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三百六十五話 聳え立つイグドラシル

 『ダークアバロン事件』の影響がまだ残るオルバウムの防衛力は、下がったままだった。首都を守る城壁は既に復興し、守備隊の面々には怪我人はそれなりに出ていたが、死者の人数は事件の規模を考えれば最小限に抑えられていると言える。しかし、まだ続く復興作業に人手が割かれているためだ。


 ただオルバウムは大国であるオルバウム選王国の領土の中央に存在する首都。防衛力が下がったからといって、敵国の侵攻を受けるには国境から距離がありすぎる。そして、魔物の襲撃はオルバウムに高ランクの魔物が……そして彼らの支配者が滞在している間は起きないだろう。


 だが、敵国や魔物を恐れる必要がないなら脅威は存在しないのかというと、残念ながらそうではない。上手く見張りをすり抜けてオルバウムに入り、麻薬などの禁制の品の取引や人攫いを働こうと企てる犯罪者が存在するからだ。

「何故そんな事をしようとするのか。実行して無事で済むと思えるのか、何度考えてもさっぱりわからない」

 そんな犯罪者達について感想を言いながら、ラインハルトは見回りを続けていた。今日は、既にオルバウムを五周している。


『一部の知能犯以外はゴブリンと変わらん。だから、理解する必要はない』

 山賊や目先の欲に負けて衝動的に悪事に手を染め、そのまま裏社会にかかわり続ける者達の多くはそうだ。

 十年後自分がどう生きているか、家族を持った時どうするのか、老いて働けなくなった時どうやって生きていくつもりなのかとか、そうした事は考えることを放棄するか逃避する。


 今晩美味い酒を飲めるか、良い女を抱けるか、快楽に溺れられるかが重要で、遠い未来の事は考えない。中には関わってしまったがために抜け出したくても抜け出せない者もいるかもしれないが、人ではないルヴェズフォルにそこまで思い至るのは難しかった。


『我にも覚えがある』

 そしてラインハルトを乗せてオルバウムの城壁の周りを飛んで周回しているルヴェズフォルは、遠い目をしながら溜め息を吐いた。


 地上からもよく見える上空五十メートルほどの低空を、彼のような体長約百メートルの龍が周回する事で、オルバウムに近づく賊は皆無となっている。オルバウムの外から来た一般人達の一部が恐れをなして逃げ帰るという弊害も起きているが……それについては無視されることになった。


 どうせ街に入ればアンデッドやデーモンが……それも並みの冒険者や衛兵では歯が立たない高ランクの存在が闊歩しているのだ。街の中でパニックに陥られるよりは、街に入る前に逃げ帰ってくれた方がいい。そう諦観と共に考えられているらしい。

 今、オルバウムに出入りしている行商人や旅人は、数々の試練を乗り越えてきた肝が鋼でできている者達なのである。


「えっ、ルヴェズフォルさんがですか!?」

 最近までパウヴィナの従魔の言葉を話すワイバーンだと思っていたが、実は十万年以上生きている龍だった事が判明した友人の言葉に、ラインハルトは驚いて聞き返した。


 ラインハルトが知っているルヴェズフォルは、パウヴィナに振り回される事が多いし、妙に小物っぽい言動をする事があるが、物知りで常識人な面もあるからだ。しかし、ルヴェズフォルの若気の至りが及ぼした影響は、かなり大きかった。


『ああ、マルドゥークを裏切って魔王軍に寝返った後、ヴィダ派にちょっかいをかけ続けた。今になって考えると、あの頃は先の事を……数万年後に起きるだろうヴィダ派の復権や戦力を立て直したアルダ勢力からの攻撃といった将来起こりえることを想像せず、その時どうやって生き残るのかしか考えていなかった。

 ただただ奪えるものを奪い、酔えるものに酔い、自堕落に生きる事だけを考えていた』


 過ぎた時間の長さが人間のスケールを超えているし、彼が裏切らなかったとしても魔王グドゥラニスとの戦いの結果に大きな変化はなかっただろうが、少なくともフィディルグ等のヴィダ派の神が受けた被害は軽くなっていただろう。

 それ以外は、ルヴェズフォルが言った通り山賊等の犯罪者とあまり変わらなかった。


『ラインハルト君は我のようになってはならんぞ。我は運良くこうしていられるが、一歩間違えれば今頃ヴァンダルー様の腹の中だ。

 今の内から将来の事を考えておくのだぞ』


 人間を気にかけ、友人として接するなんて自分も変わったものだ。それも、パウヴィナ様のような圧倒的強者でも、ヴァンダルー様のような強者を凌駕する超越者でもない、多少才能があるだけの人間を。

 以前の自分が見れば嘲笑っただろう。しかし、ルヴェズフォルは今の自分を不愉快には感じなかった。

(ワイバーンから解放されたことで、心が穏やかになっているのかもしれん)


「でもルヴェズフォルさん、昔のあなたがいるから今私達はこうしていられるんです。だから、もっと気楽にしていていいと思います!」

 そして、自分を励まそうと友人が言った健気な言葉が胸に染みた。それを思うと、ヴァンダルーから重傷を受けた事や、『暴虐の嵐』共にタコ殴りにされた上にワイバーンにされた過去も、ここに至るための過程だと考えれば悪く……いや、悪いか。


(まあ、ワイバーンにされたからこそパウヴィナ様の従魔になれたのだし……グドゥラニスに封印を解かれた今も従魔としての地位を与えられているのは、今までの積み重ねがあればこそ。そう思えば、悪くないのか?)

 そう、最近の濃い時間について思い直したルヴェズフォルがラインハルトに礼を言おうと口を開いた時、オルバウムに大きな変化が起きた。


『なんだ、あの木は!?』

 街中に突然城のように……いや、城よりも高い巨大な木が出現したのだ。

『何かあったのかもしれん! 行くぞ、ラインハルト君!』


 ルヴェズフォルは巨大な木が突然出現した事について、パウヴィナやヴァンダルー達の身に何か起こったらと、心配しているわけではない。魔王殺しの妹と魔王殺し本人だ。どんな天変地異が起きたとしても、何の問題もなく対処する事だろう。

 彼が心配しているのは、明らかに異変が起きているのに自分が駆けつけなかった場合、怠けていたのだろうと仕置きを受けるのではないかという事だった。


「大丈夫ですよ、ルヴェズフォルさん! あれは貴族街の方ですから、きっとヴァンダルーさん絡みです。僕達が慌てるとそれを見た地上の人達が慌てるので、もう一周してからゆっくり向かいましょう」

 しかし、ラインハルトはルヴェズフォルより毒され……落ち着いていた。彼の言葉を受けてルヴェズフォルも『それもそうか』と思い直し、見回りを続けてから巨木に向かうことにした。ラインハルト君も一緒なら、仕置きを受けることもないだろうし。


 持つべきものは、同じ類に呼ばれた友である。




 世界樹ユグドラシル。それは、この『ラムダ』世界に初めて誕生した植物にして、現存する全植物の祖となったと神話に記されている存在だ。


 大神が人を、そして『獣神』ガンパプリオが動物を創造するよりも前に、ユグドラシルはこの世界に芽吹いた。ユグドラシルの果実は生まれたばかりの獣はもちろん、龍や真なる巨人達の腹をも満たし、彼らの住み処となった。

 それ以後もユグドラシルは神代の時代の神々や人間達を支え続けた。


 神代の時代の英雄はユグドラシルから落ちた枝から作った弓で危険な獣を狩り、武具の柄や鞘を削り出した。真なる巨人はユグドラシルから切り出した巨大な木材を使って住み処を建築し、龍はその枝で翼を休め、獣王は木陰で眠りについた。

 また、大地を豊かにしてまだ農業に関する経験と技術の蓄積が浅かった神々や人類を助け、豊かな恵みを与えた。


 また、大きなものは天に届く巨木である事から、現代でも様々な神話の題材として扱われている。

 『巨人神』ゼーノが『太陽の巨人』タロスと『月の巨人』ディアナを生み出すのに必要な太陽と月の要素を取るのに、世界で最も高いユグドラシルに登ったという逸話も創作されている。


 ユグドラシルに神のような確固とした自我はなく、加護を与え御使いを使わせるような事もできなかったが、人々は恵みを与えてくれるユグドラシルを敬い、感謝していた。

 そのユグドラシルは神代の時代には世界中に自生していたが、幼木でも現代の城より高く、成木になれば高山を超え、老木に至るころには文字通り天に届く。その巨体故に数は百を少々超える程度だった。


 その百余りのユグドラシルが絶滅した理由は、魔王グドゥラニスがこの世界に魔王軍を率いて現れ、汚染された魔力である魔素をまき散らしたからだとされている。

 それによって、変化した環境に適応できなかったユグドラシルは絶滅してしまった。


「現代ではアーティファクトの素材として使われている一部が残っているだけ……というのが、通説というか今までの常識だったのだが……う~む」

 ユグドラシルに関する解説を終えたルチリアーノは、髭を指で何度もしごきながら唸り始めた。それだけ信じがたい事なのだろう。しかし彼がいくら髭をしごいても、片眼鏡を磨いてみても、現実は変わらない。


「念のために確認しますが、エントやスクーグクローとは違うのですか?」

「さっきも言ったが、ユグドラシルは魔物ではない。それに神秘的な力や意思があったと記されている神話はあるが、言葉を交わしたという記録はないのだよ。それに、アイゼン本人も違うと言っているじゃないか」

『そうだよぉ。ステータスの種族名が変わっているからね』


 ヴァンダルーの確認に、ルチリアーノとアイゼン本人はそう首を横に振って答えた。同時に、ざわざわとアイゼンの背後に佇む巨木も枝を左右に振っている。

「ステータスの種族名が違うなら、巨大化したエントやスクーグクローではないようですね」

 この世界で新種かそうでないか、そしてどんな種族か確かめる方法の一つが、対象の知能が高い場合は当人に聞き取り調査を行ってステータスの情報を得る、というものだ。


 ステータスはたしかなので、そこにある種族名が今まで記録されたものでなければ新種であるのは確実なのだ。

「でも、それならおかしいわね」

 ダルシアはそう言いながら、巨木の樹皮に手を当てた。


「ヴィダが驚いているのが伝わってきているのだけど……ユグドラシルは魔素にとても弱かったのよ。魔王軍が現れる前も、アンデッドが増えると幼木はすぐに立ち枯れてしまう程だったの。

 それなのに今のオルバウムの、しかもシルキーの敷地内のヴァンダルーのすぐ傍でこんなに生命力旺盛でいられるなんて、すごい事よ」


「それもさっき私が言ったように、アイゼンはユグドラシルであってユグドラシルではない存在、ユグドラシルの変異種になったのだよ」

「さしずめ、イグドラシルという事ですね」

 ヴァンダルーがルチリアーノに続いてそう適当に名付けると、アイゼンが不意に手を挙げていった。


『たった今、あたしのステータスの種族名が『ユグドラシルの変異種の幼木』から、『イグドラシルの幼木』に変わったよぉ』

「何故でしょう?」

「多分、ヴァンダルーがアイゼンの生みの親だからじゃないかしら?」

「それに、師匠はアイゼンのテイマーだろう? 命名権をステータスの神々が認めたのではないかね?」


 そう言われたヴァンダルーは、とりあえず天を仰いで呼びかけた。

「ありがとうございます。でも俺は人間ですよー」

「師匠、私は別にステータスの神々がここを見ていると言った訳ではないよ」

「ヴァンダルーったら……」

『よしよし……』


 ルチリアーノに軽く呆れられ、ダルシアとアイゼンには可哀そうな子を見る目で頭を撫でられるヴァンダルー。

「それは残念。ところでアイゼン、本体と分身に分かれている感じですか?」

『ん~、特にないねぇ。いつの間にか【並列思考】と【双本体】ってスキルがあるよ』

 アイゼンが言うには、体は分かれていても心は明確につながっているそうだ。樹木とアイゼン、どちらの感覚も同時にあり、問題なく同時に動かせるらしい。


「【双本体】という事は樹木と本体、どちらも本体という事なのでは?」

『なら、樹木とアイゼン、どちらかが倒されればもう一方も死んでしまうということ?』

「どうかしら。ランクアップしたときは樹木に変化して、そのあと樹木からアイゼンが分離してどちらも本体という事なら、逆かもしれないわ」


「逆……つまり、もしどちらかが倒されても片方が無事なら復活できるという事ですか。それは……旦那様並みの不死性なのでは?」

 ベルモンドとアイラ、エレオノーラがそう話している。城より巨大な樹木を切り倒す存在はそうそういない。

 イグドラシルが神話に語られているユグドラシルと同じ性質を持っているのなら、猶更だ。


 しかも、アイゼンは【物理耐性】と【魔術耐性】、さらに【超速再生】や【生命力増大】といったスキルを持っている。それが樹木部分にも効果を発揮しているのなら、樹木部分を倒すのは同じ大きさの城砦を爆砕するよりもずっと難しいだろう。


『ヴァンダルー様並み……ヴァンダルー様と同じなんて、うらやましいわね』

「不死性では俺並みどころか、今のアイゼンの方が上だと思いますよ。俺はまだ、本体は増やせませんし」

 本体を増やそうと試みているヴァンダルーだったが、今のところまだ成功していなかった。本体である自分そっくりの肉体を持つ分身なら作る事ができるが、新たに作った分身は使い魔王を創る事ができなかったのだ。


 分身を新たに創れない以上、それは本体ではない。本体そっくりな分身である。

『そんなことないよぉ』

『坊ちゃん、もっと自分に自信を持ってください』

「旦那様、それは謙遜が過ぎるかと」

「ヴァン様に不死性で匹敵するのは、クノッヘンぐらいでしょ」

『次点でレギオンね』

 しかし、同意は得られなかった。


「何故? 俺の本体は俺だけなのに」

「そうかもしれないけど、ヴァンダルーの場合は本体の数の問題じゃないと思うの。それに、冥ちゃんに憑いているバンダーや、異世界にいるヴァンダルーはただの分身ではないでしょう?」

「たしかにそうですが、でも……」


 冥に憑けるために魂の一部を千切って創ったバンダーや、『オリジン』世界の神の一部になっているヴァンダルー、通称神ダルー。彼らはダルシアが言うように、ただの分身ではない。

 精神はつながっており、こうしている今も感覚や記憶を共有し、意見交換も行うことができる。それは他の使い魔王や分身、無数に存在する思考と同じだ。だが、バンダーは魂を分けている。神ダルーは、元々はヴァンダルーではない『オリジンの神』の一部からヴァンダルーの一部になった。


 だから、ヴァンダルーがもし何かが原因で死んだとしてもバンダーと神ダルーは存在し続けることができると思われる。分身を生み出せない以上、本体とは言えないだろうが。

 しかし、そこまで考えたヴァンダルーはふと思った。


(ん? 何故分身を生み出せると本体である証拠になる? その根拠は何だ?)

 それまで当然だと思っていたことに対する疑問。よく考えてみれば、そもそも分身を作る事ができる存在は珍しい……イレギュラーなのだ。


 だから分身を創る事ができる事を条件から外して、本体について考えるべきではないのか。では、本体とは何なのか。何によってヴァンダルーの本体とヴァンダルーの分身は区別されているのか……。

「何か、重大なヒントを得た気がします。ありがとう、母さん」

「そう? ヴァンダルーが大丈夫なら母さんはそれで十分だから、無理しないでね」

「はい。しかし、今は俺よりもアイゼンです。アイゼン、他に気になるスキルはありますか?」


『【大地肥妖化】ってスキルがあるねぇ』

「大地肥沃化ですか」

『肥沃じゃなくて肥妖だよぉ』

 字が違うと、背中から生えている枝で地面に書いて見せるアイゼン。それを見比べた一同は、ユグドラシルのようにただ周囲の大地を肥沃にするだけではなさそうだと察する。


「とりあえず、オルバウムで試すのはやめた方がよさそうね」

「そうですね。都市部の土が豊かになっても、雑草が繁茂するだけになるかもしれませんし」

『畑は城壁の外だものね。ヴァンダルー様、【体内世界】で試したらどうかしら?』

「それが手ごろですね。丁度、マシュクザールも家庭菜園を始めたようですし」


 ヴァンダルーの体内世界の一つに軟禁されている前アミッド帝国皇帝マシュクザールは、自分が生活する小屋や必要な家具を作り終わると、次は家庭菜園に手を出していた。

「……ヴァンダルー、食料は十分あげているのよね?」

「もちろんです。なんでも、以前から皇帝を辞めたら庭弄りをしたかったそうですから、趣味の一環なのでしょう」

「思った以上にヴァン様の中をエンジョイしているのね」


「おい、ちょっといいか?」

 ヴァンダルー達がワイワイと話していると、疲れた表情のランドルフが庭に入ってきて声をかけた。

「俺はお前達絡みの事だとは察していたし、緊急事態じゃない事も分かっていたが、そうじゃない連中も多い。だから説明してもらうぞ」


「はい」

 コービット選王達にはヴァンダルーが説明し、一般市民にはダルシアが「アイゼンがランクアップしユグドラシルの眷属になった」と説明した事で、とりあえず事態は収まったのだった。




 アイゼンの樹木部分をとりあえず【体内世界】に収納したヴァンダルーは、新たなジョブチェンジをするためにサムの荷台の部屋に入った。

 使い魔王との接続距離に制限がなくなったため、彼には日々大量の経験値が入っているのだ。




《選択可能ジョブ 【堕武者】 【蟲忍】 【蝕呪士】 【創造主】 【タルタロス】 【荒御魂】 【冥群砲士】 【冥獣使い】 【虚影士】 【バロール】 【アポリオン】 【デモゴルゴン】 【魂喰士】 【神喰者】 【ネルガル】 【羅刹王】 【シャイターン】 【蚩尤】 【ウロボロス】 【ルドラ】 【血統者】 【魔電士】 【ジャガーノート】 【狂筋術士】 【アポピス】 【アザトース】 【饕餮】 【導主】 【転導士】 【霊導士】 【虚界神魔術師】 【神霊理士】》


「よし、新しいジョブとしてネオヴァンダルーやスーパーヴァンダルーは出ていませんね」

 よかったと、既に【ヴァンダルー】のジョブを発見しているヴァンダルーは安堵の溜め息を吐いた。

「では、予定通り【転導士】を選択」


 ハインツ達の動向が分からず、アルダがロドコルテを見限るなど行動をより過激なものにしているが直接叩きに行けない。

 そして、オルバウム選王国の各公爵領の人々を導く必要がある。そのため、今は導士系ジョブを優先する事にしたのだ。




《【転道誘引】、【導き:転道】のスキルを獲得しました!》

《【阿頼耶識誘引】に【転道誘引】が、【導き:阿頼耶識】に【導き:転道】が統合されました!》

《【魔力常時超回復】、【従群極強化】、【神毒分泌:牙爪舌】、【魔力回復速度超上昇】、【生命力増大】、【能力値増強:君臨】、【能力値増強:被信仰】、【ゴーレム創世】、【同時多発動】、【怪異術】、【群隊】、【将群】、【整霊】 【魂魄侵食】スキルのレベルが上がりました!》




・名前:ヴァンダルー・アーク・ヒルウィロウ・ソルダ・ザッカート

・種族:ダンピール(母:女神)

・年齢:13歳

・二つ名:【グールエンペラー】 【蝕帝】 【開拓地の守護者】 【ヴィダの御子】 【鱗帝】 【触帝】 【勇者】 【大魔王】 【鬼帝】 【試練の攻略者】 【侵犯者】 【黒血帝】 【龍帝】 【屋台王】 【天才テイマー】 【歓楽街の真の支配者】 【変身装具の守護聖人】 【女神の解放者】 【巨人帝】 【救世主】 【魔王殺し】

・ジョブ: 転導士

・レベル:3

・ジョブ履歴:死属性魔術師 ゴーレム錬成士 アンデッドテイマー 魂滅士 毒手使い 蟲使い 樹術士 魔導士 大敵 ゾンビメイカー ゴーレム創成師 屍鬼官 魔王使い 冥導士 迷宮創造者 創導士 冥医 病魔 魔砲士 霊闘士 付与片士 夢導士 魔王 デミウルゴス 鞭舌禍 神敵 死霊魔術師 弦術士 大魔王 怨狂士 滅導士 冥王魔術師 ペイルライダー  混導士 神導士 神滅者 虚王魔術師 神霊魔術師 ダンジョンマスター クリフォト デーモンルーラー 整霊師 魔杖創造者 匠:変身装具 冥界神魔術師 冥魔王 万魔殿 魂格闘士 ヴァンダルー 真魔王 陰導士



・能力値

・生命力:1,141,992+(228,398) (326,616UP!)

・魔力 :98,685,440,325+(98,685,440,325) (53,172,170UP!)

・力  :596,342+(44,725) (4,787UP!)

・敏捷 :439,062+(32,929) (8,666UP!)

・体力 :558,948+(41,921) (9,666UP!)

・知力 :622,890+(46,716) (7,114UP!)




・パッシブスキル

超力:5Lv

超速再生:10Lv

冥界神魔術:9Lv

状態異常無効

魔術耐性:10Lv

闇視

阿頼耶識誘引(転道誘引を統合!)

無詠唱

導き:阿頼耶識(導き:転道を統合!)

魔力常時超回復:3Lv(UP!)

従群極強化:4Lv(UP!)

神毒分泌:牙爪舌:3Lv(UP!)

身体無限伸縮:舌

無手時攻撃力増大:中

身体超強化(髪爪舌牙):6Lv

魔糸精製:7Lv

魔力増大:10Lv

魔力回復速度超上昇:3Lv(UP!)

魔砲発動時攻撃力増大:小

生命力増大:2Lv(UP!)

能力値増強:君臨:6Lv(UP!)

能力値増強:被信仰:3Lv(UP!)

能力値強化:ヴィダル魔帝国:6Lv

自己再生:共食い:6Lv

能力値増強:共食い:6Lv

魂纏時能力値増強:大

殺業回復:9Lv

自己強化:殺業:9Lv

杖装備時魔術力増強:小

全能力値増強:大


・アクティブスキル

統血:9Lv

滅轟:2Lv

ゴーレム創世:3Lv(UP!)

虚界神魔術:4Lv

魔術精密制御:8Lv

神霊理:2Lv

錬神術:5Lv

魂装滅魔神術:2Lv

同時多発動:10Lv(UP!)

怪異術:3Lv(UP!)

具現化:8Lv

群隊:8Lv(UP)

超速思考:9Lv

将群:7Lv(UP!)

死糸操術:1Lv

怨投術:4Lv

冥叫喚:1Lv

神霊魔術:8Lv

真魔王砲術:1Lv

装魔界術:3Lv

欠片限界超越:7Lv

整霊:6Lv(UP!)

鞭術:5Lv

霊体変化:雷

杖術:5Lv

高速飛行:4Lv

楽器演奏:4Lv

舞踏:2Lv

筋術:7Lv

魔闘術:5Lv


・ユニークスキル

神喰らい:10Lv

異貌多重魂魄

魂魄侵食:2Lv(UP!)

迷宮支配:1Lv

大魔王

根源

神敵

魂喰らい:10Lv

ヴィダの加護

地球の神の加護

群魂

ザンタークの加護

群在

魂魄体:8Lv

魔王の魔眼

オリジンの神

リクレントの加護

ズルワーンの加護

完全記録術

魂魄限界突破:7Lv

変異誘発

真魔王

亜神

ボティンの加護

ペリアの加護

体内世界


・呪い

 前世経験値持越し不能

 既存ジョブ不能

 経験値自力取得不能




「おや、もうレベルが上がっている」

 この分ではまた近いうちにジョブチェンジを行うことになりそうだ。……次も、ネオヴァンダルー等が出なければいいのだが。

 そう思いながら、ヴァンダルーはジョブチェンジ部屋を後にした。




―――――――――――――――――――――――――――――




●魔物解説:イグドラシルの幼木 ルチリアーノ著


 神話の時代に絶滅した世界樹ユグドラシル。その魔素に適応した変異種が、イグドラシルと師匠によって命名された。

 魔素に適応している事、そして確立した自我を持ち自ら根を足代わりにして動き回り、ステータスシステムに適応しておりスキルを獲得している等、ユグドラシルとは異なる点が多い。


 その最大の相違点として、樹木からアイゼンが分離して活動する事が可能という点だ。本人に確認したところ、樹木とアイゼン、どちらも本体であるらしい。この相違点は、アイゼンがランクアップしたからなのか、イグドラシル全体の特徴なのかは不明である。


 あらゆる果実を通常と同じ大きさから人より巨大なサイズで実らせることが可能で、その枝や樹皮はオリハルコンに匹敵するほど固く、葉や樹液の薬効はそれだけで並みのポーション以上の回復効果と解毒効果を得られる。


 樹木部分の動きは鈍重で小回りが利かないが、その巨体故に全体としては早い。また、やろうと思えば自ら横倒しになって回転する事で広範囲の存在を轢く事ができる。

 また、炎に弱いように思えるが体内に大量の水分が蓄えられており、火がつけられてもそれを自ら噴射する事で消し止めることが可能。

 そしてアイゼンの部分は、以前のアイゼン同様の高い戦闘能力を誇っている。


 試食したクオーコ・ラグジュによれば、どの果物も大きくなるほど味は凡庸に近づくが最大サイズの物でも市場に並ぶ高級品と同じであるらしい。また、樹液は天上の甘露と評しても足りない程で、若葉は天ぷらや胡麻和えにすると美味く、細かく刻んでソースやスムージーにしても良いそうだ。


 神話ではユグドラシルは大地を豊かにしたと記されており、イグドラシルにも似た能力がある。しかし、イグドラシルの場合は肥沃にすると同時に魔素をばらまくので注意が必要だろう。

 また、樹木部分には早くもコケやキノコ、蔦など様々な植物が寄生しており、いつの間にか蟲型等の魔物や使い魔王も住み着いているようだ。さらに、洞の中には師匠が潜んでいることもある。


 そして、この個体は大きさから推測するとステータスにある通り正真正銘まだ幼木である。

 ちなみに、無数になっている果実からとった種を植えてもイグドラシルは増えない可能性が高い。ユグドラシルは千年に一回一つだけなる『ユグドラシルの実』からとれる種からしか増えなかったとされる。

 そのため、イグドラシルにも『イグドラシルの実』がなり、そこからとった種でしか増えないと推測される。……師匠なら植物型の魔物からランクアップさせて増やしそうだが。




●スキル解説:大地肥妖化


 使用者を中心として、レベル×十キロメートルの大地を植物の栽培に適した肥沃な土地に変える事ができるユニークスキル。発動まで丸一日かかり、効果は一年間持続する。発動までの間、使用者は効果を及ぼしたい範囲から出てはいけない。


 また、度合いを上下させる事はできるがスキルを発動すると効果範囲内を魔素で汚染してしまう。最小なら、十年続けても魔境化しない程度にできるが、最大限汚染しようとすれば一度の使用で準魔境に、二度で完全な魔境にできる。


 このスキルで魔境と化した場所では、植物型の魔物やゴーレムが多く出現すると推測される。




●スキル解説:双本体


 双方が本体である事を示すユニークスキル。アイゼンの場合は、樹木部分とアイゼン部分が該当する。

 樹木部分とアイゼン部分はお互いが本体であるため、アイゼンがもし致命的なダメージを受けて死亡しても、すぐに樹木部分から復活する事が可能。逆に、樹木部分が切り倒されてもアイゼンからすぐに復活する事ができる。


 またお互いに本体であるため、分かれて活動するのに距離や時間の制限はない。ただし、分身ではないためお互いの数を二体以上に増やすことはできない。




●ジョブ解説:陰導士 ルチリアーノ著


 世間一般に言う日陰者、スラム街や路地裏で暮らす者達や表からは見えない裏の社会で生きる者達を導くジョブ。また、表社会にいる者を日陰へと導くジョブでもある。

 しかし、師匠の場合は他の導士系ジョブを獲得済みであり、また為政者でもある事から後半の効果はないに等しくなっている……はずだ。


 しかし、最近生きているうちからアンデッドになろうとする者や、冥系人種になる事に挑戦しだす国民が増えている気がするのだが……まだたしかな統計が出ているわけではないので、確実なことは言えないがこのジョブの影響が出ているのかもしれない。


次の話は4月24日に投稿する予定です。

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― 新着の感想 ―
元の魂?から生まれた存在の中で底辺から一番出世してる気も(読者のイメージ的な方向で)
[一言] 話タイトルのイグドラシルが目についててヴァンダルーが名付けたインパクトが殆どなかった件…… タイトルはもうちょっとボカしても良かったんじゃ……
[良い点] 冒頭のルヴェズフォルがまとも過ぎて「偽物か?」と一瞬思いましたが、異変に駆けつけようとする理由を見て「ああ、本物のルヴェズフォルだ」と確信出来ました。 駄龍ではないルヴェズフォルとか、ルヴ…
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