閑話30 三度目が良い元アイドル
土屋加奈子の一度目の人生で、子供の頃の夢はアイドルだった。両親も妹も弟も友達も可愛いと褒めてくれたし、歌も踊りも自分は天才だと思っていた。
両親に頼んで地元のバレエ教室に通い、歌の練習も頑張った。頑張ったから上手くはなったが……そこで自分には人並みの才能しかない事を思い知った。
両親も娘が本当に芸能界で通用するとは思っていなかったのか、それとも実は反対だったか、ただ単に経済的な理由なのかは定かでは無かったが事務所に登録し養成所に通わせる事は無かった。
そして小学校、中学校と進み、プロダクションにスカウトされるような奇跡も起こらず、演劇部では主役や準主役を経験したが、それは彼女の思い描く煌びやかなアイドル像では無かった。
そして加奈子は中学の頃には気がついていた。自分の可愛さはクラスでは一番だ。しかし学年全体では自分と同じくらい可愛い女子がクラスに一人はいると。
そして高校に入学する頃には、加奈子は自分の凡庸さを自覚していた。確かに自分は比較的可愛いし、歌もダンスも演技も素人にしては上手い。
学年では目立てるしクラスでは人気者になれる。
だがそれを武器に芸能界にやって行けるかと考えると、とても無理だ。メディアでは「クラスにいる可愛い娘」ぐらいの「会いに行けるアイドル」が持てはやされていたが、そこに自分が混じる事を考えると、とても現実的では無かった。
もしかしたらオーディションに合格するかもしれない。何人もいるメンバーの中から、もしかしたらセンターに立てるようになるかもしれない。しかしそんな奇跡的な「もしかしたら」に賭けるためには、加奈子だと死に物狂いの努力をしてチップを手に入れなければならず、そこまでしても賭けに負ければ何も残らない。
それどころか精神的にボロボロになるとか、AVに出演するはめになって人生に負債を抱え込むことになるかもしれない。
失敗は人生の糧と言う言葉をどこかで聞いた覚えもあったが、加奈子は夢を諦める事を選んだ。
充実した学生生活を楽しみながら大学に進学して、就職。働きながら彼氏を探して結婚して、できれば悠々自適に専業主婦がやれればいいな。
加奈子は煌びやかで幼い夢の代わりに、そんな人生設計をぼんやり考えながら日々を過ごした。しかし参加した修学旅行で乗ったフェリーで起きたテロ事件で、生き残ろうと色々頑張ったが結局死んでしまった。
普通ならここで土屋加奈子の人生は終わるはずだった。
しかし、何の奇跡か二度目の人生を加奈子は生きる事になった。それも魔術が存在する世界で、神様に色々貰った状態で。
芸能プロダクションにスカウトされる以上の奇跡が起きた訳だ。
そして彼女が『オリジン』で生まれついたのは会社経営者の娘で、いわゆる社長令嬢だった。その上容姿は前世よりも可愛くなっており(この時点では主観。後の同じ転生者から確認を取っている)、更に前世では人並みだったダンスや歌の才能が揃っていた。
そこまで揃っているのだ。加奈子が前世で果たせなかった夢、アイドルを目指すのは当然の流れだった。
「ぐふっ、ぐふふっ、いいぞ……初めてにしては上手いじゃないか……」
ベッドから聞こえてくる野太い男の嬌声を聞きながら、加奈子はそっちを見ないように作業を続けていた。
「本当にぐふふって笑う人っているんですね~。え~っと、隠しカメラはありませんね。自分の犯罪の証拠になるから。でもスイッチ一つで他の部屋から怖いお兄さん達が駈け込んでくるリモコン発見。脇に退けちゃいましょう。
後は目的の……あった! いかにもな黒い手帳!」
加奈子が漁っているのは、当然ベッドで嬌声を上げている男の荷物である。何故こんな混沌とした状況に置かれているのかと言うと、経緯はやや複雑だ。
両親のコネを使ってチャンスを掴み、そして活かす為に『チート能力』を使って努力を重ねていた加奈子は順調に子役としてデビューし、瞬く間に人気者になった。
そのまま歌手デビューし、歌もダンスも演技も出来ると中学に上がってもその人気を保ち続けていた。
ロドコルテは「アイドルの才能」なんて都合の良いものを彼女に与えた訳ではないが、『地球』の時よりも身体的な素質を引き上げられた結果、歌とダンスもずっと上手く出来るようになっていた。演技は前世での演劇部での経験が役に立ったし、現世で真面目に学んだ結果だ。
(まあ、それでもズルをしたって思う人はいるでしょうけどね。こんなトラブルも起きてますし)
加奈子は与えられたチート能力……後に【ヴィーナス】と名付けられる他人や自分の記憶や感情をコピーし、貼り付ける事が出来る力を遠慮無く使っていた。
プロデューサーや共演者、芸能関係者には自分に対する好印象を植え付け、ライブや握手会に来てくれる客を他の誰でも無い「自分の」ファンにした。
ダンスや楽器の演奏、歌や演技が上手いライバルの記憶を自分にコピーして、彼女達の特技を自分も身に付けた。
それを悪い事だとは加奈子は思わない。他人を洗脳し人格を大きく変える程、【ヴィーナス】の力は強力では無いからだ。それに自分に対して良い印象を持たせるだけで、「加奈子のライバルに対する悪感情」を植え付けた訳でもないし、ファンが「日常生活に支障をきたす程自分に入れ込む」ように誘導した事も無い。
ダンスや歌唱力も、記憶をコピーした後身に付けたのは加奈子自身の努力によるものだ。
しかしこの方法は思わぬトラブルを度々起こした。今もその処理をしているところである。
「ふひひひっ! そうそうっ、儂を悦ばせられれば、マイケル・ゴールデンシルバー監督に推薦してあげるから、頑張るんだよぉ!」
加奈子が【ヴィーナス】で自分に対して好意的な感情を植え付けた業界人の一人が、業界の黒幕とか裏の支配者とかそう言った類の大物に彼女の事を勧めた。
結果今人気の土屋加奈子に興味を持った大物が彼女を招き、世界的に有名な監督の次回作への出演を餌に、いわゆる枕営業を要求してきたわけだ。
因みに、この時加奈子は十三歳である。
「こういう人が本当に存在するんですね~。芸能界がこんなロリコンに牛耳られているのかと思うと、情けなくて泣けてきます」
「そうだっ! 良い声で泣くじゃないかっ、堪らん! 堪らんぞぉっ!」
「……あたしが編集した偽記憶は気に入ったみたいですけど、お蔭であたしはグロッキーですよ、マジで」
幾ら社長令嬢と言っても、業界全体を牛耳る黒幕に抵抗できるものでは無い。加奈子は男の要求に応える演技をしつつ彼の記憶とそれに付随する感情を【ヴィーナス】によってコピーし……それを繰り返して編集し、彼女が枕営業をしたと言う偽の記憶を作った。
黒幕らしく加奈子以外にも多くの少女に枕営業を要求していたらしく、編集素材にする記憶には事欠かなかった。
そして今黒幕はベッドの上で、「最高の枕営業」の記録を脳内で再生していると言う訳だ。
「さて、事が露見した時の自衛に使うための秘密も握りましたし……後は様子見ですかね」
黒い手帳の中身を記録したカナコは、それを元の場所に戻して置いた。後は折を見てシャワーを浴び、黒幕の部下に送られてプロダクションに帰るだけである。後は何事も無かったように過ごせば良い。……実際、彼女の身には何も起きていないのだし。
何も知らないマネージャーは勿論、この世界の両親や兄にばれる事も無い。
「それにしてもおかしい、あたし達って神様から幸運とか運命を貰っている筈なのに……何でトラブルに見舞われるんでしょう? こういう時、本当に幸運で運命に恵まれているなら少女マンガのように正義感の強い年上の美少年が助け出してくれたりしないんですかね?」
カナコがトラブルに巻き込まれるのは、これが初めてでは無い。会社の乗っ取りを企む専務の陰謀に予期せず気がついてしまい誘拐された事もあれば、ストーカーに襲われた事もある。船上で行われた兄の婚約発表パーティーに何とテロリストが入り込んでいた事もあった。
後、何処かの推理漫画かと思う程殺人事件に巻き込まれた時期もあった。
そのどれも彼女が解決に導いてきたのだ。主に【ヴィーナス】を使って加奈子が掴んだ手がかりを他の人に教えヒーローに仕立てる方法で。……彼女が成りたいのはアクションヒーローでも名探偵でもなくアイドルなので、そうした事で目立つわけにはいかなかったのだ。
「あの頃は本当に大変でした。容疑者になろうものなら、芸能生命が終わりますからね……まあ、流石に未成年のあたしに罪を着せようとした犯人はいませんでしたけど。
でも幸運に恵まれているなら、事件を避けられるのが普通なんじゃないでしょうか?」
そう答える相手もいないのに質問するが、当然答えは出ない。彼女の能力は既に存在する記憶や感情の切り貼りであって、誰も知らない答えを出す事は出来ないからだ。
「もしかしたら、能力を使えばやり過ごせるから幸運と考えるべきなのかもしれませんけど……他の転生した人たちに聞く訳にもいきませんしね」
加奈子は社長令嬢であり芸能活動をしているため、様々な業界の人と出会う。その中に、自分と同じくらいの年代で見覚えのある子供に出会う事が度々ある。
政治家の息子や娘、有名アスリートや地元の名士、名家の子弟。『地球』で同じフェリーに乗り死んだはずのクラスメイトや他の学年の生徒、教職員の面影がある彼らは、加奈子に気がつくと揃って視線を逸らす。
お互い関わり合いたくないと言う事だろう。加奈子も同感である。
彼等は『地球』での記憶を共有する仲間ではあるが、今はお互い別々の人生を、それも順調に歩んでいる最中だ。
集まるメリットが無い。
しかし加奈子に接触しようとする転生者もいた。
「……浅黄はその辺りの事、考えているんですかね?」
元クラスメイトの三波浅黄だ。彼は加奈子宛てのファンレターとして暗号文を送って来た。……自分達の身に起きた事件を小説風の作文にして、前世の仲間達が合流する展開についてどう思うかと質問してきたのだ。
あの時は「ありきたりだと思います。重大な事件が起きてもいないのに集まるのは、不自然じゃないですか?」と返しておいたが。
「あたしの能力、知られるとアイドル的に致命傷なんですよね。出来れば、重大な事件なんて起きて欲しくないですね」
そう彼女は呟き、そろそろ黒幕が静かになって来たので再び【ヴィーナス】を使って、彼に偽の記憶を植え付け、その後は予定通り何事も無くプロダクションに戻ったのだった。
ちなみに、これで彼女が得たマイケル・ゴールデンシルバー監督の次回作での配役は、アクション映画の準主役級のアジア系の警察官の姪っ子。敵の軍用魔術媒体を違法に取引しているマフィアに誘拐され、主人公に救出される役。出演時間は合計五分で、台詞は助け出された時の「サンキュー」のみだった。
その後も加奈子の人生は順調に進んでいくはずだったが、十八歳の頃大事件が起きた。
転生者の雨宮寛人が自分に特殊な能力がある事を発表し、世界的に明らかにしたのだ。そして加奈子や他の転生者を合流させた。
実際には加奈子達転生者は雨宮から発表前にメッセージを受け取っていたが……強制的に集められたのと何の違いも無い。
拒否しても特殊な能力を持っている事は発表されるのだから。
渋々集められたカナコは、彼女と同意見の転生者達……【クロノス】の村上淳平や【グングニル】の海藤カナタ達と一緒に雨宮や、彼と既に知り合っていた浅黄や成瀬成美に詰め寄った。
しかし、逆に雨宮達から恐るべき真実を突きつけられた。カナコ達が特殊な能力を持っている事を、各国の情報機関が掴みつつあったというのだ。
このままでは秘密裏に誘拐され、研究機関に監禁される可能性もある。そう考えた雨宮達は、公に自分達が特殊な能力を持っている事を認め、結集する事でそれを防ごうとしたと言うのだ。
そう言う事情ならと、多くの転生者は進んで雨宮と直後に結成される『ブレイバーズ』に協力した。それまで隠していた特殊能力を人の為に使い、社会の役に立てる。それは彼らにとって秘密からの解放だった。
しかし加奈子や村上淳平を含めた何人かの転生者は……特殊な能力を持っている事が明らかにされた事で大きな不利益を被った転生者達は最初から不満を持っていた。
『ブレイバーズ』のメンバーは能力を大まかにだが、公に対して明らかにしている。加奈子は更に「他人を魅了する能力」と【ヴィーナス】の能力を偽って伝えた。あまりにも真実とはかけ離れた事を言えば【監察官】の島田泉に見抜かれるし、「ならその通り使ってみせて」と要求された時出来ないからだ。
転生者同士だとチート能力が通じ難いと言う特性が無ければ、幾らでも誤魔化せたのだが。
それで加奈子の業界関係者やファンからの人気が、能力によるものではないかと疑われる事になった。証拠は無いし、マスコミも『ブレイバーズ』を正面から批判する事は無かった。ファンには気にしない者達も多かった。
しかし明らかに業界関係者は彼女から距離をおいた。本当に能力を使ったか否かに関わらず。
それだけでは無く、兄とその婚約者とまで疎遠になってしまった。
加奈子はそれまでと一変した自分を取り巻く人々の態度を、「能力を使っていたから自業自得だ」と諦めつつも、雨宮達に対する恨みを忘れなかった。しかし、『ブレイバーズ』以外の居場所が無かったのも事実だった。
そうして約二年、国際的な災害救助チームとして『ブレイバーズ』は活動した。元々土属性魔術と水属性魔術、生命属性魔術が得意な彼女はそれなりに活躍できたが、【ヴィーナス】の力を活用するのは難しかった。
精々災害の恐怖でトラウマを負った人々を魅了して短い時間だけそれを忘れさせるぐらいだった。
そして『アンデッド』発生事件が起き、死属性の存在が明らかになる世界的な事件が起きた後、『ブレイバーズ』はテロリストとの戦いにも参加するようになる。
加奈子もしたくも無い軍事訓練を受けて、テロリスト相手に銃や魔術で戦い、【ヴィーナス】で捕まえた容疑者を尋問するようになった。
だが、思想犯の中には好印象を植え付けたぐらいでは口を割らない者の方が多かった。そこで仲間に黙ったまま【ヴィーナス】で記憶の切り貼りを行いながら情報を引き出して行った。
「思い返すと、それが最初の間違いでしたね」
カナコは当時の事を思いかえしながら、そう集まっている面々に語った。
「どうして? 今までも記憶の切り貼りはしていたのなら、慣れた作業じゃないの?」
ザディリスが治めていた集落出身の女グール、ビルデが首を傾げた。
「そうだとあたしも思っていました。でも実際にやってみると何を食べても吐くようになっちゃうし、悪夢にうなされるし、幻聴は聞こえるようになるし、もう大変でした」
「うわぁ……じゃあそのシソウハンって連中の記憶が悪かったの?」
「そうなんですよ。……今まで慣れていた作業だから大丈夫って、舐めてましたね」
カナコはそれまで【ヴィーナス】を完全に使いこなしていると思い込んでいた。『ラムダ』と違ってステータスシステムが無いので、スキルのレベルなど目に見える数字で確認した事は無かったが。
だがカナコは、今まで使っていたのは一般人が……犯罪者もいたが少なくとも精神的には正気の者達が殆どであった事を見落としていた。
偏った、社会には受け入れられない信念や価値観を持ち、他人は勿論自身の死も厭わない。そんなテロリストの記憶を彼女は受け入れられなかったのだ。
「記憶を切り貼りするのがどれくらい大変なのかボク達には想像するしか出来ないけど……あのリック・パリスの記憶が自分のもののように思い出せたらって思うと、確かに寒気がするね」
スキュラのプリベルが自分の兄をサウロン公爵にするため、彼女が姉のように慕っているオルビアを含め、自分に想いを寄せていたスキュラ達を何人も惨たらしく殺した男の事を思い出して身震いする。
プリベルもリックの行動を理屈としては理解できるが、自分から口説いて惚れるよう誘導したスキュラ達を殺す事が出来るその感情や精神は、彼女にとって異様としか思えないものだ。彼が兄であるレイモンド・パリスを敬愛していた事を考えると、尚更そう思える。
「戦士が生きるために命を奪うのと、思想犯のそれとは違うと言う事か。リック・パリス以外にはゴルダンや、生前のアイラがそれに当たるかもしれないな」
バスディアの言葉にカナコも頷いた。実際、『オリジン』では敵兵を殺した事のある職業軍人や、犯人を射殺した警察官等の記憶を自分にコピーした事もあったが、その時は何も起きなかったのだ。
「まあ、私はそのゴルダンって人や、生きていた頃のアイラさんにはあった事が無いんですけどね。でもその通りだと思いますよ。熱狂的な原理主義者と、何万年も生きた猟奇趣味の吸血鬼の記憶……かなり危険な予感がします」
『あなたも大変だったのね。私も覚えがあるから分かるわ。でも私はそのままアルコールへ逃げて、自殺未遂とドラッグに手を出して気がついたら入院していたけど……あなたは入院までには行かなかったはずよね?』
『少なくとも、あなたが私達と合流した時にはそんな様子は無かったと思うけど』
レギオンの人格達、カナコと同じ転生者で精神的な問題を抱えていた【ゲイザー】の見沼瞳と、プルートーが続けて尋ねる。
「たいした事はしてませんよ。悪夢を見る原因になっているだろう自分の記憶を【ヴィーナス】で切り貼りしただけです。
自分の記憶を切り取って消去したり、他人の記憶をコピーして上書きしたり。そうして繰り返している内に、何を見ても平気になりました」
「それは……大丈夫だったの? 聞いていると、ヴァンダルーとルチリアーノがやっている実験と同じくらい危険そうだけど」
元冒険者で今はビルデと同じグールのカチアがおずおずと尋ねると、カナコは「そう、大丈夫じゃありませんでした」と溜め息をついた。
「本当の能力を隠していたので誰にも相談できなかったから、自分でどうにかしたんですけど……結果人を殺したり、あたしの事を仲間だと思っている【マリオネッター】を裏切っても全然平気な性格になっちゃいまして。
記憶は単純な情報じゃなくて、それに付随している感情や、人格を形作っている経験の元だって事をすっかり忘れてました」
それからの経緯は既にレギオン達が知っている通りだ。自分と同じように『ブレイバーズ』に不満がある……自分の夢を妨害された事や、危険な今の仕事やその対価として得られる収入に満足していなかった村上達とつるむようになり、【アバロン】の六道聖の提案に乗せられ、入院していた見沼瞳を誘拐して『第八の導き』に合流し――。
「そして死んで今に至る訳です」
「いや、今大事なところを飛ばしていると思う」
「え? でも『ラムダ』に転生した後の事は話しても面白くないですよ」
「そうでは無くて改心、若しくは考えを翻したところでござるよ」
アラクネのギザニアとエンプーサのミューゼにそう言われると、カナコは目を瞬かせた。何故なら、彼女は自分が改心したとは思っていなかったからだ。
ロドコルテを裏切ってヴァンダルー側についたのは、その方が確実にリターンが大きいと思ったからだ。別にロドコルテやムラカミが間違っていると思った訳でも、ヴァンダルーが正しいと判断した訳でも無い。
ヴァンダルーとロドコルテ。カナコから見て両陣営の間にあるのは、正義と悪の対立では無い。ただ互いの利益が対立しているだけだ。
『地球』や『オリジン』で見た戦争と同じである。
だからカナコは今もヴァンダルーが正義だとは思ってない。ただこの世界で、自分が最も利益を得られるのは、彼が治めるこのタロスヘイムである事は確信しているが。
「うーん、あたし改心はしてないと思いますよ。そりゃあこの世界に転生してからあまり人を殺してませんけど、最初に殺した山賊を含めて仕事で何人かは殺してますし。そもそも、意味の無い殺しをしないのは前世からだったじゃないですか」
『それはそうだけど……あなた、自覚してないの?』
『存外鈍いね、君』
「自覚って……プルートーと閻魔にはあたしが聖女にでも見えてるんですかぁ? どう思います、ビルデさん?」
話題を振られたビルデはカナコに笑顔で答えた。
「聖女って程じゃないけど、あなたは良い子だと思うわ」
「そうでしょう、そうでしょ……う゛!? 何でそうなるんですか!? あたし結構腹の中真っ黒ですよ!?」
「ええっ!? それ病気じゃないの!? 内臓が黒いなんて聞いた事無いよ、ボク!」
「腹黒いって意味です!」
「カナコ、お前が自分の事をどう思っているかは兎も角、お前が改心した……と言うか、良い人である証拠がある。この前皆の前で『月の巨人』ディアナから加護を受けただろう?」
バスディアの声にカナコは落ち着きを取り戻して、当時の事を思い出した。
そう言っても、さほど前の事では無い。ダルシアとザディリス、ザンディアと自分のステージの最中にティアマトと一緒に現れたディアナから、自分も含めた数人が加護を貰ったのだ。
「それはそうですけど、だから何だって言うんですか? それに加護だったらあなたやプルートー達も貰ったじゃないですか」
いまいち理解できていない様子のカナコに、バスディアに変わってメレベベイルの巫女でもあるプリベルが諭すように言った。
「あのね、カナコ。神様は全知全能じゃない。でも自分の教義に反する人に直接加護を渡す程迂闊でも無いんだよ」
言われたカナコはすぐには答えず彼女の言葉の意味をよく考え……呆然とした。
「そ、そうなんですか……神様や加護って、ロドコルテのイメージが強すぎて今迄深く考えていませんでしたが……うわぁっ!? 今からでもお礼を言いに行った方が良いですか!?」
どうやら自分が貰ったのはとんでもなく価値のある物らしいと気がついたカナコは、慌ててそう聞くがプリベル達は落ち着いていた。
「カナコの反応から考えると、ロドコルテって神は本当に信用が無いんだね」
「普通、加護を与えると言う事はその神が素質は勿論、人格を保証する事でもある筈なのだが」
「まあ、時々コネでもらえる時もあるでござるけど」
「拙者とミューゼ殿はそうだが……それでも、性根の悪い者には与えないのが神だ」
ギザニアの言う通り、神にとって加護を与えると言うのは重要な意味を持っている。
加護を与えると言う事は、「この者は我が教義の体現者、聖人である」と人々に対して宣言し、保証するのと同じだからだ。
数いる信者達、それに直接教えを説く神官や司祭たち聖職者。その中から加護が与えられるのは、ほんの一握りだ。いわゆる、神に選ばれた存在である。
もしそんな人物が教義を蔑にし、悪徳に耽ったら……ヴィダの場合は命の尊さを忘れて意味の無い虐殺を繰り返し、妊婦や赤子、愛し合う恋人たちを無慈悲に傷つけ殺すようになればどうなるか。
人々はそんな人物に加護を与える神を尊びはしないだろう。
だからこそ神々は加護を与える者を選別するのだ。……本来は。
ディアナもカナコに加護を与える際に、彼女の性格を考え、その上で「問題無し」と思ったから加護を与えたはずであるし、人々にはそう解釈されている。
……教義も何も無い、人を導かず顧みる事も無いロドコルテの場合は、単に転生者達を強化するために加護を与えていたが。
「落ち着け、大丈夫だ。今頃『やっと気がついたか』と苦笑いしているかもしれないが」
「本当ですか!? ふぅ……もしそんな大事な物を貰ってすぐ剥奪されたら、スキャンダルじゃ済みませんからね……折角掴んだ芸能生命が終わるかと思いました」
『あなたも筋金入りね。確かに悪い人じゃないけど、聖女ではないわ』
安堵したカナコは居住まいを正すと、改めてバスディア達を見つめた。
「思いもよらない事に気がついて当初の予定とは違う展開になりましたが……これからはあたしも心機一転頑張りますから、皆さんも一緒に頑張りましょう!」
そう言って拳を天に向かって突き出すカナコに、「おーっ!」と同じように拳を上げる一同。
「ん? ところで何を一緒に頑張るのでござるか?」
『そもそも、あたし等は何で集められたんだっけね?』
だが、そのままの姿勢でふと何かがおかしい事に気がついた。何故自分達は同じ部屋に集まって、カナコの人生について聞かされていたのだろうかと。
「勿論、皆でこのアイドル増殖作戦『百人の魔法少女』に協力してもらいたいからです」
その疑問にカナコは何事も無いような顔と口調で答えた。
「ええっ!? 私達も魔法少女に成れるの!?」
「ビルデ、喜ばないで! カナコ、ボク達そんな事聞いてないよ!?」
「言ってませんからね。前もって説明していたら、何人かは来てくれないと思いましたから」
「じゃあ、さっきまでの話は一体?」
「あたしに可哀そうな過去があって、更生には皆さんの愛の手が必要なんですと泣き落としに繋げる予定で包み隠さず真実を話していました」
肝心な用件を黙って皆を集め、自分の過去を話して同情や共感を誘い、思わず協力したい雰囲気を作るための企みだった。
『途中から何か目的があるんだろうなとは思っていたけど……』
『でも、何でメンバーを増やす必要があるの? あなた達四人で上手く回っているように見えたけど』
「見えていただけなんですよ、これが。安定して芸能を続けるには足りない事だらけなんです。あたしも別に毎週毎月コンサートを開こうとは思っていないんですが――」
今この『ラムダ』では初めてアイドルコンサートを経験したばかりだ。説法や賛美歌という方便を使って人を集めているが、観客の反応は上々だ。
しかしここで止めては文化として定着しない。魔大陸と大陸南部には人種より長命な種が多いから、『地球』や『オリジン』のようにすぐ忘れ去られる事は無い。しかしこの世界にはテレビもネットもDVD等記憶媒体も無いから、定期的に開催しないと風化する一方だ。
だから出来れば季節ごとに一回は公演を行いたい。
しかしそれにはメンバーも設備も足りないのだ。
「ダルシアさんは勿論、ザンディアとザディリスも専業のアイドルって訳じゃないですからね。クノッヘンもいつも会場になってもらう訳にもいきませんし、あたし自身も芸能活動専任って訳には行かないかも知れません。
なので、常に活動できるようメンバーを増やす事から始めようと思いまして」
カナコが目指すのは、数十人程のアイドル……魔法少女を登録し、講演を行う時に手の空いているメンバーを招集する。そんな仕組みである。
この世界で魔法少女に成れるのは、マジックアイテムである変身杖を使える程魔力の操作に慣れている者だけだ。そのためここに居る者達にカナコは声をかけたらしい。
「別にメンバーは一人でも構わないのだろう? ならクノッヘンがいない時にどうするか考える方が先じゃないのか?」
「ギザニアさん、それはあたしの手には余ります。なのでやりません。演出用の使い魔王を借りる約束はヴァンダルーに取りつけてありますから、ある程度の広さの開けた場所があるなら何処でも歌う事は可能ですし」
正直クノッヘン程優れたステージはこの世界には存在しない。舞台装置を即興で組み立てて自在に配置できるし、会場の後片付けもしてくれる。『地球』や『オリジン』にだって彼ほど有能で多機能なライブ会場は存在しない。
しかしそれに甘えてばかりではいけない。ヴァンダルーと違ってクノッヘンは分裂出来ないのだから。
「あたしも【混沌】スキルで少しぐらいなら光る事が出来ますし、他にも羽で飛んだり透明になったり出来ますからね」
カオスエルフに変化した事でカナコが獲得した、身体を一時的に変異させる事が出来る【混沌】スキル。個人毎にどんな変異が出来るのかに違いがあるようだが、カナコのそれは幸いな事に舞台演出に使える形態が多かった。
……普通なら、戦闘向きの形態が多いと評すべきなのだが。
だからカナコは会場について考えるのは保留にした。タロスヘイムには常設の劇場があるし、信心深い大陸南部の国々には、必ず神殿がありその前には教えを説き、神を祭るための儀式を行う広場がある。
歌って踊るのはそこで十分だ。
そのためメンバー集めを優先した次第である。
「でも、私で大丈夫? 歌も踊りもお祭りで適当にしていただけだし……」
「大丈夫です! ビルデさんならすぐ上手くなります! あたしが保証しますっ」
魔法少女に成りたがっていたが躊躇い出したビルデの手を、身を乗り出したカナコが握りしめて断言する。
「本当っ!?」
「本当です、あなたには才能が有ります。あたしが保証します」
そう言うカナコだが、別に出まかせを言っている訳では無い。ビルデだけでは無く、カナコが声をかけたのは全員才能を持っている者達だ。
全員ダンスレッスンやボイストレーニングを受けた経験は無い、しかし、高度な武術の使い手だ。舞踏は武術に通じ、その逆もある程度然りである。少なくとも、音痴では無い。
だからビルデも練習すれば、比較的早くダンスを習得できるはずだ。種類によって向き不向きがあるだろうが、一定の水準以上で踊れるようになるのは確実である。
(声も悪くないですし、それにルックスも可愛いですしね~。これで八歳の子持ちなんですから……他の皆も。この世界に美人が多いのか、それともヴィダの新種族だからか。
それはともかく、皆磨けば光るはず)
そう思うカナコの手をビルデは握り返した。
「私、やるわっ! ヴァービも応援してるし。今日もカナコに呼ばれたって話したら、『ママも魔法少女になるの?』って目をキラキラさせて……頑張る!」
「ちょっ、ちょっと、本気!?」
「カチアさんも是非お願いします!」
「あたしも? ま、まあ期待してくれるなら努力はしてみるけど……」
「私は前々から誘われていたし、応じるつもりでいたが、子供達の世話を優先させてもらうが構わないのか?」
モジモジしているカチアに代わってバスディアがそう尋ねた。仕事でもあるダンジョンの攻略や魔物の狩等で、一人娘のジャダルを保育所等に預ける事も多い彼女にとっては譲れない一線だ。
「勿論です。寧ろ会場に連れて来ても問題無し、寧ろ助かります。あたし達は『生命と愛の女神』の教えを歌と踊りで表していると言う建前で活動していますからね」
子供のいる母親が活動するのは、建前上とても都合が良い。
「それで、もしかしてボクも?」
「勿論です。プリベルはもう歌も踊りも出来るじゃないですか」
「そりゃあ、出来るけど……身体の作りが違うから、君達と同じダンスは無理だよ?」
プリベルにとってコンプレックスどころか自慢である、下半身の八本の触腕を指差す。中々の美脚だと自負しているが、流石に二本足の他種族と同じ踊りは不可能だ。
「同じ理由で、拙者も……それに、拙者があんなに激しく踊るのは危ないと思う」
そしてアラクネの大型種であるギザニアも、人と同じ踊りは不可能だ。それに蜘蛛の下半身はとても大きく逞しい。常人がこの下半身に跳ね飛ばされたら、『地球』の交通事故が再現できるだろう。
しかしカナコは引き下がらない。
「プリベルさんはスキュラのダンスで良い……いえ、それが良いんです。それにギザニアさんは暫く歌をメインにしてもらうので大丈夫です」
ヴィダの新種族はプリベルやギザニアのように、身体の形状が人種とはかけ離れている種族も多い。そう言った種族でも魔法少女に成れるのか、これは広くカナコの活動が受け入れられるための重大な試金石だ。
「ミューゼさんも良いですよね? 鎌腕は畳んでおけば危なくないですし」
「それはそうでござるが……某、これでもニンジャの一員でござるし、そんな目立って良いものでござろうか?」
「……『地球』や『オリジン』の最近の忍者は、忍ばずに派手に暴れたりしますよ」
「そうなのでござるか!? なら、子供達に未来のクノイチを担ってもらうためにも協力するでござるよ」
『……微妙に嘘を言ったよね、カナコ』
『まあ、この世界のニンジャも忍んでないから大丈夫でしょ』
『それより、想像以上にカナコのペースね。皆、抵抗ないのかしら?』
『多分、無いんだと思うわ』
話し合うレギオン達の中で、瞳は何故カナコの勧誘が上手くいくのか分析していた。
その分析によると……まずビルデやミューゼ、プリベル達の誰も『芸能界』と言うものに対してマイナスイメージを持っていないのだ。
人間社会には楽団や演劇団、旅芸人の一座等が存在し、それが『ラムダ』における芸能界と言えるかもしれない。
だが魔境で暮らしていたグールや、自治区に押し込められていたスキュラ、境界山脈の内側で生活していたヴィダの新種族達には、無縁の存在だったのだ。
そのため悪印象が無い。
更にビルデ達は芸能活動に人生を賭けるつもりは、さらさらない。精々、副業感覚だ。
何故なら彼女達は全員自力で魔境やダンジョンで魔物を狩ればそれで十二分に生活できるのだ。
後は元から露出度が高い服装をする文化出身である事もあるが……そもそも、ステージデビューをする前から全員既に有名人である。
バスディアはタロスヘイム復興前からヴァンダルーと親しく、既に魔法少女デビューしているザディリスの娘だ。
プリベルはスキュラ族の中心人物であるペリベールの娘の一人で、メレベベイルの巫女であり、ヴァンダルーの婚約者の一人。ギザニアもミューゼも同様だ。
ビルデとカチアは上記のメンバーよりも知名度は落ちるが……それでもグールの間では有名人である。
そのためステージに立つ事に抵抗が殆ど無いのだ。
『なるほど……それであたし達にもステージに立てって? 悪いけど、そう言うのはプルートーに任せるよ』
『バーバヤガー、酷いじゃない。前世では一緒にファンを獲得しようと頑張ってたのに』
『防犯カメラを壊す前に、投げキッスとかしていたよね、君』
『若気の至りをいちいちほじくるんじゃないよ! そう言うのとカナコが誘っている事は別もんじゃないか! カナコも、あたし等よりもジーナとかタレアとか、すぐにOKしそうな連中に声をかけたらいいじゃないのさ! 後仲間のメリッサとか』
「メリッサは月に一回は誘っていますよ。今のところ断られ続けてますけど。それと、ジーナさんとタレアさんの二人からはもうOKを貰いましたから」
『何だってー!?』
「可愛い子が好きなジーナさんは膝の上に座って上目使いでお願いしたら二つ返事で、タレアさんは『もうザディリスの好きにはさせませんわ』ってOK貰いました。
まあ、タレアさんは魔王の欠片製武具の製作が忙しいので、職能班に技術を教えて一段落してからの参加になりますけど」
既にカナコの手は、レギオン達の予想を超える範囲にまで伸びていたのだった。
そして彼女はバーバヤガーを含めたレギオンも粘り強く勧誘するつもりだ。今は前世の姿に成れるのは一度に一人だけだが……もしかしたら将来分裂して全員が前世の姿で活動できる日が来るかもしれない。
そうなれば、一人で公演する事も可能だ。こんな有望株、放っておく手は無い。
『……充実してるねぇ。前世よりも生き生きしているんじゃないのかい?』
「勿論ですよ。三度の人生の中で、今が一番恵まれていますからね。まあ、それぞれの人生で残してきた家族には悪い事はしましたが」
『オリジン』では既に疎遠になっていたし、最終的には合衆国の捜査官と言う事になっているから風評被害も乗り越えられるだろう。
『地球』の家族は、『ラムダ』に転生する前に自分が死んだ後の様子を聞いてみたが、ちゃんと立ち直ったようだ。
そしてこの三度目の人生では、タロスヘイムに亡命するまでは大変だったが、その後は驚くくらい順調だ。
ヴァンダルーは受け入れただけではなく、意外とあっさりカナコ達を信用して、ザディリスからの言葉があったにしても最新兵器の筈の変身杖を渡してくれたし、芸能活動にもとても協力的だ。
支配者、それも大国の支配者の協力をここまで得た芸能人が過去いるだろうか? いや、おるまい。
『地球』に良く似た世界に転生させてくれるらしいが、その後どうなるか分からない四度目の人生なんて、今の人生と比べれば何の価値も無い。
「だからこそ、暫くはあたしもアイドル専業は出来ません。メンバーやスタッフの勧誘と育成、そして体制づくりはしっかりしておかないと」
「何でそうなるの?」
「だって、ヴァンダルーが万が一にもアルダ勢力やらロドコルテやらに負けちゃったら、あたしのこの恵まれた人生も終わりですからね。
あたしも弱い訳じゃありませんし、【ヴィーナス】もありますから戦える時は戦いますよ」
これだけ優遇してくれているのだから、自分も応じようと思うのはカナコが聖女でなくても当然の事だった。
こうして新規メンバー達を獲得したカナコだったが、翌日講演が終わった直後現れたグファドガーンがダルシアをバーンガイア大陸に連れて行ってしまい、早速メンバーの補充が必要になったのだった。
そして次に狙うのは誰にしようかと思いを巡らせながら眠りについたら……気がつけば天井が空いたドーム状の建物の中に立っていた。
観客席には観客が持つ無数のライトの輝きがあって、その向こうには何かの作業をしている皆の姿が見えた。
なので、これは何かのステージだと思い込んだカナコは皆を応援するためにも一曲歌ったのだが……途中で気がついた。
丸いライトの輝きだと思っていたのは、無数の光る眼球で、観客だと思っていたのはうねうねと蠢く肉塊や、角や甲羅の影。白いドームは、巨大な頭蓋骨。
自分が歌っていたのは、半ば割れたヴァンダルーの頭部の内側だったのだ!
「っ!?」
目覚めたカナコはベッドに横になったまま天井を見つめ、呟いた。
「……土足厳禁だったならちゃんと言ってくださいよぉ。なんだか灰色のグニャグニャした物をふんじゃったじゃないですか」
むにゃむにゃとした口調でそう言うと、再び瞼を閉じた。そして夢の中では、ちゃんと靴を脱いだ。
その後、本格的に目覚めた時自分に謎の加護が付いているのに気がついて、「あたしをどれだけ甘やかすつもりなんですか、あの人は~っ」と暫く悶えたのだった。
・名前:カナコ・ツチヤ
・種族:カオスエルフ(エルフから変化!)
・年齢:2歳(外見年齢15歳程)
・二つ名:【転生者】 【魔法少女】(NEW!) 【伝道者】(NEW!)
・ジョブ:マジカルアイドル
・レベル:27
・ジョブ履歴:見習い盗賊、魔術師、弓術士、盗賊、土属性魔術師、花火師、魔法少女
・パッシブスキル
闇視(暗視から変化!)
精神汚染:2Lv
直感:6Lv
死属性耐性:5Lv
敏捷強化:2Lv(UP!)
気配感知:5Lv
弓装備時攻撃力強化:小
高速再生:1Lv(NEW!)
怪力:1Lv(NEW!)
魔術耐性:1Lv(NEW!)
色香:2Lv(NEW!)
自己強化:祖:3Lv(NEW!)
自己強化:導き:3Lv(NEW!)
・アクティブスキル
土属性魔術:8Lv(UP!)
水属性魔術:7Lv
生命属性魔術:6Lv(UP!)
魔術制御:7Lv(UP!)
歌唱:7Lv
舞踏:7Lv
短剣術:4Lv
格闘術:3Lv
弓術:5Lv
忍び足:5Lv
鍵開け:3Lv
罠:3Lv
投擲術:3Lv
調合:3Lv(NEW!)
砲術:1Lv(NEW!)
花火作成:3Lv(NEW!)
・ユニークスキル
ヴィーナス:10Lv
混沌(NEW!)
ディアナの加護(NEW!)
ヴ■■■■■の加護(NEW!)
8月8日に九章キャラクター紹介を投稿する予定です。