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四度目は嫌な死属性魔術師  作者: デンスケ
第十四章 冒険者学校編
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三百二十二話 内外訓練

 英雄予備校では、実習用にダンジョンを一つ管理している。

 ダンジョンの入り口は英雄予備校の敷地内……つまりオルバウムの都の内側に存在した。元々は町の外にあったのだが、オルバウムが発展する過程で内側に取り込まれたのである。


 その攻略難易度はC級だが、上層階ではランク2や3の魔物しか出現しない。そのため、英雄予備校の生徒の実習にちょうど良い難易度となっている。

 それにダンジョンの内装も、最も多い石造りの遺跡風や、洞窟や森、砂漠や沼地等バリエーション豊かで、生徒達に様々な経験を積ませることができる。


 さらに、通常のダンジョンよりも魔物の増殖力が高いので、何十人もの生徒が毎日のように魔物を狩り続けても、魔物が絶える事がないのも実習用としては魅力的だ。

 C級なので万が一暴走が起きたとしても英雄予備校の教職員で抑え込むことが可能であるため、オルバウムの安全に影響はない。


「今回はお前たちにダンジョンを体験させるのが目的だ。攻略じゃない。それを忘れるな」

 ダンドリップはそう生徒達に言い、注意を続ける。


「お前達の多くがダンジョンは未経験だろう。不安や興奮を覚えるのは分かる。しかし。お前達がこれから体験するのは未知への冒険じゃない。何百年も前から知り尽くされている領域、既知の体験だ。

 多くの冒険者が当たり前のように足を踏み入れ、目的の魔物を狩り、素材を採集し、そして生還する。それができる事を目標に行う訓練だ」


 浮かれて、調子に乗って、己の実力を過信して、もしくは不安や恐怖によるパニックに陥って命を落とす若者は多い。

 ダンドリップ……ランドルフは、そんな悲劇を少しでも少なくする事が冒険者学校の役目だと思っていた。


(そもそも、冒険者という名称が悪い。実態は魔物専門の狩人、退治屋だ。ほとんどの奴は既知の狩場で既知の魔物を狩り、素材を持ち帰って売り、生活の糧を得る労働者だ。

 それなのに勘違いして死ぬ奴が多すぎる。冒険は、十分な実力と経験を培ってから、やりたい奴がやればいい)


 そんな愚痴っぽい事を考えるが、それを口に出すと生徒達の意欲を減退させる。それどころか、負けん気の強い跳ねっ返りが暴走してしまう可能性がある事を彼は知っていた。


「未知への冒険は十分な実力をつけ、経験を積み、この学校を卒業してからいくらでも挑戦する事ができる。

 アミッド帝国のS級冒険者、『暴虐の嵐』は伝説の魔大陸から生還した。我が国の『五色の刃』も原種吸血鬼を倒し、今も『アルダの試練のダンジョン』で調査活動をしている。そして、そこのヴァ……お前達の人生の先は長い、今は将来のために力を蓄えるときだと思え!」


 そうランドルフが心にもない事を唱えた途端、激しく首を横に振っているヴァンダルー以外の生徒達の瞳が輝きだす。いけ好かない貴族のボンボンも、こうしている時だけは可愛いものだ。


(『暴虐の嵐』はアミッド帝国の公爵とアルダ神殿を襲撃したそうだから、もうギルドを除籍処分にされている可能性がある。『五色の刃』の若造共も俺には英雄に見えなかったが……まあ、知らなくていい事をわざわざ教える必要はないだろう。

 それにしても、そんなに名前を出されるのが嫌か?)


「いいか、まず事前に決めてあるパーティーごとに分かれて、『依頼書』を受け取り、順番にダンジョンの中に入れ。『依頼書』にはそれぞれ課題が書かれているから、それを果たして地下三層の四層へ続く階段前で待っている教官の前まで来い。それで今日の実習は終わりだ」


 そして、簡単なルールの説明……他のパーティーへの妨害行為、生徒同士の私闘を禁じる等を話し終えたら、最初のパーティーからダンジョンに入っていく。


「行ってくるね、ヴァン!」

 パウヴィナとラインハルト達のパーティーは、ヴァンダルーよりも先にダンジョンへ入って行った。彼女達が引いた『依頼書』に書かれていた課題は地下二層に生えている薬草の採取である。


「キュイー」

 なお、パウヴィナの頭には髪飾りのようにペインが止まっている。これで億が一の事態もないだろう。


「行ってらっしゃい」

 そしてヴァンダルーは、ソロのままである。一度決めたパーティーメンバーは変更できない、という訳ではないのだが、ヴァンダルーがエリザベスのパーティーに所属を決めたからと他のクラスメイトのパーティーに入る事を拒否したのだ。


 ちなみに、新入生が入学後一か月経つまで同じ教室の生徒同士でしかパーティーを組めないという規則は、本来一人だけあぶれる生徒や、著しくバランスの悪いパーティーが出ないようにという学校側の配慮によるものだ。

 新入生全体や上級生も含めてパーティーを組めるようにすると、生徒達の多くは上級生や優秀な同級生を頼ろうとするし、上級生は優秀な新入生を選んで引き抜こうとする。


 それから残ってしまった生徒達同士でパーティーを組んだ時、全員前衛や、全員魔術師志望の生徒だとまずい。


 そのため、まずは教室という限られた人数の中からパーティーを組ませるのである。もちろん、条件を制限された中組んだパーティーでは、性格の問題などから解散してしまう場合もある。

 だが、その頃には一か月ぐらいは過ぎているため、改めてパーティーを組めばいいだけの話だ。


 冒険者の中には一生同じパーティーメンバーで活動する者もいるが、冒険者学校時代から頻繁にパーティーの加入と脱退を繰り返す者もいる。

 そうして自分に合ったパーティーを探す冒険者も、少なくないのだ。


 それはともかく、実習まで一人きりの生徒は珍しい。他のパーティーに実習の間だけでも入れてもらうのが普通だからだ。


「先生、俺達の依頼書は『魔石を三十個集める事』なんですが……達成できる自信がありません。どうすればいいと思いますか?」

「他のパーティーと協力するといいと思いますよ。依頼書で求められているのが魔石ではない人達を手伝う代わりに、倒した魔物から魔石が手に入ったら渡してもらうとか。なんなら、あなた達が倒した魔物の魔石以外の素材と交換してもいいでしょう」


「そんな事をして、いいんですか!?」

「問題ないと思いますよ。ルールで禁止されているのは妨害であって、協力は禁止されていませんから。……実際の冒険者ギルドでも、冒険者同士の協力は推奨されていますし」


 その一人だけのはずのヴァンダルーは、同級生の質問に答え助言を与えていた。これまでの訓練や実習で彼の手ほどきを受けた生徒達の尊敬を獲得しており、今では先生の一人として扱われている。


「先生、困りますな。確かにその通りですが、そういう事は生徒達が自主的に気づくように仕向けてもらわないと」

「すみません、ハービンジャー先生。でも、俺も生徒ですよ?」

「あ、そういえば。これは一本取られましたね、先生!」


 はっはっはと朗らかに笑うハービンジャーは、初日に最後までヴァンダルーに食い下がった教官だ。彼はそれ以後も、自習だというのに生徒に混じってヴァンダルーに模擬戦の相手をしてもらっていた。

 ちなみに、ハービンジャー以外の教官もヴァンダルーを生徒扱いしていない。パウヴィナの教室の教官達は、生温い目をして、「立場上口を出すけど、気にしなくていいからな」と、文字通り立場だけは生徒として扱うのだが。


 他の生徒達から持ち寄られる相談に応えていく内に、ヴァンダルー達の順番が近づいてくる。


「俺達の『依頼書』は……地下二層に生息するストーンゴーレムの討伐と素材全ての運搬ですか。難易度は高めですね」

「キシャ?」

「ピート、ストーンゴーレムの素材はその体を構成する岩石全てよ。数百キロの石塊を、魔物と戦いながら持ち運ぶのは大変だから、ヴァン様は難易度が高めだと言っているのよ」


『……そうかねぇ?』

「普通の冒険者にとっては難易度が高いのよ、普通の冒険者にとっては」

「エレオノーラの言う通りです。調子に乗って追加の課題を出されたら面倒なので、『これは難しいな』という顔で行きましょう」


 ヴァンダルーのソロパーティーは、まずテイマーギルドに既に登録してあるアイゼン、ただの大百足サイズに縮小しているピート、そして先日テイマーギルドに登録したエレオノーラ。そして、シルキーの敷地内にいるアンデッド数体である。


 エレオノーラを登録するときは、テイマーギルドのマスター、オルロックに「そのお嬢さんを従魔として登録して本当にいいのかね?」と確認されたが、ヴァンダルーが「では、登録せずに吸血鬼を街に入れても構いませんか?」と尋ね返すと、渋面を浮かべて登録を許可してくれた。


 オルロックはうら若い女性にしか見えないエレオノーラに首輪を嵌める事に抵抗を覚えたらしい。しかし、上記のヴァンダルーの言葉と、エレオノーラ本人の「私がヴァン様の僕としてふさわしくないとでも言うの!?」という怒りの声に、彼の抵抗感は霧散したようだ。


 赤毛の美女と背中から複数の枝を伸ばした植物っぽい美女、そして角から火花を散らしているムカデに、人間を両断できそうな大ハサミを持つ庭師と、巨大な肉切り包丁で武装した巨漢の料理人。

 それを引き連れソロだと言うヴァンダルー。


 どう考えても過剰戦力である。


「順番が来ましたね、ではいきましょう」

 だが、この実習では生徒にダンジョンで依頼を果たす事を体験させるという目的があるため、テイマーの生徒は従魔を連れて入っても構わないというルールだった。


 当然のようにヴァンダルー達は苦戦する事も、ルールから逸脱する事もなかった。地下二層でストーンゴーレムを倒し、その残骸を皆で均等に割り振って運び、地下三層を攻略。その際、他の生徒が困っていたら協力して、『依頼書』を達成したのだった。


 ……その時に、地下四層への階段にチプラス達と隠密能力に優れた使い魔王を一匹放したが。


『後々の実習をやりやすくするため、各階層の構造や魔物、採集できる植物や鉱物の分布を調べるのだ! ヴァンダルー様の【迷宮創造】も未踏破の部分に関しては完全ではないのだからな!』

『魔物や他の生徒共に気が付かれないよう、密やかにするのだぞ、ベールケルト!』

『お、俺は気が付かれない、俺はいない、俺はいない、俺は…いない? 俺は、誰……!?』


『ベールケルト、難しい事は考えず、かくれんぼしましょうねー。鬼はダンジョン内にいる俺達以外の全てです』

『するっ! 俺はかくれんぼをするぞぉぉぉ!』


 こうして、ヴァンダルーは冒険者学校が管理しているダンジョンの全てを把握したのだった。




 その頃、ヴァンダルーの体内世界でも訓練が行われていた。


『ウオオオオオン!』

 岩でできた人型の魔物、ロックゴーレムが岩を擦り合わせた唸り声を発しながら、近づいてくる。それに対してウルリカは、投擲用のナイフを持って振りかぶり、思いっきり投げた。


 弾丸のような速さで飛んだナイフは狙いたがわずロックゴーレムの胴体に命中し、風穴を開けた。

『ウオオオン!?』

「馬鹿なっ!? ナイフが岩を貫通しただと!?」

 その結果に驚くロックゴーレムとウルリカ。


「いや、あなたまで驚いてどうするの」

「だって岩だぞ!? それを人力で放ったナイフが貫通するんだぞ!? 驚くだろう、普通は!」

「物理法則が違うって説明を受けたでしょ、全く」


 攻撃が成功したのに半ばパニックに陥っているウルリカの代わりに、マリが前に出た。細い手を、【メタモル】で硬い殻に覆われた大きな拳に変化させてそれを叩きつける。

『ウオオオオォン!?』

 マリの拳が当たった場所からヒビが生じ、それが全身に走ってロックゴーレムはバラバラに砕け散った。


「……うん、やっぱりこれは凄いわ。いくら硬くしたからって、魔術も何も使っていない拳で岩を粉々って……」

 驚く二人の様子を眺めながら、カナコは頷いた。

「そんなものだと思いますよ。ロックゴーレムはランク4で、ウルリカの【投擲術】スキルとマリの【格闘術】スキルは、それぞれ5レベル。能力値も高いし、驚くような事じゃありませんよ」


「……すっかりこっちの常識に染まったようだな」

「まだまだ慣れるまでしばらくかかりそうだわ」

 しかしカナコの指摘した、この世界ではごく一般的な指摘はまだ二人にはピンとこなかったらしい。


「この世界の物理学はどうなっているのだろう?」

「多分、『地球』や『オリジン』とはかなり異なる物理法則で成り立っていると思いますよ。『地球』だったら、体長百メートルの巨人や龍は、物理的に存在できないでしょうし。

 そもそも、人の体の中に世界がある世界ですからね。難しい事は考えない方が良いですよ」


「「たしかに」」

 ウルリカとマリはそう頷きながら、空を見上げた。白い雲の向こうには、肉色の空……天井が脈打っている。『地球』や『オリジン』と物理法則が異なるという証拠は、今自分達がいる場所だけで充分だった。


「では、納得してもらえたようなので次に行きましょうか。ヴァン、次お願いしまーす!」

「はいはい、『起きろ』」

 【体内世界】のヴァンダルーが再びロックゴーレムを創り、それをウルリカとマリに差し向ける。


「次は……【螺旋撃ち】!」

 唸り声と足音を響かせて近づいてくるロックゴーレムに、今度は【投擲術】の武技を発動させてナイフを投げるウルリカ。


 高速で回転するナイフはロックゴーレムの胴体に命中し、胴体に大穴を開けた。

『ウオオオオォ……』

 轟音を立てて崩れるロックゴーレムを、ウルリカは唖然とした様子で見つめた。


「馬鹿な……威力が段違いだ。武技を発動させただけで……いや、これが武技の力なのか? それとも冥系人種になったから?」

「呪文も唱えなくてもよくて、必要な魔力も少なめでこの威力。この世界の魔術師って、需要があるの?」


 武技は多少の条件……そのスキルの効果を発動させる事ができる武器を使用している事等……を満たすだけで、呪文も唱えず少ない魔力で発動させることができる。

 武技があれば魔術は必要とされないのではないか。そう思うマリに、カナコは苦笑いを浮かべて言った。


「そう感じるのはあなた達が強いからですよ。普通の人の【螺旋撃ち】はそこまでの威力は出ませんから。……まあ、【螺旋撃ち】が使える時点で『普通の人』じゃないんですけど。

 あと、冥系人種に変化しただけではそこまで強くなれないですよ。確かに【筋力強化】スキルで力は上がっていますけど、もっと経験を積まないと。……マリはなぜか【怪力】スキルの方を獲得しちゃったみたいですけど」


 今まで『ラムダ』に転生してきた転生者と違い、ウルリカとマリはロドコルテによるステータスの調整を受けていない。

 そのため銃の技術が【弓術】ではなく【砲術】に変化するなど、今までの転生者とは差異が出ている。

だが、ヴァンダルーに導かれその加護を得ている彼女達の能力値とスキルは、『ラムダ』の人々よりもずっと高い。


 そのため、彼女達が発動させる武技が非凡な威力なのは必然であった。

 二人が行っているのも、冥系人種に変化した体と『オリジン』に存在しなかった武技に慣れるための訓練だった。


「じゃあ、次は実戦に近い形で行きましょうか。二人には今日中にジョブチェンジを最低でも一回以上してもらいますからね! ……この世界じゃ口パクはできないので、歌いながらダンスを踊るには体力が必要なんです」


「ちょっ!? 目的が変わっていないか!?」

「ウルリカ……実はあたし、最近ある人の勧誘に手こずっていまして。ストレスが溜まっているんです」

「それは大変だな!? だけど、私達に関係あるのか!?」

「ヴァンダルー、カナコが不条理にも私達に変な八つ当たりをしてくるんだけど?」


 ウルリカが抗議し、マリは体内世界のヴァンダルーに言いつけてみるが、結果は変わらなかった。

「まあまあ、訓練自体は二人にとって必要な事ですし、それによって上がる身体能力は二人にとって大事な力になるのは本当ですから」

 そう言うと、体内世界のヴァンダルーは【ゴーレム創成】で無数の岩を創造し、それで何十匹ものロックゴーレムを創り出した。


『『『うおおおおおおおん!!』』』

 誕生したロックゴーレムは、意外にも統率された動きで二人を包囲する。


「さあ、この岩の軍勢を倒し、アイドルへの一歩を踏み出すのです!」

「ううっ、私の知っているアイドルと何もかも違う気がする!」

「レッスンを受けるのに同意はしたけど……内容が想定外だったわ。ああ、早くママに会いたい」


 ウルリカは投擲用のナイフを抜きながら、マリは腕を【メタモル】で蟹のハサミに、脚を獣の脚に変化させてゴーレム達を迎え撃った。


「実を言うと、俺も同感ですが……せっかく作った変身装具を使ってもらえないのは悲しいので、頑張ってください。まあ、二人の装具はディアナの装具作成が難航しているので、もう少し時間がかかりますが」

 とりあえず、この訓練が終わったら汎用の変身装具と、その上から着る鎧を渡しておこう。ヴァンダルーはそう考えていた。


 一方、少し離れた所ではボコールとユキジョロウ、ガブリエルが地道に武術の訓練を受けていた。戦闘訓練を受けておらず、更に魔術が限定的な死属性魔術しか使えない三人は、実戦形式の訓練にはまだ早いと判断されたためである。


 更にその向こうでは、博と冥がバンダーから訓練を受けている。

「やっちゃえ、皆っ!」

 冥の号令に従って、アンデッドの群れがストーンゴーレムやウッドゴーレムに襲い掛かっていく。六道の実験で作り出された合成獣のアンデッドがゴーレムを押しとどめ、大統領ゴースト達がポルターガイストにより遠距離攻撃を行う。更に、実験体のアンデッド達の限定的死属性魔術と物理攻撃に、ゴーレム達は徐々に数を減らしていった。


 一方、博は魔術で既にゴーレムを全て倒し終えていた。

「バンダー、俺、恐竜と戦ってみたい」

『博、恐竜と戦うのはまだ早いです。恐竜っぽい形のゴーレムで今は我慢です』


 今日の訓練でヴァンダルーが作るゴーレムに敵を限定しているのは、二つの理由があった。獣や亜人型の魔物との殺し合いは、ウルリカにはまだ刺激が強いため。そして、博と冥の情操教育のためだった。


 その肉を食べ、素材を手に入れるために魔物を殺すことは『ラムダ』では推奨されている。しかし博と冥はまだまだ子供だ。自分の手で生き物を殺し、飛び散る血肉の臭いに慣れさせるのは情操教育上問題がある。

 しかし、六道の魂を喰い損ねているため、今の強さのまま温室のように整った環境で保護し続けるのは不安が残る。


 そのため、無機物でできたゴーレムを相手に訓練しているのである。


「うーん、分かった。でも、母さん達がこっちに来る前には退治して、骨を見せたいな」

『では、今度タロスヘイムにある博物館に案内しましょう。恐竜の骨……から作ったアンデッドがいっぱいいますよ。ダブルヘッドティラノやサタンアンモナイトも去年入荷しましたし、三葉虫と触れ合えるコーナーもあります』

「マジでっ!? ダブルヘッドとかサタンとか絶対この世界だけだと思うけど、三葉虫は見てみたい!」


 三歳の誕生日にヴァンダルーに贈られた恐竜の死体から作られたアンデッドのいる博物館は、発展を続けていたらしい。


 こうしてヴァンダルーは体内でも体外でも訓練をしているのだった。




――――――――――――――――――




名前:ウルリカ・スカッチオ

種族:冥系人種

年齢:35歳

二つ名:

ジョブ:盗賊

レベル:7

ジョブ履歴:見習い魔術師、見習い戦士


・パッシブスキル

精神汚染:3Lv

自己強化:導き:1Lv

暗視

筋力強化:1Lv

高速再生:1Lv

状態異常耐性:1Lv

魔力増大:1Lv


・アクティブスキル

家事:1Lv

風属性魔術:5Lv

魔術制御:6Lv

砲術:4Lv

短剣術:6Lv

投擲術:5Lv

忍び足:2Lv

鍵開け:1Lv

罠:5Lv

御使い降魔:1Lv

詠唱破棄:1Lv


・ユニークスキル

エコー:6Lv

ヴァンダルーの加護




名前:マリ

種族:冥系人種

年齢:35歳

二つ名:【ブラックマリア】

ジョブ:死属性魔術師

レベル:70

ジョブ履歴:見習い戦士、格闘士


・パッシブスキル

精神汚染:10Lv

自己強化:ママ:10Lv

高速再生:5Lv

暗視

怪力:1Lv

状態異常耐性:1Lv

自己強化:導き:3Lv

食い溜め:1Lv


・アクティブスキル

家事:3Lv

魔術制御:7Lv

砲術:3Lv

短剣術:6Lv

格闘術:6Lv

忍び足:5Lv

限界突破:5Lv

礼儀作法:3Lv

舞踏:1Lv

死属性魔術:4Lv


・ユニークスキル

メタモル:10Lv

ヴァンダルーの加護




●スキル解説:食い溜め


 文字通り、食い溜めを行えるスキル。一日に必要な量以上の食事をとった時、栄養やカロリーを一定の量まで溜めて置き、必要な時に消費して飢えを凌ぐことができる。

 溜める事ができる量は、レベルが上がるごとに増える。基本的に人間が覚えられるスキルではないが、極稀に習得している者もいる。


次話は7月13日に投稿する予定です。

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