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三百七十話 自称人間

 筋肉を限界まで収縮させ、内臓の位置を調節し、骨と骨の隙間を縮める。そして余った皮膚で、皴と弛みを作って老人に変装する。

 シュナイダーはそうした手順で行っていた変装を解いて、いつもの若々しい外見を取り戻してからもストレッチを繰り返した。


「あんまり長くやるもんじゃねぇな、【筋術】の変装は。肩も腰も凝るし、変装している間は息苦しくてたまらねぇ。それに、結局期待したより体格が変わらなかった。

 まあ、覚えたてじゃあこんなもんか」


「いやいや、吸血鬼でもないのに体格を変化させられるだけでかなりのものだと思いますぞ。私の場合は、原種吸血鬼としての再生能力も使っていますから」

 筋肉を自在に操り攻撃や防御、発電などを可能にする【筋術】。シュナイダーはそれを原種吸血鬼であるゾッドことゾルコドリオ特有のスキルだと思っていた。


 ゾッド本人も、他者に【筋術】を伝授するのは不可能なのではないかと思った事もあった。人間はもちろん、彼以外の原種吸血鬼達で興味を示した数人が試してみたが、誰も習得できなかったのだから。

 しかし、彼に弟子入りしたヴァンダルーやレギオン、そしてユーマまでが【筋術】スキルを獲得した事で、シュナイダーは「自分でも習得できるかもしれない」と思うに至った。


 とはいってもシュナイダーが【筋術】に期待したのは、全身の筋肉を高速振動させて電撃を放つことや筋肉の伸縮を利用して衝撃波を出す事や、触手を伸ばす事ではない。ゾッドが普段からしているように、変装術としての活用だ。

 ゾッドの本来の姿は、身長は二メートル強、両肩の発達した筋肉で左右から守られている首はさらに太い。四肢は女性の胴どころではない太さで、分厚い胸板と割れた腹筋はまさに鉄壁。


 しかも、その筋肉の密度は人種やエルフ、ドワーフと比べても高い。他の原種吸血鬼達が巧みな武術や魔術を操るのに対して、彼は筋力だけで対抗しているのだ。筋肉の性能では、シュナイダーでも敵わないと思っている。


 しかし、ゾッドは普段その筋肉を収縮させて痩身の壮年の男性に変装している。首は筋張って細く、四肢は本来の彼と比べれば針金のようだ。胴体も細く、容易く折れそうに見える。原種吸血鬼から深淵原種吸血鬼に変化したため、肌がより白くなったので何も知らない者が暗がりで彼と遭遇したら幽霊と勘違いするかもしれない。


 それほどの変化を【筋術】が可能とするのなら、自分も使えるようになれば化粧などの小道具を使わなくても素早く変装ができるようになるのではないか。そう考えたのである。

 そして、その考えを実現させたシュナイダーの才覚と努力をゾッドは手放しで称賛するが、本人は苦い顔のままだ。


「いやいや、服で誤魔化している部分も多い。骨の隙間を上手く縮められなくて、動きにくい。それで普段の動きの癖も隠しやすくなって、見破られにくくなった気がするが」


「多分、それが世のご老人の皆様が本来感じる『老い』だと思うぜ」

「それを普段から感じていないシュナイダーは、そろそろ自分が老人じゃない事を認めるべきだと思うのよ」

「シュナイダー、そろそろ年齢を重ねただけの若者だって気が付いて」


 龍を討伐するなど偉業を為し遂げ続けるうちに、気が付けば髪は白くなっても体が二十代のまま老いなくなった実年齢六十代の『自称老人』、シュナイダーをここぞとばかりに弄る仲間達。

 しかし、シュナイダーも伊達に『自称老人』を続けてきたわけではない。


「それはな、俺が日頃から健康に注意して節制してきたから若々しい健康な肉体を維持できているだけだ!」

 自分が若々しいのは、日頃から心がけている健康的な食生活の成果であると信じて疑わないシュナイダー。

 若い頃は酒を浴びるように飲み、主食は肉で、敵と三日三晩以上寝ずに戦い続けた事も珍しくない彼だったが、年齢を重ねるうちに健康を意識するようになった。


 酒を止めてお茶を嗜み、肉も食べるがそれ以上に野菜を食べるバランスが整った食事を心がけ、早く寝て早く起きる毎日を過ごしている。口さみしくなったらベジタブルスティックを齧り、ストレスは早めに解消している。

「酒場で情報収集するって言ってたけど、お酒は飲まずに済んだの?」

「飲んだが、口の中に仕込んだマジックアイテムでアルコール分を分解したからノーカンだ!」

 こうして態々マジックアイテムを使ってまで維持するほどなので、たしかに一定以上の効果を上げている可能性はある。


 しかし、美容には無頓着なくせに二十代の外見と肌を維持しているのは健康的な食生活だけの力ではないだろう。筋肉の力だけで内臓の位置や骨の隙間を調節できるのも、異常である。

 そんな彼を周りがどう評価しているかは、『自称老人』の二つ名が表している。


「シュナイダー、いつまでもそれを続けていると『自称老人』からそのうち『自称人間』になっちまうぞ。別に俺はどっちでもいいけどよ。

 それで街中はどんな感じだった? 俺が偵察してきた冒険者ギルドじゃあ閑古鳥が鳴いていたぜ」


 耳を隠してカオスエルフから黒い肌でモヒカンの大男に変装したドルトンが、自分が見てきた冒険者ギルドの様子を語る。

 ファゾン公爵領の街の冒険者ギルドでは、ボードを埋め尽くさんばかりに張り出されているはずの依頼書がほとんどなくなっていた。


 各地からファゾン公爵領に集まってきた英雄候補や、各神殿のアルダ勢力に属する神々の信者達。彼らが依頼を次々に達成、もしくは無償で働いているからだ。

 元々冒険者の英雄候補達は、ファゾン公爵領での生活に必要な資金を稼ぐために依頼を受ける。そして、神々から加護を受けている素質のある者達なので、元々ファゾン公爵領で活動しているD級やC級冒険者よりも腕が良い。


 そして自分が勤めている神殿から出奔した司祭や高司祭達は、身を寄せる事になったファゾン公爵領の神殿のために布教活動を張り切って行う。それが自分たちの立場を固め、この地に向かうよう指示した神の意志に沿う事だと信じているからだ。

 そのため辻説法を行うだけではなく、魔物退治や人々に対する医療行為、そして街道の整備など誰もやりたがらない仕事まで無償で行っているのだ。


 そのため、E級以下の冒険者は日雇いの土木作業や街の清掃作業等の仕事がなくなり、D級以上の冒険者は強力なライバルが団体で現れた事で、不利な立場で依頼の奪い合いを強いられている。


 そのため、今のファゾン公爵領の冒険者ギルドに元々所属していた冒険者達は大きく三つに分かれている。一握りのB級以上の冒険者は英雄候補達と依頼を争い、多くのC級以下の冒険者は依頼を受けずに魔物を討伐して討伐証明部位の換金や素材の売買で食い繋ぎ、それができる実力のない者は英雄候補を含めた冒険者の少ない小さな町や村へ移動している。


「お陰でギルドに現れた新顔の俺も英雄候補の仲間だと誤解されて、地元の冒険者に絡まれちまった。軽く拳で話し合って、酒と飯を奢ったらペラペラ話してくれたから助かったけどよ」

「それでは、冒険者ギルドにも不満は溜まっていそうですな」

「ゾッド、そいつは見当外れだ。冒険者は飯の食い扶持には困っちゃいるが、ギルドそのものには不満はないはずだぜ」


 冒険者ギルドは組合員である冒険者をサポートするのも仕事だが、英雄候補達も冒険者だ。地元の冒険者ばかり贔屓する訳にはいかない。それに、依頼を次々に解決してくれる英雄候補達はギルドにとって有用だ。

 それに、依頼を受ける事を諦めたD級やC級冒険者が魔物の素材を持ち帰る事に力を割くため素材の売買も盛んになる。


 そして割を食うE級以下の新人冒険者は、冒険者の少ない小さな町や村に移動する事で現地のギルドは人手不足が解決して助かる。

 冒険者になってまだ数年、しかもすぐ『暴虐の嵐』に入ったため下積みを経験していないゾッドは、そんなギルド側からの視点を持っていなかったので、感心したように頷いた。


「なるほど、よくできていますな。この件でもし冒険者を辞める者が出たとしても、元々死亡や怪我による引退の絶えない仕事なので構わない、という事ですか」

「ああ、厳しい稼業だろ。まあ、神殿の方には苦情をいくつか入れているかもしれないが、本気で不満に思っているって程でもないだろ。ギルドだし」

「ギルドは、基本的に神殿関係にはノータッチだからな。普段はそれが良いところなんだが」


 冒険者歴の長いドルトンとシュナイダーがそう言った通り、冒険者ギルドは基本的に……少なくとも建前上は神殿、つまり宗教に干渉しない。それは創始者であるファーマウンが、組合員がどの神に祈りを捧げるのも、それが国の法で認められているなら自由であると定めたからだ。


 剣を振るい、盾を構え、魔術を唱える。それが仲間によるものなら、彼らがどの神に祈りを捧げていても関係ない。

 もっとも、このルールが考案されたのはヴィダとアルダの戦いがアルダの勝利で終わった後の数年から数十年の間で、人間社会はアルダ勢力とみなされている神々以外は信仰されていなかったため、ヴィダ派の神々とその信者の存在は考慮されていない。


 そして、結局は建前なのでギルドの支部長によっては守られていない事が少なくない。そもそも、『国の法で認められている』事が条件なので、アミッド帝国ならヴィダ信者の冒険者は認められない。逆に、オルバウム選王国ではヴィダもアルダも、どの神の信者でも構わず認めている。


 そうした組織であるため、特定の神殿と必要以上の付き合いをする事はない。そして、揉め事も避けようとするのが常だ。


「じゃあ、冒険者ギルドの方は無視してもいいって事か」

「ああ、それでいいと思うぜ。神殿の方はどうだ? アルダ勢力に不満を覚えていて、ヴィダ派に転向しそうな従属神とかはいなかったか?」


「うーん、ファゾン公爵領で信仰されている従属神連中の中には、ほとんどいないみたい」

 ドルトンの質問に答えたのは、神殿関連の情報を担当していたリサーナだ。彼女は一見するとエルフだが、前世はヴィダ派に転向した元魔王軍の『堕酔の邪神』ヂュリザーナピペでもある。


 もしヴィダ側に宗旨替えする事を望んでいる神がいて、そのきっかけを熱心に探していれば彼女が己の神殿にいる事に気が付き、接触を図ってくるだろうと考えたのである。

 逆に、アルダ勢力の従属神がリサーナの存在を察知する可能性もあるが、形ばかりの祈りを捧げる信者モドキはいくらでもいる。その中に混じっている彼女の正体に気が付く神はそうはいないはずだと、ヴァンダルーの『背後邪神』であるグファドガーンも述べていた。


「まあ、この町に神殿のある神に限るけど。地方でしか信仰されていない神の神殿まで行くのは、目立ちすぎるから」

「他所から人があまり来ない場所じゃあ、どんなに変装しても目立つし仕方ないよ。それで、この町の神殿の様子はどうだった?」


「なんだか、妙な意味で活気があったわね。ぱっと見た感じは普通だけど、開戦前夜で戦士の士気が高い砦に似た雰囲気だったかな。神殿戦士とか司祭とか、ある程度上の立場の人達だけだったけど。

 それ以外の普通の信者の人達は、最近他の公爵領から偉い人が集まってきている事に違和感を覚えている様子だったけど、あまり深くは考えていないみたい」


 リサーナは、十万年以上前の記憶から魔王軍との戦いを前にした戦士達の様子と、アルダ勢力の神々から神託を受けてファゾン公爵領に集まった信者達の様子が似ている事に気が付いていた。

 信じる神の意志に応えて戦えることに、使命感や優越感を刺激されているのだろう。そうした事情を知らない者はいつも通りだが、状況に違和感は覚えている。


 しかし、普段から政治にかかわる習慣のない一般人はその違和感について深く考える事は少ないようだ。

「もし逆に神殿から神殿長や高司祭が次々に出奔していたら、何か良くない事が起こるんじゃないかって危機感を覚えたかもしれないけど」


「そういえば、グドゥラニスの復活とヴァンダルーがそれを倒したことは、神殿やギルドではどう伝わっていた? 街では他の公爵領と同程度には知られていたぜ」

「まあ、この公爵領にもヴィダ神殿やペリア神殿はあるしな」


 ヴァンダルーの功績はファゾン公爵達にとって都合が悪いはずだが、情報統制は不可能だったようだ。海に面しているファゾン公爵領にはペリアとその従属神の神殿もそれなりにあり、ヴィダ神殿もごく少数だが存在している。その神殿に仕える神託を受け取った聖職者が、信者達に向けて情報を発信したのだろう。


 また、他の公爵領からも情報は入ってくる。魔王グドゥラニスの復活と討伐が、自国の首都で起きたという大ニュースだ。これを話題にしない者はいないだろう。

「そのペリアやヴィダの神殿も、今は監視されているようだけど。それっぽいのが表に何人か張り付いてた」

「そうか。じゃあ、貴族関連の情報は?」


「はいはい、アルクレム公爵家やジャハン公爵家の工作員と接触して、情報をもらってきたよ」

 オルバウム選王国を構成する各公爵家は、対アミッド帝国のために協力し合う味方であると同時に政敵でもある。そのため、諜報機関の人間を他の公爵領に派遣するのが常であった。


 しかし、今のファゾン公爵領はその諜報組織の人間達も動きにくい状況になっている。そのため、メルディンが情報を受け取ってきたのだ。

「それによるとファゾン公爵は……なんかもう話が通じない感じらしいよ」

「話が通じないって、政務はやってるはずだよな? だったら――」

「情報をざっと見たところによると、ヴァンダルーを称えるアンデッドと同じ顔でアルダやベルウッド、そしてハインツを称えているっぽいけど?」

「うわ、そりゃ会話不能だな」


 もしかしてアルダ信者の貴族の手によって傀儡にされているのではないか。そんな希望的観測をしていたドルトンは、メルディンの答えを聞いて手の平を返して話題を変えた。


「セレンってダンピールの嬢ちゃんはどうだ?」

「聖女扱いされているみたい。ダルシアさんに対抗するつもりだと思う。本人がそれについてどう思っているのかまでは、情報にはないけど」

 ダンピールであるセレンだが、熱狂的なハインツ支持者となったファゾン公爵にとって彼女はハインツがアルダ融和派である事の生きた象徴。聖女として奉り、ヴィダの化身であるダルシアに対抗しようと試みているのだろう。


 ……あまり成功はしていないようだが。


「そうか……普通なら拉致も考えるが、誰も得しねぇからなぁ」

 シュナイダーは大人の都合で聖女として担ぎ出されたセレンに対して同情するが、彼女を誘拐する事は躊躇われた。

 セレン本人は親同然であるハインツ達の敵側についているシュナイダーに攫われる事を望まないだろうし、ハインツ達は人質にするつもりだと思うだろうし、ヴァンダルーは「元の場所に帰してきなさい」と言うだろう。


「いやいや、ヴァンダルー殿は喜ぶと思いますぞ」

 しかし、ゾッドはシュナイダーとは違う予想を口にした。

「そして、『拾ってきたのなら最期まで面倒を見なさい』と嬉々としてシュナイダー殿にセレン嬢を押し付けるでしょう」

「ダメじゃねぇか!?」

 ただ、その内容はシュナイダーの予想より悪かった。


「うん、確かにそう言いそう。セレンって子の片親は人種でしょ? シュナイダーなら彼女より長生きするだろうし」

「そうね、最期まで見られるよね、面倒」


「勘弁してくれ。まだファゾン公爵領は他の公爵領やヴィダル魔帝国に宣戦布告した訳じゃないんだ。それなのに納得できる事情もなく重要人物を攫ったら、選王国でもお尋ね者になっちまうじゃねぇか。

 俺はやりたい事をやるためなら賞金首になっても構わねぇが、賞金首になるために無茶をやってるわけじゃねぇ」


 気に入らない貴族を昼間の大通りで正面から撲殺する事に躊躇しないシュナイダーだが、彼は別に破滅願望があるわけではない。彼なりに考えて動いているのだ。

「とりあえず、後はヴァンダルーのところに戻って情報を渡してアミッド帝国に戻るか。アルダ大神殿に動きがないか、探る必要がある。

 ところで、そのヴァンダルーはまだ家族サービス中か?」


「ええ、魔大陸でアラディアと名付けた娘と会っているはずです」

「じゃあ、本人じゃなくて使い魔王の方に渡すか」

「その使い魔王を情報収集にも連れていければ楽なんだけどね」


「仕方ないだろ。姿を見られたり、声を聴かれたりして通りがかりの奴を偶然導いてみろ。それで居場所がばれかねない」

「導士もこういう時は不便ですな」

「いや、あの子ぐらいだと思うな。そんな無差別に人を導いちゃうのは」


 そう話しながら、シュナイダー達は撤収準備を始めた。そして、ファゾン公爵領の諜報機関が彼らの痕跡に気が付いたのは、彼らが撤収した三日後の事だった。




《【自称人間】の二つ名を獲得しました!》




 ライバルに後れを取ってしまった。

 そのこと自体は、残念ながら珍しい事ではないし彼女たち自身も慣れていた。なんせ彼女達が全てを捧げる主は、素晴らしいお方。ライバルは両手両足の指では足りないほど多い。既に子供を作っている者も、二柱いる程だ。


 しかし、今回後れを取った相手は彼女達にとって身近な人物だった。一人にとっては元親しくない同僚で、もう一人にとっては一度殺した元敵だ。

 最近ではトリオのように行動する事も多く、気が緩んでいたが……それだけに今回遅れをとった事が気にくわなかった。


 そんな二人がライバルに追い付くために選んだのが、激しい戦闘訓練と他のライバルである先達に助言を求める事だった。

 そして、その先達の助言を参考に魔大陸に行くヴァンダルーに付いていき、こうして特訓をしているのだが……。


「うーん、私から見れば二人とももう十分強いと思う。特に何か教える事はないと思うのだが。踊りの技術はカナコの方がずっと上手く教えられるし」

 二人に助言を与えた先達のバスディアは、射る機会のなかった弓を持ったままそう感想を述べた。


「それは分かっているわよ! ランクではもうあなたと同ランクになったし!」

「ですが、結局クイーンにはなれていません。私たちの目的は、まだ達成されていないのです」

 しかし助言を求めた二人、エレオノーラとベルモンドは納得しなかった。


「いや、アイラとももう互角以上に戦えると私は思うが。踊りも歌も習得しただろう?」

「だから、私達はアイラに力量的に追いつきたいのではなくて、ノーライフクイーンというヴァン様に近い感じになった種族名に追い付きたいのよ!

 それと、なんでそんなに踊りと歌を推すの!?」


「踊は武に、歌は術に通じるからだ。カナコが実践しているだろう? それに今までできなかった事を成し遂げたいなら、今までしたことがない事をするのが近道かもしれないと思ったからだ。しかし、これで無理だとすまないが私もどうすればいいのか分からないな」

 以前から『クイーン』とつく種族になっているバスディアがそう言うと、エレオノーラとベルモンドは残念そうに肩を落とした。


 そんな三人をヴァンダルーは見守って……いなかった。

『兄上、姉上、父上が動かなくなりました』

 『月の巨人』ディアナが想定よりも早く産んだヴァンダルーとの娘、アラディアの手に握られたまま彼はぐったりとしたまま動かなくなっていた。


『パパ、寝ちゃった? お姉ちゃん、どう?』

「ちょっと、どうしたのよ? アラディアちゃんが心配するでしょ。ちょっとぐらい乱暴にされても平気だって言ったのはあんたじゃない」

 アラディアの腕に登ってヴァンダルーの頭を揺さぶるが、『自称人間』という二つ名を獲得したショックで倒れた彼はしばらく目覚めなかったという。


 なお、使い魔王はその間も無言のまま働き続けたので特に支障はなかったらしい。




―――――――――――――――――――――――――




・名前:エレオノーラ

・年齢:16歳(吸血鬼化当時の年齢 20歳 合計36歳)

・二つ名:【蝕帝の忠犬】 【首領の情婦】

・ランク:14

・種族:ヴァンパイアプリンセスヘルナイト(深淵貴種吸血姫冥騎士)

・レベル:5

・ジョブ:舞踏騎士

・ジョブレベル:30

・ジョブ履歴:奴隷 使用人 見習い魔術師 見習い戦士 魔術師 魔眼使い 隷属戦士 隷属戦姫 時属性魔術師 魔剣士 吸血剣士 生命属性魔術師 大魔剣士 魔闘剣士 変身剣姫 魔法剣姫



・パッシブスキル

闇視

自己超強化:隷属:5Lv(UP!)

剛力:2Lv(UP!)

超速再生:1Lv(高速再生から覚醒!)

状態異常耐性:10Lv(UP!)

直感:7Lv

精神汚染:3Lv

魔力常時回復:2Lv(魔力自動回復から覚醒&UP!)

気配感知:8Lv(UP!)

日光耐性:5Lv

色香:6Lv(UP!)

魔力増大:6Lv(UP!)

自己強化:導き:5Lv(UP!)

自己強化:変身:3Lv(UP!)

変身装具装備時攻防力強化:大(UP!)


・アクティブスキル

採掘:1Lv

業血:7Lv(UP!)

時騎魔術:1Lv(時間属性魔術から覚醒!)

生命属性魔術:10Lv(UP!)

無属性魔術:5Lv

魔術制御:8Lv(UP!)

闘時剣術:2Lv

格闘術:9Lv(UP!)

忍び足:5Lv

盗む:1Lv

家事:4Lv

盾術:9Lv(UP!)

鎧術:8Lv

限界超越:1Lv(限界突破から覚醒!)

詠唱破棄:6Lv(UP!)

魔闘術:7Lv(UP!)

魔剣限界突破:7Lv(UP!)

高速飛行:3Lv(UP!)

御使い降魔:6Lv(UP!)

舞踏:2Lv(NEW!)

歌唱:1Lv(NEW!)


・ユニークスキル

魅了の魔眼:10Lv(UP!)

ヴァンダルーの加護

ヴィダの加護

リクレントの加護(NEW!)




・名前:ベルモンド

・年齢:約一万歳(吸血鬼化当時18歳)

・二つ名:【蝕帝の忠犬】 【首領の情婦】

・ランク:14

・種族:ヴァンパイアエンペラーヘルバトラー(深淵貴種吸血鬼皇帝冥執事 密林猿系獣人種)

・レベル:0

・ジョブ:ダンシングアサシン

・ジョブレベル:97

・ジョブ履歴:狩人見習い 見習い盗賊 盗賊 暗殺者 使用人 糸使い ストリングマスター 尾獣戦士 魔術師 処刑士 クノイチ クノイチマスター クノイチバトラー 変身クノイチ 変身執事



・パッシブスキル

闇視

剛力:1Lv(怪力から覚醒!)

高速再生:10Lv

状態異常耐性:9Lv

自己超強化:隷属:5Lv(UP!)

魔力超回復:ダメージ:5Lv(UP!)

気配感知:10Lv

直感:6Lv

精神汚染:7Lv

身体強化:尻尾:9Lv(UP!)

糸装備時攻撃力増強:中(UP!)

魔力増大:3Lv(UP!)

自己強化:導き:7Lv

自己強化:変身:3Lv(UP!)

変身装具装備時攻防力強化:大(UP!)

色香:2Lv(UP!)


・アクティブスキル

弓術:2Lv

投擲術:6Lv

短剣術:9Lv

業血:7Lv(UP!)

風属性魔術:5Lv

無属性魔術:3Lv

魔術制御:6Lv(UP!)

高速飛行:6Lv(UP!)

絶気:1Lv(忍び足から覚醒!)

罠:7Lv

解体:4Lv

限界超越:5Lv(UP!)

家事:10Lv

操糸幻殺術:3Lv(UP!)

格闘術:9Lv(UP!)

暗殺術:6Lv

魔闘術:6Lv

御使い降魔:5Lv

舞踏:3Lv(NEW!)

歌唱:1Lv(NEW!)


・ユニークスキル

供物

石化の魔眼:7Lv(UP!)

ヴァンダルーの加護

ヴィダの加護




名前:バスディア

年齢:外見年齢27歳(37)

二つ名:【巨人断ち】 【変身斧人】

ランク:14

種族:グールアマゾネストゥルーナイトエンプレス

レベル:86

ジョブ:大斧豪

ジョブレベル:58

ジョブ履歴:見習い戦士 戦士 見習い魔術師 魔術師 魔戦士 風属性魔術師 魔斧士 鬼斧刃 鬼女王 変身鬼妃 マジカルエンプレス 魔法斧人 アックスアイドル 斧豪




パッシブスキル

闇視

剛力:9Lv(UP!)

痛覚耐性:8Lv(UP!)

麻痺毒分泌(爪):7Lv(UP!)

魔術耐性:8Lv

直感:6Lv

斧装備時攻撃力増強:小(斧装備時攻撃力強化から覚醒!)

精神耐性:6Lv(UP!)

魔力増大:5Lv(UP!)

能力値強化:導き:8Lv(UP!)

眷属強化:8Lv(UP!)

色香:6Lv(UP!)

能力値強化:月光:7Lv(UP!)

自己強化:変身:3Lv(NEW!)


アクティブスキル

鬼妃斧刃術:3Lv(UP!)

妃盾術:1Lv(盾術から覚醒!)

弓術:10Lv(UP!)

投擲術:9Lv(UP!)

忍び足:5Lv(UP!)

連携:10Lv

無属性魔術:6Lv(UP!)

風属性魔術:10Lv(UP!)

水属性魔術:10Lv(UP!)

魔術制御:9Lv(UP!)

料理:4Lv(UP!)

魔斧限界超越:4Lv(UP!)

鎧術:8Lv(UP!)

魔闘術:7Lv(UP!)

解体:2Lv

指揮:6Lv(UP!)

限界超越:1Lv(限界突破から覚醒!)

格闘術:7Lv(UP!)

歌唱:4Lv(UP!)

舞踏:4Lv(UP!)

御使い降魔:4Lv(UP!)


ユニークスキル

ゾゾガンテの加護

ガレスの加護

ヴァンダルーの加護

ディアナの加護

ヴィダの加護


次話は5月21日に投稿する予定です。

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― 新着の感想 ―
ことステータスの神と二つ名の神に対しては、ヴァンダルーは苦情を言う権利があると思うよ(苦笑)
[一言] あ、いえ、ハインツがいても、ファゾン公爵側には セレンさんを担ぎ出す必要が切実にあったと思います。 実際、ハインツが帝国につれていかれる兆候もなかった時期の 「三百四十二話 隙を逃した六道…
[良い点] ヴァンダルー、自分の血を分けた息子からすら人間扱いされていませんでしたから、『自称人間』の二つ名が憑くのは寧ろ当然ですね。ただ、何故今頃になってこの二つ名が生えたのかが気になる所です。 …
感想一覧
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