ヌアザ
タロスヘイムのヴィダ神殿長に就任した。散々ヴァンダルーに「自分はその器ではありません」と抗議したが、「それを言うなら俺も王の器ではありません」と返されるだけに終わる。
しかし、元々基本的に一人で神殿を管理してきたため、就任したからといって何が変わる訳でもないのだが。
新たに増えた遠征軍のアンデッド達にヴィダの教えを説いているが、中には肉体の無いリビングアーマーも居る為コミュニケーションにやや困っている。
種族的にはリッチなのだが、ヴァンダルーから貰ったオリハルコンメイスと元々の肉弾戦闘能力の高さから、完全に魔術が隠し技になっている。
そのせいかレベルが100に到達しても、ハイリッチにランクアップしていない。
そのアンバランスさのせいか、戦闘能力もC級冒険者に微妙に届きそうで届かない程度。
・骨人
バイカウント(子爵)にランクアップし、ただのスケルトンとは一線を画す風格を漂わせるようになった。その存在感は、真横にヴァンダルーが居ると彼が霞むほどである。
最近は騎士らしく【騎乗】スキルを獲得したが、クノッヘンに乗ろうとするとクノッヘンに取り込まれそうになるため、活用できずにいる。
そのためヴァンダルーにドラゴンゾンビかボーンドラゴンの作成を訴えるが、今まではデカくて鈍い大器晩成型を一頭作るよりも、武具の素材にして皆に配る方が効果が高い為見送られていた。
でも防衛戦も勝ったので次にドラゴンを狩ったらボーンドラゴンにしようという事になった。……その途端、ドラゴンが出て来なくなるという世の厳しい現実を噛み締めている。
そのため、現在はボーンティラノサウルスに騎乗している。
騎乗時の骨人の戦闘力は、C級冒険者数人に匹敵する。
・クノッヘン
防衛戦前にランク8のユニオンボーンにランクアップした。その姿は数え切れない程の骨が融合してできた、屋敷ほどもある獣で、通常のスケルトンなら有効な頭や背骨を砕く等の攻撃が、【骨体操作】スキルで砕かれた骨を他の骨で即座に補うため、殆ど効果が無い強力な魔物である。
特にクノッヘンは普通のユニオンボーンが吸収していないアースドラゴンやロックドラゴンの骨を体内に含んでおり、その防御力は鋼鉄に匹敵する。
発見されると冒険者ギルドが強制依頼を発行し、討伐隊が組まれる災害指定種であるが、やはり自覚は無いし誰もその事を知らない。(存在自体が希少で、ゴブリンキング等と違って知名度も低い為)
頻繁にタロスヘイム上空を飛行しているが、十回に一回は体内にヴァンダルーが乗り込んでいるらしい。
・名前:クノッヘン
・ランク:8
・種族:ユニオンボーン
・レベル:27
・パッシブスキル
闇視
怪力:8Lv
霊体:5Lv
骨体操作:5Lv
物理耐性:4Lv
吸収回復(骨):4Lv
・アクティブスキル
忍び足:2Lv
ブレス【毒】:5Lv
高速飛行:5Lv
遠隔操作:4LV
射出:4Lv
・エレオノーラ
ヴァンパイアバイカウントにランクアップし、同時に【隷属戦士】にジョブチェンジし、更に日光を克服した貴種吸血鬼の美女。
ヴァンダルーの為にも強く成らなくちゃと頑張った結果、強くなったけど主人が家事に勤しんでいるという現実にちょっと困っている。
太陽を克服する力を与えてくれたり、アイラの様な圧倒的に格上の相手を殺す策を実行したりと、やはりヴァンダルーは原種吸血鬼達よりも恐ろしい存在だと確信を深めている。
ヴァンパイアゾンビと化したアイラ達が配下に加わった。とりあえずの目標は、全員に【日光耐性】スキルを獲得させる事である。
・タレア
ヴァンダルーによる大陸支配を望む野心家で、【若化】した事でも気持ちも若くなり、以前は考えていなかった自分自身の身体でヴァンダルーに取り入る事を真剣に考えている。
しかしあまり迫ると良くないと、防衛戦ではせっせと武具を製作し「陰で支える女」を演じる等策士である。
そしてヴァンダルーの周囲に居る女性陣で、ただ一人家事能力の無さに危機感を覚えない人物でもある。
「私には技術がありますもの」と、武具を作り続けている。
尚、サリアとリタが身体を取り戻した事で二章終了時から若干バストランキングに変動が起きたが、彼女とバスディアの一位二位争いは変わらない。(ダルシアも含めれば三位も入る)
因みに現在の四位はサリアとリタがほぼ同点、六位がエレオノーラ。七位以降がカチア、ビルデ。そして最後がザディリスである。
・名前:タレア
・ランク:3
・種族:グール
・レベル:1
・ジョブ:武具職人
・ジョブレベル:97
・ジョブ履歴:見習い武具職人、武具職人→奴隷(47Lv時強制ジョブチェンジ)、見習い娼婦、娼婦
・年齢:269歳(肉体&外見年齢18歳)
・パッシブスキル
暗視
痛覚耐性:1Lv
怪力:1Lv
麻痺毒分泌(爪):1Lv
色香:4Lv(UP!)
・アクティブスキル
目利き:6Lv
防具職人:7Lv(UP!)
武器職人:7Lv(UP!)
枕事:5Lv
舞踏:2Lv
房中術:2Lv
・ブラガ
ラムダ初のニンジャ。防衛戦後、手に入れた経験値でブラックゴブリンニンジャアデプトにランクアップを果たす。恐らく、中忍に相当するものと思われる。
その戦闘能力はプロの暗殺者顔負けで、しかもヴァンダルーが「忍者の本質は戦闘ではない」「忍者とは忍ぶ者である」という事を故意に教えなかったためか、真正面から敵を暗殺するというバグ性能に成りつつある。
見た目は尖った鼻や釣り上がり気味の目等意地悪そうに見えるが、一途な性格。そのため同族のブラックゴブリン達と夢中になって修業した結果、ゴーバやメメディガを筆頭に他の新種達の殆どが恋人持ちになっていたという現実につい最近気がついた。
「キング、俺達も恋人欲しい……」
「……来年オルバウム選王国に行く時、着いてきます?」
こんな会話があったらしい。勿論選王国に行ったからといって、ブラガ達に恋人が確実に出来る保証は無い。
ヴァンダルーはどうしても見つからなかったら、帰る前に奴隷でも買えば良いじゃないだろうかと無自覚に鬼畜な事を考えているようだ。
因みにブラックゴブリンは防衛戦後、全員がブラックゴブリンニンジャにランクアップしている。全員で動けば人口数千人程度の小~中規模の町なら主要人物を一晩で皆殺しに出来る力を持っている。
・名前:ブラガ
・ランク:6
・種族:ブラックゴブリンニンジャアデプト
・レベル:1
・パッシブスキル
闇視
状態異常耐性:3Lv(UP!)
敏捷強化:4Lv(UP!)
直感:3Lv(UP!)
気配感知:5Lv(UP!)
忍具装備時能力値強化:中(NEW!)
・アクティブスキル
短剣術:5Lv(UP!)
投擲術:3Lv(UP!)
忍び足:6Lv(UP!)
罠:2Lv(UP!)
解体:3Lv(UP!)
開錠:2Lv(UP!)
・ユニークスキル
人種殺し:1Lv(NEW!)
・アルダ
本来は光属性の神だが、ヴィダから神格(神にとって、世界を管理運営するために必要なもの)を剥奪したため、生命属性も司る様になり、法命神と名乗る様になった神。
性格は保守的で懐古主義。変化を嫌い、定められた秩序の下人々が昨日までと同じ日々を過ごす事こそが正しく、そして幸福な事だと考えている。
そのため自分と似た考え方を持つ(と思った)ベルウッドを勇者に選ぶ。
ザッカート達生産系勇者四名が魔王に滅ぼされた事に付いては、勇者が半分以下になりその後魔王を倒すまでに支払った大きな犠牲(総人口の九割九分以上とヴィダ以外の神々が行動不能)を考えると、何としても避けるべきだったと反省している。
しかし同時にその後のヴィダの暴走(アルダから見るとこう解釈される)を考えると、良かったと思ったり、いやザッカート達が滅びていなければ彼女も暴走しなかったのではないかと考え直したり。
考えに考えた結果、「全ては過去の事なのだから、悩んでも仕方がない」と記憶の奥底に封じ込めている。
ヴィダの新種族を邪神悪神同様に滅ぼす事を目標にしているが、本当にヴィダの新種族が邪悪だと考えている訳ではなく、ただ輪廻転生の秩序を守るためには必要な事だから行っているに過ぎない。なので彼らを滅ぼす事に罪悪感を覚えている。
しかし、今まで犠牲にした者達(討伐されたヴィダの新種族含む)の為にもやり遂げなければならないのだと考えており、翻意する事はまず無い。
ヴァンダルーに関しては、ゴルダン達がアンデッド化した時点で情報が途切れており、ロドコルテも情報を渡していないため、魂を砕ける事は知らない。
しかしアンデッドやゴーレムを従え、聖職者すらゾンビにして僕に加え、更に病を創りだした事は知っているため対策に動き出している。
ただ彼の神託を正確に聞き取る事が出来る者が現在居ないため、「病に耐えうる者を育てよ」とか、その辺りから始めている。(神託を正確に聞き取る事が出来る者は稀で、その点でヌアザは天才だった)
従属神に【記録の神】キュラトスや、【断罪の神】ニルターク等が存在する。
・ベルウッド
アルダによって選ばれた勇者。元々いた世界『アース』では、環境保護活動に参加する大学生だった。
顔が良く、人を惹きつけるカリスマがあり、勉強も出来て運動神経も良いと天が二物も三物も与えたような人物だったが、過激な自然保護活動に傾倒してからは彼の周りから人は離れて行った。
それがラムダに召喚されてからは一変し、しかもラムダは彼の理想だった産業革命前の綺麗な世界だったため、色々と頑張った。
それが最初は良い方向に向かっていたのだが、ザッカート達との衝突が激しくなるにつれて溝は深まり、最終的に彼らと距離を置く事になり、その隙を魔王に突かれて彼らを喪ってしまう。
それでも最終的に魔王を倒したが、当時の人口の九割九分以上を喪うというギリギリの勝利だった。
その後アルダと共にヴィダと戦ったのは、彼女が魂の無いザッカートをアンデッド化させ、吸血鬼やグールといった『アース』では悪いイメージの種族を産み出した事が、「死者や命を弄んでいる!」と義憤に駆られたため。
主張する事に一理はあるのだが、他人の意見を聞かない性格。口では「話し合おう」「話せば分かる」と言うが、実際に議論しようとすると、自分の主張を大声で主張し、他人の主張(特に反対意見)は遮る等、実際には話し合いにならない。
ただ耳に心地良い事を口にするため、彼と考え方が似ている人物には好人物に映る。
彼の理想は電気も蒸気機関も無い自給自足の生活で、それが人間の正しい姿だと信じている。魔術は自然を汚さない(そう彼は思っている)ので使用に制限は無い。
因みに、ヴァンダルーが以前読んだ絵本に書いてあった事は大体事実であり、ベルウッドが愛した女性達は全員魔王との戦いを生き残っている。
死後は神に至り、アルダの従属神の一柱に加わるが、現在は【罪鎖の悪神】との戦いで相打ちになり深い眠りについている。
・ヴィダ
本来生命属性を司っていた女神。十万年前、この世界独自の輪廻転生システムと世界の再建と復興を助けるために新種族を産み出し、ザッカートの知識を元に都市を建設していたら、アルダとベルウッド達に強襲され重傷を負い、神格を剥奪される。
現在もその傷は癒えておらず、時折意識を取り戻すが殆どは微睡むように眠っている状態。
アルダとは正反対の性格で、形式や規則に拘らない。教義もシンプルで、ややこしい儀式や厳しい修行を信者に課すような事もない。
大らかで細かい事は気にしない性格で、神としては愛と生命を司る。ただ生命の進化や生存競争も司るので、社会での競争も勧めている。勝者には賞賛を、敗者には再び立ち上がれるように慈しみを。そんな教えである。
短期間で様々な新種族を産み出した事から分かるように奔放な神であり、豊穣を齎す事から彼女の教えでは処女性は重視されず、彼女に仕える女性聖職者は神聖娼婦としての役割を担っていた。
・ザッカート
本名、坂戸啓介。アースでは小さな町工場の若き経営者で、学生時代は法医学者を夢見たが、紆余曲折あって工業大学を卒業し両親の町工場を継いだ技術者。趣味で様々な雑学に通じるが、工場の経営に失敗し首を吊ろうとしていたらヴィダに勇者として見出された。
容姿は並で、運動音痴。そして手に入れた能力は生産系と、勇者らしくない勇者だった。
それは魔王との闘いに関する考え方にも当てはまり、ベルウッド達は世界を守る聖戦だと言っていたが、彼だけは最初からただの侵略者と現地住民の戦争だと考えていた。
結果、複数の邪神悪神を寝返らせる事に成功する。しかし、その成果のせいでベルウッド達戦闘系勇者からは距離を置かれ、魔王からは目を付けられる事になった。
チームの和を大切にする性格で、生産系勇者の纏め役に何時の間にかなっており、戦闘系勇者のリーダーだったベルウッドとはよく衝突した。
自分の主張ばかり唱えてこちらの意見を聞かず、作戦の穴を勢い等あやふやな物で乗り切ろうとするベルウッドに対して、勇者が割れる訳にはいかないと一歩譲り、仲間を宥め、サポートに徹していた。ただ、最終的には辛抱できず、独自路線を取り始める。
アースの現代化学兵器の中でも最も威力と環境に対する悪影響が強い兵器を作り出し、使用する作戦を立案する等過激な部分もある。
魔王に仲間の生産系勇者達共々魂を砕かれ、その破片はロドコルテに回収され一つの魂と成り、十万年の輪廻と年月を経てヴァンダルーになった。
・グドゥラニス
異世界からラムダに現れ、侵略戦争を仕掛けた【魔王】。その力は一人で神々全員と渡り合えるほど強大だったらしい。
更に神でも不可能だった魂を砕き滅ぼす事を可能にし、その力と恐怖で数多の邪神悪神を支配していた。
対物理攻撃結界と対魔術結界の同時展開等、他にも厄介な能力や力を満載している。
更にロドコルテの輪廻転生システムを何らかの方法で模倣し、それを使ってラムダにそれまで存在しなかった魔物を創りだした。現在存在する魔物の殆どは、グドゥラニスを始祖とする。
戦闘能力に優れたベルウッドではなく、ザッカートの知恵が何時か自分を追い詰めるだろうと考え、自ら一兵卒に変装までして抹殺した。
・ライリー
元『五色の刃』のメンバーで、ハインツの仲間だった男。しかし、価値観の違いからハインツを見限りパーティーを脱退。
『五色の刃』当時は功名や手柄に拘り見栄っ張りなところがあったが、その分面倒見が良く好人物でもあった。ハインツと自分との違いも受け入れようとしていたが、その分別れてからは箍が外れてしまった。
吸血鬼と取引した事で一時は夢見ていた英雄伝承歌の主人公のように称えられたが、現在ミルグ盾国では彼は【堕ちた英雄】と呼ばれ、彼を英雄扱いした過去は無かった事のように扱われている。
パルパペック伯爵が評す通り才能はあったが、その「才能」の中に同じく「才能」ある仲間達に支えられて初めて発揮できるものがあると消滅する最後まで気がつかなかった。
因みに、【悲劇の英雄の再来】という二つ名は、「○○のジャンヌ・ダルク」や「○○の坂本竜馬」と言うような意味だと捕えられており、別に不利な補正を受けてはいなかった。
・ゲニー、メッサーラ、フラーク
ライリーの犯罪奴隷三人組。
ボークスに斬り殺された後ヴァンダルーによってアンデッドとして復活するが、その利用価値を認められ捨石軍には加わらず、タロスヘイムに残留していた。
ゲニーはミルグ盾国の裏社会や、冒険者ギルドについて、更にタロスヘイムではニンジャ部隊を入れても少ない斥候職として。
メッサーラは魔術師ギルドで導師にまで出世した魔術の技術とノウハウ、後禁術の知識を認められて。
フラークは傭兵ギルドの情報を認められたのと、農家の出身だったので。
それぞれタロスヘイムで働かされている。彼らに憑いていた霊から生前の所業は聴いているのでヴァンダルーからの好感度はかなり低いが、それでも待遇は「ライリーの所よりマシ」と断言される状態。
特にフラークはトマトが次々にモンスタープラントと化している畑で農作業に勤しむ、陽気でおしゃべりなゾンビとなっている。
・ボーマック・ゴルダン
アルダの高司祭で、念願叶って三度目の機会が訪れたが、結果は返り討ちにされアンデッドに。最後はヴァンダルーとアルダを混同していた。
彼がヴァンダルーの指示で行った破壊活動により、彼の名声は地に堕ち、アルダ神殿の権威も失墜している。
神殿だけではなく帝国と盾国政府も火消しに彼のイメージを回復させようとしているが、城壁に大穴を空けて入ってくる彼の姿は衝撃的で、思うように回復はしていない。
一時は上手くいったのだが、「悪いのは全て境界山脈の向こうに居る悪魔だ!」と復讐戦を望む声が高まりかけ、慌てて中止されている。
神殿以外はもうゴルダンを悪者にした方がいいのではないかと考えている。
彼が教えていた弟子達は年齢や怪我を理由に離れた者以外殆どが遠征戦に加わっていて、全滅してしまった事も神殿とアルダにとっては頭が痛い問題である。
因みに、戦闘能力だけならゴルダンを越える神官戦士や聖職者がアルダ神殿には何人も存在する。なのにアルダが彼に注目し、次の御使いや英霊候補にと決めたのはゴルダンが多くの者から認められる「英雄」だったから。
ラムダでは人に認知されていない存在は、実際はどれ程力を持っていても「隠れた強者」に過ぎず、「英霊」や神等広く知られるべき存在には成れないのだ。
・ベルノー・バルチェス子爵
三章で最も被害に遭った人物。しかし、彼が開拓地にした密林魔境は元々グールが住んでいた土地なので、ヴァンダルー目線だと「自業自得」でしかない。
勿論、人間社会ではグールは魔物なので、そう見ているのはヴァンダルー達だけだ。
開拓事業が頓挫した事で経済的に追い詰められるが、アミッド帝国主導で境界山脈を見張る砦の建設事業が始まり、そのお蔭で何とか一息つく事が出来た。
彼の子供以降は砦の存在に頭を悩ませる事になるだろうが、彼本人はバルチェブルグを守りきった事と、経済的に立ち直った事で後世に名君と称えられる事になる。
・ランギル・マウビット
アミッド帝国の将軍。軍人ではあるが、政治家タイプの人物で個人の武威は殆ど無い。
原種吸血鬼のテーネシア派と通じて、様々な利益を得て来た。そして今回の遠征で栄華を極めようとして、無残に散った。
アミッド帝国ではマウビット伯爵家は取り潰され、跡取りの長男は自害に見せかけて謀殺。他の子供達も悲惨な境遇に落とされている。
ミルグ盾国ではバルチェス子爵が名を高めた事に反比例して、悪徳貴族の代名詞として使われている。
一方タロスヘイムでは彼の霊はかつての部下チェザーレに暫くこき使われた後、やはり使えないという事で城壁を形作るゴーレムの一体にされた。
・チェザーレ・レッグストン
ミルグ盾国で当時軍務卿を務めていたレッグストン伯爵の次男。
原種吸血鬼の陰謀に巻き込まれた不幸な人物。指揮官としては凡庸だが、調整タイプの軍人で文官的な仕事もこなす等、万能タイプの人材。
それをヴァンダルーに認められ、何と将軍に抜擢される。……これはボークスがデスクワークの出来ない人だった事も一因である。
ただ、将軍とは言っても軍事だけではなく官僚的な仕事まで彼がこなしている。
死んでなかったら過労死するところでしたよと語りながら、ワーカーホリックぶりを発揮し、ヴァンダルーに国旗や通貨、法の制定等を促している。
因みに黒牛騎士団は練兵術や人間流の集団戦をグール達に学ばせる模擬戦相手として、タロスヘイムで活動中。
・トーマス・パルパペック
ヴァンダルーの反撃の結果、再び軍務卿の職に就く事になった。ただ、栄達と言うよりも難しい仕事を押し付けられた意味が大きく、今も生え際が後退するようなオーバーワークの渦中にある人物。
三分の一しか残っていない精鋭部隊を元の規模に戻して、その前にオルバウム選王国に隙を突かれないよう国境沿いの砦の警戒態勢を整えて……仕事が忙しくて何か企む暇も無い。
ライリーを切り捨てる工作を行ったが、あんなことになるくらいなら謀殺するべきだったと後悔したらしい。
全てヴァンダルーの陰謀だと彼は思っているが、ヴァンダルーは盾国や帝国の政治関係の情報を持っていなかったので、全て偶然である。
・マシュクザール・フォン・ベルウッド・アミッド
ハーフエルフのアミッド帝国現皇帝。眉目秀麗で頭脳明晰、情よりも実利を重視するが、他人の情を軽く見る訳でもないという人物。
アルダを信仰しているが、実際の信仰心は皆無でポーズに過ぎない。
ヴィダの新種族に対する迫害も、民の不満を逸らすために都合のいい生贄として維持しているに過ぎない。
アンデッドを使役できるヴァンダルーに興味を持ち、手に入ったら影の者として働かせたいと考えている。
ただヴァンダルー本人が聞いたら「絶対にNO」としか答えないオファーである。一番欲しい社会的名声が得られないばかりか、転生者達が来たら国家の陰謀の片棒を担いだとして徒党を組んで始末されかねないため。
マシュクザールはヴァンダルーがアンデッドを大量に作れる、若しくはテイムできる存在だと考えており、脅威だと考える一方で利用価値があるとも認識している。
しかし重要度ではシュナイダーよりも下だとも考えている。
そのシュナイダーを放置しておくのは、対処するにはシュナイダーの力と、何よりも彼が得ている名声が大きすぎるから。
ただ皇帝直属の特殊部隊を幾つか抱えており、シュナイダーがクーデターを企てても鎮圧する自信はある。しかしその場合、特殊部隊を含めて大きな被害が出るのでその隙をオルバウム選王国に突かれたり、属国が独立戦争を仕掛けてきたりすると苦しいので、出来れば避けたい事態である。
・【迅雷】のシュナイダー
バーンガイア大陸西側唯一のS級冒険者。邪神殺し、龍殺し、等々の数限りない功績で知られると同時に女癖の悪さで知られる人物。
しかし実際は邪神殺しは女殺し的な意味で、討伐した事になっているラミアやスキュラの部族はより奥地に逃がしたり、幾頭かの龍とは飲み友達だったりする人物で、ヴィダの信者である。
種族は人種で外見は二十代だが、実際には五十代で邪悪な龍を何頭か狩って返り血を浴びレバ刺を食べていたら、何時の間にか不老になっていた。
二メートル近い長身で逞しくも引き締まった肉体の持ち主で、野性的な美形。しかしそのシルバーブロンドを「総白髪」と評する等、自分は見かけが若いだけの老人だと思っている。
自身の功績の半分近くは偽装で、ヴィダの新種族達を保護したり、他の大陸に亡命するのを手伝ったりしながら、邪神派の吸血鬼や、ヴィダの新種族を専門に狩る奴隷商人や冒険者を闇に葬ったりしている。
最終的にはアミッド帝国のヴィダの種族迫害政策を覆す事を目的としているが、先は長い。「それまで俺の命が持つかどうか……」と呟き、仲間に「いや、持つから」と突っ込まれる日々。
実はヴァンダルーを助ける様にとヴィダから神託を受けていたが、その解釈を間違い達成に失敗。その場合は彼とヴァンダルーが敵対しない様にと下った神託に従い、境界山脈を越える事を避けている。
仲間にダークエルフの戦士長がおり、実はヴァンダルーがダルシアの故郷に向かっていたら今頃シュナイダーと合流していたかもしれない。
性格は若い時は豪快で女好きだったが、今は多少落ち着きを持ち、そして無意味に健康マニア。
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1月7日に閑章 死属性魔術紹介を、1月10日に魔物ランク解説を投稿予定です。