十章キャラクター紹介下
遅れましたが、レビューありがとうございます!
●レギオン 年齢:2歳 エクリプスダークレギオン ?
前世の自分の仇(の一部)を討ち取った事になるレギオン。ハジメ・フィトゥンが起こした魔物の暴走で、モークシーの町が把握している賊とされている者以外の死者は、ほぼ全員が彼女達である。
例外は、スケルトン(骨人)に倒された旅人(フィトゥンの英霊に身体を乗っ取られた人)の一人だけで、本当の犠牲者は存在していないことになる。
しかし、それを知らない謎の老婆等に命を助けられた若い冒険者達を含めた町の外に居た人々と、アイザック・モークシー伯爵の演説によって、『名も無き英雄達』の二つ名を獲得してしまった。
変装の為に【侵食融合】スキルで手に入れた村人達の中から適当に選んだ姿形でも、レギオンの姿の一部である事に違いは無いという判定が行われてしまったらしい。
人間に当てはめると、後ろ姿だろうが横顔だろうか、同じ人物であるという事だろうか。複数の人格が融合しているレギオンでなければあり得ない事である。
『名も無き英雄達』像が広場に建てられると聞き、狂信者で普通とは異なる感性を持つレギオン達も流石にいたたまれなくなり、十章終了時にはヴァンダルーの自宅で遠い目をしている。
ハジメ・フィトゥンとの戦いでは、マウンテンジャイアントの死体から肉と臓物を吸収し、残った骨を利用して巨人のような形態で戦うなど新しい工夫をしている。……きっかけは、カナコのダンスレッスンで「骨がなくて踊れないなら、骨の代わりになる物を埋め込めばいいじゃないか」と思いついた事だが。
ダンスも侮れないと、レギオン達は認識を改めたという。
ハジメ達転生者を殺した事については、カナコ達以上に何も感じていない。ただ顔見知りと殺し合いをしただけで、オリジンの時ムラカミ達とお互いに利用しあい、殺し合った事の延長線上の出来事だと認識しているようだ。
その戦い以外にも、町に迫る魔物や寄り代の肉体を乗っ取った英霊達をジャックの【転移】で地下のダンジョンに送り届けるなどして戦闘に貢献した。その結果、手に入れた経験値でランクアップし、ランク12のエクリプスダークレギオンという種族に変化している。……肉の色が黒くなるなどの外見的な変化はないが。
更に【群塊士】と言うジョブにジョブチェンジしている。
●サイモン 二十七歳 人種 男
ヴァンダルーの二番弟子。昔はボサボサの髪に顎髭、ボロボロの衣服と言う格好をした中年に見えた。今は髭を剃って身なりを整えたため、やや痩せ型で右肩から装着した金属製の義手が目立つが、本来の年相応の青年に見える。
アルクレム公爵領に幾つもある村の内一つの出身で、家業は兄が継ぐので立身出世を夢見て村から最も近い町のモークシーで、冒険者ギルドに登録した。
それなりに剣の才能に恵まれた彼は、試験に合格しD級にまで昇級したが、その直後魔物との戦いで利き腕を肩から失ってしまう。どうにか冒険者を続けられないかと足掻いたが、どうにもならなかった。かといって故郷に帰る事も別の職業につく事も出来ず、スラム街の住人となって冒険者ギルドの日雇い仕事をして惨めな暮らしを過ごしてきた。
スラム街のすぐ近くの歓楽街を新しく牛耳った『飢狼』のマイケルの使いに声をかけられ、困惑しながら向かった先で出会ったのがヴァンダルーである。
ダルシアの説法を聞き、今からでも遅くないと人生をやり直す事を決心し、しかし上手くいかず狼の群に殺されそうになっていたところをヴァンダルーに助けられ、弟子入りした。
ヴァンダルーがモークシーの町に来た事で、人生が良い方向へ変わった一人である。
スラムでの生活が長く、口調や態度は下っ端っぽいが、根は善良な人物。日雇い仕事で日々の糧が手に入っていた事も大きいが、スラムに堕ちても重い犯罪に手を染めていなかったのも、その為。
ヴァンダルーの特訓によって、常人には不可能な霊体の操作や実体化、そして【遠隔操作】スキルを獲得している。本来ならそれらを生きている人間が習得すると、精神に問題が起きる事が多いのだが……ヴァンダルーが上手く調整しているのか、【精神汚染】を獲得するような事にはなっていない。
冒険者ギルドのマスターの娘で、錬金術師のジェシーと偶然知り合った。ジェシーが好奇心から彼の義手やヴァンダルー達について質問し、それに答えている内に友人以上恋人未満な雰囲気になっている。
戦闘能力ではヴァンダルーの特訓と導き、そして加護によって現役冒険者時代の身体能力を取り戻し、更にそれを越えて成長した。
卒業祝いとして受け取った変身義肢を含めると、実力はC級に匹敵する。含めなければ、D級上位からC級下位の間ぐらいだ。
正門で行われた戦いで【遠隔操作】スキルで義肢を操り、飛ばすロケットパンチに目覚める。その場面を見られたため、『飛剣』や『鉄腕』等の二つ名を獲得した。
本来なら、二つ名を付けられて呼ばれる程の実力が無い事を自覚しているが、「なら、実力をつけてやる!」と冒険者になったばかりの頃の気持ちで前を見つめている。
ちなみに、十章最終話の時点でヴァンダルー達に関する真実は知らされている。『雷雲の神』が直接殺しに来た事には驚いたが、それでヴァンダルーから離れるつもりは無い模様。
変身装具である義手を発動すると、黒い液体金属が全身に広がって身に着けている鎧を補強し、身体の動きをサポートする。その機能はとても健全なのだが……主に色のせいで悪の組織の幹部とか、将軍っぽくなってしまう。
なお、真実を知ったのが最近であるため当然だが、ダンスや歌のレッスンは受けていない。
・名前:サイモン
・種族:人種
・年齢:27
・二つ名:【飛剣】(NEW!) 【鉄腕】(NEW!)
・ジョブ:変身装具士
・レベル:0
・ジョブ履歴:見習い戦士、戦士、剣士、霊体士
・パッシブスキル
筋力強化:3Lv(UP!)
気配感知:2Lv(UP!)
飢餓・病毒耐性:2Lv
精神耐性:3Lv(UP!)
剣装備時攻撃力強化:小(NEW!)
自己強化:変身:1Lv(NEW!)
・アクティブスキル
剣術:5Lv(UP!)
鎧術:3Lv(UP!)
限界突破:4Lv(UP!)
連携:3Lv(UP!)
解体:2Lv(UP!)
家事:1Lv
霊体:3Lv(NEW!)
実体化:1Lv(NEW!)
遠隔操作:1Lv(NEW!)
御使い降魔:1Lv(NEW!)
・ユニークスキル
ヴァンダルーの加護(NEW!)
●ナターニャ 十七歳 山猫系獣人種 女
山猫系獣人種の少女。猫の耳と豹柄の尻尾を持った、黄色の髪をショートカットにして、太い眉の気の強そうな美少女。二の腕と腿の半ばから四肢を切断されているが、現在では金属製の義肢を装着している。
義肢は魔術によって、使用者のナターニャには軽く感じるが、他の者には重さはそのままである。
女冒険者で、平均よりもやや優れた素質を持っており、それで冒険者登録後も一人で活動する事が可能だった。
しかしD級になってランク3や4の魔物を狙うようになると一人ではきつくなり、組んでくれる仲間を探した結果同じD級冒険者のパーティーの『炎の刃』に加わった。そしてミノタウロスから逃げる際に捨て石にされて囚われ、四肢を切断。悪神への生贄にされるところだった。
そこをランドルフに助けられ、しかし本来なら始末されるところを見逃されて、偶然ヴァンダルー達に身柄を保護される。
そして腕を喪っていたサイモン同様に修業を受け、生身の時以上に動き、そして戦えるようになった。
以前はもっと気性が荒く、他人とうまく付き合えない性格だったが、ミノタウロスに囚われた事でプライドも何もかも砕け散り、一緒に囚われていたユリアーナに依存して精神を保たせる内に、棘は抜け落ちて行った。
今ではミノタウロスハーフに疑似転生したユリアーナの後を、「いいのかな? でもユリアーナさんがいいって言ってるし」とついて行く性格になった。
自分を捨て石にした『炎の刃』の面々については恨んでいるし、冒険者ギルドから下された重い罰金刑から何者かの援助で楽々と抜け出したのなら絶対に許さないと思っていた。しかし、実際には肉体を英霊に奪われて、本人の人格は廃人にされていたと知ると、恨むのも虚しいと思うようになった。
ランドルフに関しても恩人として感謝しており、ヴァンダルーに対しては師匠兼恩人、サイモンやマロル達は仲間だと思っている。
四肢が揃っていた頃はD級冒険者としてまだ並程度だったが、今は導きと加護によって成長し、変身装具もあるのでC級に匹敵する実力を持っている。
彼女の変身装具は四肢の義肢で、サイモンより応用力がある。関節の形状を変えて四足獣のような俊敏な走りを再現する事も可能。……ただ、四肢を支える腰は生身だったので、正門で行われた戦いの後腰を痛めて寝込んでいた。
ちなみに、変身後の姿は……やはり悪の怪人か、女幹部っぽくなる。
●ユリアーナ・アルクレム 0歳(外見年齢八歳程) ミノタウロスハーフ 女性
人種だった頃は二十歳程の、凛々しさと優しさを兼ね揃えた金髪に青い瞳の美女だったが、疑似転生によって髪と瞳の色は同じだが、牛の角と尻尾を持った少女になっている。
先代アルクレム公爵の末の娘で、現アルクレム公爵タッカードの妹。公爵家の継承権を放棄しているが、本来なら姫様と傅かれる高貴な身分の女性。
しかし元々は前公爵が妾ではない女性に手を出した結果産まれ、ある程度育ってから認知されたため、上流階級の生活に馴染めなかった事と、政略結婚の道具としても微妙な生まれだったため、騎士として身を立てる事になった。
幸いユリアーナには才能が有り、騎士としてそれなりの頭角を現し、分隊を率いるまでになった。しかし、村を襲う魔物を討伐する任務で遭遇したミノタウロスの群れによって、生きたまま囚われてしまう。
四肢を切断され、ミノタウロスキングの【魔王の卵管】で卵を植え付けられ産む機械にされても一カ月程の間耐えきったが、ランドルフによって救出される前に限界を迎えた。
そしてヴァンダルーに保護された後、彼の【精神侵食】スキルの応用と導きを受けた事で、廃人から正気を取り戻した……ように見えるが、狂人になった。
元々信仰熱心な人物だったが、現在ではその信仰対象の先頭にヴァンダルーが存在する。理性も感情も働いているが、それと同じ水準でヴァンダルーに対する狂信が存在する。
それは彼女の体内に植え付けられた卵を素材として使った疑似転生を経て、より強固なものになった。グファドガーンやレギオンが同志と認める程に。
疑似転生からまだ約一カ月だが、元々成長の速いミノタウロスの因子が強い為か、それとも【魔王の卵管】によって創り出された卵を使ったからか、既に八歳程の姿に成長している。
現在は同じく疑似転生した分隊の女騎士達や、村娘だったミノタウロスハーフ達を率いている。彼女達は全員ユリアーナの前世の肉体を母体とし、同じ【魔王の卵管】で創り出した卵から産まれているので、姉妹と言える関係である。
魔法少女をヴァンダルーの使徒であると認識しており、自身も魔法少女になるべくカナコとザディリスから指導を受けている。しかし、前世では『アルクレムの姫騎士』と言う二つ名を持っていた為、ザディリスが何故姫である事を嫌がるのか、理解できないらしい。
自分を始末するようランドルフに依頼した腹違いの兄、タッカード・アルクレムに関しては無関心。ランドルフに関しては普通に恩人だと思っている。そしてナターニャも恩人であり、かけがえのない友人である。彼女がランドルフに懇願していなければ、ヴァンダルーと出会う事無く命を終え、死んだ後も亡霊になるか、輪廻の輪に還っていただろうからだ。
●チプラス ?歳 イビルフラッシュゴースト 男性
普段は、淡く輝く福々しい様子の中年から壮年の小太りな男性のゴーストだが、生前数万年を生きる吸血鬼、『テーネシアの名犬』だった人物。今は立派な魔王の犬である。
主人に対しては誠実で忠実だが、それ以外の存在に対しては狡猾な性格だった。今は主人であるヴァンダルーが内輪もめを嫌がるのと、同僚や部下を蹴落とし権力闘争する必要が無いので大分性格が丸くなっている。
身体に御使いを降ろしたハインツに、光属性の魔力が込められた魔剣で斬られて死んだために霊の損傷が激しく、ランク1のウィスプから人格や記憶を取り戻しながらやり直すのに、時間がかかった。だがその苦労の甲斐あって、光属性のゴースト兼商売のアドバイザーとしてヴァンダルーに憑いて行く事が出来た。
『つまり、ヴァンダルー様の側近としての地位は最早不動! わずらわしい出世争いとは無縁という事です!』と輝いている。
ヴァンダルー側と判断した者には、生前商業ギルドに潜入していた時の面倒見の良さなどを発揮するが、敵には生前よりも激しい凶暴性を発揮する。
戦闘能力はハジメ・フィトゥン達との戦いでランクアップした事でより高くなったが、彼等光属性のゴーストの特殊性は、アンデッドなのに光属性が効かない事にある。アンデッドに有効とされる魔術が効かないのは、彼等にとって大きな利点になるだろう。
・名前:チプラス
・ランク:7
・種族:イビルフラッシュゴースト
・レベル:0
・二つ名:【蝕帝の名犬】
・パッシブスキル
霊体:6Lv(UP!)
精神汚染:5Lv
光属性無効
光体操作:6Lv(UP!)
魔力増大:2Lv(UP!)
自己超強化:隷属:1Lv(自己強化:隷属から覚醒!)
能力値強化:導き:4Lv(UP!)
能力値強化:魔王の光:4Lv(UP!)
実体化:3Lv
能力値強化:創造主:5Lv
・アクティブスキル
無属性魔術:4Lv(UP!)
水属性魔術:10Lv
魔術制御:10Lv
格闘術:7Lv
高速飛行:7Lv(UP!)
限界突破:10Lv
射出:5Lv(UP!)
光属性魔術:2Lv(UP!)
遠隔操作:5Lv(UP!)
・ユニークスキル
ヴァンダルーの加護
●ダローク ?歳 イビルフラッシュゴースト 男性
一見すると整った顔立ちに逞しい肉体をした美丈夫だが、生前は原種吸血鬼テーネシアの腹心である『五犬衆』の一員で、『テーネシアの闘犬』の二つ名を持っていた。
名の通り腹心の中で戦闘に長けており、『猟犬』のアイラよりも戦闘力では上だった。
性格も権謀術数よりも戦闘を好み、言動からは騎士のような誇り高さを感じさせる。だが、実際には騎士道は眼中になく、不意打ちや騙し討ちも構わず、「最終的に生き残った方が勝ち」と言う獣のような人物である。
その性格は、生前の記憶をほぼ失った現在も変わっていない。しかし、ヴァンダルーが命令しない限り彼に憑いて離れないので、問題は起こっていない。
生前は剣の達人だったため、ゴースト化した今でも光属性の魔力や自分の霊体で剣を作って戦うのを好む。
その際「光の力」、「我が輝きを」等とまるで正義の味方のような事を口走る。しかし、実際には自分の光属性の力を誇っているだけなので、誤解すると幻に惑わされている間に背後から斬り殺される事になる。
・名前:ダローク
・ランク:7
・種族:イビルフラッシュゴースト
・レベル:0
・二つ名:【蝕帝の闘犬】(【闘犬】から変化!)
・パッシブスキル
霊体:6Lv(UP!)
精神汚染:8Lv
光属性無効
光体操作:5Lv(UP!)
魔力増大:1Lv
自己強化:隷属:10Lv
能力値強化:導き:4Lv
能力値強化:魔王の光:4Lv(UP!)
実体化:4Lv(UP!)
能力値強化:創造主:6Lv(UP!)
・アクティブスキル
闘殺剣術:2Lv(UP!)
格闘術:10Lv
弓術:4Lv(UP!)
限界超越:2Lv(UP!)
火属性魔術:7Lv
無属性魔術:2Lv(UP!)
魔術制御:5Lv
射出:6Lv(UP!)
光属性魔術:3Lv
・ユニークスキル
ヴァンダルーの加護
●ベールケルト ?歳 イビルフラッシュゴースト 男性
外見は病的な雰囲気の細身の美形。生前はテーネシアの腹心『五犬衆』の一人、『テーネシアの狂犬』と呼ばれた上位の貴種吸血鬼である。
ただほぼ狂人で、テーネシアか他の五犬衆の指示が無ければ真面な行動がとれない人物だった。そのため腹心ではあっても、実際にはいざと言う時は捨て石にされるはずだった。
アンデッド化した事で記憶も人格も失い、更に狂ってしまい、会話も成立しない。ただ死後時間の過ぎた霊の殆どは、ベールケルトと同じような状態なのでヴァンダルーや他のゴースト達は特に問題視していない。
生前の記憶を失っており、自分の事を「光」だと思っている。そのため、「オレ光線~!」等と叫びながら光線になって体当たりを行うなど、ゴーストとしても異質な攻撃手段を取る。どうやら狂っているため、霊体の形をイメージ通りに変化させる事に長けているらしい。
また、何故か魔法少女のコンサートに興味があるらしい。光がキラキラしているので、楽しくなるようだ。
逆に真っ暗な場所では不安になるのか、狂気が内方向に加速し、ヴァンダルーと霊にしか聞こえない声で延々呟き続ける。
・名前:ベールケルト
・ランク:7
・種族:イビルフラッシュゴースト
・レベル:0
・二つ名:【蝕帝の狂犬】(【狂犬】から変化!)
・パッシブスキル
霊体:7Lv(UP!)
精神汚染:10Lv
光属性無効
光体操作:8Lv(UP!)
魔力増大:2Lv
殺業回復:10Lv
自己強化:隷属:10Lv
能力値強化:導き:5Lv(UP!)
能力値強化:魔王の光:4Lv(UP!)
実体化:1Lv
能力値強化:創造主:5Lv
直感:1Lv(NEW!)
・アクティブスキル
高速飛行:8Lv(UP!)
射出:7Lv(UP!)
限界超越:1Lv(限界突破から覚醒!)
光属性魔術:1Lv
魔術制御:1Lv
遠隔操作:8Lv(UP!)
舞踏:1Lv(NEW!)
歌唱:1Lv(NEW!)
・ユニークスキル
ヴァンダルーの加護
●ケスト 十五歳 狼系獣人種 男
狼の耳と尻尾を持つ獣人種の少年。モークシーの町で衛兵を務めている。性格は明るく真面目で優しいが、上下関係に弱いところがあり、アッガーのような一部の先輩衛兵が行っている小さな不正や賄賂を見逃していた。
尤も、これはケストだけの問題では無いのだが。
数年前までアルクレム公爵領では獣人種への差別的な制度が存在しており、衛兵や官僚など公務員になる事は出来なかった。しかし、ハインツ率いる『五色の刃』の活躍を知り、彼が旗頭となっているアルダ融和派がこれからオルバウム選王国で台頭する事になると読んだ公爵の決断によって、それらは撤廃された。
ケストはそのお蔭で運良く衛兵として採用され、母親やまだ幼い弟や妹達の生活を一人で支える事が出来ている。
そのためヴィダ信者だが、『五色の刃』に対して尊敬の念を抱いている。
だがヴァンダルーに対しても親しみを感じており、彼の様子を見るために屋台に通うなど気にしていた。
弟達と年齢が近いし、アッガー先輩の言動が危険だし、『飢狼』や良くない噂しか聞かない商業ギルドのサブマスター等、トラブルの種だらけで気になる……と思っていたら、見る見るうちに出世してしまった。
ただそれを不審に思うと言うよりは、「なんだか伝説の登場人物みたいだ」と思っている。ハジメ・フィトゥンが起こした魔物の暴走を防ぐための戦いの影で、ヴァンダルーが活躍していたのを知った事でその思いは益々強まっている。
彼にとって『五色の刃』が遠い世界の英雄なら、ヴァンダルーは会いに行けるスーパーヒーローである。
まだヴァンダルーの加護は得ていないが、導きの影響を受けている。元々獣人種で、同期の衛兵達よりも身体能力が高かったが、今は頭一つ抜きんでている。
ただ正門での戦いの結果、参加していた衛兵や騎士団、傭兵や冒険者以外のほぼ全員のレベルが大幅に上がり、ジョブチェンジしているので目立ってはいない。
ちなみに、衛兵に就職するのと冒険者ギルドに登録して冒険者になるのとでは、衛兵になった方が生活は安定する。
新人衛兵の給料は高くは無いが、装備一式が支給され、維持費は経費で落ちる。訓練や町の見回り、門番、犯罪捜査等仕事は多岐に渡り、普通の仕事よりは危険が多い。だが、毎日が命がけと言う程では無い。特にモークシーは比較的治安の良い町である。
対して冒険者は武具を含めた装備の購入や維持、修繕は全て自費で賄わなければならず、収入も安定しない。D級まで昇格出来ればともかく、その前のF級やE級の依頼では物価の安いスラムでもケストのように家族が多いと生活を支えきれない恐れがある。
そして当然、衛兵と冒険者なら冒険者の方が命を落とす可能性が高い。
尤も、正門の戦いで高ランクの魔物が大量に討伐されており、ケストも今の年収で百年分以上の臨時収入を得ているので、慎ましく暮らせば喰うに困る事はもう無いだろう。
●ロック 二十五歳 人種 男
モークシーの町の冒険者ギルドを拠点に活動するD級冒険者パーティー、『岩鉄団』のリーダー。背は中背だが岩を荒々しく削り出したような厳つい顔つきに、鋼のような筋肉のついた身体を持つ好青年。
その見た目に反して勉強家で、特に魔物に関して深い知識を持っている。
冒険者としての才能は平均的で、努力型。だがとても面倒見の良い性格で、仕事と言う訳でもないのに新人冒険者にアドバイスをしたり、訓練に付き合ったり、魔境での初めての狩りでの注意点や特に警戒すべき魔物について教える等、世話を焼く。
野外で偶然ヴァンダルーに遭遇した時も、危険な魔犬やブラックドッグ(ファング)に殺された新人冒険者と勘違いして仇を取ろうとする等、情にも熱い。
更に、ロックだけでは無く『岩鉄団』全員がその傾向にある。
そのため年下の冒険者達からは人望が厚く、ギルドの職員からも信頼されている。ギルドマスターのベラードも、冒険者を引退するなら全員職員や冒険者学校の教官としてスカウトしようかと考えていた。
ただ実力は並で、成長の壁にもぶつかっていた。仲間達と飲みながら「引退するまでにはC級に上がりたいな!」と言い合っている。
だがハジメ・フィトゥンが起こした魔物の暴走から町を守るために彼らも正門で戦っていたため、全員一気に成長の壁を越えてジョブチェンジしており、C級昇格にも現実味がでている。
ちなみにロックを含めた『岩鉄団』は全員男性でアルダ側の神に祈る事が多かったが、ヴィダに宗旨替えしている。
●マッシュ 十歳 人種 男
モークシーの町のスラム街にある孤児院の、ガキ大将。ヴァンダルーが町に来た時は院の子供達の中では最も年長で、口減らしの為に自主的に家出を試みていた。
だが、自分と同じくらいの子供が働いている屋台に狙いを定めた結果、番犬をしていたファングにあっさり捕まってしまう。行動力はあるが、まだまだ計画性と思慮が足りない。
口ではゴリラや鬼等と憎まれ口を叩くが、ホリー院長を母、又は祖母、セリスとベストラを実の姉のように慕っている。また、ヴァンダルーを親友に指定している。
そして実はヴァンダルーの屋台を狙った事も含めて、原種吸血鬼ビルカインが【魔王の影】で施した洗脳の影響下にあった。あったのだが、「じゃあ、俺の感情は、今まで思って来た事は全て偽物なのか!?」とパニックに陥ったり、悲観したりせず、「マジかよ、驚いたぜ」と微妙に驚いている程度。
ビルカインの洗脳が巧みだったのと、マッシュ自身が幼かった事が影響しており、ヴァンダルーを罠に嵌めようとした時くらいしか操られていた自覚はほぼ無い。
彼を含めた孤児院の子供達は、捕まえた小動物をヴァンダルーの血によって魔物に変化させており、テイマーギルドの組合員として登録している。ちなみに、マッシュの従魔はコウモリから魔物になったナイトウィングである。
ただハジメ・フィトゥンとの戦いの頃は流石に戦力外であるため、大人しくセリス達に連れられて避難していた。
最近はヴァンダルーの家まで行き、ユリアーナ達ミノタウロスハーフの子供達と一緒に遊ぶことも多い。
●セリス&ベストラ ?歳 従属種吸血鬼 女性
スラム街にある孤児院のシスター。二人とも十代後半の少女に見え、セリスは優しげで女性的な、ベストラはややきつい顔立ちでスレンダーな、美人である。
性格も見た目通りで、セリスはおっとりとしており、ベストラは気が強いが、マッシュ達孤児に家族のような愛情を持っているのは共通している。……ゴリラとか、ゴリラシスターとか言われても、本気では怒らない。
二人とも孤児で修道院育ち、その院長の紹介でモークシーの町の孤児院に赴任してきた……と洗脳され記憶を捏造されたビルカインの従属種吸血鬼である。
昼間も活動できる従属種吸血鬼を手下に持つグーバモンを羨んだビルカインは、自分も便利な配下を作ろうと試みた。そして孤児や奴隷の少年少女を集め、【日光耐性】スキルを獲得させてから従属種吸血鬼にする計画を立て、実行したが、その殆どが照射される強烈な日光に耐えきれず一カ月以内に死亡。
生き残って【日光耐性】スキルを獲得した子供に、工作員としての訓練を施してから吸血鬼化してみたが……そもそも工作員として優秀では無かった。
その頃にはビルカインの興味も失せており、しかし折角手間をかけて作った実験結果を廃棄するのも気が進まないので、適当に利用した。それがセリスとベストラである。
今は洗脳が解かれているが、本当の年齢は数十歳である事や繰り返し消された記憶のフラッシュバックや、それまで意識していなかった人種の頃に負った火傷の痕に悩まされているが、ヴァンダルーのカウンセリングを時々受けて耐えている。……【精神耐性】スキルのレベルが上がったが、何故かは不明である。
吸血鬼でしかもヴィダ信者であるためヴァンダルーの導きに強く誘引されており、それが悩み。エレオノーラやアイラのようになるのに抵抗を覚え、ヴァンダルーの血を飲みたいと言う渇望と日々戦っている。
この件に関して面識のある吸血鬼の中で、最も正常に見えるマイルズに相談したが……結果は「自分を否定するのは良くないわ。欲望のまま全てをさらけ出すのが正しいとは思わないけど、目を背けても無くなりはしないわよ。後、いきなり原液はきついから飲む時は何かで薄めるか、ブラッドポーションにしなさい」と言う返事だった。
彼女達がヴァンダルーの血を飲み、そして変身するのは遠い未来では無いかもしれない。
ヴァンダルーは二人が決心するのを、火傷の痕を消す為の手術に使う素材とブラッドポーションを準備しながら待ち受けている。
ちなみに、洗脳されていた時も従属種吸血鬼としての身体能力や【怪力】、【高速再生】等のスキルはそのままだった。そのため重い荷物を軽々と持ち上げたり、喧嘩の経験などないはずなのに絡んできたスラムのチンピラを押さえつけたりと、見た目に似合わない怪力ぶりを発揮し、怪我の治りも異常に早かった。
しかし周囲は「スラムで孤児院のシスターなんてしていると、荒事にも慣れるのだろう」とあまり気にしなかった。子供達にゴリラとかからかわれるぐらいである。
これはやはり彼女達が日光を浴びても平然としているため、誰も吸血鬼だと気がつかなかったからだろう。
●ホリー ?歳 ダンピール(人種) 女性
スラム街の孤児院の院長。六十代程に見えるが、背筋は曲がっておらず杖を使わず歩くしっかりとした隻眼の老婦人。……だと周囲は、そして彼女自身も思い込んでいた。
実際にはビルカインに洗脳されていたダンピールで、定期的に顔の皮膚を薬品で痛めて皺を作り、老人に変装していた。
オルバウム選王国では、三人目のダンピールになる。尤も、生まれた順番からは彼女が一番目で、ヴァンダルーが二番目。セレンが三番目になる。
ちなみに、正確な年齢は不明だが娘のように接してきたセリスやベストラよりも年下のようだ。
あまりにも長い間洗脳されていたので、自分の本当の顔が分からない。しかし、いきなり若返る訳にはいかないのでとりあえず薬品を使い続けている。
●バッヘム 三十五歳 人種 男
テイマーギルドのモークシー支部、ギルドマスター。ランク6のヒュージワイバーンのワイルドウィングを従魔とし、『飛竜使い』の二つ名で呼ばれ、アルクレム公爵からも信頼されたワイバーン使い。公爵家に仕える竜騎士達の教官を依頼される程のテイマーである。
本来なら、公爵から爵位を賜り竜騎士団の指導的地位についていてもおかしくないのだが、テイマーとしての生き方の方が性に合っており、また後身の指導に力を入れたかったためギルドマスターを務めている。
ちなみに妻帯者で、子供もいる。
そしてある冬、野良犬を手懐けたダンピールの少年が登録に来て、将来有望そうだなと思っていたら……野良犬は魔物化、ネズミの魔物を三匹新たに加え、次々にランクアップ。新種の報告も繰り返し行い、グールも二人連れてきた。
「将来どころか、現在進行形で優秀……いや、俺を越えてないか? 越えているな、うん」と本人に言ったそうな。
ヴァンダルー以外にもランク1だが全員魔物を従魔にしている孤児院の子供達を新規に迎えた事で、この町の支部のテイマー達の平均年齢はぐっと下がった。
ちなみに、普通のテイマーの従魔が短期間にランクアップを繰り返す事は珍しい。ランク1の魔物ならそうでもないが、ランク3や4だとそうそうランクアップしないのが普通だ。
これは従魔が野生の魔物と違うからでは無く、単にテイマーも「同格以上の相手を狙って命がけの狩りをする」よりも、「確実に倒せる格下の相手を狩る」事が多いからで、冒険者と事情は同じである。
また、ランクが高い魔物程レベルが上がり難く、また同格以上の魔物の数も少ないのでレベルアップに時間がかかるからでもある。
●ベラード 四十五歳 人種 男
冒険者ギルド、モークシー支部のギルドマスター。昔は自由気ままな冒険者だったが、現役を退き職員に就職。そのまま出世して支部の長に上り詰めた人物。結婚しており、一人娘がいる。
交易都市の冒険者ギルドの長として、それなりの頻度で起こるそれなりの問題を処理しながら、娘の将来を心配しつつ暮らしていたが、ヴァンダルーが町に来てから一気に問題の規模が大きくなった。
ヴァンダルーが一向に冒険者登録をしない事だけではなく、ユリアーナ・アルクレムの一件が、彼の頭皮と胃にダメージを蓄積させている。
討伐証明部位を引き取っていたスラムの屋台を改革し、冒険者パーティーよりも戦闘力のあるテイマーとして注目されているヴァンダルーは彼にとって頭痛の種であり、しかし彼のお蔭でゴブリンの討伐が盛んに行われるようになるなど、お得意さんでもあると言う微妙な相手である。
……ハートナー公爵領のニアーキの町の冒険者ギルドで起きた出来事について、まだ彼は知らない。
一人娘のジェシーがサイモンと付き合っているらしい事については、「よくも俺の娘を!」的な怒りは無く、「今まで浮いた話一つなかった、娘に春が来たのか!?」と言う感覚。
ジェシーは親のひいき目を抜きにしても美人だとは思うが、なまじ錬金術の才能があったために研究にのめり込み、婚期を逃し気味だった。そのため、そろそろ強引にでも見合い話をと思っていた頃だったので、渡りに船である。
勿論、サイモンが隻腕でスラム暮らしの落伍者のままなら交際に反対した。しかし、今のサイモンは義手を手に入れ腕を喪う前以上に強くなり、正門で行われた戦いの活躍で二つ名までついた町の英雄の一人なので、反対する理由は特にない。
今は二人を見守りつつ、このまま恋人と呼べる関係になると良いなと思っている。
●アイザック・モークシー 四十歳 人種 男性
アルクレム公爵家に仕える伯爵。やや頭髪が薄いが豊かな髭を蓄えた貴族である。
それなりの練度の密偵達を抱える等しているが、基本的には普通の貴族。己の分を超える野心は抱かず、欲望は燃やさず、必要ない陰謀は企まない。清廉潔白ではないが、決して悪辣では無い。そして貴族としての誇りと責務、そして家族を守るため、確実に死ぬと分かっている戦いにも気休めにしかならない剣を手に取る。そんな人物。
町にやや大規模な犯罪組織の本部があったりしたが、それは彼等の能力を超える問題である。
貴族としては主君である現アルクレム公爵に忠誠を誓う派閥に属し、交易都市なので宗教的な対立が発生しないよう上手く調整しながら町を治めている。
反面軍事力は弱いが、モークシー伯爵領は他の公爵領との境界線との間にも他の貴族の領地があるため、特段不自由はしていない。
領都でもあるモークシーの町は周囲に魔境があり、D級ダンジョンが幾つかとC級ダンジョンが一つ存在する。しかし冒険者ギルドと冒険者達によって適度に魔物は間引かれ、魔境やダンジョンの産物で潤っている。
唯一の頭痛の種は、商業ギルドのサブギルドマスターにコネでなった叔父のヨゼフぐらいだった。
以上がヴァンダルーの来る前の状況。
ヴァンダルーが来てからは、町のスラムの治安は回復し、貧民は仕事と収入を手に入れ始め、ゴブゴブと言う名物まで出来ている。
逆に、アルクレム公爵家の一員であるはずのユリアーナと同名のミノタウロスハーフや、民の間にヴィダ信仰が急激に盛り上がりつつある問題等に頭を悩ませている。
更に魔物の暴走の影に隠れた真実や賊の正体を全てでは無いが、一端は理解している。
その上で町を滅亡の危機から救ったのは、間違いなくヴァンダルーとダルシアである事は分かっており、感謝もしている。そして彼らを敵に回すリスクと友誼を結ぶリスクをはかりにかけ、後者を選んだ。
この決断がモークシー伯爵家を滅亡に追いやるのか、それとも歴史に残る英断と子孫に称えられるのかは定かでは無い。ただ、彼の毛髪は緩やかな滅びへと向かっているようだ。
●タッカード・アルクレム 六十歳 人種 男性
アルクレム公爵家の現当主。一見すると柔和な老貴族だが、それなりに後ろ暗いところを持つ。
レッサーワイバーンを使用した竜騎士団を抱え、内政で公爵領を豊かにする等政治手腕にはそれなりに長ける。
殊更冷徹な性格ではないが、末の妹のユリアーナとの関係は「血が繋がっているだけ」と言う義務的な物で、親しくは無かった。彼女が公爵家の継承権は放棄したので、法律上はお家騒動の種にはならない。しかし、法律と言う物は権力者の都合や世論でどうにでもなり、そうでなくても裏口や抜け穴が隠れているものだと彼は知っている。
そのため、騎士として華々しく活躍しすぎる前に適当な相手を見繕って結婚させ、引退させるつもりであった。
そしてミノタウロスに拉致されたらしい彼女が生きていたら、楽にしてやってほしいと『真なる』ランドルフに依頼する。
だが、領内に現れたダンピールについて調べていたら、そのダンピールがミノタウロスに捕まり四肢を無くした女冒険者と、「ユリア」と言うユリアーナとしか思えない娘を保護したと言う情報が入って仰天。更にユリアーナと言う名前の、ユリアーナに生き写しのミノタウロスっぽい新種の魔物を従魔にしたと聞いて、失神しかける程驚いた。
状況が分からない……特に後者に関しては何が真実で何が嘘なのか分からないので、性急な手段は取らず、密偵を町に潜入させて情報収集に当たらせている。
●ロドリゲス 三十七歳 人種 男性
『剛剣』の二つ名で知られていたB級冒険者。今は現役を退き、病で死に瀕していた息子を助けてくれた商人のエドモンドの専属護衛として働いている。
かなりの強面だが悪人ではなく、義理堅い性格の持ち主。しかし恩人であるエドモンドの為なら、彼の命令にも背く。
普段の何気ない仕草からダルシアの実力を自分より上だと見抜いたが……流石にどれくらい上なのかは見抜けなかったので、正門の戦いでは驚きっぱなしだった。
●エドモンド 三十二歳 人種 男性
一見すると誠実そうな人物だが、実際には様々な事を企む腹黒い悪徳商人。悪徳商人だが、越えてはいけない一線は弁えており、自分が一の利益を得るために他人の十を奪うような強欲さも持ち合わせてはいない。また、世の中金が全てだと思い込んでいる訳でもなく、金では命は賭けないが恩の為なら命を捨てるロドリゲスのような人物が居る事も知っている。
ただダルシアにヴィダの神殿と偽装したグールの娼館の話を持ちかけた際は、自分の考えに酔っており、気がつかずに危ない橋を渡りかけていた。
ある意味、ザディリスとバスディアの女性としての魅力を高く評価した人物。
ロドリゲスの判断を信用して企みをやめ、商売をしながら他の儲け話を考えていたところにハジメ・フィトゥンが事件を起こし、結果モークシーの町を出入りする隊商の中で抜きんでた存在感と信用を勝ち取る事に成功した。
そして更なる利益の為に、ヴァンダルーとダルシアに近づこうとしている。
ちなみに、ロドリゲスの息子の命を救ったのは本当で、こっそり毒を盛っていたとか、そんな裏は無い。
ただ前から『剛剣』のロドリゲスの人となりを知っていて、「私が彼の息子の命を救うための薬を無償で提供すれば、彼は私に恩義を感じるはずだ」と確信していただけである。
●ヨゼフ 六十五歳 人種 男性
商業ギルドのサブギルドマスターの一人。継承権は放棄しているが、前モークシー伯爵の弟で現伯爵のアイザックとは叔父と甥の関係。
強欲で性格が悪く、サブギルドマスターの地位を維持したまま実行できる悪事は大体行って来た。気に入らない組合員の邪魔をし、部下に嫌がらせを繰り返し、歓楽街やスラムのチンピラや汚職衛兵に賄賂を渡して手駒にするなど、悪い噂しか聞かない人物。
突然町に現れたダンピールを利用しようとし、拒絶されたので今まで同様に嫌がらせをした結果……ヴァンダルーが今までの被害者と異なり過ぎていた事と、手駒だと思っていたアッガーが想定以上の悪事に手を染めようとしたため、身を滅ぼす結果となった。
現在は財産を没収の上、町とギルドから追放され行方不明。実はヴァンダルーの手のものに消されている……という事も無く、面倒なので放置されている。
●アッガー 三十一歳 人種 男性
モークシーの町の不良衛兵。強きにへつらい弱きを挫き、少数派を差別して悦に入る小悪党。
獣人種なのに衛兵になった後輩のケストを問題にならない程度に苛めつつ、町で起こる小さな犯罪を賄賂と引き換えに見逃してきた。
衛兵隊に余程正義感の強い上司や同僚が赴任するか、上層部主導で衛兵隊の綱紀粛正が行われない限り、そのまま小さな町の害悪であり続けただろう人物。
だが、町を訪れたダルシアに惚れ、自分の物にしようと言う欲望に身を焦がした結果、仲間と孤児院の孤児を誘拐する事を企み、一線を越えてしまう。
結果仲間は殺され、彼自身はグファドガーンの迷宮に囚われ恐怖のあまり発狂してしまう。
孤児を誘拐しに孤児院に向かった時には既に領主の密偵達に尾行されており、その時点で彼に明日は無かった。
●ゴードン 二十五歳 人種 男
『剛腕』の二つ名を持つC級冒険者。素行が極端に悪く、元々活動していた町が居辛くなったためにモークシーの町に訪れた。そして、冒険者ギルドに入る前に従魔を待機させておく場所でヴァンダルーを待っていたザディリスとバスディアを目にし、これは掘り出し物だと自分の物にするため居合わせたジェシーに絡んだ。
ある意味、二人の魅力を高く評価した人物。
決闘騒ぎを起こした結果、冒険者ですらないマイルズに殴られ、D級冒険者で四肢を損ない義肢を身に着けているナターニャとサイモンに一方的にやられると言う恥をかき、『剛腕』の二つ名を失ってしまった。
そしてモークシーの町を逃げ出したが、ハジメ・フィトゥンによって廃人にされ、英霊『剛槍崩山』のボビーが受肉するための寄り代として、肉体を乗っ取られてしまう。
しかし肉体は返り討ちにされ、ボビーの魂はヴァンダルーに喰われたが、ゴードン自身の魂は回収されている。
ザディリスとバスディアを手に入れようとしたが、あっさり撃退された事でヴァンダルー達には勿論、狙われた二人からも特に嫌われてはいない。正確には、嫌われる程印象に残っていなかった。
ちなみに、ゴードンを含めた急造の英霊を倒した際の経験値は、自力で降臨した英霊を倒した場合よりも低い。これは肉体が英霊の寄り代として相応しい物では無く、本来の力を発揮できるのも制限時間内だけという間に合わせであるため。
●フィトゥン 『雷雲の神』
アルダとヴィダの戦いの後、約五万年前に神に至った存在。生前は伝説的な活躍をした傭兵で、様々な武術に秀でていた。
風属性の神の一柱になってからは他の神に合わせて、神らしく振舞っていた。しかし、神も殺す(滅ぼす)事が出来るヴァンダルーの出現によって、本来の性格が目覚め、ヴァンダルーと殺し合いをするために策を講じる。
『雷雲の神』の名の通り天候を司る神の一柱であると同時に、生前傭兵だった事から戦の神としての側面も持つ。
風属性の大神である『風と芸術の神』シザリオンの後を継いだ『英雄神』ナインロードの従属神の中では、トップクラスの戦闘能力を誇る。
また生前率いていた傭兵団の団員を英霊として抱えており、その数も従属神としては異例の多さ。
しかし神になった後信者に説いた教義は、アルダ勢力の神々に合わせた物で、フィトゥン本人にとっては薄っぺらな建前でしかなく、その為後世の信者からは御使いや英霊を殆ど採用していなかった。
本来は善悪に無関心な戦闘狂でスリルジャンキー、刹那主義。そして無自覚な破滅主義者。生前は偶々一つの国に雇われ続け、戦争に勝った後何かしでかす前に死んだため、英雄として広く支持されたが、本来なら神にしてはならない人格の持ち主。
信者を家畜と同様に考えており、「人」ではなく「匹」という単位で数える。加護や試練を与える事もあるが、大体は暇つぶしが目的であり、神として人間を導く責任等は全く感じていない。
魔王軍からヴィダ派に転向した『五悪龍神』フィディルグや、『堕肥の悪神』ムブブジェンゲ等よりも、その性根は邪悪な神と呼ぶにふさわしい。
ハジメと自分の属性的、能力的な相性の良さに着目し、利用するために育て、配下の英霊を率いてヴァンダルーに挑む。しかし、肉体の主導権をハジメに奪い返され無様な最期を晒した。
神の序列としてはアルダに従うナインロードの従属神だが、アミッド帝国だけでなくオルバウム選王国内でもそれなりに信仰されており、更にバーンガイア大陸以外にも彼を祭る神殿が存在した。
そのため彼の消滅は、世界的な大事件として広まりつつある。
ちなみに、フィトゥンの『試練のダンジョン』の入り口をモークシーの町に近い森の魔境の中に繋げた空間属性魔術師の英霊が、彼の神域に残っている。
●ハジメ・イヌイ 二歳(外見年齢十七歳) 人種 男
【マリオネッター】の能力をロドコルテから与えられた転生者。本来は内向的で、武器を手に持って戦うよりも後ろで暗躍する事を好む性格の持ち主。
与えられたチート能力と魔術の才能、そして『地球』の時よりも裕福な生まれに溺れ、『オリジン』では力を悪用するが、雨宮寛人が『ブレイバーズ』を結成した事で好き勝手が出来なくなり、不満に思っていた。
そして『アバロン』の六道聖の誘いに乗って村上達と『ブレイバーズ』を裏切り、『第八の導き』と合流するが……結果はイシスに爆殺されかけ、加奈子に止めを刺された。
そのトラウマは『ラムダ』に転生した後も深く残っており、フィトゥンに乗っ取られている間もイシスとカナコの姿を見ただけで、戦神を動揺させる程。
戦いに敗れて命乞いをするが、フィトゥンに身体を乗っ取られている間も意識はあり、強く抵抗すれば止める事が出来た事をヴァンダルーに見抜かれ、そのままフィトゥンと一緒に魂を喰われて消滅した。
●ジュンペイ・ムラカミ 二歳(外見年齢十七歳) 人種 男性
『地球』ではヴァンダルーやカナコ、アサギのクラスの担任教師だった人物。【クロノス】の能力を持つ転生者。
ロドコルテと取引し、海藤カナタと同じように地球か地球に似た世界に、良い条件で転生させる事を報酬としてヴァンダルーの抹殺を約束する。
しかし『ラムダ』に転生した途端カナコ達三人には離反され、【超感覚】のカオル・ゴトウダにも逃げられてしまう。
【シルフィード】のミサ・アンダーソン、【オーディン】のアキラ・ハザマダの三人でハジメ・フィトゥンを利用し、ヴァンダルーを殺そうと試みるが、失敗した挙句『オリジン』では捨て石にしたハジメに操られ、ダグの操るヴァンダルーの右手によって殺害。魂も喰われて消滅した。
ロドコルテからはヴァンダルーを殺す事に熱心であることから、期待されており様々な恩恵を与えられるが……その結果彼の魂が喰われると同時に、ロドコルテ自身にもダメージが伝わってしまった。
ちなみにカナコを裏切り者、尻軽等と罵るが、別に深い関係だった訳では無い。『オリジン』ではそれなりの信頼関係はあったが、あくまでも仕事が主な目的のドライなものだった。
●ランドルフ ?歳 エルフ 男性
『真なる』と言う二つ名を持つオルバウム選王国のS級冒険者。神々を見限り、また人生に疲れて引退を決めるが、あまりに優秀だったためにそれが出来なかった人物。
今では自分が食料にするための魔物を狩るほかは、昔借りを作った家の者の依頼を受けている。
精霊魔術の達人で、武器は短剣や弓矢を使い、魔王の欠片の封印も自力で行う事が可能。
本来は律儀で善良な性格だが、自暴自棄になっている影響で後先を考えない無軌道さが出ている。ユリアーナを始末する事をアルクレム公爵に同意しながらも、彼女の部下が生きていたら逃がしてやっても良いかと考えたり、土壇場になってユリアーナとナターニャを殺さず、情けをかけたり、行動が首尾一貫していない。
ただ万が一アルクレム公爵や……もっと言えば、オルバウム選王国が自分を賞金首として手配したり、精鋭を送り込んで殺そうとしたりしても、切り抜けられるという自信と、「そうなれば今度こそ自由になれるな」と言う破滅願望の表れでもある。
普段は人種の中年男性に変装しており、ラルフ等の偽名を名乗っている。
●雨宮博 6歳 人間 男性
【ブレイバー】の雨宮寛人と【エンジェル】の雨宮成美夫婦の間に生まれた長男。名前の由来は、天宮博人。
やんちゃな少年で両親譲りの魔術と身体的な才能を持っているが、やはりチート能力は持っていない。それを幼いながら気にしており、コンプレックスになっていた。
妹の冥が描く絵に度々出る謎の人影「ばんだー」については知っていたが、両親からは「冥だけに見えるお友達」と教わっており、彼もそうだと思っていた。
しかし誘拐事件の後の夢にバンダーが現れ、それ以後彼から無属性魔術を習っている。
バンダーによって謎の臓物……ムラカミだった物とヴァンダルーの魂の一部を食べさせられており、実は『魔力超回復』のチート能力を獲得しているのだが、博本人はその事を自覚していない。
●ランキング
・I
ベルモンド
アイゼン
クイン
レビア王女
・H
ダルシア
タレア
バスディア
ワルキューレ(レギオン)
ジーナ
クーネリア
ギザニア
・G
アイラ
イシス(レギオン)
イリス
ラピエサージュ
・F
エレオノーラ
サリア
マギサ(NEW!)
ガオル
リタ
・E
ペリベール
ミューゼ
セリス(NEW!)
エレシュキガル(レギオン)
オルビア
・D
カチア
ビルデ
イザナミ(レギオン)
・C
カナコ・ツチヤ
メリッサ・J・サオトメ
プリベル
ナターニャ(NEW!)
見沼瞳(レギオン)
・B
ベストラ(NEW!)
オニワカ
ザンディア
ザディリス
プルートー(レギオン)
・A
バーバヤガー(レギオン)
グファドガーン(憑代)
・AA
パウヴィナ
シェイド(レギオン)
・AAA
ユリアーナ(NEW!)
前章から二ヶ月ほどしかたっていないため、既存のメンバーに変動は無い。しかしユリアーナ(転生後)やナターニャ、セリス、ベストラ等のニューフェイスが加わっている。
(ジェシーはランキングの存在を知らないため、またホリーは参加を辞退しているため、ランキングに含まれていない)
●タロスヘイム発展度
・魔大陸を含めた総人口 約七万三千人(タロスヘイム 約二万三千人 魔大陸 約五万人)
グール、アンデッド、ブラックゴブリン、アヌビス、オーカス、巨人種、人種、獣人種、ドワーフ、スキュラ、ハーフエルフ、エルフ、リザードマン、アーマーン、吸血鬼、スクーグクロー、レーシィー、ゲヘナビー、鬼竜人、魔竜人、ラミア、竜人、鬼人、ハーピィ、ケンタウロス、人魚、カオスエルフ、ノーブルオーク、オーク、ハイコボルト、コボルト、ハイゴブリン、ゴブリン、魔人、アラクネ、エンプーサ、冥系人種、冥獣人種、ドヴェルグ、ミノタウロスハーフ
ゴーレムやカースウェポンは含まれていない。また、大陸西部のダークエルフ達の移住はまだ始まっていない。
●タロスヘイム施設
水銀鏡ゴーレム
探索者ギルド(交換所と配給所、ジョブチェンジ部屋)
ヴィダ神殿(従属神&ヴィダ派の神々、ズルワーンとリクレント、ザンターク、ファーマウンの神像有り)
公衆浴場
各種屋台
公営カジノ
イモータルエントの森(ガンテエント植樹済み スクーグクロー&レーシィー増殖中)
各種ゴーレム工場
モンスタープラント畑
木人訓練場(アルダ側の英雄アンデッド在住)
劇場
見る者の心に残る芸術的なペイント(空からでなければ全貌は見えない)
生命体の根源
移住希望者用集団住宅
人間社会からの移住者用寮
タロスヘイム城
ゲヘナビー城
ヴァンダルーの巨大神像(建設中)(NEW!)
B級ダンジョン×2(+1) C級ダンジョン×2 D級ダンジョン×3 E級ダンジョン×1
酒ヤシ栽培用ダンジョン×1
娯楽用ビーチダンジョン
漁業専用ダンジョン
デーモン軍仮住居用ダンジョン(ヴァンダルーの地下工房に併設)
●沼沢地リザードマン地区
カプリコーン農場
カプリコーン乳加工場
探索者ギルド支部
『五悪龍神』フィディルグとヴィダの祠
精神侵食ストーンサークル
D級ダンジョン×1 B級ダンジョン×1
●沼沢地スキュラ地区
田んぼ(魔ガモ農法採用中)
泥湯温泉
スキュラの英雄神メレベベイルとヴィダの祠
探索者ギルド支部
ヒュージカピバラ牧場
魔鴨の養殖場
精神侵食ストーンサークル
転移用極小ダンジョン
●サウロン解放戦線アジト(元スキュラ族自治区)
精神侵食ストーンサークル
自動アンデッド化魔術陣(侵入者リサイクル専用)
D級ダンジョン
転移用極小ダンジョン
闇夜騎士団本詰所
粗製アンデッド軍
●魔大陸
ザンタークの仮神域
街
温泉
ヴァンダルー巨大神像(建築中)(NEW!)
ダンジョン×無数
●仮設施設
クノッヘンコンサート場
サムのジョブチェンジ部屋
●冥魔創夢道の影響下にある境界山脈内部の国々(ヴァンダルーが直接訪問した国)
ノーブルオーク王国 人口約十万人
ザナルパドナ 人口約十万人
グール国 人口約五千人
ハイコボルト国 人口約一万六千人
ハイゴブリン国 人口約一万人
魔人国 人口約十万人(うち、魔人族約千人)
鬼人国 人口約一万人
竜人国 人口約五千人
ケンタウロス国 人口約一万五千人
ハーピィ国 人口約二万七千人
ラミア国 人口約二万人
ダークエルフ国 人口約一万人
『ヴィダの寝所』
人魚国 人口約四万人
3月16日に244話を投稿する予定です。




