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自宅訪問方式

 人口が限られている農村などでは、一カ所に子どもたちを集めるより医師や職員が自宅を訪問した方が効率が良い。自宅のベッドを手術台代りにして手術を行う。手術を受ける子どもがいる家はプレ成人式のように盛大なお祝いをする。それほど人口が多くないだけに、付き合いは濃い。このような儀式が行われるとなれば村をあげてのお祝いがされる。



 毎年、村の会議で誰が割礼を受けるか検討される。小学3年生~6年生のうち、体格や兄弟構成などを考慮して決められる。体が小さければ5年生くらいになるのを待つ場合もあり、3年生でも体格がよければ手術可能と判断される。またできる限り、兄弟は一度で行うように配慮される。そうしないとお祝いの準備をするのも大変だからだ。



 学校の3学期が終わると割礼の時期がやってくる。小学校5年生の光輝と小学校3年生の優樹がいる蒲田家でも割礼の準備が進められていた。2人とも同級生の中でも大きく、兄は3年生の時に割礼をする予定であった。しかし兄弟同時にやって欲しいという母の希望により、今年まで待たされていた。同じ学校に通う同級生は去年と一昨年で大半がすませており、残りも今年受けることになっていた。包茎のままで性器が小さいことをからかわれていた光輝は、ようやく同級生にからかわれないですむという安堵と、同級生から聞いた割礼が痛いという不安な思いが複雑に入り組んでいた。優樹の方は図体の割に泣き虫で、数日前から割礼を嫌がっては涙を流していた。もちろん、一度決まったら否応なしに割礼は行われる。午前9時、医師が蒲田家に到着した。ベッドの上にはシーツがひかれている。泣きじゃくっていた優樹が母につれてこられ、下半身裸にされてベッドに寝かされた。医師はすぐ優樹の性器を消毒し、細い麻酔針を包皮の中で差し込んだ。上半身を父親におさえつけられていた優樹だが、股間からわきあがる痛みで暴れ出した。父は頬にビンタを一発くらわせるとより強い力で押さえつけた。麻酔が終われば当分痛みはない。医師は手際よく包皮を切り、縫合して手当を終えた。次は兄の番である。隣の部屋で弟の泣き声を聞いていた。逃げだそうとしたが、横に母がしっかりと付き添い、監視していたので逃げられなかった。シーツが取り替えられ準備が整うと、母親は光輝をベッドへつれて行った。今度は両親二人がかりで下半身を裸にし、ベッドへ押さえつけた。体が大きいから父一人では抑えきれないのである。両親に体を固定されてはさすがの光輝も抵抗が出来ない。弟と同じように処置をされていった。



 精神年齢が幼く身長も小さいことからずっと手術を先送りにしてきた成田優斗も6年生になり、遂に割礼を受けることになった。同級生で割礼をされていないのは優斗ひとりである。それでも何とか拒否しようと抵抗している。両親も子どもには甘く、これまで嫌がる息子に手術を強要しなかった。しかし村の話し合いにより、今年こそはやらなければならないと決まってしまった。一度制度化された以上は、結局いつかは割礼をされてしまうのだ。

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