登場済み種族解説1
ラムダに存在する各種族の内、登場済の種族を解説します。既に魔物として解説した種族もありますが、人としての解説なのでご容赦を。
・ラムダにおける人間の定義
これには大きく分けて三つの考え方がある。
まず法命神アルダの様に、ヴィダの新種族の絶滅を目指している神や、アルダ原理主義者や反ヴィダ主義者にとっては、ヴィダの新種族では無い、人種、エルフ、ドワーフの三種族のみが人間に該当する。(だから、アルダがラムダの総人口を一億人以下と言っていたが、実はヴィダの新種族を含めると一億を超えている)
次にアルダ融和派や、中立的な神々とその信者、所謂普通の人の場合は、上記三種族にダークエルフや巨人種、獣人種等の魔物にルーツを持たないヴィダの新種族を加えたものを人間としている。
この定義で認識している人の数が全体では最も多い。
最後に吸血鬼等の魔物にルーツを持つ種族も含めて人間と数える考え方。
現在では最も少数派で、ヴィダの信者でも邪神派の吸血鬼等も存在しているため、全ての種族を人間として認識できる者は少ない。
・ハーフ
異なる種族同士の親の間に生まれた子供は、ハーフエルフやダンピール以外は基本的にどちらかの親の種族としてステータスに表示される。
ただ多くの場合は両親の種族的特徴が身体に出現する。人種とドワーフの間に生まれた人種の男性の場合は、夜目が利き豊かな髭を蓄えており、筋力と土属性と火属性の適性に優れている。エルフと巨人種の間に生まれた巨人種の場合は、二メートル半を優に超える巨体だが耳が尖っていて精霊魔術の素質を生まれつき持っている、等の例がある。
他にもスキルや能力値には反映されないが、身体の何処かに鱗が生えていたり、腕に羽毛が在ったりする場合もある。
寿命などは場合毎に違い、多くは両親の種族の平均寿命を足して二で割った程度が目安に成る。
また、同じ種族同士の両親から生まれた子供に、別の種族的な特徴が現れる場合や、完全に別の種族の子供が生まれる事がある。昔は母親の不貞が疑われるか、神の悪戯、若しくは祝福と呼ばれていたが、現在では先祖返りである事が知られている。
尚、ゴブリンやオーク等の魔物との混血は上記の例に含まれない。
・人種
地球やオリジンでの人間に相当するが、ラムダでは複数の種族が存在するのでこう呼ばれる。
全ての種族の中で素の能力値は最も低いが、同時に最も繁栄している種族。その理由は、種族的に向いているジョブも不向きなジョブも存在しない、種族的な幅の広さによると言われている。
魔術の適性も低い者から高い者、一つの属性しか持たない者から全属性適性(死属性を除く)を持つ者まで様々。
その幅の広さを示すように、神話や伝説に登場する英雄を種族別に分けると人種が最も多い。逆に、一般人だとゴブリンに苦戦する者も少なくない。
平均寿命は五十から六十とされているが、実際には乳幼児期の病死等が多い為、少年期を無事に成長すれば八十以上まで生きる場合もある。
また、幾つものジョブを経験し能力値を伸ばした者は老化が遅くなり、百年以上現役で戦い続けた冒険者も過去には存在した。
多くの国では十五歳になると成人とされる。
亜種等は存在しないが、白や黄色、黒等肌の色が異なる民族が存在する。
基本的にあらゆる種族との間に子孫を作る事が出来る。
・エルフ
『風と芸術の神』シザリオンと『水と知識の女神』ペリアの間に生まれたとされる種族。先端が尖った長い耳を持ち、容姿に優れている事で知られる。
シザリオンとペリアをルーツに持つため、敏捷さと知力に優れる反面、筋力では人種よりも劣る事が多い。
また生まれつき風と水の属性に適性を持つ者が多く、逆にそれらの属性と相性が悪い土と火属性に適性を持つ者は少ない。
生まれつき【暗視】スキルを所有している。また全員ではないが後天的に【精霊魔術】スキルを獲得する者が多く、そのため精霊の友と呼ばれている。
寿命は五百年と長く、十数歳まで人種と同じペースで成長するが、以後は数年に一歳程の速さで大人に成って行く。どれ程で成人として扱われるかは国や部族によって違うが、大体五十歳から六十歳の間で成人として認められる。人種の町で育った場合は、見た目が幼くても十五歳で成人と成る。
街で見かけた偉そうな態度のエルフの少年少女が大人に指図している光景は、三十代の大人のエルフが自分よりも十歳以上若い新人に指示を出しているだけという場合がある。
寿命が長いために人種よりも時間の感覚が緩やかで、穏やかな性格をしている者が多い。冒険者に成る場合は逆に、その長い寿命を活かして長期間にわたって経験値を稼ぎB級やA級に到達する者が少なくない。……それまで生き残れればだが。
冒険者としての適性は魔術師、ついで素早さを活かした軽戦士、斥候職に向くとされる。
一般人としては優れた芸術家や知識人として活躍する者が多い。
人種の国とは形態が大きく異なるが、過去には数万人規模の大集落が存在した。
集落は主に森や湖などに在り、船団を組んで航海をしながら生活する流浪の民も存在する。
菜食主義で肉を食べないというのはただの噂で、実際は等しく自然の恵みとして食べられている。
人種の国で暮らしている場合は、貴族など世襲しなければならない立場に成る事はほぼ無く、何か役職についた場合も数十年で引退する事が多い。これは寿命が長い為世襲貴族に成っても結局自分が死ぬ前に国が滅亡してしまうか、分裂や合併で忙しないため。又、結果的に地位に長く居座ると自分達より寿命の短い種族の者に不満が溜まる事をこれまでの歴史から学んでいるからである。
ダークエルフを穢れたエルフと嫌悪する場合もあるが、シザリオンが滅びペリアが眠りについた後ヴィダにエルフの祖先が保護されたとされる神話が存在するため、ヴィダを根強く信仰する者達もいて、それらの者はヴィダの新種族に友好的で、特にダークエルフを女神の祝福を受けた兄弟姉妹として歓迎している。
恋愛観は種族全体としては纏まりが無く、一目見ただけの異性でも構わず口説く社交的な者から、相手をじっくり見定めてから決める者まで幅広い。これは気の多いシザリオンと、慎重なペリアの気質をそれぞれ受け継いでいるからとされる。
また外見にあまり拘らず、個人毎に異なる美しさや魅力を見つけるのも、恋愛の一部であると考える者が多いようだ。……エルフが総じて美形である事も、少なからず影響しているだろう。
ただこれと決めた相手には深く執着する事が多く、ある人種の魔術師は「エルフに本気で惚れられたら生涯付きまとわれるから諦めろ」との言葉を残している。
また、ドワーフとだけは直接子孫が作れない。この事からドワーフとは種族的に微妙な関係に成った事もある。
その時の影響か、今ではドワーフとの火遊びを楽しむエルフがしばしばいる。
・ドワーフ
『炎と破壊の戦神』ザンタークと『大地と匠の母神』ボティンをルーツに持つ、大人になっても人種の胸程までにしかならない種族。男性は成人すると豊かな髭を蓄え、女性は成長しても少女のような容姿(体つきは個人差が大きい)を保つ事で知られる。
ザンタークとボティンをルーツに持つためか、力と体力、生命力に優れる一方、敏捷や知力では人種よりやや劣る。
火と土の属性に適性を持つ者は多いが、その反対に風や水属性の適性を持つ者は少ない。
また、生まれつき【闇視】スキルを所有している。
寿命は二百年程で、人種と同じペースで成長し、成人とされる十五歳前後から老化が極端に遅くなる。そして百八十までは元気だが、それを越えると急速に老けて行く事が多い。
人種より寿命は長いが時間に煩く、頑固な気性の者が多い。だが短気では無く、何かを鍛える事と育てる事を生涯の目標にするほど好む。又、男女関係無く酒好きで、「ドワーフの娘と結婚したければ、娘の父親に酒を贈れ」「若しくは、飲み比べで勝て」と言う言葉が伝えられる程。
冒険者としては盾職や前衛職に向き、逆に魔術師や斥候職には向かないとされる。又、信心深い者が多いので神官になる場合もある。
一般人としては鍛冶や石工、陶芸、皮革、武具、料理人等の職人か、農業を志す者も多い。特に職人としては「装飾を取るならエルフ、性能を取るならドワーフ」と評される。
社会的にはその気質から、名工と称えられる者は居ても貴族などになる者は殆ど居ない。仲間の権利と住む場所を守るために爵位を受ける場合以外は、大抵名前だけの名誉貴族である。
例外は職能ギルドで、大抵のギルド支部にはドワーフが中堅以上の幹部の中に一人はいる。
種族的に対立している種族は無く、感覚の違いからエルフとは頻繁に揉めるが、それでも嫌っている訳ではない。
またヴィダの新種族に関しても含むところは無い。ただ、ヴィダがドワーフとだけ新種族を創らなかった事に関しては、「当時のドワーフ男が女神を酔い潰してしまったからだ」と笑い、「だからご先祖様にならって、酔いつぶれた女を襲う様な男には成るな」と戒めている。
……ただ、酔い潰れる前の適度に酔っ払った異性とその場の勢いで、関係を深めてしまう事は別に構わないそうだが。
ドワーフの恋愛観は、男の場合は「俺に付いて来い」と言う亭主関白の逆で「俺を上手く尻に敷いてくれ」と言う形に成る。これはザンタークの残した「男は外で戦い働き、妻は内を守れ」と言う言葉に影響を受けていると思われる。
そのためドワーフの男はしっかりした意志の強い女性を好む。また、華奢なタイプでは無く豊満なタイプに魅力を感じるようだ。
ドワーフの女は、男を自分が鍛えるべき素材の一つと考え、伸ばしがいがあると感じられる男に魅力を感じるようだ。そのためドワーフの夫婦がケンカしていても、それは妻からの愛の鞭である事が多い。
後、ドワーフ女性にとって男性の重要なチャームポイントは髭である。
ただ、昨今は上記の例に当てはまらない若い世代のドワーフも多い。大衆に愛されているダメな人種の男を更生させる女性ドワーフの人情劇は、劇作家の両親の馴れ初め話である。
・ダークエルフ
『生命と愛の女神』ヴィダと彼女に仕えていたエルフの青年の間に生まれた種族である。
外見は褐色の肌をしている事以外はエルフそのままで、「日焼けしたエルフ」等と評される事がある。又、古い書物には豊穣と繁栄も司る女神の血を引くのでエルフより肉感的な体つきをしていると記されているが、これは後年、高名な魔術師にして芸術家である『稀代にして奇態』のダリオ・ダンがそれぞれ千人のエルフとダークエルフの協力を得て検証した結果、事実ではない事が判明している。
エルフ同様高い魔術的な素質に加えて、生命力や力等肉体的な素質にも優れる。つまり全体的に高い能力値を持ち、人種より劣る部分が無い。
あらゆる属性の適性を持つ可能性があり、またエルフ同様に【精霊魔術】に目覚める者が多い。
生まれつき【闇視】と【魔術耐性】スキルを持つ。
寿命は千年と言う長命で、種族全体の寿命では完全に不老の吸血鬼を除いて最も長い時間を生きる。(竜人や魔人の中には千年を超えて生きている者もいるが、種族全体では無く個人差が大きい)
十数歳までは人種と同じペースで成長するが、それ以後は数年に一歳程のペースで成長し、ある段階で成長(老化)が止まる。その時期には個人差があるが、早ければ十代半ば、遅くとも三十代前半程。
ただエルフと違い一度成長が止まると以後はずっとその容姿であるため、見た目は十代半ばの少年少女だが実際は九百年以上生きている長老と言う事もあり得る。
ダークエルフの精神年齢は外見年齢の影響を強く受ける。そのせいかダークエルフには単純に年長者を敬うという習慣が無い。相応しい知識や技術、人格を育てていなければ何時までも未成年者扱いなのである。
逆に年下でも相応しいと思わせれば素直に敬う者が多いので、付き合いやすい種族でもある。
寿命がエルフ以上に長い為、何処か呑気な性格の者が多い。冒険者や一般人として暮らしている者もいるが、ダークエルフの時間感覚では「修行」や「留学」、「やや長期の旅行」で、一生を人間社会で生きるつもりの者はほぼいない。……寿命が尽きる前に、大抵の国が滅亡するか分裂するからである。
ただ冒険者としては向いていないジョブが無く、一般人としても様々な職能をその長い寿命で学ぶことが出来る。
今までの歴史上ヴィダ信者以外のエルフとは距離を置く事が多いが、種族全体で敵対している訳ではない。ただ、多くのダークエルフがアルダの神官を目の仇にしている。
ダークエルフの結婚観は特殊でかなり奔放なものだ。寿命が長い為、永遠の愛を誓っても数百年過ごす内に喧嘩や浮気等が起こるため、大体が誓うのは「百年の愛」である。その百年の期間が過ぎる頃に成ってもまだ夫婦でいたいなら、再度「百年の愛」を女神の神像の前で誓う。これを繰り返すのが、ダークエルフの結婚である。
気が変わったらその時点であっさり離婚してしまえば良いので、あらゆる種族の中で最も痴情の縺れで流れる血が少ないと評されている。
・巨人種
『生命と愛の女神』ヴィダと、『巨人神』ゼーノの配下だった『太陽の巨人』タロスとの間に誕生した、最初のヴィダの新種族である。
太陽に愛された小麦色の肌をしており、成人すると男は二メートル七十センチ以上、女でも二メートル半ば以上に成る大柄な種族。
肌の色と身体の大きさ以外は人種と変わらないため、絵姿に描かれた小麦色の肌をした健康的な美少女に心奪われた貴族の青年が、その少女に思いを告白するために会いに行ったら、自分よりも大きい巨人種の少女だったという喜劇が知られている。
能力値は生命力と体力に秀でており、筋力にも優れる。逆に敏捷、知力、魔力に劣る。
魔術的な素質も乏しく、適性のある属性が一つしかない者が殆ど。その場合も生命属性が多い。
生まれつき【筋力増強】と【体力増強】スキルを所有しており、また各種の耐性スキルを獲得しやすい。
寿命は三百年程で、十五歳程まで人種と同じペースで成長し、その後ペースを落として二十代から三十代程のまま二百五十歳前後まで若さを保ち、それを越えると急に老けて行く。ドワーフと似た歳の取り方をするため、何らかの関係があるのではないかと、昔から唱えられている。
気性は素直で細かい事に拘らない者が多く、ただ怒らせると手が付けられなくなる。又、普段は肌を多く見せる服装を好む。これは巨人種全体が自分達の肉体は誇るべき美しい物であるという認識を持っているからだ。事実、逞しい肉体美や均整のとれたプロポーションは見る者の目を奪う。……巨人種の男の筋肉を「暑苦しい」と嫌う女性は昔から少なくないが。
冒険者としては盾職か重い武器を振るうパワーファイターに適性がある。しかし、巨人種同士だけでパーティーを組んだ場合、逆に盾職が居ないパーティー構成に成る事が度々ある。これは仲間全員が打たれ強い為、態々盾職に成る必要が無いからだ。
一般人としては農夫や鉱夫、石工等力を使う職業に就く者が多い。
そのためか社会的にはあまり高い地位にいる者は少ない。巨人種を中心とした国家が、今から約二百年前にバーンガイア大陸南部に存在したタロスヘイムが滅ぼされて以降存在していないのも、無関係ではないだろう。
種族的に敵対している存在は無いが、巨人種の国に攻め込んだアミッド帝国とその属国は種族共通の敵だと敵視している者も少なくない。
ただ神話の時代に魔王に与し魔物化した巨人の子孫、ヒルジャイアントやフォレストジャイアント等に対しては偉大な祖先の血を汚す存在として嫌悪し、討伐に成功した者は称えられ名のある戦士だと認められる。
逆に神性を保っているタロスを含めた真なる巨人は崇拝の対象とされている。
恋愛観は奔放で強さや逞しさを男女共に重視するが、自分に無い頭の良さや芸術的な感性等を見せられると素直に感心する。特に柔らかい優しさや淑やかさに触れると、コロリといってしまう事がある。
大陸全体が魔境と化している魔大陸に存在する氷の山等の極寒の地には、白い体毛を生やした巨人種の亜種が暮らしていると伝えられている。
・獣人種
『生命と愛の女神』ヴィダが、魔王に滅ぼされた『獣神』ガンパプリオの部下の獣王達と交わって産まれたとされる種族。
親の獣王が複数存在するため同じ獣人種でも姿は異なるが、基本的に獣の耳と尻尾を持つのは共通。種族によっては手の甲や脛に毛皮が生えていたり、頭に角が生えていたりと差異が存在する。
能力値も、片親の獣王によって異なる。ただ基本的に魔術的に劣る種族が多く、逆に生命力に優れ、力や敏捷さ、体力に優れる種が多い。
獣人種は哺乳類、その中でも猪と馬と海で暮らす動物以外の種しか存在しない。これはラムダでは爬虫類は『龍皇神』マルドゥークの眷属の子孫であるため。
また鳥と馬、海生哺乳類の獣人が存在しないのはそれらの獣王が魔王に滅ぼされてしまったからだという説と、それらの獣王は邪神や悪神と融合する等してしまっていたので、女神との間に生まれた子はハーピーやケンタウロスに成ってしまったのだという説がある。
猪の獣人が存在しないのは、猪の獣王が魔王側に寝返りオークの祖となったからでこれは神話にも残っている。ただ、そのエピソードはあまり語られない。
因みに犬や猫、豚等の家畜の獣人も存在しない。
獣人種はステータスに『○○系獣人種』と表示される。狼の獣人なら狼系獣人種、山猫の獣人なら山猫系獣人種と表示される。
生まれつき持っているスキルは何系の獣人かによる。ただ、殆どの獣人が【暗視】を所有している。また肉食動物の獣人は牙や鉤爪を、野牛系獣人や山羊系獣人等は角を生やしている。
十年程で人種の十五歳程に成長し、以後百五十年から二百年まで生きる。老化のペースは非常に遅い。
また親が違う種同士で交わった場合生まれる子供は、両親どちらかの種の獣人に成る。山猫の耳に狼の尻尾の獣人が産まれる事はまず無い。
しかし牙や角等が子供に生える事があり、角のある熊系獣人種等が確認されている。又、後述の【獣化】スキルの発動時に姿に両親の特徴が出る事がある。
他種族とのハーフの場合はこの限りでは無く、エルフの尖った耳を持ち狐の尻尾が生えた子供が生まれる事もある。
食生活は何系の獣人であるかによって好みが分かれるが、肉食獣の獣人が野菜を食べられない訳では無く、逆に草食獣の獣人も肉が食べられない訳ではない。
冒険者としては斥候職か前衛職、その中でも鉤爪や角を活かした格闘士や軽装で戦う職を好む傾向がある。また一時的に半獣半人の姿に成る【獣化】スキルなどを獲得して、【獣戦士】等の種族特有のジョブに就く場合がある。
また獣王を信仰対象にしているためか、【神官】とは違う【シャーマン】と呼ばれるジョブに就く者もいる。
因みに、狐系獣人種や狸系獣人種、山羊系獣人種は例外的に高い魔術の素質を持つため、魔術師に成る事が多い。
一般人としては特に傾向は無い。様々な職に就いている。
社会的には人種と同じだが、オルバウム選王国のビルギット公爵領以外はあまり国家の上層部には存在しない。
種族的に対立している種族は存在しないが、種族の誇りを貶されるのを極度に嫌う。狼系獣人種をコボルト、野牛系獣人をミノタウロス呼ばわりすると、命がけの決闘に発展する事も少なくない。
恋愛観や結婚観は様々で、同じ種で纏まって暮らしている場合は一夫一妻制や一夫多妻制、そもそも結婚制度が無い等種によって変わる。共通しているのは、夫が偉そうにしているが実際に家庭内の権力を握っているのは妻の方である事。ただいざという時は家長である夫の意見が優先される事。
村や町で生活している場合は、そこの制度による。
また、恋愛イコール結婚であり、子供を産む又は産ませる事が前提であるため、異性に恋する基準が「子供を作りたいか否か」である。
だから、大人の関係は望むべきではない。
因みに獣人には種によって子孫を残したくなる時期があり、その時は積極的に成る。それ以外の時期も子供が出来ない訳ではないが、その時期と比べるとやや淡白である。
この時期の事を発情期と揶揄する事は侮辱には当たらないが、「お前等は年がら年中盛ってるじゃないか」と返されても怒ってはいけない。
・グール
一般的には特殊なアンデッドの一種とされ、グール自身も知らない者が少なくないが『生命と愛の女神』ヴィダがアンデッド化した勇者ザッカートと交わって産まれた双子の弟か妹が祖である種族。
神話には全く残っていないため、その後のアルダとの戦いにグールの始祖は関わっていないようだが、それが自ら離れたのか、逃がされたからなのかは不明。
男女ともに灰褐色の肌をしているが、女は黄色い瞳と鉤爪を持つ以外は人種の美しい女性と同じ外見をしているのに対して、男は獅子の頭に直立していても地面に手の甲が着く程長い腕を持つ。
見た目同様に素質も男女で大きく異なり、男は肉体的に優れる代わりに魔術的素質に劣り、女は肉体的には男に劣る代わりに魔術的素質に優れる。
寿命は三百年程で、男は十五歳まで人種と同じペースで成長し、成人すると以後はゆっくり歳をとる。女は妊娠するまで(出産に至らなくても良い)人種と同じペースで成長及び老化し、妊娠すると外見年齢が固定化される。
生まれつき【暗視】や【怪力】、【痛覚耐性】、そして【毒分泌】のスキルを持ち、剛腕によって振るわれる麻痺毒を分泌する鉤爪は恐ろしい武器に成る。
気性は粗野で閉鎖的であるが、同族意識が強く、いざという時は集落や部族の垣根を越えて助け合う。又、他種族でも自分達がヴィダの新種族であると自覚がある部族はある程度文明的な取引が可能。
また、後述する理由で困っている集落の場合は快く迎え入れられるかもしれない。
人間として扱う国が存在しないため基本的に冒険者には成らないが、性別毎に役割を決めて生きているので、戦いでも男は前衛、女は後衛である事が多い。
一般人は存在しない。強いて言えば、捕獲されて奴隷として売買されるかテイムされた個体が一般人と言えるかもしれない。
魔境で原住民の様な生活をしているため魔物の一種と考えられているが、それはグールの生殖能力が低く、魔境の中でなければ子孫を残す事が出来ないためだ。
そのためグールには結婚と言う概念が無く、子孫を残すために励むのが通常である。強い個人が特定の異性を独占する事もあるようだが、珍しい例の様だ。
食生活では肉を好み、人の肉すら食料にする。そのため屍食鬼と呼ばれるが、グールにしてみれば「人だって俺達の死体から素材を剥ぎ取るだろう」と言う事になる。
種族的にはある意味全体と敵対していると言える。又、吸血鬼に対してコンプレックスを持っている者もいるようだ。
グールは人種、エルフ、ドワーフの女性を同種のグールに変える儀式を行う事が出来、少子化が深刻である場合や何らかの理由で女が少なくなってしまった時は、捕まえた女性冒険者などをグールにしてしまう事がある。
男性冒険者が捕まった場合は、運が良ければ女グールの誘いに頷けば生き残れるかもしれない。
注!
タロスヘイムのグールは上記に含まれない点が多々ある。
・吸血鬼
『生命と愛の女神』ヴィダがアンデッド化した勇者ザッカートと交わって産まれた双子の兄か姉を始祖に持つ種族。種族内で原種、貴種、従属種に別れている。
姿は人種、エルフ、ドワーフ等元に成った種族とほぼ同じだが、瞳が紅く変化し牙が伸びる。
基本的に人では無く魔物、それも神に反する存在とされており、人間社会では討伐の対象である。ただ裏社会で根を張っており、吸血鬼討伐を声高に叫ぶ聖職者が実は吸血鬼のスパイだった事も過去には何度かある。
原種、貴種、従属種に共通して寿命が無く不老。吸血鬼に成った瞬間の姿のまま老化が止る。
吸血鬼と化した瞬間から【怪力】や【闇視】、【吸血】、【高速再生】、【状態異常耐性】等のスキルを獲得するが、代わりに日光と銀に対して致命的に弱くなる。
日光に弱くなるのは存在自体が光を司るアルダの怒りに触れるからであるとされる説が有力視されている。
銀に弱いのは、古来からアンデッドが銀を苦手にしているからで、それが祖であるザッカートから遺伝したのだと言われている。
気性は多くの者が尊大で、寿命の短い種族に対して傲慢に振る舞う。狡猾で残忍、冷酷非道な者が多い。
ただこれは現存する吸血鬼の多くが魔王残党の邪悪な神々を奉じているからであり、未だにヴィダを信仰している吸血鬼は異なるという説がある。……事実、善良な個体が極偶に確認される。
原種は伝説ですらなく神話で語られる存在なので詳細は不明だが、貴種吸血鬼はあらゆる能力値に優れ、空を飛ぶことが出来る。成りたての未熟な個体でさえ、常人では相手に成らない。
従属種は力や敏捷、体力に生命力は劇的に上昇するが(元がひ弱な子供でも、ヒグマと正面から殴り合えるぐらい)、魔術的な素質は人であった時と変わらない。
一般人は存在しないが、人だった時のスキルを失う訳ではないので日にさえ当たらなければ社会生活を営む事が出来る。
また不老であるため、長い年月を研鑽に費やした吸血鬼はドラゴンよりも恐ろしい存在である。
吸血鬼は他者の血を吸う事を好むが、血以外の通常の食物を摂取する事が出来る。ただ長期間血を摂取しないと体調を崩し、最後には死亡すると伝えられている。ただ魔物や動物の血でも良いようで、死亡にまで至った例は殆ど無い。
処女の生き血を好むと伝えられているが、実際には個人毎に嗜好が異なり、中には煙草を吸う中年から壮年の男性の血を好む吸血鬼も過去には存在した。……血に含まれた苦みが癖になるらしい。
吸血鬼は他種族……人種、エルフ、ドワーフに自らの血を与えて吸血鬼化させる事で個体数を増やしている。原種吸血鬼は、貴種と従属種を、貴種吸血鬼は自分と同じ貴種か従属種を増やす事が出来る。従属種吸血鬼は、基本的に他者を吸血鬼に出来ない。
そのためか吸血鬼化すると性欲が減退し、代わりに吸血欲求に置き換わる。ただ、完全になくなる訳では無い為時折他種族とのハーフであるダンピールが確認される。
ただ以上の生態を吸血鬼の片親であるヴィダが望んだとは思えない。事実、吸血鬼も通常の生物と同じ方法で子孫を残す事が可能である。
この事からヴィダは当時始祖と原種しか存在しなかった吸血鬼に、更に何らかの手を加える予定だったが、『法命神』アルダと勇者ベルウッドがその前に女神を倒してしまったので、現在の生態になってしまったのだとヴィダ信者は唱えている。
因みに、同じヴィダの新種族でも儀式を行えば吸血鬼化は可能だが、副作用が強く十人に一人ほどしか成功しないらしい。
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4月19日に97話、23日に98話、24日に99話を投稿する予定です。




