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TAKE 2 指さす方へ 

「それでは以上になります。」

「本日はありがとうございました。失礼いたします。」


「ふぅ……。終わった。」

少し慣れてきた。


——答えた言葉の重みさえ、わからないのに。


道に迷うことと、

道を見つけられないことは、

きっと、少し違う。


——


少し外の空気、吸いたい。


軽く身支度をして、外に出た時だった。


ブー、ブー。

スマホ鳴ってる。


「はい、もしもし。」


「あ、もしもし、ヨリちゃん?」

「うん、エリぃ!」


「お疲れー、就活どう?」

「うーん、まぁ頑張ってるよん。毎日のように応募してるし。

そっちは?」


「私はね、就活というか、専門行くことにしたよ。」


「え?そうなの?」

「うん、やりたいことは決まってるしね。」


「そう……なんだ。」


「あ、ごめん。電話しといて……彼氏から着信。」

「そっか、またね。」

「うん、またね。」


エリは、決めてるんだ。


「いいなぁ……。」


気づいたら、見たことのない道にいた。


いつもと、景色が違う。


知らない道って、なんか……嫌だな。


元の道に戻ろうと、辺りを見回している時だった。


ん、お店?


Rings?


知らない道にあった、知らないお店。


……気づかなかったかもしれないんだなぁ。


カランカラン。


店の中に入ると、正面にはカウンター。


3本のペンダントライトがどこか印象的で、

外はまだ明るいのに、なんだか落ち着いた雰囲気が漂っている。


「インデックスリング?」


棚に飾られているハンドマネキンの人差し指には、

レモン色の少し大きめの一粒石がついた、

細めのリングが嵌められていた。


「いらっしゃいませ。」

「……はい。」


スラっとしたストレートの髪が綺麗な女性店員が、

カウンターの奥から出てきた。


「インデックスリングは、人差し指に嵌める指輪です。」


「そうなんだ。

嵌める指によって名前違うんですね。」


「何か、お探しですか?」


「そういうわけでもないんですけど、今就活中で、

息抜きみたいな感じです。」


「そうでしたか。ごゆっくりご覧になってください。

きっと、お客様にお似合いのものが見つかります。」


「ありがとうございます。


あの……何か、就活がうまくいくような指輪ってありますか?

おまじない、みたいな。」


……あ、私。


「ふふ、そうですね。何か迷われているんでしょうか?」


「えっと……迷っているというか、わからないんです。」


「なるほど、


人差し指に嵌める指輪は、導いてくれている感じがする。

以前、そんなふうに選ばれるお客様がいらっしゃいました。」


「導く……。」


棚にもう一度目を移す。


私は、その綺麗な石がライトの光に照らされている様子に、

見入ってしまった。


あれ……今って、何社くらい応募してたっけ?


連絡のメール、チェックしてたっけ。


どこの会社、受けてたっけ……。


「人差し指を使う時って、

なんだか、言葉が指を追いかけてるみたいですよね。」


「……そういえば、そうかもしれませんね。


あの……この丸くてレモン色みたいな石のついた指輪、

試着してみていいですか?」


「はい、どうぞ。」


差し出してくれた指輪を左手の人差し指に嵌めると、

指輪を嵌めた冷たい感触。


なのに、すぐに暖かくなって、少し重い。


軽くない。


「……これにします。」


「ありがとうございます。そのままつけて行かれますか?」


「はい。」


いつもと違う少し重みのある指の感触。


帰り道の景色はいつもより少し……。

なんか、いいかも。


自宅に戻って、メールを確認する。

ちゃんと、来てたんだ。


手元の指輪に視線を落とした。

透き通ったレモン色が昼間とは少し、違って見える。


ゆっくりでも、

向いて行ける場所、見つけたい。






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