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四度目は嫌な死属性魔術師  作者: デンスケ
第十四章 冒険者学校編
437/515

三百四十八話 想定通り広がる戦場

大変遅くなり、申し訳ありません。

 大気が震える度に、戦闘に慣れていない文官達が……いや、衛兵や騎士であっても青ざめて震えている。メイドや使用人の中には恐怖のあまり失神寸前の者も少なくない。

「あれは、あれは何者だ!? 邪悪な神が復活でもしたのか!?」

 そうヒステリックに叫ぶのは、コービット選王。そして彼が「あれ」と評したのは、城の上空にいる一目で人外であると分かる存在、六道聖である。


 三メートルほどの全身は黒檀のような漆黒で、体のいたるところに人と同じ形の鼻を出現させて空気砲を放ち、かと思ったら半球体の肉の塊を生やして打撃を防御している。

 遠目でも、光属性魔術で映像を拡大すればその異様さは隠しようがない。


「わ、分かりません。ですが、戦っているのはヴァンダルー・ザッカートと『五色の刃』なのは、間違いありません!」

「そんな事は儂だって知っておる! ……いや、すまん。我を失っていた」


 報告した騎士を怒鳴りつけた後、我に返って何とか冷静さを取り戻すコービット選王。我を失って喚き散らしても、人望を失い将兵の士気を下げ、文官や使用人達の恐怖を助長させるだけで何の役にもたたない。

「あのヴァンダルーの後ろにいる少女も、奴の仲間か従魔だろう。そして駆けつけてきてくれた『五色の刃』はよい。一先ずよいとする」


 実際には、遅れて駆けつけてきた『五色の刃』はともかく、ヴァンダルー達は何故すぐ現れたのか、そういえば、城で大量発生していたネズミは何処へ行ったのか、色々と疑問がある。しかし、頭の上で戦闘が行われている状態で、そうした事に構っている暇はない。


「しかし、あれはなんだ? 何が狙いなのだ?」

 問題なのは黒い巨漢、六道聖である。コービット選王達にとっては、最大の脅威である彼の思惑は重要な事だった。


「あれは、あまりに危険なため名を残さず封じられ、いずれ滅びる定めであったはずの邪悪な神です。陛下」

 その時、話を誘導するためにテルカタニス宰相……に化けているアイラが口を開いた。

「なにっ!? 知っているのか、宰相!」


「はい、陛下。私が神殿から集めさせた【魔王の欠片】の封印に暗号が記されていました。数万年前、【魔王の欠片】を狙う邪悪な神が封印されたと。その名を……」

 六道の名前をそのまま口にしようとして、「ロクドウ・ヒジリ」の名前が神としては変わっている事にアイラは気がついた。


 別にそのまま六道聖と言っても良かったかもしれない。邪悪な神の名はどれもこれも変わっているのだから。

「『ダークアバロン』と言います、陛下」

 しかし、ついそう言い直してしまった。六道が『オリジン』で名乗った神としての名に、この世界での姿から安直に名付けた。


「ダークアバロン……変わった名だが恐ろしい神のようだな。これだけ離れていても、恐ろしい気配を感じる」

「ええ、こうしているだけで恐ろしい魔力……まるで、死そのものが人型になったかのようです」

 すると、選王だけではなく宮廷魔術師や騎士等も同調し始めた。彼等からすれば、六道……ダークアバロンは強大な存在であるため、無理もない。

 ただ、実際にはヴァンダルーに覚えた恐怖や畏怖もダークアバロンのものと混同しているようだ。


「では、至急我々も!」

 そう言い出したのはオルバウム選王国が誇る精鋭、『オルバウム六方陣』である。アミッド帝国の『邪砕十五剣』に相当する、オルバウムの最強部隊。A級冒険者に相当する実力はもちろんだが、国を守るという意識も高い。


 『天才テイマー』として色々な意味で有名だとしても、宮仕えでも何でもない名誉伯爵家の子弟であるヴァンダルーや、名誉貴族とはいえ冒険者が本業の『五色の刃』にばかり戦わせては……それも城の上空で戦わせてはオルバウム六方陣の名折れだ。

 彼らが戦闘に参加しようとするのは当然だろう。


「たしかに。では、オルバウム六方陣は総員――」

 オルバウム六方陣の力があれば、事態解決も早まるに違いない。コービット選王はそう判断して指令を出そうとしたが、それをドルマド軍務卿が遮った。


「お待ちください! 彼等の気持ちも分かりますが、まずは選王陛下の身の安全を図らなければなりません!」

 上空でぶつかり合う度に大気が震え、その衝撃が地上までとどく程の激しい戦闘だ。城の敷地内は安全どころか、いつ流れ弾が飛んでくるか分からない危険地帯である。こうして話し合いができているのは、ヴァンダルー達が地上に被害が出ないよう気を配っているからに過ぎない。


「まずは選王陛下にはいったん退避していただき、オルバウム六方陣にはその間の護衛を。助太刀はその後にするべきでしょう」

 テルカタニス宰相に化けているアイラも、そう進言した。彼女にとってコービット選王達の身の安全は絶対ではないが、この場に留まられるとヴァンダルーの足手まといになる。


 軍務卿と宰相にそう言われてもまだ戦闘に参加したそうなオルバウム六方陣だったが、文官や使用人達非戦闘員の姿を見て、我に返ったようだ。


「分かりました。しかし……あれはどうします!?」

 そう言ってオルバウム六方陣の一人が指さしたのは、城にあるテルカタニス宰相の執務室の窓……から巨大な脳に似た頭部を突き出し、ダークアバロンに向かって怪光線を放つ使い魔王と、反動で潰れた眼球を新しいものに交換する作業をしているカナコだった。


「ど、どう見ても化け物の類ですが……」

「しかし、先ほどからダークアバロンを攻撃しています。宰相、あれはまさかお知り合いですか?」

「…………」

 予定になかった使い魔王とカナコの行動に、アイラは思わずテルカタニス宰相の姿で遠くを見つめた。


 しかし、現実逃避したままではどうにもならないので、咄嗟に出まかせを言う。

「あれは……いえ、あれもヴァンダルー・ザッカートの従魔でしょう」

 まさか【魔王の欠片】を使って作った分身ですとは言えない。このオルバウム選王国では、ヴァンダルーは人間なのだ。


「従魔っ!? あの脳みその化け物のような魔物が!?」

「情報にはなかったが……いや、もしかしたら今朝登録したのかもしれん」

 植物型やアンデッド、蟲型等今までにない従魔を次々に登録していたため、ヴァンダルーは実は選王国の治安当局に目をつけられていた。


 彼らからすれば、テイマーギルドのお墨付きがあろうと従魔が暴れだした時対処するのは自分達だという使命感があるので当然だ。そのため、ヴァンダルーの従魔に関する情報を集めていた。

 その中には使い魔王の情報は無い。しかし、ヴァンダルーの今までの行動や他の従魔の奇妙さ、そして彼らにとってテイマーギルドよりも信頼できる宰相の言葉によって、「いてもおかしくない」と考えたようだ。


「たしかに、あの化け物の横で怪光線を出すための球体のようなものを嵌めているのは、アルクレム公爵領で流行っている『アイドル』とかいう吟遊詩人のダークエルフだな」

「ええ、城から避難する際に力を借りたのです」


「うーむ、そもそもなぜ彼女が城にいるのか分からんが……後で詳細を報告してもらうぞ、宰相。

 皆よ、一旦退くぞ!」

 コービット選王の号令の下、上級貴族街に向かって再び避難を開始する。オルバウム六方陣も、そして英雄候補の騎士達もそれに倣う。


 彼らに加護を与えたルビカンテ達としては、彼らにはここに留まってハインツ達の援軍として参戦してほしかったが、騎士である以上主命は絶対だ。そのため、大人しく下がっていく。

 しかし、彼らが城から出る前にダークアバロンと名付けられた六道が、新たな動きを始めた。




 時間はやや遡り、ヴァンダルー達、『五色の刃』、そして六道は目まぐるしい勢いで三つ巴の戦いを続けていた。

 六道を優先して攻撃するが、チャンスがあれば積極的にハインツやエドガー、そしてデライザを殺そうとするヴァンダルー。だが、六道の攻撃によって地上に被害が出るのを防ぐため、思うように戦う事ができない。


 ハインツ達も、六道とヴァンダルー双方を警戒しなければならない。そのためハインツは、まだ長時間発動できない【英雄神降臨】という奥の手を使えないでいる。


 そして六道は、ヴァンダルーと『五色の刃』という強敵相手に目まぐるしく頭を使いながら、戦闘を続けていた。


「あの聖剣、厄介ですね」

『あの【界穿滅虚砲】に耐えた剣ッスね』

「正確には、あの聖剣だけではありませんでしたけどね」


 ヴァンダルーがハインツごと六道を狙って放った【界穿滅虚砲】。もしハインツだけだったら、彼がベルウッドから受け継いだ聖剣を持っていたとしても、【英雄神降臨】を使っていなかった彼は死んでいただろう。

 そうならなかったのは、六道がハインツと結果的には協力したからだ。彼が【威力倍増】させた【吸魔盾】でハインツが受けきれなかった分を防いだ。


 六道はハインツがあっさり死ぬと自分が困るから、そしてハインツにとっては勝手に力を貸し付けられた形だが、魔王と勇者が協力した貴重な瞬間だったのかもしれない。


『じゃあ、聖剣はたいした事ないんじゃないッスか?』

「いいえ。【魔王の欠片】を簡単に切り裂きますし、【死弾】や【虚弾】程度ならあっさり弾きます。【死砲】や【虚砲】だと多少苦労するようですが、グドゥラニスを倒した剣だというだけはあります」


 ハインツがベルウッドから受け継いだ聖剣は、ネメシスベルのような量産品の聖剣とは次元が違った。ハインツ自身の実力もあるが、通常のオリハルコンの剣よりも明らかに対【魔王の欠片】、そして対魔術性能が数段以上優れている。


 こう話している間も、ヴァンダルーが放った【死砲】や【魔王の欠片】の弾丸を弾き、風に乗せて流した糸にジェニファーやダイアナが巻き付かれないように斬っている。しかも、同時にエドガーやデライザと協力して六道に攻撃もしている。


 これでまだベルウッドを降ろしていないのだから、厄介というほかない。

「偉大なるヴァンダルーよ、では偽マルティーナ作戦を開始しますか?」

 グファドガーンが、そう提案する。元『五色の刃』のメンバーであるマルティーナの死体を利用して、ハインツ達に精神的なダメージを与える作戦を、ヴァンダルー達は用意している。ただ、嫌がらせ程度にしかならないだろうと思っているが。


 しかし、マルティーナと同じ顔をしたゴーストの集合体であるジェーン・ドゥを出すだけでも動揺させられるかもしれない。

「いえ、一度しか通じない作戦ですから、今は止めておきましょう」


 もちろん、だからといってヴァンダルーが追い詰められているという訳ではない。寧ろ、ヴァンダルーの【界穿滅虚砲】を、今のままでは協力しなければ防げないと実感したハインツ……そして六道の方が精神的には追い詰められている。


 ハインツ達がヴァンダルーから攻撃を受けながらも、反撃ではなく六道への攻撃を優先しているのでなおさらだ。


『『五色の刃』が来たのは私の思惑通りだが、これ以上の客は歓迎できない。それにヴァンダルー、貴様にはまだまだ余裕があるようだな!?』

 それを表すように、六道が奥の手の一つを出した。


(【界穿滅虚砲】……私だけでは完全に防ぎきる事は不可能。全力で防御すればかすり傷程度に抑える事はできるが……奴の事だ、私が防御している最中に二発目の【界穿滅虚砲】を撃つ事も考えられる。必殺技を速射できないとは限らないとでも言いながら。

 ヴァンダルーから集中力を奪い、隙を作らなければ『五色の刃』ごと魂を喰われる!)

 と、追い詰められた内心を表に出さないよう隠しながら。


「な、何をするつもりだ!?」

『こうするのさ』

 六道はそうハインツに答えながら、自らが作り出したダンジョンを操作した。巨大な魔力と、それ以上に禍々しい気配がオルバウムの街を包む。


 空間が揺らぎ、そこかしこに巨大な門が現れた。

「GUMooooooo!」

「ギィィィィィィィィ!」

「ギャギャギャギャ!」

 そして、門から様々な魔物が咆哮や哄笑をあげながら現れた。その数は、オルバウムの中心である選王城の上空から見渡せる範囲で数百。いや、千匹に届くかもしれない。


『街中に私が創り出したダンジョンの出入口を新たに設置した! 私がダンジョンの出入口を操作する事ができると分かった時点で、こうなる事を予想するべきだったな!』

「な、なんて事を!」

「畜生っ! このままじゃオルバウムの街がっ! セレンだって……!」


『ははははは! 狼狽える余裕はないぞ! さあ、どうするヴァンダルーッ!?』

「「「ギャアアアアアアアアア!?」」」

 動揺するハインツ達、得意げに高笑いをあげる六道。そして空に響き渡る、無数の魔物達があげた断末魔の濁った悲鳴。


『な、馬鹿な!? 早すぎる!?』

「魔物達が次々に倒されているのか!? これならっ………!」

「【限界超越】……【界穿滅虚砲】、速射」

 一転して驚愕の表情を浮かべた六道と、表情を明るくしたハインツを、ヴァンダルーが放った本日二発目の【界穿滅虚砲】が襲った。




 突然ダンジョンの出入口が庭や道路、広場に出現した事は選王国の首都オルバウムの人々をパニックに陥れた。

 そして出入り口から現れた、恐ろしい魔物に対して恐怖し、腰を抜かしたり硬直したりしたまま、逃げる事ができず数千人の人々が命を落とす。そんな事もありえたかもしれない。


「【閃光薙ぎ】!」

「ギュガアアアアア!?」

 巨大な猿に似た魔物は、出入り口から顔を出した瞬間にヘンドリクセンの槍の穂先によって首を落とされた。それでも頭部は牙を剥いて叫び、胴体は四本の長い腕と先端に牙の生えた口のついた尻尾を振り回して暴れようとしたが、彼とその仲間によって速やかに退治される。


 他の出入り口から出ようとした魔物も、ヘンドリクセン達と同じように待ち構えていた英雄候補とその仲間たちによって完全に止めを刺される。

「ここは危険だ、逃げろ!」

「は、はいっ!」


 『聖槍の貴公子』とも呼ばれる彼に声をかけられた女性は、わずかに頬を染めて走り去ろうとし……その先でも魔物が現れた門が出現している事に気がつき立ち止まった。

「くっ、何処が安全なのだ!?」

 避難を促したヘンドリクセンもそれに気がついて、迷うように周囲を見回した。


 彼らはこの事態を予期していた訳ではない。ただ、城に向かうために商業区から貴族街へ入ろうとしていた時、城から大気を振るわせる轟音が響いてきた。

 いったい何事かと狼狽える人々がパニックに陥らないよう、名と正体を明かして宥めて落ち着かせていたら、今度は虚空から不気味な音が響いた。


 その時優れた空間属性魔術師であるボルゾフォイが、「何かが、それも無数に現れようとしておる!」と叫んだ。そしていくつもの門が出現した瞬間、ミリアムが指示を出した。「あの門の向こうから魔物が出てきます! 戦える人は備えて! そうでない人は離れてください!」と。

 英雄候補達は素早く展開し、門の近くで魔物を待ち受けた。そして、ヘンドリクセンは現れた門の内一つから出てきた魔物を倒した。


 だが、それだけだ。門が何なのか、何故現れたのか、そして何処にどれだけの数があるのかも分からない。分かるのは、門の向こうから現れる魔物が強力である事だけだ。


(先ほどの猿の魔物の種族は知らないが、ランクは7……いや、8はあった。不意打ちでなければ、簡単に倒す事はできなかった。見れば、門から現れる魔物の中にはランク4や5の弱い魔物もいるようだが、並みの建造物では避難場所にもならない!)

 砦や、それこそ城でなければランク7以上の魔物にとっては瓦礫の材料でしかない。こうなったら、人々を自らが護衛しながら安全な場所を探すしかないか。そう思った時だった。


「ここからなら……英雄予備校に向かってください! 英雄予備校に避難所があります!」

 ミリアムの指示が再びとんだ。

「英雄予備校に!?」

「はいっ、英雄予備校が管理しているダンジョン。あそこなら今のオルバウムより安全です!」


「だ、ダンジョンに避難!? そんな馬鹿な……いや、たしかにその方が安全か?」

「出入口は一つで、中に逃げ込んでも壁や天井が崩れる事もない。それに英雄予備校のダンジョンは低層階なら強い魔物は出ない」

 ダンジョンに一般人を避難させる。それはヘンドリクセン達にとって常識の埒外だったが、考え直すと名案のように思えた。今のオルバウムのように、町中に開いた無数の門からB級やA級冒険者じゃなければ倒せないような強力な魔物が次々に出現している、常識を超えて危険な状況では。


「よし、我々が門の近くで魔物を止める! 衛兵の皆さんは英雄予備校まで人々を避難させてください!」

 ヘンドリクセンが、魔物の迫力に気圧されて硬直していた衛兵に声をかける。すると、彼らは我に返ったが、困惑した様子を見せてすぐには動かなかった。『冒険騎士』、『聖槍の貴公子』と呼ばれてそれなりに名を知られていても、貴族街の入り口の警備を任せられた自分達が冒険者のヘンドリクセンの指揮で動いていいのか、咄嗟に判断できなかったのだろう。


「グオオオオオオオン!」

 だが、魔物は衛兵達の決断を待ってはくれない。門から、青黒い毛並みの背に皮膜の翼を生やした獅子に似た魔物が新たに出現した。ヘンドリクセンも見たことがない種だが、先ほどの猿の魔物よりも明らかに格上だ。


「GUOOOOOOOOO!!」

 だが、その青獅子に向かって、『ハート戦士団』の剣士、最近では『最恐剣士』と呼ばれているアーサーが咆哮をあげながら疾駆する。


「ギャイン!?」

 彼の【叫喚】スキルによる威嚇に怖気づいた青獅子が思わず後退った。そこにアーサーの両手剣が、唸りをあげて振り下ろされる。


「【轟剣撃】ィ!」

 青獅子の頭部が上位スキルに覚醒したアーサーの剣によって、断ち割られた。その青黒い返り血に染まった顔で、衛兵達に呼びかける。


「ここは私達で大丈夫です! さあ、お早く!」

「は、はひぃいぃっ!」

「わ、分かりましたっ! 皆っ、英雄予備校だ、英雄予備校に向かって逃げるんだ!」

 途端、衛兵達が走り出す。先ほどヘンドリクセンが助けた女性も、顔を蒼白にして彼らの誘導に従って逃げていった。


「責任感から我々と共に戦おうとしてくれていたようですが、我々を信用してこの場を任せてくれて良かった」

「……もしかして衛兵達の事か? 彼らは、君の迫力に押されて動いただけだと思うが」

「そうですよね。でも、こういう人ですから」

 ヘンドリクセンの言葉に頷きながら、ミリアムは弓に矢を番えると門から顔を出した魔物を素早く射抜いた。


 既に変身している彼女は十代半ばの少女でありながら、何処か指揮官らしい威厳や頼もしさを感じさせた。最近では『軍団長』とも呼ばれている彼女は、見える範囲の門全てに英雄候補とその仲間達を割り振り、余った者達は避難の呼びかけや、人々の救助、そして避難する人々の護衛を任せる。


 その様子はまさに大英雄、もしくは人々を守る聖女と評するのに相応しい。……影がやや黒いが。

「それでこの後はどうすればいいんです? 私達だけじゃ、オルバウムは広すぎて手が回りませんよ?」

『それは大丈夫です。さっきからナターニャとサイモンには別行動をしてもらっていますし、皆にも来て貰っていますから。

 それにしても、良い指揮官ぶりですね』


「新しいジョブが、【聖弓姫】と【指揮官】しか出なかっただけです! お願いですから、ザディリスさんの呪いを止めてください!」

 【御使い降魔】スキルで体に降りたヴァンダルーの分身とそう話しているとおり、実際は彼女一人で指揮を執っている訳ではなかった。


 しかし、周囲にはヴァンダルーの分身の声は聞こえないため……ミリアムの評価はまた高まってしまうのだった。




――――――――――――――――――――――




名前:ヘンドリクセン・ヘーゼン

種族:人種

年齢:23

二つ名:【冒険騎士】 【聖槍の貴公子】

ジョブ:聖槍豪

レベル:64

ジョブ履歴:騎士見習い 従騎士 槍士 魔槍使い 魔槍士 魔戦士 聖戦士 聖槍使い 聖槍士 槍豪 大槍豪


・パッシブスキル

全能力値強化:極大

病毒耐性:5Lv

槍装備時攻撃力増強:大

金属鎧装備時防御力増強:大

能力値強化:君主:1Lv

疲労耐性:3Lv

精神耐性:3Lv

直感:1Lv


・アクティブスキル

剣術:3Lv

聖槍術:4Lv

弓術:5Lv

盾術:6Lv

鎧術:9Lv

乗馬:4Lv

連携:10Lv

礼儀作法:1Lv

限界超越:1Lv

魔闘術:4Lv

忍び足:2Lv

解体:3Lv

無属性魔術:1Lv

魔術制御:3Lv

光属性魔術:4Lv

御使い降臨:5Lv

聖槍限界超越:1Lv


・ユニークスキル

エルクの加護




・名前:アーサー

・種族:人種

・年齢:24

・二つ名:【轟剣紳士】(NEW!) 【最恐剣士】(NEW!)

・ジョブ:大剣豪

・レベル:42

・ジョブ履歴:猟師見習い 猟師 猟師名人 魔物狩人 亜鬼人狩人 見習い戦士 戦士 魔剣使い 魔剣士 聖剣士 剣豪



・パッシブスキル

筋力増強:9Lv(UP!)

敏捷強化:8Lv(UP!)

気配感知:6Lv(UP!)

直感:5Lv

精神耐性:5Lv(UP!)

病毒耐性:7Lv(UP!)

弓装備時命中力強化:中

剣装備時攻撃力増強:大(剣装備時攻撃力強化から覚醒!)

能力値強化:導き:4Lv(UP!)

暗視


・アクティブスキル

解体:6Lv(UP!)

忍び足:7Lv

罠:6Lv

弓術:5Lv(UP!)

短剣術:3Lv(UP!)

皮革職人:2Lv(UP!)

格闘術:7Lv(UP!)

轟剣術:2Lv(剣術から覚醒!)

声帯模写:鳥獣魔物:5Lv(UP!)

限界超越:1Lv(限界突破から覚醒!)

家事:2Lv

鎧術:7Lv(UP!)

魔剣限界突破:5Lv(UP!)

御使い降臨:3Lv(UP!)

叫喚:3Lv(NEW!)

舞踏:1Lv(NEW!)


・ユニークスキル

闘争の才能

バシャスの加護

ヴァンダルーの加護

ヴィダの加護




・名前:カリニア

・種族:人種

・年齢:20

・二つ名:【暗夜司祭】(NEW!) 【ハートの魔女】(NEW!)

・ジョブ:マジカルクイーン

・レベル:79

・ジョブ履歴:見習い神官 神官 薬師 聖職者 神官戦士 魔女 司祭 神聖魔女 高司祭 暗夜司祭 魔法少女



・パッシブスキル

精神耐性:6Lv(UP!)

盾装備時防御力増強:中(UP!)

能力値強化:夜:7Lv(UP!)

能力値強化:導き:4Lv(UP!)

魔力増大:2Lv(UP!)

暗視

色香:2Lv(UP!)

病毒耐性:1Lv(NEW!)


・アクティブスキル

聖職者:6Lv(UP!)

薬師:5Lv

家事:4Lv

無属性魔術:4Lv(UP!)

夜命魔術:1Lv(生命属性魔術から覚醒!)

水属性魔術:9Lv(UP!)

魔術制御:9Lv(UP!)

盾術:5Lv(UP!)

棍術:3Lv(UP!)

御使い降臨:4Lv(UP!)

限界突破:4Lv(UP!)

連携:6Lv(UP!)

舞踏:3Lv(UP!)

歌唱:3Lv(UP!)

詠唱破棄:1Lv(NEW!)


・ユニークスキル

ゼルゼリアの加護

ヴァンダルーの加護

ヴィダの加護




・名前:ボルゾフォイ

・種族:ドワーフ

・年齢:27

・二つ名:【怪人物】(NEW!)

・ジョブ:グレートマジカルハンター

・レベル:51

・ジョブ履歴:魔術師見習い 魔術師 猟師 光属性魔術師 時属性魔術師 空間属性魔術師 杖術士 時空間魔術師 光次元魔術師 マジカルハンター 怪僧 大魔術師


・パッシブスキル

闇視

精神耐性:5Lv(UP!)

病毒耐性:3Lv(UP!)

杖装備時魔術攻撃力強化:極大(UP!)

能力値強化:導き:6Lv(UP!)

魔力増大:3Lv(UP!)

自己強化:笑顔:1Lv(NEW!)


・アクティブスキル

無属性魔術:7Lv(UP!)

魔術制御:10Lv(UP!)

時怪魔術:1Lv(時間属性魔術から覚醒!)

空怪魔術:1Lv(空間属性魔術から覚醒!)

土属性魔術:6Lv(UP!)

火属性魔術:5Lv(UP!)

光属性魔術:10Lv(UP!)

武具職人:2Lv

皮革職人:2Lv

杖術:4Lv(UP!)

限界突破:5Lv(UP!)

御使い降臨:6Lv(UP!)

連携:5Lv(UP!)

恐怖のオーラ:2Lv(UP!)


・ユニークスキル

ハムルの加護

ヴァンダルーの加護

リクレントの加護

ズルワーンの加護




・名前:ミリアム

・種族:人種

・年齢:16歳

・二つ名:【魔王の友人】 【軍団長】(NEW!)

・ジョブ:指揮官

・レベル:65

・ジョブ履歴:見習い盗賊 盗賊 弓術士 魔弓使い 暗弓士 魔弓士 聖弓士 魔聖弓士 弓姫 魔弓姫


・パッシブスキル

気配感知:6Lv(UP!)

弓装備時命中力増強:極大(UP!)

非金属鎧装備時敏捷増強:大(UP!)

精神耐性:7Lv(UP!)

暗視

能力値強化:導き:6Lv(UP!)

病毒耐性:2Lv

自己強化:変身:2Lv(NEW!)


・アクティブスキル

農業:1Lv

家事:1Lv

短剣術:4Lv(UP!)

弓姫術:1Lv(弓術から覚醒!)

鍵開け:6Lv(UP!)

罠:5Lv

限界突破:10Lv(UP!)

鎧術:7Lv(UP!)

魔弓限界突破:8Lv(UP!)

暗殺術:5Lv(UP!)

御使い降魔:4Lv(UP!)

連携:6Lv(UP!)

指揮:5Lv(UP!)

舞踏:3Lv(UP!)

歌唱:3Lv(UP!)

料理:1Lv(NEW!)


・ユニークスキル

ヴァンダルーの加護

バシャスの加護

ゼルゼリアの加護

ハムルの加護

ヴィダの加護


次話は12月9日に投稿する予定です。

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― 新着の感想 ―
何気に、地味〜に広がって、増えてるのよね…姫系ジョブwww
[気になる点] >名前:ヘンドリクセン・ヘーゼン >・アクティブスキル >聖槍限界超越:1Lv ハインツの【聖剣限界超越】スキルは【魔剣限界超越】の上位スキルでしたが、この【聖槍限界超越】スキルも【…
[良い点] 民明書房の知名度の高さ アバロン改めダバロンの雑魚臭さ ミリアムの名指揮&姫の呪い ボルゾフォイの『自己強化:笑顔』 [気になる点] 自己強化の獲得って『戦闘用ルーティン』の習熟度だとおも…
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