百四十六話 我が国は普通の王国に戻ります
ブギータスと、ブギータスの肉体に受肉した『解放の悪神』ラヴォヴィファードが倒された事で、まだ十分な数が残存していたブザゼオス軍とゲラゾーグは、脆くも敗退した。
ブギータスの【疑似導き:獣道】スキルの効果が消え、ブザゼオス以下のノーブルオークやオーク達が受けていた能力値への補正が消えた。特にゲラゾーグは神そのものが倒された事で【加護】や【御使い降臨】のスキルが使用不可能に成り、ランクやスキルレベルはそのままだが著しく弱体化した。
勿論【疑似導き:獣道】の副作用である本能と欲望の肥大化と、それに伴った思考力や理性の減退も解消されたのだが、彼等にとっては解消されなかった方が幸せだっただろう。
「ブヒィィィィ!?」
『ラヴォヴィファードよっ! 何故我らを見捨てもうたか!?』
「もうダメだぁ、終わりだ、俺達は終わりだぁぁぁ!」
各国の連合軍を前に劣勢で在りながら持ち堪えていたのは、【疑似導き:獣道】の効果で維持されていた高い士気と、ブギータスならこの戦況をひっくり返せるという信頼だった。
それが一気に消滅した事と、自分達がどれ程勝ち目のない戦いをしているか理解する思考力が戻ってきてしまった事で、軍の士気は木端微塵に砕け散った。
ブザゼオス大将軍は「せめて死に花を咲かせてくれる!」と、指揮を放棄して数名の側近と特攻を敢行。黒牙騎士団団長ゴーバとの激闘の末、討ち取られた。
ゲラゾーグは泣きながら逃げ出したが、憤怒の形相の魔人国の国王ゴドウィンが単身で行った追跡の結果、生け捕りにされた。
ブザゼオス軍以外にも町の中にはブギータスに寝返った者達がいたが、それ等はただの警備兵で大した強敵もおらず数も多くなかったので、ブダリオンがブギータスを討ち取った事を知って蜂起したブダリオン派の者達によって駆逐されていった。
降伏した者も居るが、それが受け入れられたかはそれまでの行いによって変わったようだ。
勿論、中には仕方なくブギータスに従っていた者もいるが、そういった者達の大部分はブギータスが倒された時点でブダリオン派に合流した。
そうした事が速やかに行われたため、ヴァンダルーは特にする事は無かった。ブギータスの肉体に受肉したラヴォヴィファードとの戦いの最中も、攻撃の余波で建造物や避難した民に被害が及ばないように周りに注意していた為、石畳が砕けてボコボコに成った地面を戻すぐらいだ。
その後は辛うじてブギータスの物だと分かる首と砕けた大鎌を掲げたブダリオンの勝ち名乗りに付き合って、ブダリオン派に決起を促したり、連合軍を迎えたりした。
その間ヴァンダルーは殆どブダリオンの肩に乗っていただけだったので、とても楽だった。
そのまま城門の外でブディルード達アンデッド軍の残骸を食料にするために回収。ただ、流石にノーブルオーク帝国で調理して食べるのは拙いらしく、ブギータスも含めてノーブルオーク肉の食事会は後日と言う事に成ったが。
だが、彼等の魂の方は処理しておいた。
「では、戦功に免じて魂を砕く事は免除します」
ヴァンダルーにしか聞こえないどよめきを発する、ただの霊に戻ったブディルード達。二度の死で生前と比べると大分姿が崩れているが、それでも一目見て分かるほど歓喜に打ち震えている。
「それでは、早速お前達には仕事をしてもらいます。『起きろ』」
その傍らでヴァンダルーは次々にゴーレムにしていく。そしてアースゴーレムやストーンゴーレムになった彼等に命令した。
「では、各自自分が入れるほどの穴を掘りなさい。穴を掘り終わったら、埋めてならして元通りにしなさい。以後、俺かブダリオン皇子……皇帝が新たな命令をするまで、以上の作業を繰り返しなさい」
『うおおおおおおおおん!』
唸るような雄叫びを上げると、黙々と何の意味も無い作業を始めるゴーレム達。
「多分、半年もしないで魂が擦れて生前の記憶も人格も無くなり、ただのゴーレムの動力源になると思います。良いでしょうか?」
彼等の被害者代表、グール国の王やルルゥ姫、ゾーゴ王子に尋ねると、三人とも頷いてくれた。
「……妻たちも異論は無い。大兄貴に従おう」
「妾も、ありません。父や兄達を裏切った事、民を虐げた事に対する、十分な報いです」
「余も、無い。ゴハイリョ、ありがとう」
因みに、ブザゼオス大将軍を含めた先程死んだ者の霊はまだ聞きたい事があるかもしれないので、一応キープしてある。
ブギータスの霊は、受肉したラヴォヴィファードに【魂砕き】スキルを使って攻撃している間に、何時の間にか砕けていたらしく何処にも姿はなかった。
何故ブモーガン将軍が押さえていたはずのケンタウロスやハーピー、ラミア、そして魔人族の連合軍があのタイミングで合流できたのか。それはザナルパドナのドナネリス女王のお手柄だ。
ノーブルオーク帝国の前線基地をヴァンダルー達が乗っ取った頃、ドナネリス女王はアラクネ族でも足の速い者達を伝令に出して、各国の状況を探った。
そして国の入り口をブディルード軍に占領されていたグール国や、国自体を乗っ取られていたハイコボルトやハイゴブリン国以外と情報の交換を行った。
そして得た情報を基に魔人国の王ゴドウィンは、自らの親衛隊のみを率いて国賊となったゲラゾーグを追って自ら出兵。参加国の連合軍に飛び入り参加してブモーガン軍を撃破し、そのままタイミングを合わせながらノーブルオーク帝国へ攻め寄せたのだ。
こうしてブギータスとラヴォヴィファードは、軍事的にも数の暴力に蹂躙されたのだった。
城門を【ゴーレム創成】スキルで修復した後、ヴァンダルーはノーブルオーク帝国のジョブチェンジ部屋に向かった。
主な支配者層と肉体労働者層がジョブに就く事が出来ないノーブルオークとオークである帝国だが、民である人種やドワーフ、エルフ等が生産系のジョブに就くのに必要であるため、ジョブチェンジ部屋はしっかり整えられていた。
「さて、戦勝記念の宴の準備を皆がしている間にジョブチェンジしておきましょう」
エレオノーラ達も既にそれぞれジョブチェンジしたそうなので、自分も遅れてはならないと、ヴァンダルーは部屋の中央に据えられている水晶に手を伸ばした。
ノーブルオークでは無く民専用だけあって、手の届く高さに水晶があるのが有りがたい。
「まあ、ジョブは既に決めている訳ですが」
今回ヴァンダルーは、【魔王使い】ジョブを選択する事に決めていた。何故なら、ブギータスが発動させた【魔王の臭腺】と【魔王の発光器官】の効果によって、自分が所有している魔王の欠片が半ば以上暴走し、制御不能に陥りかけたからだ。
結果として再び制御を取り戻せたし、大事にも至らなかった。問題の【臭腺】と【発光器官】も回収し、既に自分の一部となっている。
しかし、後どれだけの【魔王の欠片】が存在するか不明である以上、似たような力を、他人の中の欠片の暴走を誘発するような力を持つ【魔王の欠片】が存在しない保証は無い。
「あれが起きなければ、【導士】ジョブのどっちかにするつもりだったのですが」
《選択可能ジョブ 【病魔】 【霊闘士】 【鞭舌禍】 【怨狂士】 【死霊魔術師】 【冥医】 【迷宮創造者】 【魔王使い】 【魔砲士】 【冥王魔術師】 【神敵】 【冥導士】 【創導士】 【堕武者】 【蟲忍】》
「……特には増えていませんね。【魔王使い】を選択」
脳内に表示された情報を確認した後、【魔王使い】を選択する。その途端、血が沸騰したかのように体が熱くなった。
《【欠片限界突破】スキルを獲得しました!》
《【怪力】、【状態異常耐性】、【魔術耐性】、【魔力自動回復】、【毒分泌(爪牙舌)】、【身体伸縮(舌)】、【身体強化(髪爪舌牙)】、【魔力増大】、【業血】、【魔王融合】スキルのレベルが上がりました!》
《【高速治癒】が【高速再生】に、【魂砕き】がユニークスキル【魂喰らい】に、【神殺し】が【神喰らい】に覚醒しました!》
・名前:ヴァンダルー
・種族:ダンピール(ダークエルフ)
・年齢:9歳
・二つ名:【グールキング】 【蝕王】 【魔王の再来】 【開拓地の守護者】 【ヴィダの御子】 【怪物】 【鱗王】 【触王】
・ジョブ:魔王使い
・レベル:0
・ジョブ履歴:死属性魔術師、ゴーレム錬成士、アンデッドテイマー、魂滅士、毒手使い、蟲使い、樹術士、魔導士、大敵、ゾンビメイカー、ゴーレム創成師、屍鬼官
・能力値
生命力:2,791
魔力 :1,290,442,646+(516,177,058)
力 :1,182
敏捷 :854
体力 :1,303
知力 :2,725
・パッシブスキル
怪力:7Lv(UP!)
高速再生:1Lv(高速治癒から覚醒!)
冥王魔術:1Lv(死属性魔術から覚醒!)
状態異常耐性:10Lv(UP!)
魔術耐性:7Lv(UP!)
闇視
魔道誘引:3Lv
詠唱破棄:6Lv
導き:魔道:5Lv
魔力自動回復:7Lv(UP!)
従属強化:8Lv
毒分泌(爪牙舌):6Lv(UP!)
敏捷強化:4Lv(UP!)
身体伸縮(舌):6Lv(UP!)
無手時攻撃力強化:大
身体強化(髪爪舌牙):5Lv(UP!)
糸精製:3Lv
魔力増大:4Lv(UP!)
・アクティブスキル
業血:4Lv(UP!)
限界突破:9Lv(UP!)
ゴーレム創成:3Lv
無属性魔術:9Lv(UP!)
魔術制御:8Lv(UP!)
霊体:9Lv(UP!)
料理:5Lv
錬金術:7Lv
格闘術:7Lv(UP!)
同時発動:8Lv(UP!)
遠隔操作:8Lv(UP!)
手術:7Lv
並列思考:7Lv(UP!)
実体化:6Lv(UP!)
連携:7Lv(UP!)
高速思考:6Lv(UP!)
指揮:7Lv(UP!)
操糸術:6Lv
投擲術:6Lv(UP!)
叫喚:4Lv
死霊魔術:6Lv
砲術:6Lv(UP!)
鎧術:3Lv(UP!)
盾術:3Lv(UP!)
装群術:2Lv(UP!)
欠片限界突破:1Lv(NEW!)
・ユニークスキル
神喰らい:1Lv(神殺しから覚醒!)
異形精神:8Lv(UP!)
精神侵食:7Lv
迷宮建築:7Lv
魔王融合:7Lv(UP!)
深淵:4Lv
対敵
魂喰らい:1Lv(魂砕きから覚醒!)
・魔王の欠片
血
角
吸盤
墨袋
甲羅
臭腺(NEW!)
発光器官(NEW!)
・呪い
前世経験値持越し不能
既存ジョブ不能
経験値自力取得不能
「一気に上がったり変化したり……流石【魔王使い】」
どうやら【魔王使い】は補正のかかるスキルが多いらしい。尤も、上がったスキルを見てみるとかなりのキワモノの様だが。普通の人間だと、殆ど持っていないスキルばかりだ。
獲得した【欠片限界突破】は、名前の通り【限界突破】スキルの効果を【魔王の欠片】に限定した物だろう。【魔王の欠片】を頻繁に使うようになったので、重宝しそうだ。
後上位スキルに幾つか覚醒したり……。
「【死属性魔術】や【高速治癒】が変化した【冥王魔術】と【高速再生】は別に良い」
ラヴォヴィファード戦直後に覚醒した【冥王魔術】スキル。前世の『オリジン』ではジョブやスキルが存在しなかったため根拠ないが、恐らく『オリジン』で『アンデッド』と呼ばれていた頃を超えたということだろうか。
ただ、名前が変わってもスキルの内容は大きく変わらないだろう。ゴーレムを作った時も、消費する魔力の量がちょっと下がったぐらいで、それ以外に変化は無かったし。
しかし新しく何が出来るようになったのかは不明だ。前世と比べても未知の領域なので、【死弾】を開発した時のように、試行錯誤が必要だろう。
【高速再生】は更に問題も疑問も無い。エレオノーラやベルモンド達吸血鬼は皆持っているスキルだからだ。
簡単に説明すると【高速治癒】は傷の治りが速くなるスキルだ。ただ万能では無く、切り落とされた腕が生えてきたり、複雑骨折した骨が元通りになったりはしない。ただ傷が治るだけだ。
しかし切断された腕と縫合手術を行い、複雑に折れた骨を正しく接げば、障害も無く元通りに成る可能性はスキルを持たない者に比べるとずっと高い。
一方【高速再生】は、欠損した部位も元通り再生する事が出来るスキルだ。勿論、傷口の状態や欠損した部位の大きさによって、再生するまでに必要な時間は異なるが、基本的に指でも腕でも目でも元通りに成る。特殊な呪いや病毒に犯された場合や、傷口を焼き潰された場合はその限りでは無いが。
勿論、普通の傷の治りも【高速治癒】スキル10レベルより【高速再生】1レベルの方が早い。
ただヴァンダルーは特に気にしていないが、通常なら【高速治癒】が10レベルに達したとしても、【高速再生】に変化する事は無いのだが。
スキルシステムによって努力が可能なら大体の事は現実になる『ラムダ』だが、流石に生態を大きく変える事は出来ないからだ。
「問題なのは、【魂喰らい】と【神喰らい】。うーん、魂を砕いた時に吸収出来るとか、そんな効果だろうか? 流石にただ栄養が取れたり、腹いっぱいに成ったりするだけという事は無いと思うし……もし記憶を吸収できるようになったら、凄く嫌ですねー」
父の仇の貴種吸血鬼セルクレント、母の仇であるゴルダン高司祭や『緑風槍』のライリー、【グングニル】の海藤カナタ、原種吸血鬼達や、自分勝手な大義を掲げた連続猟奇殺人犯のレイモンドとリック。そして最近では【デスサイズ】の近衛宮司。
今までヴァンダルーが魂を砕いた主な連中だが、情報は欲しいが記憶を共有したいとは絶対に思えないクズばかりだ。
記憶とは人格を形成する精神の一部だと、ヴァンダルーは考えている。だからそんな連中の記憶が一部でも混ざるのは絶対に嫌だ。
しかし、記憶が混じると決まった訳でも無い。
「実際にこのスキルを使って実験すれば確かめられますけど……流石に実験の為だけに魂を砕くのは倫理的に問題だ。とりあえず、今度神様達に会ったら魂を砕いた後の魔王の様子について聞いてみましょう。参考にはなる筈」
そう言うと、ヴァンダルーは宴の準備に加わるべくジョブチェンジ部屋から出たのだった。
やはりノーブルオーク帝国の町全体で、連合軍の勝利とブダリオンに帝位が戻った事を祝う宴が催された。
主だった人物はブギータスの首と縛られたゲラゾーグが共に晒されている広場での会食となったが、今日は何処の家でもご馳走を持ちより近所や盛り場で杯を交わしている事だろう。
ブギータス派のノーブルオーク肉は使えなかったが、それでも大陸南部の料理はヴァンダルー達の眼から見てもなかなかのものだった。
「戦勝祝いには蹄打ちうどんが無ければ始まらん!」
「いやいや、やはりガンテ餅だろう」
「何を言っている、スシと天ぷらに決まっているだろうが!」
ヴィダ派の神々とそれに従うヴィダの新種族と魔物達が逃げ込んだ大陸南部ではザッカートやヒルウィロウ達生産系勇者が情報を残している。
しかし勇者達が残した情報は殆どが、メモ書きや日記に書き残した他人に資料として残す為の物ではない、不確かで不完全な物だった。
ただ境界山脈外の人間社会と違い、十万年経った今でもそれが残っており、それを参考にして幾つかの技術が再現され、文化として形になっているのは、境界山脈内部が安定しているからだ。
それが可能だったのは境界山脈外の人間社会と違って、十万年の間国が亡びる様な大きな戦争が無かったからだ。更に生産系勇者ザッカートが残した、「技術者、職人を絶やすな」という教えを守り、技術と文化の伝達を絶やさぬよう各国が努力してきたからだ。
そして、境界山脈外と違い異世界の知識や技術を使う事を禁忌とするアルダ神殿の勢力も存在しないため、技術と文化の伝達を妨害する存在も無かった。
だから【サムライ】や【クノイチ】ジョブが存在し、ザナルパドナ産の糸畳やハイコボルト国産の和製コンクリートが存在するのだ。
それ等文化の一環として、境界山脈外では存在しなかったうどん……うどんや餅、スシや天ぷらが境界山脈内部では存在する。
「ふんっ! ぬおりゃっ! せいや~っ!」
色鮮やかな羽飾りとタトゥーで逞しい肉体を飾ったケンタウロス国の代表者が雄叫びを上げながら、綺麗に磨いた蹄でうどんの生地を踏み捏ねていく。
「せいっ、はーっ! せいっ、はーっ!」
ペッタンペッタンとグール国王が餅を拳で捏ねていく。炊き上がって湯気を立てるもち米……では無く、棘の無い栗に似た木の実は熱いだろうに、長く柔軟な腕を振るい、大きな手で直接捏ねる。
「やあああああああ!」
その横では、気合の雄叫びを上げながら左右の手に曲刀を握った、竜人族の女戦士が、猛烈な勢いで新鮮な魚介類や爬虫類を切り分けスシネタにしていく。
彼女は今も魔物の暴走への対処に追われている竜人国から派遣された人物で、その太刀筋は彼女の技量の高さを表している。……やっているのは料理のはずなのだが。
「うおおおおおおお!」
その横ではやはり雄叫びを上げながら、鬼人族の代表が、何と素手で天ぷらを上げている。煮えたぎる油に直接手を突っ込んで、野菜や魚、蟲や肉をカラリと上げていく。
……魔物の暴走に晒されている自国に戻らなくて良いのかとヴァンダルーなどは思うのだが、問題無いそうだ。それぞれの国では魔物の暴走では両国の戦闘中毒者達が夢中で戦っているから、大丈夫なのだとか。
因みに、ダークエルフ国の代表者とその一団は大鍋で茸のお茶を沸かしていた。他の代表者と比べて静かだが、地味とは言えない。
「クックックック……」
そう含み笑いをしながら大鍋をかきまわす姿は、怪しすぎる。
それらを眺めながら、エレオノーラは呟いた。
「……凄い料理風景ね」
「半ばパフォーマンスのようじゃからな。それぞれ戦勝を記念する戦士の料理とされておるらしい」
ザディリスがそう補足する。うどんや餅、スシに天ぷら等の和食文化が境界山脈内部には残っていたが、再現する過程で大分変化していた。
どれも国民食では無く、戦勝等を記念して戦士達が豪快に調理する各国の戦勝祝いのご馳走と化していたのだ。
一応戦いの後以外でも食べられるのだが、茸のお茶以外は調理工程が過酷過ぎて鍛え上げられた肉体や剣の腕前が無いと作れない。そのため、国民食と呼べるほど普及してはいなかった。
スシと天ぷらは生食が出来るほど新鮮な食材の調達や、食用油が現代日本よりずっと高級品であるため頻繁に調理できないという事情もあるのだが。
「まあ、ヴァンダルー様は嬉しそうだから良いけど……でも、私達は兎も角ヴァンダルー様まで戦勝食を作らなくても」
ザクザクとかき揚げにする玉葱を切るエレオノーラ。その目や鼻腔にタマネギの汁が飛ぶが、瞳に浮かぶのは涙では無く疑問だ。【状態異常耐性】スキルのお蔭である。
「ブダリオン皇子……おっと、もう皇帝じゃったな。皇帝も止めたが……あれは仕方あるまい」
ザディリスもザクザクとキャベツを刻んでいた。
「お飲みようぅ」
その横では、アイゼンが通常のおろし金では歯が立たないためヴァンダルーが造った、【魔王の甲羅】製おろし金で背中の枝に実る鉄林檎を摩り下ろして搾り、ジュースを作って一足早く配っている。
「伝説の一品として伝わっていたそうだから、思わず止めるのを止めても無理は無いさ」
そしてバスディアは長ネギを刻み、その合間に卵を茹でていた。
ヴァンダルーが作っている戦勝祝いのご馳走は……カツカレーとラーメンだった。
ヴァンダルーが調理を始めようとすると、実質的に大将首を獲った英雄にそんな事はさせられないとブダリオンやクーネリアを始め、各国の代表が止めた。
「じゃあ、カツカレーとラーメンは次の機会にしましょう」
だが、ヴァンダルーがそう言った瞬間「是非作ってくれ!」と各国の代表が頼み込む事に成った。
勇者達が残した不完全な資料ではトンカツはともかく、カレーやラーメンは十万年かけても再現する事が出来ず、勇者が好んでいた料理として名前だけ伝わっていたのだ。
「まあ、普通の家庭でカレーをスパイスから、ラーメンを粉から手作りする事は、無いとは言いませんがかなり少数派でしょうからね」
生産系勇者達はヴァンダルーが新たに知った情報から推測すると、それぞれザッカートが町工場の元経営者、アークが文系の大学生、ソルダが理系の大学生、そしてヒルウィロウが役者の卵であったらしい。
それぞれ程度の差はあるものの自炊くらいは出来たようだが……流石にプロの料理人並の知識は無かったのか、「カツカレーが食べたい」、「ラーメンの夢を見た」等と日記等に書き残していても、作り方までは書かれていなかった。
ヴァンダルーは『オリジン』の研究施設の食堂の料理人の霊や、元料理人で同じ実験台だった人の霊から知識を手に入れる機会があったが、それでもカレーのルー作りやラーメンの麺を作るためのかん水作りには、それなりに苦労している。
料理の名前とおおまかな特徴だけで再現するのは、十万年時間があっても不可能だったのだろう。
「これがラーメンの麺か……黄色い。やはりうどんやソバとは違うのだな」
「ヴァンダルー殿、もしかして蒲焼のタレも作れるのではござらんか? もしそうなら、機会があれば是非!」
製麺ゴーレムから出てくる麺を順番に茹でながら、ギザニアとミューゼが瞳と複眼をキラキラさせている。
「分りました。でもみりんが無いな……代用品でアレンジした物で良いですか?」
『マンモス肉のカツカレー。出来たのでみんな並んでくださーい』
『ラーメンも出来ましたよー』
エレオノーラ達が作った付け合せを盛り付けて、完成。
広場に設置された即席の調理場の前で、目を血走らせ涎を垂らさんがばかりの様子で待っていたブダリオン派のノーブルオーク達や連合軍の者達が、【幽体離脱】で増えたヴァンダルー達の前に規則正しく並び始める。
今日作ったのは、マンモス肉のカツカレーポテト。ライスではなくポテトである理由はノーブルオーク帝国では主食が芋類であるためあまり米を栽培しておらず、輸入米も少量しか無かったからだ。
あとラーメンも豚骨を使ったら拙いかなと思ったので、マンモス骨ラーメンである。
「これがカツカレー……勇者ザッカートが異世界で大きな試練に立ち向かう際、必ず食したという、あの」
「おお、ラーメン。異世界において勇者ソルダの英知を支えたという……これが伝説の!」
ただ受け取った者達は気にしていないようで、まるで聖餅を頂く様にそれぞれ器を受け取ると、感動に打ち震え席に戻る連合軍やノーブルオーク。
「やはり日記にカレーやラーメンが食べたいって、書き残していたのかな?」
勇者達も食に関しては不自由していたらしい。当時は戦時だから仕方ないが。
「ブキュブプ」
『おっと。はい、カツカレーですね』
「キュブブブ」
ゆったりとした衣服の上からでも分かる肉感的な体つきをした女性……の形をした肉婦はカツカレーの皿を二人分受け取ると、軽く会釈をして夫であるオークの元に戻って行った。
肉婦は『堕肥の悪神』ムブブジェンゲがオークの妻として創った、一応は神の使いに位置する魔物で、ブダリオンからその存在は教えられていたが、直に見たのは初めてだった。
外見はレギオンが「御子の肉婦」と評されたのに納得できる見た目で、顔は輪郭は在るがのっぺらぼうで、肌の色は肉を連想させる薄ピンク色。……片手に刃物でも持っていたら、ホラーゲームや映画に出てくるクリーチャーの様だ。
ただ性格は共通して穏やからしい。……激怒させると、実家(神殿)に帰ってしまい、ムブブジェンゲの神官から説教されてしまうが。
因みに、オーク語しか喋れないので他種族とのコミュニケーションはジェスチャーか筆談である。
「うどんには無いこのプリプリとした食感の麺! マンモスの濃厚な出汁と……これは何だ? まさか伝説の醤油、それともウナギのタレか?」
「いや、醤油だったはずだ」
「なるほど、これが醤油か。我が国を含め味噌までは作れたのだが、醤油は作れなかったからな」
凛々しい角と顔つきをしている、瑠璃色の翼が綺麗な竜人族の女戦士……女サムライがそう言ってラーメンのスープを啜ると、バスディアに教えて貰った事を懐から取り出した紙片に記している。
「竜人のっ、それよりもカレーだ! この食欲を刺激する香りが堪らん! 辛さだけでは無く何処かさっぱりとした甘さと酸味を感じさせるソースに、カツの衣の甘さと噛み応えのある肉が堪らん! ああ、米が欲しい! 帝国の芋が悪い訳ではないが、やはり伝説の通り米にかけて喰いたい! 若しくはパンにかけてカレーパンに!」
掻き込むようにカツカレーを食べているのは、昔話の赤鬼が絵本からそのまま出て来たような姿の鬼人族の代表者だ。武器が金棒で衣服は虎縞の毛皮で揃えていて、徹底されている。
「坊やによると、カレーパンはライスの代わりにパンにカレーをかけた物では無かったはずじゃよ」
「な、なにっ? そうだったのか……では、カレーパンとは一体……?」
思わず「赤鬼どん」と呼びたくなる赤い肌をした鬼人族の戦士は、ザディリスからそう言われて愕然としていた。
「御子殿の料理は素晴らしいな」
「いえいえ、皆が作ってくれた料理も美味しいですよ」
一方カツカレーやラーメンを作り終えたヴァンダルーは、大陸南部のご馳走に舌鼓を打っていた。
コシのあるうどんや新鮮な野菜や川魚や蟲の刺し身を使ったスシもヘルシーだし、豪快に揚げられた天ぷらの衣はサクサクで中はジューシー。
そして餅は材料の木の実の香りとほろ苦い風味が良い。
「ヴァンダルー様、さっきから食べているガンテ餅が凄く……紫色をしているのだけど、美味しいの?」
エレオノーラが有毒な生物の警戒色を連想させる、毒々しい紫色をした餅を食べるヴァンダルーに質問する。
「美味しいですよ。紫色なのは、グールの麻痺毒の色が移っただけですから」
「本当に美味しいの!? 【状態異常耐性】があるから毒が効かないだけじゃないの!?」
「ガンテの実が麻痺毒を中和するので、毒性は無いそうです……殆ど」
グール国があるD級ダンジョン『ゾゾガンテ大森林』固有の木から採れるガンテの実。ダンジョンの内装が森であるため米や麦の栽培が難しい環境で暮らしていたグール国のグールの主食である。
炊くと麻痺毒を中和する薬効があるため、薬にもなる。
そのガンテの実をグールが素手で練って作るガンテ餅は、鮮やかな紫色をしているが毒性は殆ど無い。ただ、【麻痺毒分泌(爪)】スキルのレベルが高い者が作った場合や、ガンテの実の量が少ない場合はその限りでは無い。しかも調理したグールが味見をしても、毒が残っているのに気がつかない事がままある。
そのため、他種族の子供や老人は食べない方が良いとされている、強靭な戦士達の食事である。
そしてヴァンダルーは子供だが、同時に大抵の毒が効かない高レベルの【状態異常耐性】スキルを持つ。だから躊躇わずに食べていた。
「それならいいけど……はい、あ~んして♪」
表情を笑顔に変えてヴァンダルーにガンテ餅を食べさせようとするエレオノーラ。ヴァンダルーは口を開けて……伸ばした舌で餅を受け取って食べる。
それを見て笑みを深くするエレオノーラ。
「御子殿、こっちの芋虫のフライも美味しいでござるよっ!」
「ジャイアントローカストの後ろ足の照り焼きも、中々だぞ」
ミューゼやギザニアもエレオノーラに対抗するようにヴァンダルーに料理を食べさせ始める。やはりカマキリと蜘蛛の特徴を持つエンプーサとアラクネは、虫も好んで食べるようだ。
そこにバスディアとザディリスも戻ってきて、別の料理をヴァンダルーに食べさせ始める。
彼女達にとっては親しい男女がする「はい、あ~ん」だったが、事情を知らない者が見ると珍獣の餌付けにも見える光景だった。
因みに、この宴にはカシムやゴーバ達も加わっている。ブギータス戦には参加せず、連合軍と一緒にブザゼオス軍と戦っていた彼等は、すっかり大陸南部の者達と打ち解けていた。
「人種の中にお前の様に骨の有る奴がいるとは思わなかったぞ!」
「今度、是非腕比べをしよう! 戦では助けられたが、手加減はせんぞ!」
「いや~、俺はそれ程でもないって。まだまださ」
特にカシムがモテモテである……ケンタウロスやグールの男性陣に囲まれて、酒を注がれている。
「はっはっは、謙遜しおって! お前に助けられなかったら俺は今頃後ろ半分が斬られて、二本脚に成っていたぞ」
「あのノーブルオークの攻撃を防げたのは、この盾のお蔭さ。俺自身の腕だけじゃ無理だった。装備のお蔭だよ」
「優れた武具を使いこなすのも、優れた戦士の資質と言うものだ! 儂も盾職だが、あの盾捌きは中々出来るものでは無いぞ」
「そ、そうかな?」
ケンタウロスやグールの男性陣に褒められて、徐々に顔が綻んで行くカシム。しかし、その周囲はどうしようもなく男臭かった。
ケンタウロスは男女共に戦士の種族だが、国から離れて戦いに赴くのは男で女はその間国を守るという役割分担を行う伝統があるらしい。
グールの女性陣は、相変わらずヴィガロとゴーバ達にモーションをかけている。
そんなカシムの様子に気がついて、中々思惑通りに行かないものだとヴァンダルーは思った。
(カシム本人は特に何とも思っていないようなので、俺が気をまわし過ぎたかな?)
そう思いながら芋虫のフライを咀嚼しながら、フェスターとゼノを探すと、彼等もそれぞれ誰かと一緒に居た。
「こ、今度一緒に狩りにいかないか?」
「俺達と? だったらカシム達にも聞かないと」
「出来れば、お前と私だけで……」
「二人って、前衛職のあんたと斥候職の俺だけだとバランスが悪くないか?」
頬を紅潮させたエンプーサバーサーカーのガオルが、ゼノを……多分デートに誘っているのだろう。彼女がハイコボルト国の戦いでゼノに助けられて以降、彼を意識しているらしい事をヴァンダルーはミューゼから聞かされていた。
しかし、ゼノの方はガオルの意図がピンと来ていないようだ。鈍感というよりも、恋愛経験が無い事とガオルの誘い方のせいで、デートの誘いだと気がつけないらしい。
「フェスターと言ったな。実は儂の家で働いていた民でキャシーと言う娘がいてな。儂には娘がおらんので、実の娘のように思ってきた。だが、ガルギャに一度召し上げられてな……どうか貰ってやってくれないか。貴殿程の男ならば、儂も安心できるのだが……」
「いや、俺にはもうリナって奥さんがいるから、そう言う話は……」
「そうか、あの娘も不憫な……いや、忘れてくれ。宴の席で湿っぽい話をしたな」
「ちょ、ちょっと待ってくれっ、俺が断るとその娘どうなるんだ!? って、言うか俺じゃないとダメなのか!? ちょっとカシム何処行った!?」
老ハイコボルトの戦士に見合い話を持ちかけられて、フェスターがオロオロしている。因みに、そのキャシーさんは本人が言うにはガルギャに手を付けられはしなかったらしい。しかし、このままだと簒奪者の被害者として同情の視線で見られ、年頃の娘としては暫く微妙な立場に置かれる事になる。
そして王宮にブダリオン達と共にルルゥ姫達を助けに現れたフェスターに一目惚れしたそうな。
なので、キャシーの親代わりのハイコボルトがまずカシムでは無くフェスターに話を向けるのも当然だった。
『だから俺はアンデッドだって言ってんだろうが! ついでに孫までいるんだぞ! 嫁に来られてもどうしろってんだ!?』
因みに、ハイゴブリン国でキャシーと同じような境遇にされた民の女性たちの雇い主達は、ボークスや骨人、そして戦争の間ザナルパドナやタロスヘイムをレギオンに取り込まれて行ったり来たりしていた、クルトに話を持ちかけていた。
「それは大変ありがたい申し出だが、俺も宮仕えの身なのでこの場での返事は少々具合が悪いのです」
猫を被ったクルトは、とりあえず殺到する見合い話の申し出を一旦辞退して、兄とヴァンダルーに相談するつもりのようだ。内心では、(陛下みたいに大勢侍らせる甲斐性も度量も、趣味もねぇ!)と、その陛下が知ったら抗議しそうな事を考えている。
『見ての通り骨しかありませんので、無理かと。未来のある御嬢さん方ですので、外国に嫁に出しては如何でしょう? 婚期を逃しそうなら、いっそ吸血鬼やグールに変化させるとか色々あるのですし。当然、タロスヘイムに来られるのであれば、手を尽くしますが』
骨人はそう言ってハイゴブリン達を説得している。元々鼠の霊だったとは思えない丁寧な説得だ。
一方、ボークスはお手上げといった様子である。
『坊主! どうにかしてくれぇっ!』
「ん? はぁ、数年から十数年時間がかかると思いますが、新素材の生金の研究が進めば、子作り方面の問題も解決するかもしれません。でも、今の段階で確約はちょっとできないです」
『そっちにどうにかするんじゃねぇ~!』
「ボークス、お主面倒見は良いと評判なのじゃろう? ならお主の知り合いから何人か見繕って、その娘らとの見合い話ぐらい纏めて見せたらどうなのじゃ?」
『ザディリスの嬢ちゃんよ、俺みたいなのに見合いの仲介を頼む奴がいたと思うか? そんな経験一度しかねぇ! そしてその一度以降御節介は止めてくれと釘を刺され続けたぜ!』
「威張れる事か!」
どうやら旧タロスヘイムではかなりの有名人だったはずのボークスは、一度見合いの仲介で何かしら失敗したらしい。
そうして賑やかにしていると、ブギータスとブザゼオスの首が晒されている台と、ボコボコに殴られ腫れ上がった顔で丸太に縛り付けられているゲラゾーグを背に、ブダリオンが「皆、聞いて欲しい話がある」と話し始めた。
(そう言えば、重要な話があると言っていましたね)
ヴァンダルーがそう思い出しながら聞いていると、ブダリオンの話は弟であるブギータスのクーデターを止められなかった謝罪と、鎮圧に協力してくれた謝辞であるようだ。
それだけならヴァンダルーにとっては重要という程では無かったが、ブダリオンが最後に述べた内容は衝撃的だった……のだろう、多分。
「大陸南部の和を皇族の者が乱し血を流させてしまった。最早帝国を名乗る資格は無い。そこで責任を取り、我が国は帝国の名を返上し、王国に戻ることから始めようと思う所存である」
ざわめき、息を飲む連合軍関係者やルルゥ姫。
「……どう言う事? 国が無くなったりブダリオンが皇帝に成らないとか、そんな話では無いようだけど?」
「ノーブルオーク帝国が帝国では無く王国になるから、皇帝では無く国王になると言う話かの?」
「然り。ブダリオン皇子は皇帝ではなく、普通の王に成るのでござる」
どうやら、王国や帝国等の呼び方の違いに、境界山脈内では特別な意味が含まれているらしい。
「でもそれについて何も知らないのですが……」
・ジョブ解説:屍鬼官
テイムした多くのアンデッドを指揮して集団戦を行った事があり、【連携】や【指揮】スキルを所有している死属性魔術の使い手がジョブチェンジ出来るジョブ。
能力値の成長率はあまり高くないが、【装屍術】スキルを獲得し、同スキルと【連携】や【指揮】等のスキルの成長に高い補正がある。
・魔物解説:肉婦
以下、ルチリアーノの研究メモより抜粋。
『堕肥の悪神』ムブブジェンゲが直接創る魔物。広義の意味ではムブブジェンゲの分身、若しくは御使いと言える存在。
ランクは1で、基本的に戦闘的なスキルは獲得せず、身体能力も生命力や耐久力以外は普通の一般人並にしかならない。
外見はレギオンが勘違いされるほど、分離した彼女(イシスやワルキューレ、エレシュキガル、イザナミ)に似ている。
ただ体格については身長が二メートル程に成るオークに合わせて、人種の女性と比べると長身の場合が多い。
肉婦はオーク一人につき一人、ムブブジェンゲの神殿で与えられる。そして肉婦の知能や家事や調理能力は与えられたオークのレベルやランクが上がる事に合わせて上昇する。
また、生殖能力がありオークの子を産み育てる事が出来る。
性質は大人しく女性的で主人であるオークに対して従順。ただ、時折主人を尻に敷くタイプの者も居る。
悪神が直接創り出した魔物と考えると肉婦は信じられない程弱いが、ノーブルオーク帝国のオークは建国後最も多い時期は数万人以上存在し、その数万人に等しく授ける為に戦闘能力を犠牲にしたと思われる。
当然ながらノーブルオーク帝国以外では存在しない魔物であり、冒険者ギルドや魔術師ギルドもその存在を知らない。
10月16日に百四十七話、20日に閑話22 24日に百四十八話を投稿する予定です




