概要
「男児の包皮切除は病気予防や発育向上に効果があり、推奨されるべきである」という科学者の結論が出されると、全国の保健所では男児の包皮切除が恒常的に行われるようになった。衛生面・発育面・病気予防などの観点から包皮を早めに切除しておいた方が良いということになった。対象となるのは小学3年生~6年生の男児、費用は無料とされた。実施日や実施場所は各地方団体に一任された。
大都市では指定医療機関に委託するケースが一般的である。友人と一緒に受けに行く子、兄弟が揃って受けに行く子、ひとりで親に連れてこられた子・・・元気よく病院に入っていく子、既に泣き叫んでいる子、うつむいて暗い顔をしている子・・・光景は様々である。
中堅都市では指定日時に保健所などで一気に行う方式をとっている。地域の医師が一同に介し、整理券を受け取った子どもたちは番号が呼ばれると付き添いの保護者と分かれ、処置室に入っていく。泣き叫ぶ声があまりに聞こえると順番待ちの子にも波及するので、待合室とは多少距離を離しているケースが多いようだ。もっとも保健所の場合、泣いてもわめいても順番がくればその子はつれて行かれるのだが・・・
田舎などでは自宅で行うケースもある。各家のベッドを手術台に転用する。自宅と言うことで子どもの緊張も少しは和らげることができる。兄弟や親戚、近隣の子などが集まり、訪問医師を迎え入れるケースが多い。
年中受け付けている地域もあるが、一番盛んに行われるのは3月下旬の春休み期間である。次に多いのは5月連休の期間に特別開設されるケースだ。夏休みもそれなりに行われるが、時期柄、傷の治りがよくないことやシャワーが不可避なこと、そしてプール授業への影響からそれほど推奨はされていない。学校2期制の地区では秋休みの期間に行うこともある。
いずれにせよ手術して2日~3日は絶対安静である。体育ができるようになるには1週間~2週間程度要する。プールは1ヶ月くらい空けなければならない。学校側にも配慮が要請されている。この手術は、予防接種と同じで大多数の男児が受ける。公立はもちろん、私立の中学校でも割礼証明書の提出が求められるケースが少なくないからである。事情があって幼少期に包皮を切っているもの、あるいは自然に亀頭が露出している子も指定医療機関に診察へ行き、証明書を発行してもらうことが必要である。